日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

【慰安婦像問題】韓国が主張する動機・原因は意味が無い


さて、本日も一連の慰安婦像関連の問題となるわけですが、以前書いた「韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念」に関連した内容となります。


一連の慰安婦像問題に関連し、以前読売新聞が「韓国内で解決へ向けた財団の活動が周知されていないことが問題」とする記事を掲載したが、実際には過去韓国内でこの財団の活動は何度も報じられており、「活動そのものが周知されていない」という事はありえない。


しかし最近になり、韓国内からもこの読売と同じ「原因」を記事にするメディアが現れており韓国内でも「原因」としようする動きがあるが、これには彼らの「原因を事後に決定する」という独特の考え方が関係している。


そこには彼らの「ウリとナム」の価値観が関係しており、本質的には「ウリが正しい(優越性)」「ナムは間違っている(劣等性)」という法則に沿った考え方があり、動機や原因はこの前提を成り立たせるための手段でしかない。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:「問題が周知されていない」はありえない



まずはこちらの記事から

慰安婦被害者34人の選択はニュースにならないのか
東亜日報 January. 19, 2017
http://japanese.donga.com/List/3/all/27/829315/1

朴槿恵政権の対日政策基調は,政権初期に雪解けムードを見せ,政権末期に原点に戻るというジェットコースター式の対日政策から脱するというものであった。そのため,政権発足当初から最大の難題である日本軍慰安婦問題の解決を日韓首脳会談の前提として持ち出すという順序が逆のカードを切り,3年近くを持ちこたえた。その出口が,2015年12月28日の慰安婦合意だ。しかし,結果的には現政権も過去のパターンから抜け出すことには失敗したようだ。慰安婦合意が抵抗を受けており,両国の対立が再発したためだ。

記者は,日韓政府の合意によって設立した「和解・癒やし財団」の理事であることを改めて明らかにする。昨年7月に理事に就任した後,「私が非難される慰安婦財団の理事になった理由」というコラム(2016年8月1日付)で,「不可能な最善」よりは「可能な次善」を支持すると述べ,その所信に変わりはない。
(中略)
このような問題はどうか。慰安婦合意当時,生存する慰安婦被害者は46人だった。そのうち34人が,「和解・癒やし財団」が賠償金の性格で支給する1億ウォンを受け取ると申請し,このうち31人は,二回に分けて既に全額を受け取った。予想より多い数字であり,意味がある。ところが,このプレスリリースは冷遇された。国民の情緒にそぐわないため,記事を書きたくないという記者もいた。合意を拒否する被害者や団体の意見も重要だが,悩んだ末に異なる決定を下した被害者らの選択も尊重されて然るべきではないのか。
(後略)


この記事なのですが、読んでもらえば解るように本質的には以前紹介した読売の記事と殆ど同じ趣旨であり、慰安婦合意を反故にする動きや慰安婦像問題などは韓国メディアが和解・癒し財団の活動を報じたがらないからだとしています。


たしかに、韓国内ではこの財団の活動を否定的に受け取る世論が多いですが、それで「活動そのものが報じられない」という事は無く、否定的であれ肯定的であれ活動そのものは何度も記事にされていました。


たとえば、去年7月の財団設立と活動方針の記事は韓国で大きく報じられていますし、同時に慰安婦合意と財団設立に反対する動きも報じられています。


慰安婦支援財団 日本の10億円拠出時期は「すぐ」=韓国 聨合ニュース 2016/07/26
元慰安婦支援財団は波乱のスタート 学生ら占拠で騒然=韓国 聨合ニュース 2016/07/28
慰安婦財団の金兌玄理事長にカプサイシンテロ 中央日報 2016年07月28日


また、韓国政府から慰安婦認定を受けた人々への「見舞金」の支払いやどれくらいの人々が支払いに応じたか、逆に何人が拒否しているかなどに関しても、少なくとも韓国メディアは日本メディアよりもずっと詳しく報じています。


元慰安婦支援財団 来月末まで被害者の意見聴取=韓国 聨合ニュース 2016/09/05
韓国野党の有力議員 元慰安婦に「少女像の撤去あり得ない」 聨合ニュース 2016/09/08
日本との慰安婦合意 「着実に履行する」=韓国外交部 聨合ニュース 2016/12/15
【取材日記】葛藤は相変わらず、慰安婦交渉妥結1年 中央日報 2016年12月28日


そして興味深いのは、当初から合意に反対の立場を示していた親北左派系のハンギョレ新聞も、「否定的な立場で」この財団の活動についてしっかりとその内容を報じているのです。


和解・癒やし財団、日本軍「慰安婦」被害者に現金支援を強行 ハンギョレ新聞 2016.10.15
「慰安婦被害者を売り渡した」非難が続く「和解・癒やし財団」 ハンギョレ新聞  2016.12.28


情報を整理すると、読売や今回引用した東亜日報に掲載された和解・癒やし財団の理事の主張は「メディアが活動を報じないため世論の支持が得られない」とする、根本的に活動が知られていないという内容ですが、実際には「何をしていたか」についてはかなり詳しく報じられているのです。


余談になりますが、今回引用した聨合ニュースの記事はその大部分が韓国三大紙(朝鮮日報 中央日報 東亜日報)を含む多数のメディアに転載されそれぞれが紙面とweb版双方に掲載されています。
聨合ニュースは通信社なので当たり前といえば当たり前ですが。


では実際には韓国で何が問題になっていたのかといえば、直接的には以前から書いているように、日本側が韓国側の望む慰安婦の定義である「軍や政府の命令によって行われた、軍人や官憲による直接的な拉致」の法的責任を認めないからです。


また、他者の劣等性を担保として自己の優越性を証明する韓国的価値観では、この問題を解決してしまうと日本の劣等性から自己の優越性を導き出せなくなります。


他にも「被害者が最も偉い」というこれもまた独特な価値観から、徹底した序列社会であり常に「どちらが上か下か」を重視するため、解決されてしまうと「被害者でいられなくなる」事も問題で、だからこそ彼らは「日本が謝罪し続ける事」を望んでいるわけです。


これらは以前から書いていることではありますが、直接的にはこれが原因となって慰安婦合意が韓国で否定的に受け取られているのであって、だからこそ和解・癒し財団の活動も「知らない」のではなく否定的に受け取られているのです。


2:原因や動機はあとからついてくる


上記がこの問題の「直接的な原因」となるわけですが、これはあくまで表層的な部分であり、本質的な部分はいわゆる「ウリとナム」の概念に関係しています。


以前も何度か取り上げているように、韓国では自身と自身の身内、或いは利益を共有する相手をまとめて「ウリ」という独特の単語で表現しているわけですが、彼らは「自分は常に絶対的に正しい」という考え方を常に行動原理としているため、ウリは常に肯定されないといけません。


そして彼らは自身の優越性や正しさを他者の劣等性によって確認するという独特の価値観を有しているため、どのような状況であれ「ウリは正しい(優越性)」「ナムは間違っている(劣等性)」という構図が必要になります。


そしてどのような状況であれ決してこの構図が崩れてはいけません。
ウリは常に正しく、ナムは常に間違っているのです。


彼らはこの構図にするための「動機や原因」を探します。
つまり、動機や原因があって結論に導かれるのではなく、このウリとナムという特殊な関係性が最初にあり、そこを基点として動機や原因が導き出されるのです。


この事がわかりやすい事例が、最近韓国の次期大統領候補の1人である潘基文氏に発生しています。


彼は保守系与党のセヌリ党から大統領に立候補する予定だったのですが、一連の崔順実問題によって与党が大幅に支持を失ってしまったことから、現状どこから立候補するのかがまだ決まっていません。


しかしどのような形で立候補するにしても、少なくとも「保守系」からの擁立という形で立候補する事は決まっているわけですが、そうなると親北左派系で現在支持率一位の文在寅氏のライバル候補という事になります。


そこで、この文氏を支持するメディアなどから文氏の正しさを証明するために「劣等性の指摘」を受けることになるわけですが、その方法が「山のような揚げ足取り」なのです。


帰国1週間で15件「炎上」潘基文氏、7件は事実無根 朝鮮日報 2017/01/20 (1/2ページ) (2/2ページ


記事を読んでもらうと解りますが、彼は彼で問題のある人物ではありますが、ここで指摘されているようなことは大統領候補としての資質には何の関係もないどころか、一般人が指摘されてもただの言いがかりでしかないような内容です。


こうした揚げ足取りは、過去日本のいくつかのメディアも頻繁に行ってはいましたが、日本のメディアは結果的にそれが「信用の切り売り」となり、メディア全体への不信の原因の一つとなっていったという背景がありますが、韓国の場合はそうはならず潘氏への不信となったのです。


そしてこれは不味いと考えた保守系朝鮮日報が上記のように「火消し」を行ったわけです。


私達の常識で考えれば、潘氏を批判したければ国連事務総長時代に様々な国のメディアや外交官などから批判された「無能さ」を論点としたほうが良いように見えますが、根拠を重視しない彼らにとってそれは数ある劣等性の一つに過ぎず、何であれとにかく指摘できる「ナムの劣等さ」がいくつもあれば良いのです。


その中で世論の反応の良いものを中心に据えれば、それで彼らの価値観では文氏の優越性が証明できるからです。
重要なのは「ナムがこれだけ劣っているからウリはこれだけ優れているのだ」と出来る事だからです。


最初に引用した慰安婦合意に関連した「財団の活動が報じられていない」も基本は同じです。


合意を維持しようとする側からしてみれば、合意に反対する側は「ナム」ですから、とにかく「ウリは正しい」とするために「何でも良いから動機・原因があればいい」わけです。
重要なのはウリとナムの関係性における優劣ですから。


つまり読売の記事に関しては、日本側から「そういう落しどころ」にしようとした結果、韓国側がそれを「ナムの劣等性」に利用しようとしたのか、それとも韓国側が「ナムの劣等性」として主張してきた事を日本側が鵜呑みにしたのか、どちらなのかはわかりませんが、いずれにせよ結果は「ナムの劣等性の指摘」以上の意味は無く、「それが原因だ」とする結論は間違いなのです。


これが動機に選ばれたのは、彼らにとって最も角が立たず無難だからでしょう。


もう一度書きますが、彼らにとっては動機も原因も「ナムの劣等性の指摘=ウリの正しさ」ができれば何でも良いのですから、私達の想定する動機や原因とは根本から異なっているのです。


3:「ウリとナム」を逆手に取る



今回書いたように、彼らの主張する動機・原因は、その多くがウリとナムという独特の関係性に根ざした「根拠の必要ない正しさ」の口実の一つでしかなく、本質的に彼らの主張する原因・動機に意味は無いとなります。


彼らにとって重要なのは、「ナムは間違っている(劣等)のだからウリはこんなに正しい(優越)のだ」という、そこへ持っていくことができれば「何でも良い」からです。


このため、彼らの原因・動機はその時々の利害で次々と変わることがあり、問題が解決しそうになると次々と新たな問題が発生するのもこのためです。


そしてこれは日本にとってマイナスでしかないように見えますが、実はこの「ウリとナム」の関係性を逆手に取ることも理論上は可能なのです。


どういう事かといえば、現在日本は韓国に対して強硬な対抗措置をとっており、それに対して韓国人や韓国人達から「良心的日本人(例1 例2)」と呼ばれている、私が便宜上「日韓友好論者」と呼んでいる人々が強く批判していますが、このままの状態が続いて困るのは韓国だけです。


まず、対北朝鮮を巡る安保関連に関しては、米韓同盟なども関わる問題ですので、日本単独で云々ではないですし、現状の韓国政府は世論がどうあれ「(日本との連携を)やらざるを得ない」状態であるので、実は日本の強硬対応があってもあまり事情は変わりません。
むしろTHAADを韓国がどうするのかのほうが影響があるでしょう。


そしてここからが重要で、スワップ関連や大使帰国などに隠れてあまり目立っていませんが、日本による対抗措置で韓国にとって最も痛いのは「日韓ハイレベル経済協議の延期」なのです。


実は去年、堰を切ったように日本と韓国の間で官民ともに経済協力に関連した協議が政府レベルから経団連、或いは地方自治体レベルまで多数行われていました。
なぜかといえば、経済状態が芳しくない韓国がそれを望んでいたが、それまで朴政権の強硬姿勢が原因で上手くいっていなかったからです。


しかし日本による対抗措置後、毎週のようにニュースになっていたこうした経済協力協議の一切のニュースが出てこなくなりました。
恐らく「全部止まった」のでしょう。


韓国は朴政権が強硬な態度を取っていたころすら、「日本からの投資」を期待し、低迷する経済を日本の手助けで回復させようと考えていました。
そして慰安婦合意後はほぼ彼らの想定した通りに経済協議が行われていました。


それがほぼ完全に止まったという事は、今後韓国の経済は更に悪化していくという事であり、その事は既に韓国でも周知の事実となってきています。
しかもそれに対して韓国の次期大統領候補達は何一つ具体的な対策を提示できていません、耳に聞こえの良いだけの公約ばかりです。


【社説】兵役期間短縮を公約に掲げる次期韓国大統領選候補者たち 朝鮮日報 2017/01/19 (1/2ページ) (2/2ページ


この状態が続いた場合、いずれ韓国では誰かを「ナム」にしないといけなくなります。
なぜなら経済の悪化は誰にとっても不利益であり、また誰もが実感できる事だからです。


そうなったとき、韓国の保守系は何をするでしょうか。
まず間違いなく「この状態を作った」文氏や「共に民主党」などの親北左派系を「ナムの劣等性の指摘」によって攻撃するでしょう。
そして多くの韓国人にとっても、経済の悪化は背に腹は変えられないので、そこに賛同していく可能性が高いです。


そしてこの手法を上手くやっているのが中国です。
中国はTHAAD問題に関連して現在もかなり非常識な「経済的な嫌がらせ」を韓国に対して行っています。


中国 韓国の洋式便器も一斉に「不合格」=化粧品に続き 朝鮮日報 2017/01/18


これに対して、韓国内では「THAADを強行したからだ」という世論が根強く、中国を「ナムの劣等性」で非難するよりも、THAADを推進した側を「ナムとして批判する」世論が一定数出てきており、それが文在寅氏への支持に繋がっています。


【社説】中国の内政干渉、共に民主党にはひとごとなのか 朝鮮日報 2017/01/05 (1/2ページ) (2/2ページ


なぜこんな事になっているのかといえば、韓国には中国に対して有効なカードが何も無いため事実上対抗措置が無く、しかも中国側は一切折れる気配が無いので、もっと攻撃し易い相手を「ナム認定」をしたからです。
そのほうが自己の優越性を確認し易いからです。


中国のやり方は流石に国際的に見て非常識ですので、日本がそのまま同じ事をする事はできませんが、このまま「経済協力をしない」という態度を続けていけば、いずれ同じ流れとなり実害に対して内向きに「ナム認定」を行う可能性が高いわけです。


要するに、彼らには彼らの流儀があるのですから、わざわざこちらも自分達の流儀に拘る必要はなく、彼らの流儀に合わせた対抗措置をすればよく、それで一定の成功を収めている実例が中国なのですから、日本もその実例を参考にすれば良いわけです。


韓国では動機や原因は独特のウリとナムの関係性における「劣等性の指摘」の問題でしかないため、原因や動機にあまり意味は無く、また「いかにナムの劣等性を指摘できるか」「いかにコスパの良いナムを見つけ出せるか」が最も重要なのですから。


日本は中国のように「コスパの悪いナム」になれば良いのです。



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