さて、本日の記事なのですがあくまで私の個人的見解としてという前置きをしたうえで、「最も韓国らしい特徴」とは何かについて書いて行きます。
最初に結論を書くと、最も韓国らしい特徴とは「分裂」が挙げられる。
韓国を観察していて気付く事として、些細な事でも対立が発生しその対立が収まらずそのまま分裂していく現象を頻繁に見かける。
現在も、例えばTHAAD関連では反対派と賛成派が激しく対立していたり、既存の歴史学者と在野の研究者が歴史認識で対立していたり、果ては「韓国の建国日はいつか」で争っていたり、更に昨年末の慰安婦合意もまだ対立が発生している。
ここで特徴的なのが、意見対立は何も韓国に限った事ではないのだが、韓国の場合その独特の価値観=常識によって根拠や整合性・客観性といったものが重視されず、大抵の場合「序列」で正しさが決定されるため、序列で決着をつけることができない事柄ではそのまま対立が分裂に繋がるという特徴がある。
※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:「対立」に決着が付かない社会
まずはこちらの記事から
【コラム】THAAD韓国配備問題、「城外」の敵と「城内」の戦い
朝鮮日報 2016/08/28
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/08/26/2016082601856.html (2/3ページ) (3/3ページ)
インターネットアーカイブ
https://web.archive.org/web/20160828220946/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/08/26/2016082601856.html (2/3ページ) (3/3ページ)
THAAD(サード=米国の高高度ミサイル防衛システム)の韓国配備をめぐって中国が脅迫を続けている中、金薫(キム・フン)氏の小説『南漢山城』を読んでみた。丙子胡乱(1636年から翌年にかけ、清が朝鮮に侵入し制圧した戦い。丙子の役)の際、南漢山城で繰り広げられた47日間の戦闘を描写したこの小説は、読むたびに暗たんたる気持ちにさせられる。380年前、朝鮮は十分な力もないまま中国と対峙(たいじ)し、悲惨な目に遭った。中国は武力と恐怖によって、国家としての自尊心を踏みにじった。当時の屈辱は韓国人の脳裏に刻み込まれ、民族的なトラウマになった。
THAADの配備をめぐり、中国の目を気にする動きが盛んに見られる。それが限度を超え、過剰な反応まで出てきているのは、記憶の中にある丙子胡乱のトラウマと無関係ではない。中国メディアが何か言えば、すぐにでも清の軍隊が攻め込んでくるかのような騒ぎになる。韓国人に対する中国ビザの発給が縮小され、数人の韓国人俳優の中国での予定がキャンセルされただけにもかかわらず、「報復が始まった」とざわついている。
(中略)
だが、韓国にとって耐えられないほどの致命的な報復ではない。この程度の報復に耐えられないようでは、真っ当な国とはいえない。中国が恥知らずな態度に出れば出るほど、不利になるのは中国の方だ。国際社会で烙印(らくいん)を押され、孤立するだけだ。韓国はひたすら耐え抜き、自ら決めた国家としての意志を貫くべきだ。ここで後退するようでは、丙子胡乱のトラウマから永久に抜け出せないだろう。
今、本当に心配なことは、中国の脅しではなく、韓国内部の状況だ。小説『南漢山城』に描かれた丙子胡乱の実体は「城内の戦い」だった。作者の金薫氏は「外での戦いよりも、中での戦いの方がよりむごいものだった」とつづった。外に敵が迫っているにもかかわらず、城内に閉じこもって論争を繰り広げていたというわけだ。
今の韓国の状況もこれと同じだ。韓国を脅かす共通の敵は外にいるのに、内部で分裂している。そのような意味では「第2の丙子胡乱」という言葉も正しいのかもしれない。
類似記事
【社説】バラバラの韓国社会、国家の危機に対応できるのか 朝鮮日報 2016/08/26 (1/2ページ) (2/2ページ)
上記記事で書かれていますが、朝鮮では伝統的に何かしらの問題が発生した場合に意見を取りまとめることができず、そのまま内部対立が発生し派閥で分裂する事例が多数あります。
上記のTHAAD関連では、そもそもの反対理由が電磁波による健康被害や農作物への影響とされているのですが、その主張に客観的根拠が無く米軍は「電磁波による影響が無い事」を、わざわざ反対派をグアムの基地に招いて説明したのですがまるで意味がありません。
農業基盤壊れ地域経済が破綻…THAAD配備候補地が反発 ハンギョレ新聞 2016.07.11
更には韓国政府にしても、当初予定していた地域への説明で「調査の結果電磁派被害は無い」としていたにも関わらず、最近になって候補地を変更した上に、今後配備そのものが中止になる可能性すらまだまだある有様です。
[社説]「第3候補地」に変更するTHAAD、政府は明確な態度を示せ 東亜日報 August. 23, 2016
また他にも最近の事例として、韓国の国立公園事務所が「日本イプカラム」と呼ばれるカラマツを「国立公園の地位に日本産樹木は合わない」との理由で全て伐採すると発表し、生態系などの問題から賛否が分かれています。
(※1)
[単独]日本産という理由で…太白山(テベクサン)巨木50万株伐木危機 ソウル新聞(韓国語) 2016-08-25
ただし、このカラマツは日本で「チョウセンカラマツ」或いは「マンシュウカラマツ」と呼ばれている種であり、日本のカラマツとは全くの別種なのです。
現在韓国では民族主義と植物学者による生態系への影響懸念という対立となっていますが、傍から見ると「なぜカラマツの来歴をしっかりと調べないのか、本来はそれで解決ではないか」という疑問がわいてきます。
また他にも、これは以前も取り上げたことがありますが現在韓国では既存の歴史学者に対して在野の研究者などが、「日帝の植民地史観を継承している」として歴史認識の見直しを要求しています。
【コラム】韓国の上古史論争、良識とルールを守ろう 朝鮮日報 2016/06/26
大古朝鮮か小古朝鮮か、古代史論争が再び激化 中央日報 2016年06月28日
ただしこれに関しては、既存の韓国の歴史学者も史実よりも「かくあるべき姿」を優先しているため、たとえるなら「三国志演義と三国無双(コーエーのゲーム)はどちらが史実か」で争っているようなものと考えてもらえばわかりやすい状態です。
彼らの対立において史実かどうかはどうでも良いのです。
また他にも、過去にも何度か紹介したことがありますが、昨年末の慰安婦問題における日韓合意に韓国最大の慰安婦団体である挺対協が反対して政府と対立しており、韓国内でもその意見は完全に二分しています。
以前も何度か紹介している剣術や日本刀、或いは剣道関連の韓国起源説の主張ををしている大韓剣道会と海東剣道にしても、海東剣道の会員は内紛によって分裂した元大韓剣道会の会員で構成されています。
他にも多数「対立」があるのですが、挙げるときりが無いのであくまでここで挙げたものは「主だった対立のうちの氷山の一角」と認識してください。
2:「根拠」が必要ないため分裂する
上記で挙げたように、韓国には現在進行形で多数の対立があり、派閥に分かれて分裂し激しく争っているわけですが、これらには全て一貫した特徴があります。
それは、韓国社会では根拠や客観性が重要視されず、「そのときの感情」が最も重要である事と、「正しさ」を証明する方法が序列の優越か或いは「被害者かどうか」で決定されるという独特の価値観に根ざしている事です。
参照
韓国では被害者が一番偉い
以前「正しさ」の決定方法のたとえをしましたが、日本などの根拠や客観性・整合性を重視する社会では、正しさとは根拠という名の「ブロック」を積み重ねて「正しさの柱」を構築するわけであり、柱を構築する「根拠のブロック」が破綻すれば「正しさの柱」そのものが崩れてしまいます。
韓国の場合には、正しさの柱とは継ぎ目の無い一本の棒であり、根拠とはそこに書かれた「文字」の事であるため、根拠が間違っていてもそれは「文字を書き換えれば良い」だけなので、根拠を否定されても柱そのものは一切揺るぎません。
「正しさ」に対してこうした概念的な違いがあるため、私達の社会では根拠と客観性の提示で自身の正しさを証明するわけですが、韓国社会ではそのセオリーが成り立たず、「どちらが上か下か」という序列か、「いかに自身が被害者であるか」という社会的なスタンスで正しさが決定される仕組みなのです。
上記で紹介した事例の場合、私達の常識で考えた場合ならば「何が正しいのか」を客観的根拠を提示して証明すれば、(相手がそれで納得するかどうかは別として)公的には決着することができますが、韓国的価値観ではそれが通用しないうえに、序列や「被害者かどうか」で判断できる事例でもないため対立が続き派閥争いになるわけです。
これが最もわかりやすい具体的事例が最近韓国で発生しています。
それは「韓国の建国記念日論争」です。
事の発端は韓国政府の公式見解として「8月15日が建国節である」とした事に対して、様々な個人や団体が反発、「1919年の3・1独立運動とその後の大韓民国臨時政府樹立の時点で、大韓民国の建国とみなしている」との見解が出され、「いつが建国日なのか」で論争が発生しました。
光復節:韓国与党前代表「朝鮮末期の国王が無能だったので…」 朝鮮日報 2016/08/16
「8・15を建国節にしてはならない」 元老愛国志士が朴大統領に直言 ハンギョレ新聞 2016.08.12
【中央時評】建国節の論議を中止しよう=韓国(1) (2) 中央日報 2016年08月26日
これなのですが、国際的な認識における韓国の建国は、韓国初代大統領である李承晩が建国を宣言した1948年の8月13日となっています。
にもかかわらず、この論争ではなぜか8月15日が建国節かどうかで論争になっています。
また、実は韓国にとって1945年8月15日は何ら特別な日ではなく、当事この日に日本が降伏しポツダム宣言を受け入れ、同日のうちに「朝鮮建国準備委員会」が結成されますがこれはGHQによって否定されます。
そして、朝鮮総督府からおろされた日の丸が元に戻され、同年9月7日に米軍が朝鮮における軍政を宣言、9月9日に朝鮮総督府から正式に米軍へと朝鮮の統治権の委譲が行われ、それが1948年8月13日まで続く事になります。
要するに、国際法上朝鮮は1945年9月9日まで「日本」であり、そこから統治権が米軍に委譲され、1948年8月13日に「米軍から独立した」というのが韓国の歴史の出発点なのです。
また、今回議論になった1919年に関しては、そもそも国が独立するためには他の主権を持つ国からなんらかの承認を受けないといけないのですが、1919年3月1日の独立宣言は当事どこの国からも支持されていなかったうえに、その後の上海臨時政府もどこの国からも政府と承認されていませんでした。
つまり、客観的な根拠に基けば韓国の独立記念日は間違いなく1948年8月13日であり、「日本からの独立」との定義ならば1945年9月9日となるわけですが、根拠を重視せず「そのときの感情」を重視する韓国ではそれが議題に挙がらず、しかも序列で決定する事も「どちらかが被害者になる事」もできないため、一切決着が付かないわけです。
3:安易に韓国に賛同してはいけない
今回書いたように、韓国ではその独特の価値観や判断基準によって「正しさ」が決定され、その基準に当てはめることができない場合には、意見対立が続きそのまま派閥に分かれて「分裂」します。
決着のつけようが無いからです。
ここで重要となるのが、このような価値観=常識の社会である以上、彼らの主観では「絶対的正しさ」が存在している事になっていますが、実際には無数に「正しさ」が存在しており、何が主流になるかはそのときの状況や情勢で流動的に変化するという事です。
つまり、たとえそのときに「正しさの主流」であったからと、それがその後も正しいと認識されるわけではないと同時に、その正しさに客観的な根拠があったとしても、彼らにとってそれは全く無意味な事なのです。
(新たな根拠が発見されて既存認識が覆されるというプロセスとこれは本質的に異なります)
当然のことですが、こうである以上私達が安易に彼らの「正しさ」に賛同した場合、それそのものがトラブルになる可能性を含んでいます。
安易に正しさに賛同したとしても、ある日突然今回書いたように「韓国では決着できない別の正しさ」が出てきた場合、日本側も一緒に「間違った側」とされてしまうという事であり、場合によっては「加害者」に仕立て上げられてしまう事もありえるのです。
そうでなかったとしても、韓国の「決着の存在しない派閥論争」に巻き込まれるわけですから、本来どうしてもなんらかの「正しさ」に関わらざるを得ない場合には「韓国内で覆されてもこちらには被害が無い措置」を事前にとっておく必要があります。
(慰安婦合意ではその点は今のところ上手く行っていると言えるでしょう、今後はわかりませんが)
ですから、本来は韓国で発生する様々な「正しさ」に安易に賛同する行為は非常に危険でリスクの大きい事なのです。
韓国人から良心的日本人(定義・用例1 用例2)と呼ばれている日韓友好論者の中には、日韓の間での相互理解は可能と安易に主張する人達がいますが、実際には安易に「相互理解ができた」と考え彼らの「正しさ」に賛同したとしても、その後トラブルに巻き込まれる可能性は十分にあるのです。
言葉で相互理解を ソウル在住の語学教育者・稲川右樹さん 聨合ニュース 2016/08/22
本来、価値観=常識が大幅に異なる社会同士の交流というのは、かなり慎重に行わないといけないのですが、彼らにそれができているとは思えません。
そもそも彼らは「韓国社会では分裂が日常である」との認識を持っているのかさえ怪しく、実際に「帝国の慰安婦」の事例では、韓国側は日韓友好論者が曖昧にしている「軍命令による組織的強制連行」を「正しい」としてしまっており、明らかに彼らとの正しさに齟齬が出ています。
「帝国の慰安婦」著者の公判 被告と検察が8時間以上攻防 聨合ニュース 2016/08/30
こうした問題が発生するからこそ、本来日本は韓国と安易に交流をせず、一定の距離を保って必要以上に関わらないことが重要なのです。
「分裂」こそ最も韓国らしい特徴なのですから。
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(※1)
[単独]日本産という理由で…太白山(テベクサン)巨木50万株伐木危機
ソウル新聞(韓国語) 2016-08-25
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20160825500188
太白山(テベクサン)国立公園事務所は「国立公園の地位に日本産樹木は合わない」という名分を明らかにした。しかし、国立樹木園や造形学科、環境団体は40~50年間、直径1メートル近くに育った木を人為的に切り倒せば森の生態系を破壊すると批判した。
25日、太白山国立公園事務所は太白山一帯の日本イプカラム(チョウセンカラマツ)50万株を伐採してクヌギ類や松など土地産の木に変えると25日明らかにした。
太白山国立公園は去る22日、江原(カンウォン)太白市(テベクシ)と慶北(キョンブク)奉化郡(ホンファグン)一帯の既存の道立公園(17.4平方キロ)と保存価値が高い国の公有地を統合して70.1平方キロの広さで道立公園から国立公園に昇格した。
今回、伐採対象になった日本イプカラムは太白山国立公園内の林野8.2平方キロに約50万株が育っており樹木種の11.7%を占める。
朴正煕(パク・チョンヒ)政府の録画事業が進行された1960~70年代に太白山進入路一帯と入り口の傾斜したところに人工造林種として植えた。現在最小、60~70センチに達する巨木だ。1900年代初め、韓国に入ってきた日本イプカラムは生長速度が速くてボロを着た山を青くするのに大きく寄与したという評価を受ける。木がまっすぐで丈夫で電信柱に使われ、この頃では丸太の家の木材に愛用される。
国立公園側は来年、日本イプカラム精密分布の現状調査をして2021年まで5年間、45億ウォンをかけて伐採する計画だ。太白山国立公園事務所は「伐採事業は国立公園内に分布する外来種の木と草本類は除去して土地産に変える」という国立公園管理原則にともなう措置といった。
‘民族の霊山’を生かすという名分も主張する。太白山国立公園事務所チャン・スリム資源保全係長は「全国の国立公園では外来種草木を除去する作業を着実に広がってきている」とし、「民族の霊山である太白山が国立公園に指定され、日本イプカラムが大量棲息するのは地位に合わない」とした。
5年という短い期間で行われる大規模伐採に反対する声も少なくない。江原大山林資源科パク・ワングン教授は「土地産でも外来種でも人間の干渉を最小化し、木が枯れ木で倒れてもそのまま置いて自然に森の生態が変化する姿をそっくり見せる場所が国立公園だ」とし、「むやみに外来種という理由で木を切って土地産の木を植えるというのは誤った考え」と話した。
米国、カナダ、オーストラリアなど林木先進国国立公園では自然に育つ草木について人間の干渉なしでそのままにして変化を見守っているという。パク教授は「国立公園面積の10%を越える地域の木を切って、代替樹木を植えるとは理解できない」と批判した。
国立樹木園は「日本が原産なので木を伐採するべきだというなら、国内の大部分の山にある木を全部伐採しなければならないだろう」と話した。特に日本イプカラムは100年間、韓国の土壌と気候によく適応しており、1960年代から造林事業をする時はすでに韓国産と異ならないという。一部の造景学者は「日本イプカラムが原産地のせいでニセアカシアのように扱われてはならない」と指摘した。
木を切って運ぶために林道と索道を出す過程で生態系と山林のき損も深刻という憂慮も出ている。環境団体は「巨木に育った50万株の木を切って運ぼうとするなら、山のあちこちに装備が入らなければならないから国立公園太白山が大きくき損されると憂慮される」と主張した。