日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国を否定し始めた韓国


始めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


さて、本日はここ最近韓国の文在寅政権が行っている様々な「韓国を否定する政策」について書いていきます。


また、今回「右派・左派(それに順ずる単語)」の表記が何度か出て来ますが、以前も書いたように韓国では実質的に左派(民族主義寄り)右派(国粋主義寄り)の対立であり、本来の左右思想とは少し異なっています、右派・左派やそれに順ずる単語表記はあくまで便宜上のものです、その点だけご了承ください。



参考記事
日本と韓国に存在する共通した病巣


最近韓国政府は韓国の建国を1919年だとする公式見解を発表し、それに保守系野党が反発するという状況が続いているが、これには理由があり実はこの当時の臨時政府は「共産党系」が最大勢力であり、その系譜は北朝鮮に続いている。


そのため一見すると単なる建国年の論争に見えるが、この動きは李承晩を初代大統領とする韓国の建国や、その後の韓国の経済発展を行った朴正煕政権を否定するものであり、だからこそ韓国の保守系野党が反発している背景がある。


また、最近の日本との戦後補償問題などにしても、「反日」以前に左派系の文在寅政権は朴正煕の行った日本との間の諸条約を否定したいという思惑があり、だからこそこの問題は日本が何をしようと問題が続くという背景がある。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:「右派系」の痕跡を全て消したい政権


まずはこちらの記事から

韓国建国は「1919年」 論争に終止符=文大統領
聨合ニュース 2017/08/15
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/08/15/0900000000AJP20170815002000882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領は15日、ソウルで開かれた光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)式典の演説で、「2年後の2019年は大韓民国建国と(大韓民国)臨時政府樹立100年を迎える年」と言及した。日本による植民地支配下にあった1919年の大韓民国臨時政府の樹立日を、韓国の建国日と見なした。 

 これまで9年間の保守政権は建国日を1948年8月15日とし、独立運動関連団体などは臨時政府の正当性を否定するものだと反発してきた。文大統領の言及は、建国日が1919年の臨時政府樹立日であるとの立場を明確にしたもので、論争の再燃も予想される。


これなのですが、なぜ韓国で韓国の建国年が問題になっているのかといえば、この臨時政府において当時から暫く最も大きな勢力を持っていたのが共産党系の派閥であり、当初李承晩が初代大統領を名乗りますが、所謂高麗共産党上海派)の李東輝という人物らとの派閥争いに破れ追放されています。


このため、韓国の左派系では李承晩は単なる冷酷な独裁者であるとしており、だからこそその建国には正統性が無く1919年の臨時政府樹立こそ正当な建国であるとしているわけです。


[社説]誰が「建国節」を主張して分裂をそそのかしているのか ハンギョレ新聞 2017.08.16


李承晩についての関連記事
韓国の反日は李承晩が作り上げた


ちなみに、当時の臨時政府は一応中国の蒋介石から資金援助などを受けてはいましたが、派閥争いばかり繰り返していたため正統な政府とは認められておらず、更にどこの国からも正式な政府としての承認を受けていなかった背景があります。


更に書けば、李承晩と対立していた李東輝らは、1920年にロシアのニコラエフスク・ナ・アムーレで発生した、赤軍パルチザンにより住人の半数が殺された尼港事件と呼ばれる大虐殺事件に加担しており、現在でいうところの「イスラム国」のような組織です。


(当時現地には日本人が700人ほど居住していましたが皆殺しにされています)


また、その後臨時政府で主導権を握った金九らは、対立する共産党系派閥との暗殺合戦や、日本での無差別テロを繰り返しており、こちらも非常に危険なテロリストでした。
結局、どちらも過激なテロ思想を持っていたためどこの国からも国家承認を受けられなかったのです。


ちなみにこの李東輝や金九らは韓国の左派系を中心に「李承晩と対立していた」事から独立運動の英雄とされています。


[コラム] 独立運動家がTHAADを見たならば ハンギョレ新聞 2017.03.01


こうした背景があるため、李承晩を否定されると困る韓国の右派系は1919年が建国年であるとは認められないのです。
それでは現在の韓国自体の正当性が否定されてしまううえに、上海臨時政府の実態が公になると困るのであまり注目して欲しく無いのです。


しかし文政権からしてみれば、「他者の劣等性から自己の優越性を導き出す」という考え方に基き、李承晩の劣等性を指摘できれば現政権や左派系の主張である「建国は1919年」の正当性が証明できるため問題ないわけです。


ちなみに余談になりますが、韓国内でのこの動きを受けて中央日報に興味深い記事が掲載されています。


【社説】「大韓帝国無知」が引き起こす「大韓民国建国」議論 中央日報 (1) (2) 2017年08月20日


こちらの記事では、大韓帝国建国を韓国の建国年とするとしていますが、この背景には李承晩が李氏朝鮮の王族の親戚筋(大韓帝国の主権者は李朝の王)であったことが関係しており、これで李承晩による統治を正当化しようとしている動きです。


要するにこの問題は、戦前から続く上海臨時政府(大韓民国臨時政府)内の派閥争いの「第二ラウンド」でしかなく、それがこれまでの韓国を否定するか、或いは肯定するかという問題として表面化しているというわけです。


2:かつての右派政権全てを否定する動き


現在の韓国で発生している「建国年問題」はこうした背景があるわけですが、韓国の左派系による「これまでの韓国の否定」は李承晩だけに留まりません。


1965年に日韓の国交正常化を行い日韓条約を締結した朴正煕もそのターゲットであり、朴正煕への「劣等性の指摘」も行われています。


例えば、先月韓国では朴正煕大統領の記念切手の発行が中止されました。


「盧武鉉センター」は建設、「朴正煕切手」は発行取り消し 朝鮮日報 2017/07/14


記事によると理由は朴正煕の娘である朴槿恵前大統領が決定したからとしていますが、理由はそれだけではなく朴正煕が日本軍の仕官学校出身であり満州国の陸軍に所属していたため、「親日派である」としている事と、独裁政権だった朴正煕は左派系を弾圧したため「恨(ハン)」の解消行動に繋がっているからです。


朴正煕記念切手?“高木正雄切手”が出た ハンギョレ新聞 2017.07.18


またこうした背景の延長として、最近韓国では日本に住む「朝鮮籍」の人々への入国制限を解除するという方針を政府が決定しています。


「朝鮮籍」の在日同胞の自由な訪韓を許可 ハンギョレ新聞 2017.08.15


この制限の背景は、1974年に発生した朴大統領暗殺未遂事件(文世光事件)で、その犯人が北朝鮮系の朝鮮総連に所属する在日朝鮮人だったことが関係しており、「日本経由で北朝鮮工作員が韓国に侵入している」という背景から出来上がった制限措置です。


だからこそ文政権はこれを否定し制限を解除したわけです。
北朝鮮云々よりも、「朴正煕政権の決定だった」事が恐らく直接的な原因なのです。


また他にも、現在韓国では李明博政権時代に韓国の諜報機関が行った左派系への「弾圧」を調査し、その問題から李明博政権の否定を行っており、恐らくこのまま行けば李明博元大統領の逮捕問題に発展するでしょう。


国家情報院、「コメント部隊」民間人チームリーダー30人を捜査依頼 ハンギョレ新聞 2017.08.22


当時の韓国国家情報院の行いは弾圧ですが、そこには北朝鮮工作員の取り締まりと情報戦という背景もあり、行いが問題だったからと全否定して良い問題ではない微妙な事情があります。


しかし文政権では「これまでの韓国の否定(=右派政権の否定)」のために、その活動そのものを消滅させようとしています。
このまま行けば韓国は北朝鮮に国内をやりたい放題に引っ掻き回されることとなるでしょう。


また他にも、最近韓国では「タクシー運転手」という映画が軍艦島を抜き去り大ヒットしていますが、これは1980年にクーデターで政権を掌握した全斗煥元大統領への反発から発生した一連の暴動(光州事件)を、当時外国人記者を乗せて事件現場を案内したタクシー運転手の視点から見た映画です。


どんな事件かというと、当時全斗煥元大統領のクーデターに反発し民主化を訴える学生らと暴動鎮圧に出動した警察や軍が衝突、機動隊の攻撃がエスカレートし群集に発砲、それに対する学生らが武器庫を襲撃し武装して全羅南道道庁を占拠した事件です。


そして現在、民間人への発砲が武装前か武装後か、命令は部隊レベルだったか大統領レベルだったか、北朝鮮の関与があったかなかったかなどで右派と左派で論争となっています。



「タクシーに乗って、実際に光州5・18の現場を巡ってみよう」 ハンギョレ新聞 2017.08.22
全斗煥元大統領「回顧録印税」の国庫還収決定 ハンギョレ新聞  2017.08.20

[ハンギョレ21 2010.05.21第811号] その時そこでその人々 ハンギョレ新聞 2010.05.18


しかし、当時の状況がどうであれ学生側も武装して道庁舎を占拠したわけですから、結果を見ればどちらが悪いかといえばどちらも問題があったとしか客観的には評価できないわけですが、現在の韓国ではこの武装して立てこもった学生らの行動が美化され、逆に斗煥元大統領が完全に悪役となっているのです。


要するにこれも右派(全斗煥)政権の否定のための「政治的な」動きなのです。


このように、現在の韓国では文政権主導の下で「かつて韓国を運営していた右派系政権による政治」が全否定される傾向にあり、それは結局のところ事実上韓国の歴史そのものへの否定とへと繋がっています。


3:徴用工問題も背景は同じ


現在の韓国で発生している事は、今回書いたように「これまでの韓国の全否定」として機能しているわけですが、これは単なる韓国の問題だけでは終わりません。


なぜなら、文政権などの韓国の左派系は「右派が行った政策の全否定」をしようとしており、そこには朴正煕政権で締結された日本との請求権関連協定の問題や、朴槿恵政権で行われた慰安婦合意なども含まれるからです。


つまり、現在発生している徴用工問題や慰安婦合意を巡る問題も、突き詰めていくと左派政権による右派政権の政策の否定の延長線上に位置しているのです。


文大統領「日本の『慰安婦・強制徴用問題解決済』主張は正しくない」 ハンギョレ新聞 2017.08.17


だからこそこの問題は深刻で、根元が韓国の国内問題であるだけに「日本が何をしても問題の解決にはならない」のです。
彼らが求めているのは右派政権の否定だからです。


このため、日本側がいくら条約や合意で解決をしたと根拠を提示してもまるで意味がありません。
そもそも日本側に対して要求している事は「右派の否定の延長」なのですから。


彼らの目的は、あくまで金大中盧武政権を除く李承晩から朴槿恵までの歴代の右派系政権の全否定を行い、そこから自らの正当性を導き出そうとしているだけなのです。


また、現在の韓国では反米活動も活発化しており、それも背景は米国が右派政権を支援してきたからという背景があります。


[コラム]米軍慰安婦、日本軍慰安婦 ハンギョレ新聞 2017.08.15
光復節:「THAAD配備反対」「GSOMIA破棄」デモ相次ぐソウル 朝鮮日報 2017/08/16 (1/2ページ) (2/2ページ


現在の日本では、日韓請求権関連協定の問題や慰安婦合意の問題にばかり注目が集まっていますが、実態としては繰り返しになりますがこれは韓国の国内問題の延長なのです。


ですから、日本やアメリカが何を言ったところで、文政権の方針に実行性や現実性があるかどうかは別として、彼らがこちらの問いかけや問題解決の態度に耳を傾ける事は無いのです。


結局のところ、この現在韓国内で行われている「派閥争い」に決着が付かない限り問題は続くわけですから、こちらとしては要求を「門前払い」する以外に方法など無いのです。
元々彼らはこちらとの対話などは目的としていないのですから。



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