日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

同じ現象を見ても共通認識ができるとは限らない


初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


さて、長らくお待たせしましたが本日よりブログ記事の方を再開していく事にします。
ただし、しばらくは短めの記事で様子を見て調整していく事にします。


また今回の記事は過去記事


韓国社会では「記憶の改変」が起きているわけではない?


の補足的な内容です。


韓国を観察していると、明らかに矛盾している事例が罷り通っている事が多々あり、一連の徴用工裁判問題においても、韓国の地裁が「国際法」を根拠にして裁判を棄却し、その詳細も知られているにも関わらず、なぜかその件が反発の主な原因になっている等、不合理な事例が発生している。


こうした事例は韓国関連では非常に多く、一連の五輪での竹島表記問題や、原発処理水問題でも起きているが、そこには彼ら独特の「ウリとナム」の概念や、独特の正しさの概念をベースとした判断基準により、「同一の出来事」ではなく、「独立した別の出来事」と認識されているため、矛盾が起きている事になっていないという背景がある。


そして重要なのは、こうした価値観や文化的背景の違いによって同一の出来事を見ても異なる認識や判断になるという事例は、実は異なる文化圏や文明圏ではよくあることであり、近代文化人類学に大きな貢献をしたブロニスワフ・マリノフスキの著書でも言及されている。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:徴用工裁判における矛盾


まずはこちらの記事から

[社説]人権無視の判決では韓日関係は未来に進めない
ハンギョレ新聞 2021-06-09
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/40220.html

 ソウル中央地裁民事34部(キム・ヤンホ裁判長)が7日、日帝強占期(日本の植民地時代)の強制動員被害者と遺族ら85人が日本の戦犯企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟を却下した後、波紋が広がっている。偏向した外交と安全保障の論理を前面に出し、被害者の人権を無視した粗悪な判決内容には、法曹界内外で批判の声が強い。下級審に過ぎない今回の判決が、あたかも2018年に最高裁(大法院)の全員合議体が下した強制動員賠償判決を覆したかのように無理に理屈をこじつける保守メディアの態度も、情けない限りだ。

 今回の判決の論理は、強制動員被害者の損害賠償問題は韓日請求権協定により完全に解決されたので、日本企業を相手取った損害賠償請求権は行使できないということだ。2018年10月に最高裁が「植民地支配の不法性」を根拠に賠償判決を下したことに対し、「植民地支配の不法性と徴用(強制動員)の不法性は、すべて国内法的な解釈」だとし、真っ向から反する主張を行った。侵略国が不法性を否定すれば終わりという形の加害国中心の国際政治の論理を踏襲したのだ。請求権協定で日本から受けた外貨のおかげで「漢江(ハンガン)の奇跡」が起き、被害者の賠償請求権を認めれば「日本との関係が損なわれ、韓米同盟で韓国の安全保障に直結する米国との関係の毀損にまでつながることが起こり得る」というとんでもない根拠を加えもした。厳正な法理に基づき人権侵害の被害者の権利を保護しなければならない司法府が、外交と国際的な力の論理を前面に出し、理解できない判決を下したことは、極めて遺憾だ。

 今回の判決にもかかわらず、最高裁の2018年の全員合議体判決は、今なお韓国司法府の権威に裏付けられた判例であるという点には変わりはない。控訴審で今回の判決が翻される可能性は高いと思われる。にもかかわらず、一部の保守メディアが、「一審がキム・ミョンス最高裁の判決に一つひとつ反論した」(朝鮮日報)、「主要7カ国首脳会議(G7サミット)を控え最高裁判決が覆され、ついに『外交の時間』が来た」(中央日報)などと報じて今回の判決に過度な重みを加え、世論を糊塗するのは軽薄な策略だ。

 韓日関係は改善しなければならない。しかし、植民地支配の不法性を否定し、それにより大きな被害を被った個人の人権を無視しては、韓日関係は未来に進めない。国家主義的で非法律的な論理がちりばめられた今回の判決は、むしろ障害物になるだけだ。法的判断は法理にしたがい厳正に行いつつ、外交的努力も並行するというのが正しい方向だ。政府は最高裁の判決後に「司法府の判決には介入できない」という論理だけを掲げ、被害者が実際に日本の謝罪と賠償を受けられるようにする外交的努力を十分には行わなかったという指摘を謙虚に受け入れ、よりいっそうの積極的な外交によって解決策を設け、韓日関係改善のための実質的な努力を続けていってほしい。


こちらの記事では非常に興味深い事が書かれており、先日の徴用工裁判でソウル地裁が訴えを棄却した根拠として「植民地支配の不法性と徴用(強制動員)の不法性は、すべて国内法的な解釈」と判断した件に対し、「侵略国が不法性を否定すれば終わりという形の加害国中心の国際政治の論理を踏襲したのだ」と反発しています。


しかし過去動画の「日韓併合はなぜ合法?」でも解説したように、日韓併合を合法とする根拠を否定し「違法」としてしまうと、様々な歴史的出来事との整合性が取れなくなってしまうわけです。



YouTube
https://youtu.be/WIR6Zs36Ks8


YouTube
https://youtu.be/5tX83QZY01s


そしてこうした事例は2001年のハーバード大学主催の国際学術会議でも説明され、それにたいして韓国側は一切まともな反論ができなかったうえに、こちらの過去記事でも説明したように韓国側の主張するような「軍や国の命令で軍人や官憲が行った奴隷狩り」や「政府の方針としての詐欺(騙されて連れていかれた)」といった事例は一切客観的に確認されていません。


韓国の徴用工裁判について


また請求権自体に関しても、韓国側は前法相の秋美愛氏が、「請求権は認めながらも、司法的に訴訟を提起することはできないという論理で、結論は日本の主張と同じだ」と反発しており、


秋美愛前法務部長官、「強制徴用訴訟」の却下に「韓国でない日本の判事の論理」中央日報/中央日報 2021.06.09



またこちらの記事では


徴用賠償の韓国大法院判決、1審判事が覆した(1) (2)
中央日報/中央日報日本語版2021.06.08 08:08
https://japanese.joins.com/JArticle/279380
https://japanese.joins.com/JArticle/279381


日帝の不法植民支配にともなう精神的慰謝料に関する損害賠償請求権は韓日協定に含まれていない。韓日協定は未払い賃金など民事上の債務関係解消に向けたものであり、違法行為に対する賠償請求ないしは精神的慰謝料は含まれなかった」という、2018年の韓国大法院(最高裁に相当)の判決を持ち出し、矛盾だと指摘しています。


しかし実際には

第5次 韓・日会談 予備会談一般請求権小委員会会議録
1-13次、1960-61
http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/honyaku/honyaku-2/718.pdf

(該当部分抜粋 101ページ)
日本側 補償金とはどのような性格のものなのか。
韓国側 未収金はその当時の規定によって貰えるものを貰えないことをいい、補償金は生存者、負傷者、死亡者を含み被徴用者に対する補償、即ち精神的苦痛に対する補償をいうものだ。そしてこの被徴用者には軍人軍属を含む。
日本側 その他の項目としては、具体的に考えているものがあるのか。
韓国側 今としては予定していないが、1項目以下7項目のその他はその請求を留保している。
日本側 この項目は私的な請求がほとんどだと思い、従来このような請求は国交が正常化できなかったから解決をみられなかったもので、今後国交が回復し正常化すれば、日本の一般法律に沿って個別的に解決する方法もあると思うが、この点をどう思うか。
韓国側 解決方法としては色々あるだろうが、われわれは国が代って解決しようというのであり、またここで提示した請求は国交回復に先行して解決されなければならないと思う。

以前紹介した、韓国内でも公開されている日韓交渉の会議録において、補償の定義を「即ち精神的苦痛に対する補償をいうものだ。そしてこの被徴用者には軍人軍属を含む」としているうえに、日本側が個人への個別補償を提案すると韓国側は「解決方法としては色々あるだろうが、われわれは国が代って解決しようというのであり、またここで提示した請求は国交回復に先行して解決されなければならないと思う。」と拒否して一括補償を要求し、これが1965年6月の日韓国交正常化で施行されたという背景があります。


しかし韓国側は、こうした背景を「当時の担当者の個人の感想に過ぎない」と突っぱねてしまい、そうしたおかしな判決の軌道修正をし国際法に沿った判決を出したのが今回の判決というだけなのです。


そして重要なのは、今回挙げたような問題点は少なくとも韓国政府や政治家、メディアや知識層では広く知られているにも関わらず、そうした部分への具体的反論もないまま矛盾した状態で反発し世論を煽っているというのが現状なのです。


要するに、徴用工問題で矛盾が矛盾のまま罷り通り、その事実を把握しながらこの判決に「具体的反論」のないまま反発している人々がいるのです。


2:連続性がない


こうした矛盾がなぜ罷り通るのかというと、そこには彼ら独特の正しさの概念や、「ウリとナム」の概念が関係しています。

※独特の正しさの概念

彼らの正しさの概念は独特であり、根拠を必要としない。
また「この世には最初から一つの正しさが存在する」と考えられており、自分はその正しさを常に選択していると考える傾向にある。

そして正しさ同士がぶつかった場合には、(曲解でも捏造でもその件と全く関係なくともなんでもいいので)相手の劣等性を指摘する事でそれを自己の正しさの担保とする。

また相手の劣等性を指摘した時点で自身が指摘された問題は相手の問題にすり替わる。


youtube
https://youtu.be/PvEa1FjkkEw

関連記事
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※ウリとナム

ウリ(自分達)ナム(それ以外)
自他の境界が非常に曖昧な概念であり、彼らはウリである場合自身と全く同じ正しさと感情を共有しており、「ナム」はそれ以外、或いは正しさを理解しない劣等な相手と認識される。
また、このウリの範囲はその時の都合で自身を中心に拡大縮小する。

韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念


youtube
https://youtu.be/Zk4XP6QbfEo


どういうことかというと、この概念において重要となる判断材料は「ウリかナムか」であり、また何を正しいとするかは「ウリは常に正しい」で固定化されています。


そのため、問題が起きるのならばそれは自動的に「ナムのせい」であり、彼らはこの前提に沿って物事を判断します。


その結果、先ほど挙げたような矛盾点と徴用工裁判は別個の事象として認識されます。


例えるなら「歩いていて石につまづいた」という事象に関して、通常私たちは「歩く」と歩いた結果としての「石につまづく」という事象を関連付け、連続した一つの事象として認識し自身の注意不足等の落ち度の延長線上として認識します。


しかし彼らの場合、「歩く」と「石につまづく」という事象を連続した因果では考えず、個別の事例として認識するため、「石につまづかされた」等と思考する場合があるわけです。


そのため「ウリは常に正しい」のだから「今回のソウル地裁の判決は間違っている」という認識になり、またその判決の根拠となっている国際法上の根拠や日韓会談の会議録はこの件とは連続性を切り離され「帝国主義の免罪符でしかない」という劣等性として認識されます。


つまり、基準となる判断が「実際の事象」ではなく、「ウリが正しいとなるための理由」を基準として、2つに対して個別に「劣等性の指摘」による判断が行われているため、彼らの中では矛盾することにならないのです。


このため、彼らにこうした問題点や矛盾点を指摘してもまるで意味がありません。
元々連続性のある事象として認識されていないからです。


※2021年6月10日22時51分追記
過去日韓翻訳掲示板(Enjoykorea 日韓翻訳掲示板のちのNAVER日韓翻訳掲示板)において、この連続した事象を一元的に個別の事例として考える、典型的な事例が確認されています。


それは、いわゆる「韓国起源説」において、日本人が起源主張の間違いを指摘し「客観的な歴史上の証拠」を提示すると、彼らはその後その証拠を組み込み「起源主張ver.1.2」のような状態にして再主張するという事例が頻繁に見受けられました。


これは一連の出来事を連続した同一の事象として認識した場合、過去の発言と異なる矛盾した主張であり、整合性が取れないとなるわけですが、独特の価値観によってこれを「個別の事例」として認識する彼らは、この矛盾した主張に一切躊躇がなかったわけです。


これは大韓剣道会の主張する剣術や日本刀、侍の起源主張でも顕著で、当初日本側から日本刀のルーツとして蕨手刀の存在が指摘されると、大韓剣道会は5~6世紀頃の九州地方で頻繁にみられた蕨手刀子という、蕨手刀と柄頭の形状が非常によく似た短刀が朝鮮の古墳からも発見された件をこじ付け、起源を主張したことがあります。


それ以前は「打刀が新羅百済にあった」と主張していたにも関わらずです。
以前の主張との間に連続性を認識していないわけです。

─追記ここまで─


そしてこうした事例はこの件以外でもいくつも存在しており、例えば以下の事例では


汚染水の海洋放出 「科学的に問題ない」=韓国政府報告書 聯合ニュース 2021.04.15


一連の福島原発の処理水放出の件に関してなのですが、この記事にもあるように韓国側は過去日本側から詳細な報告を受けており、「科学的に問題ない」という報告書を提出していました。


しかし韓国側は


海洋放出決定に「強い遺憾」表明 「すべての措置取る」=韓国政府 聯合ニュース 2021.04.13
韓国政府「福島第一原発の汚染水の放出決定は受け入れがたい」 ハンギョレ新聞 2021-04-13


現在「安全性が確認されていない「日本側が十分な協議なしに福島第一原発の汚染水の海洋放出を決定することになれば、これは受け入れがたい」」として海洋放出に反発しています。
そしてこの報告書の事は無視されている状態です。


更には韓国の外交部長官が


海洋放出巡る発言で与党も外相叱責 「国民の情緒と違う」=韓国国会 聯合ニュース 2021.04.20


国際原子力機関IAEA)の基準に合う適合な手続きに従うならあえて反対しない」と声明を発表すると、「国民の情緒や要求と違い、混線を招く憂慮がある」「日本の汚染水放出を防げないということを前提とし、無気力に対応した」と猛反発が起き、発言が撤回されるという事態になっています。


また次の事例では


東京五輪HP日本地図の独島表示 総括公使呼び抗議=韓国外交部 聯合ニュース 2021.06.01
東京五輪HP地図の独島表示 韓国市民団体がIOCを批判 聯合ニュース 2021.06.04


東京五輪のHPの地図に竹島が描かれている件に関して、韓国側はこれに反発、韓国外交部が公使を呼び抗議、また韓国内では「平昌五輪が開催された際、朝鮮半島旗(統一旗)に独島が表示されると、IOCは日本の要求を受けて韓国に削除を勧告し、韓国はこれを受け入れた」とIOCの対応の矛盾を指摘しています。


しかし実際には


平昌五輪組織委 HP独島記載への日本反発に「対応価値なし」 聯合ニュース 2017.01.20


2017年に実は韓国も五輪HPに竹島を自国領と表記しており、それにたいして日本側から抗議が来ると「対応価値なし」と突っぱねた過去があるのです。


このことから解るのは、IOCは元々HP内での領土表記には制限をかけておらず、韓国側はそれをわかっていたため平昌五輪で地図表記し、日本側も今回その判断に倣ったが、韓国側はその事実を無視して開会式での竹島が表記された旗の件との相対化を行っています。



またさらにこちらの事例も興味深く


韓国裁判所「徴用労働者像モデルは日本人と信じるほどの理由ある」 中央日報 2021.05.31


先日韓国で、慰安婦像の作者と同じ夫婦が作成した徴用工像に関して、韓国の裁判所が「像のモデルは徴用工と何の関係もない日本人」と認定する判決がありました。
これによって「徴用工像のモデルは日本人」という事が韓国で公的に広まったわけですが

強制徴用判決の波紋…日本メディアは「外交で解決」促すが韓国では「朝鮮総督府の判決か」と猛非難
中央日報/中央日報日本語版2021.06.09 18:02
https://japanese.joins.com/JArticle/279480






こちらの記事にある画像のように未だにその像が「強制徴用労働者像」と紹介されるという、矛盾した状態が罷り通っています。
これも矛盾が矛盾のまま罷り通っている事例です。


このように、韓国では私たちの認識では「連続した一つながりの出来事」と判断される事例が、その独特の価値観からくる判断によって連続性が認識されず、別個の出来事として認識されているため、こうした矛盾が日常的に罷り通っているわけです。

3:珍しい事例ではない


そして重要なのは、こうした「文化的・民族的背景」をベースとした価値観によって、同じ物事を見ても判断基準が異なるという事例は、何も韓国でのみ起きる事ではなく、実は世界中で日常的に起きている現象という事です。


例えば外国人が日本に来て「日本のここが変だ」と指摘する事例、或いは逆に日本人が外国へ行き「この国はここが変だ」と指摘する事例、よく見かける事例ですし実際に問題がある事例もあるにはあります。


ただし、それと同時にその国独自の文化的背景によって「それで社会の安定性が保たれている」にも関わらず、そうした文化的背景を知らずに自国の価値観で矛盾しているからと、「無知ゆえの抗議」となってしまっている場合も多々あります。


本質的にはこれと同じです。
日本人と韓国人では今回紹介したように「文化的・民族的背景」に伴う「価値観の違い」から、物事を判断するうえでの基準点が異なっているため、日本人から見ると矛盾でしかない事例が、韓国では罷り通っているように見えるが、韓国基準では何らこれは矛盾ではないのです。


そしてこれを「劣っている」と単純に判断してしまうと、先ほどの文化的背景を知らずに自国の価値基準で外国の慣習に優劣をつけてしまう外国人(日本人)と同じになってしまうわけです。


こうした齟齬のわかりやすい事例が、今から約100年前、ニューギニア島東沖にあるトロブリアンド諸島の住民たちの調査を行い、近代文化人類学に大きな影響を与えたブロニスワフ・マリノフスキ著「西太平洋の遠洋航海者」に書かれています。


この本では、マリノフスキがトロブリアント諸島を訪れた当初、そこに居住する欧米の商人や宣教師たちは、トロブリアントの先住民たちを「怠惰で向上心がなく、木になった実が落ちてくるのをただ待つだけの人々」と、非常に低い評価をしていたことが書かれていますが、マリノフスキはそれを「本質を知ろうとしない無知な人々」と批判しています。


どういうことかというと、元々こうした評価になったのは、現地に居住する商人たちがトロブリアントの人々を給料を払って雇って自身の経営する農園で働かせたところ、特に奴隷として扱ったとか給料の払いが悪かったというわけでもないにも関わらず、怠けてばかりでろくに働こうとしなかったことが原因だったそうです。


しかしマリノフスキが現地の人々と共に生活しフィールドワークの中で知ったのは、彼らは実際には非常に勤勉であり、彼らの主食であるヤム芋の一種を「自身が消費する以上に栽培している」こと、その収穫物の大部分を首長や妻の親族(彼らの社会は女系社会)に献上してしまうが、それでも余りが生じて最終的に腐らせてしまうほど栽培していたのだそうです。


ではなぜ彼らがそんな事をしているかというと、ヤム芋の収穫は年に数回あるわけですが、その収穫された芋はかなり豪華にディスプレイされ、栽培者はそれを周囲に自慢するのですが、これが彼らにとって非常に名誉なことであり、彼らは収穫物の財産的価値よりも、このディスプレイする事の「トロフィー的価値」に重きをおいているそうです。


そのため、収穫物を全て農場主が持って行ってしまい、「給料しか支払われない」環境では、彼らはモチベーションが保てず「怠惰になっていた」ということを、マリノフスキは突き止めたというわけです。


これは私たちの経済観念とは大幅に異なる考え方であり、「何に価値を見出し何を判断基準とするか」に絶対的な基準が存在しない事の証明でもあります。


そして今回紹介した「韓国人の日本人から見れば矛盾にしか見えない態度」も本質的には同じです。
「何を判断基準として重きを置くか」がまるで異なっているだけであり、そこに優劣や善悪は存在せず、ただ「あり方が違う」というわけです。


ただし、だからと言って彼らの価値基準を日本側が受け入れるわけにもいかないですし、何より日本人と韓国人のこの価値基準の違いは、双方の基準では「悪徳」と定義されるため、まるで相容れません。


つまり、善悪や優劣ではないが相容れることもできず、かといって韓国側は「自分達は常に絶対的に正しい判断をしている」という前提で思考するため、相互に違いを受け入れ折り合いをつけるという事も困難です。


実際、それが困難だからこそ今のように日韓関係は悪化しているわけです。


ですから、そのうえで私達がすべきことは、違いを違いと認識し、そのうえで日本人と韓国人の間には決定的な価値観の違いが存在し、本質的に相容れない事を理解したうえで、「冷静に無感情で事務的な対応をする」事が重要なのです。


怒ったり反発したところでまるで意味がないのですから、「彼らはそういうものなのだ」と割り切ったうえで、こちらに被害のない範囲での接触と対応をして行けばいいのです。


そもそも、価値観が違うからと断交するような態度では究極的には鎖国するしかなくなるわけですから、「違いを知ったうえでどう折り合いをつけるか」が現代社会では最もスマートなやり方なわけです。



お知らせ。
引用について
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