日韓問題(初心者向け)

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日韓通貨スワップ協定再開はありえるのか?(その2)


さて、今回は別の内容をやる予定だったのですが、日韓通過スワップ協定関連で大きな動きがあったため、急遽この話題を扱うことにしました。


ただし、一応少し前から「このパターンもありえるのではないか」と考え少しずつ記事の準備はしていたのですが、流石にここまで速い展開には対応できず準備不足であり普段よりも「薄い」内容となります、その点だけご了承ください。
慰安婦合意の件があったので、こうした唐突な事態も想定しておくべきでしたが、はっきり書くと油断していました。)


今回の記事とほぼつながりが無いですが関連記事


日韓通貨スワップ協定再開はありえるのか?


最初に結論を書くと、日韓通貨スワップ協定が再開される可能性は60%程度ではないかと予想している。


元々韓国がスワップ再開を望んでいた事は紛れも無い事実であり、今年7月に就任した駐日韓国大使は就任に際して「韓日間の通貨スワップを再開するほうが良い」とコメントしており、韓国政府がかなり本腰を入れてスワップ再開に向けて動いていたのは確実だった。


また、今回出てきたニュースでは韓国の副首相から「韓国側が通貨スワップに関する提案をし」とのコメントが出てきており、これを「韓国側から提案してきた」と解釈する事もできることから、日本側の対応次第では再開の名分が立つことになる。


ただし、そもそも報道内容も韓国側からの発表も実際にはかなり漠然としたものであり、日韓ともまだ「再開議論」の段階の発表しかない事、元々韓国がスワップ再開を望んだ大きな理由として「外資の韓国離れ」があったため、この発表自体が外資に対する時間稼ぎの可能性もある。


ただいずれにせよ、日本側はスワップを再開するにしてもしないにしても、「日本側に動機はなく韓国側からの要望があった」という事実だけは『明確に』しておく必要がある。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:スワップ協定が再開される可能性はある


まずはこちらの記事から


韓日 サプライズで通貨スワップ再開へ=韓国側が提案
聨合ニュース 2016/08/27
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2016/08/27/0400000000AJP20160827000300882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国の柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相兼企画財政部長官は27日、麻生太郎副総理兼財務相と同日ソウルで会談し、緊急時に両国間で通貨を融通し合う通貨交換(スワップ)を再開することで合意したと明らかにした。

柳副首相は「韓国側が通貨スワップに関する提案をし、日本の同意を得て(スワップの)議論を始めることになった。再開までには何カ月かかかるだろう」と述べた。

 スワップの規模や期間については、今後話し合う。

 韓国と日本は2001年7月に通貨スワップ協定を結び、12年10月には上限が700億ドル(現在のレートで約7兆円)まで引き上げられた。その後、日本閣僚の靖国神社参拝や李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)の独島訪問などによる両国関係の悪化に伴い徐々に縮小し、昨年2月に協定を延長せず、終了した。

 この日、ソウルでは2年連続となる韓日財務対話が開かれた。韓国企画財政部は25日の記者会見で、財務対話の議題に通貨スワップは含まれていないと伝えていたため、スワップ再開の合意は驚きだった。

 韓国にとって通貨スワップは、1990年代に見舞われたアジア通貨危機のような事態に備えるという意味で有益だ。日本にとっても円の地位を高めるのに役立つとされる。

 企画財政部の黄建日(ファン・ゴンイル)国際金融政策局長は「可能な限り通貨スワップを多く推進するというのが韓国政府の方針。日本とのスワップ再開もその一環」と述べた。


関連記事

プレス・ガイドライン 第7回日韓財務対話 於:韓国・ソウル
財務省 平成28年8月27日
http://www.mof.go.jp/international_policy/convention/dialogue/20160827press_release.htm

(一部抜粋)
韓国政府は、二国間の経済協力を強化すること、及び、その証として双方同額の新しい通貨スワップ取極を締結することを提案した。本通貨スワップ取極は、地域金融市場の安定を高めるものである。両国政府は、本通貨スワップ取極の詳細について議論を開始することに合意した。


この記事のなかで韓国の副首相が「韓国側が通貨スワップに関する提案をし、日本の同意を得て(スワップの)議論を始めることになった。再開までには何カ月かかかるだろう」としていますが、実はこれにはいくつかの解釈ができます。


一見すると「スワップ再開が決定しその後の事務対応をしていく内容」とも取れますが、単に「再開するのかどうかを検討する場を作っただけ」とも解釈できます。


また、「韓国側が通貨スワップに関する提案をした」となっていますが、これも「韓国側がスワップを日本に要望した」とも取れますし、「単にスワップを再開するかどうかの議論の場を提案しただけ」とも取れます。


また、先月辺りから韓国内で何度もスワップ再開論が出てきていた事、更に7月に着任した駐日韓国大使が日本とのスワップ再開に特に念入りに言及していた事など、水面下で再開に対する日本へのかなり活発な働きかけがあったであろう事も解っていました。


新任駐日韓国大使「韓日通貨スワップは相互利益」 中央日報 2016年07月04日
韓経:来月27日に韓日財務対話…通貨スワップ再開を議論 韓国経済新聞/中央日報 2016年07月28日


そのうえで、これを日本側がどう解釈するかでその後の展開が変わってくるわけなのですが、この情報だけならば再開の可能性は30%以下といったところでしょう。


しかし実は少し前から、韓国は日米に対して北朝鮮と同じような「瀬戸際外交」をやっている節がありました。


たとえば以前記事にした韓国内での核武装論にしてもそうですし、最近も原潜開発議論(原潜用の核武装も示唆)も出てきています。


原子力潜水艦、論議が再浮上 東亜日報 August. 26, 2016


また、今月はじめに韓国保守系の重鎮である金大中(元大統領とは別)朝鮮日報顧問の記事で、「米国が”(韓国的)正しさ”で行動していない」と取れる趣旨で米韓同盟を破棄することを示唆するような記事が登場し、「これはどういうことだ?」と考えていたところ、


【コラム】中国の恐ろしさを思い出した韓国、すでに完全な四面楚歌 朝鮮日報 2016/08/07 (1/2ページ) (2/2ページ


数日後に日経の鈴置氏の記事で、韓国語版にしかない記事では更に踏み込んで「さもなければ「中立」を宣言するなどして、最小限の安全を確保するのも1つの方策であろう。北朝鮮のミサイルを阻止するのにさほど効率的でもないTHAAD問題で、我々の素顔があまりにはっきりとしてしまった。」との記事が掲載されていたようなのです。


習近平の「シカト」に朴槿恵は耐えられるか 日経BP 2016年8月10日


今まであった様々な兆候や今回の事例なども総合して、私は「韓国は水面下で日米に対して『助けないと北のように暴走するぞ』という趣旨の瀬戸際外交をかなり具体的にしているのではないか?」と考えました。
(兆候自体は去年辺りからありましたが)


そして現在は日米に対して「(THAADや対中政策などで)ある程度要望を飲んだのだからこちらの要望も受け入れるべきだ」としているのではないかとの予測ができるのです。
日韓通貨スワップ協定もそのうちの一つではないかと。


実際には、単に韓国が何も決めずに時間稼ぎばかりしてきた結果、どうにもならなくなって日米にすがりついただけであり、東亜日報などでは今更「アメリカの傘下にしっかりと入るべきだ」とする趣旨の記事まで出てきているのですが、それでも「切羽詰って暴走されると困る」との判断から日本が韓国の要求を呑んだ可能性があるわけです。


[社説]ロシアの脅威に中立をあきらめ米国についたフィンランドを見よ 東亜日報 August. 26, 2016


そもそも、以前から書いているように日本が韓国との通貨スワップ協定を結ぶ必然性はどこにもありませんから、他に何かしらの動機が無いとむしろ不自然です。


ただし、一応「60%」とはしていますが、勿論これはあくまで「状況証拠からの一つの可能性」でしかありません。


また他にも、韓国との経済的つながりの深い企業や団体などからの要望なども多少は関係しているでしょうから、可能性が事実だとしても「それだけ」ではないでしょうが。


2:単なる時間稼ぎの可能性


次に残り40%の部分について書いていきます。


実際のところ、なぜ韓国が日本との通貨スワップ協定を急いでいるのかといえば、最大の理由は韓国が外国の投資家から「リスクが高い国」として近年敬遠される傾向にあったからです。


韓国は李昭博政権末期頃から日本なども含め外資からの投資を積極的に呼びかけており、朴政権になってからもこの呼びかけは続いていたのですが、特に目立った成果が無かったうえに日韓通貨スワップ協定終了後は外資の流出が更に増えてしまったのです。


韓経:「韓国、資本流出に脆弱…安全投資先で最下位レベル」 韓国経済新聞/中央日報 2016年07月20日


元々韓国は財閥に資本が集中しすぎて中小企業が育たず、結果的に雇用も悪化しそれが若年層の就職難や貧富の格差拡大に繋がっていた事から、この打開策として外資を呼び込んでその資本で状況の打開を狙っていたという経緯があります。
(韓国内の資本はほぼ主要財閥のものなので、朴政権も李政権も財閥対策を公約にしましたがどうにもならなかったのです)


韓国で広がる所得格差、高所得者はよりリッチに、低所得者はより貧しく Record china 2016年8月23日


しかし韓国単体では「経済的リスク」や「政治的リスク」「地政学的リスク」が大きすぎて外国の投資家からの信用がなく、そこで何らかの外的要因としての「信用の裏打ち」が必要である事から、韓国は以前より「複数の国との通貨スワップ拡大」を宣伝していました。


韓国副首相「中国と通貨スワップ延長を原則的合意…対象国の拡大に肯定的」 中央日報 2016年07月12日


そして韓国は、実質的には日本とアメリカとのスワップ締結を望んでいたのですが、アメリカからは「為替操作国」のレッテルを貼られそれを根拠にスワップを拒否された経緯から、事実上スワップ拡大の目的は「対日本」一国に限定されていたのです。


ただし韓国としては、独特の価値観である「易地思之」や対等の概念が希薄で常に「どちらが上か下か」で思考する習慣がある事などから、「自分達は道徳的に正しいから日本側からスワップを提案してきた」との形にしたかったわけです。


しかし日本側から「韓国側から要望があれば」と先に釘を刺されてしまい、「韓国側から再開を日本にお願いした」との形でなければ再開ができず、それは序列社会の韓国にとって「韓国は日本よりも序列が下である」となってしまうことから、一歩も先に進めなくなってしまったのがこれまでの状況でした。


そして今回の事例では、実際に日本側が韓国とのスワップ再開に動いたかどうかは一切関係がなく、今回の報道で「日韓の間の通貨スワップが再開される」との『印象を外国資本に持たせる』事で、投資の呼び込みや資本流出阻止の時間稼ぎにしたかったとする可能性があるわけです。


このパターンの場合には、先ほども書いたように実際に通貨スワップ協定が再開されるかどうかは関係ありません、重要なのは「外国資本にその含みを持った印象を持たせる」事が重要であり、最初の記事の「再開までには何カ月かかかるだろう」がまさにそれを匂わせています。


勿論そんな事をしたところでいずれ「バレる」わけですが、少なくとも「日本とスワップ再開議論」を形だけでもしている間はなんとか対処ができるわけです。


あくまでこれも状況証拠から推測できる可能性の一つでしかありませんが。


3:日本としてはどう対処すべきか


今回書いたように、日韓通貨スワップ協定が「再開するか:しないか」の可能性は、私が公になっている情報から推測する範囲では「6:4」くらいの確率ではないかと見ています。


そしてそのうえで、世間では「再開するかしないか」に最も注目が集まっていますが、私はそれはあまり重要ではないと考えています。


なぜそう判断するのかといえば、重要なのは再開するにせよしないにせよ、「誰がどのような目的で日韓通貨スワップ再開を求めたのか」をはっきりさせる事だと考えているからです。


もう少し具体的に書くと、「日本側には韓国との通貨スワップ協定を締結する理由はどこにも無いが、韓国側から締結して欲しいとの要望があった」との形がはっきりと対外的に周知できる形にするべきという事です。


なぜこれが締結するかしないかよりも重要なのかといえば、元々日韓の間で次々と問題が発生し続ける背景には、これまで日本側が韓国的価値観=常識に基く態度を安易に受け入れすぎたため、韓国は日韓の間に存在する決定的な価値観=常識の違いを意識することがなく、「韓国の常識」を日本に対して通し続けたからです。


その結果「韓国の常識」に日本が対応できなくなりどうにもならなくなったのが現状なのですから、ここで「韓国の常識」を曖昧なまま通してしまっては、結局今後も同じ問題が発生し続けるからです。


それを回避するためにも、ここで日本側から「日本に韓国の常識は通じない」という意思表示をすることでこの悪循環を断つと同時に、日本側も「日韓の間には決定的な価値観=常識の違いがあるのだ」という事を意識する切っ掛けにするべきだからです。


なぜこれで日本側が違いを意識できる切っ掛けになるのかといえば、この部分を日本側がはっきりさせた場合、韓国側からは「韓国的な価値観に根ざした反発」がかなり激しくなるでしょうし、それは韓国的価値観を知らない多くの日本人にとってかなり「不可解」なものになるからです。


今後日本と韓国の関係が更に悪化するか、それとも良好になっていくのか、それはまだまだ判断がつきませんが、いずれにせよ「過去の過ち」を繰り返さないためにもこの件は良い機会です。


ですから、再開するにしてもしないにしても「日本側には韓国との通貨スワップ協定を締結する理由はどこにも無いが、韓国側から締結して欲しいとの要望があった」をはっきりさせるべきというわけです。


この構図は紛れも無い事実ですし。


※昨日twitterでも少し書きましたが、記事タイトルが今年1月の記事と全く同じでしたので(その2)と追記しました。



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