さて、本日はファイザーワクチンを巡る報道の問題についてです。
本日の投稿動画
YouTube版
https://youtu.be/628BYMiddxM
以下は動画のテキスト版です。
注意
・この動画は「マスコミ問題」を扱っています
・「マスコミ問題」ですので、イデオロギーや属性等は一切関係ありません
・「特定の国との特別な関係」は問題の枝葉です、主問題は業界の体質です
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう。
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
・リクエストは原則受け付けていません
・引用ソースへのリンクが同時掲載のブロマガにあります
・毎週土曜日更新
レイム マリサ
ゆっくりしていってね。
マリサ
さて、今回はマスコミ問題を扱っていくぜ。
レイム
ちょっとまって、前回マスコミ問題だったし、今回は私が担当の日韓問題じゃないの?
マリサ
散々私の順番を「重要度が高いから」と飛ばしまくっているレイムがそれを言うか。
レイム
実際どれも重要度高かったじゃない。
マリサ
今回はマスコミ問題で重要度が高い「やらかし」があったんだぜ。
それに先月レイムが私の番を飛ばしてはぐらかしたこと、忘れてないんだぜ。
レイム
…チッ
マリサ
おいレイム、お前今「チッ」って舌打ちしたよな?
レイム
何のことかさっぱりわからないわ。
幻聴じゃない?
マリサ
いやいやいやいや、間違いなく舌打ちしただろ。
レイム
そんな事より重要度の高いマスコミ問題やるんでしょ?
本編はまだなの?
マリサ
おっとそうだったぜ、そんなわけで本編へ行くぜ。
政府の不手際?
レイム
それで、重要度の高い内容で、ワクチン関連って何があったの?
世間じゃ特に話題になっていないようだけど。
マリサ
それがな、ほとんどの大手メディアが横並びで印象操作報道をしていて、実態を伝えているメディアが一部のみなものだから、恐らく問題に気付いている人が殆どいないんだぜ。
レイム
というと?
マリサ
まあまずは現物を見てもらえばわかるぜ。
それじゃあ最初はみんな大好き朝日さんからだぜ。
ファイザーワクチン1瓶の接種6回→5回 注射器の問題
朝日新聞 2021年2月9日
https://www.asahi.com/articles/ASP2964BNP29ULBJ00Z.html
米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナウイルスのワクチンについて、田村憲久・厚生労働相は9日の衆院予算委員会で、1瓶あたりの接種回数を6回から5回に見直す考えを明らかにした。国内で確保している注射器だと5回分しかとれないとわかったため。政府は同社製で1億4400万回分(7200万人分)の接種を想定しているが、減る可能性がある。厚労省は同社と協議するとしている。
このワクチンは12日の部会で承認の可否を審議する。正式に承認されれば来週にも一部の医療従事者から接種が始まる見通し。厚労省は週内にも実施手順などをまとめた手引を改訂し、自治体に示す。
厚労省によると、ワクチンは原液が瓶に入っていて、生理食塩水で薄めて使う。接種の際は瓶に注射器を刺し、決まった量を吸い上げる。同社から1瓶につき6回分とれると伝えられていて、1月にあった自治体向けの説明会でも同様の説明をしていた。
だが、6回分をとるには特殊な注射器が必要だと判明。国内で確保している注射器を確認したところ、大多数は針や注射器の中にワクチンの液体が残るタイプで、5回分しかとれないことがわかった。厚労省は特殊な注射器の確保を進めている。
厚労省の担当者は「あくまで総回数(1億4400万回分)で契約を結んでいる。これからファイザーと相談する。減るかどうかは現時点では何とも言えない」としている。一方、厚労省幹部の一人は「(1瓶につき)5回分しか接種できないことを前提とするしかない」とし、接種回数が減る可能性を示唆した。(富田洸平)
マリサ
この記事によると、ファイザーが開発したコロナワクチンの容器は、6回分の接種が可能な量が入っているが、そのためには特殊な注射器が必要であり、日本はその特殊な注射器を用意しなかったものだから、5回しか接種できず一回分が無駄になるという内容だな。
レイム
これ知ってるけど、要するに政府や厚生省がちゃんと専用の注射器を用意できなかったのが原因でしょ?
何より欧米は日本より先に接種が始まっていて準備ができていたのに、日本は何の準備もしていなかったって事だから、朝日の報道に問題があるように見えないけど?
マリサ
まあ、その辺りの真相はあとで説明するとして次にこちらの記事を見てほしいぜ。
ファイザーのワクチン 接種6回の予定も採取は5回分のみ 厚労省
NHK 2021年2月9日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210209/k10012858221000.html
アメリカの製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省はこれまで1つの容器で6回の接種を予定していましたが用意した注射器では5回分しか採取できないことを明らかにしました。
一方、ファイザーは1つの容器で6回の接種を前提にしているため現在、計画されている供給量で接種を受けられる人数は2割近く減る計算になり、供給の時期などに影響が出ることも懸念されます。
日本政府は、ファイザーとの間で年内に7200万人分、接種回数にして1億4400万回分のワクチンの供給を受ける契約を交わし、今月12日に専門家でつくる部会を開いて承認の可否を判断する方針です。
厚生労働省によりますと、ファイザーが1つの容器で6回の接種を行う方針を示していたのに対し、これまでに用意した注射器では、シリンジと呼ばれる筒の部分の仕組み上、5回分しか採取できないことが分かったということです。
このため、ファイザーが現在、計画しているワクチンの供給量では日本で接種を受けられる人数が計算上、17%減少することになります。
6回分を採取するためには別のシリンジが必要で、十分な数を確保できるめどは立っていないということです。
このため、厚生労働省は、全国の自治体に対して、1つの容器から採取するワクチンを5回分に変更するよう近く通知する方針です。
厚生労働省は、ファイザーから供給されるワクチンについて接種の回数で契約しているということですが、必要になるワクチンの総量が増えることで、日本への供給の時期などに影響が出るおそれもあります。
ファイザーからは去年12月に「6回の接種を検討している」と連絡を受け、先月になって正式に方針を伝えられたということです。
厚生労働省は契約通りの人数に接種できるようすでにファイザーと交渉を始めていて、「現時点では供給への影響についてコメントできない」としています。
ファイザーは、「バイアル」と呼ばれる容器に一定の決まった量のワクチンを入れて各国に供給しています。
欧米では、ワクチンの内容量が当初、想定していた5回分より多かったことから特殊なシリンジを使って6回分を採取することを認めています。
このうちアメリカでは先月から6回分の採取が認められ、供給を受ける2億回分のワクチンについて、予定を2か月前倒ししてことし5月末までに供給される見通しとなったと現地のメディアが伝えています。
また、EU=ヨーロッパ連合やイギリスも、1つの容器で6回接種することを認めています。
一方、厚生労働省によりますと、日本で一般的に使われている注射器では、注射をした際により多くの薬液が針とシリンジの間に残る構造になっているため、特殊なシリンジを使った場合に比べて必要となる薬液の量が増えるということです。
このため、1つの容器から5回分のワクチンしか採取できず、容器に残ってしまった分は廃棄される見通しだとしています。
各国でワクチンが不足するなか、欧米に比べて供給されるワクチンを効率的に接種に使えないことに、国際社会から懸念の声が上がることも予想されます。
加藤官房長官「ファイザーと調整が必要と聞いている」
加藤官房長官は、午後の記者会見で「6回採取するには特殊なシリンジ=注射器の部品が必要で、特殊なシリンジの必要量を確保するのは非常に困難といった課題もあり、厚生労働省において近日中に自治体向けの手引きを改正し、連絡を行うと承知している」と述べました。
そのうえで「政府としては、すべての国民に提供できる数量について、基本的対処方針にのっとって必要な数量の確保に向けてしっかりと取り組み、接種体制の構築にかかる自治体や医療機関にも正確でわかりやすい情報を提供していきたい」と述べました。
また、接種回数の変更により必要になるワクチンの総量が増えることから、今後の供給に影響が出るのではないかと問われたのに対し、加藤官房長官は「私が承知している範囲では、ファイザーと調整が必要と聞いている」と述べました。
ファイザー「日本で承認されれば契約通りに供給」
ファイザーはNHKの取材に対し、「日本でワクチンが承認されれば、契約通りに1億4400万回分を供給できようにする」などとコメントしています。
マリサ
こちらのNHKのニュースの方が朝日さんより詳しいが、この容器の問題で欧米は6回接種することを認めており、日本は特殊な注射器が用意できず1回分が無駄になることから、「各国でワクチンが不足するなか、欧米に比べて供給されるワクチンを効率的に接種に使えないことに、国際社会から懸念の声が上がることも予想されます」と書いているな。
レイム
ほら、やっぱり日本より先に接種している欧米より対応が杜撰なだけじゃない。
これは問題にされて当然よ。
マリサ
まあまあ、そして次のこちらの記事でも
ファイザー社ワクチン 1瓶から6回が5回に 接種人数減か
毎日新聞 2021年2月9日
https://mainichi.jp/articles/20210209/k00/00m/040/252000c
厚生労働省は9日、米製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナウイルスワクチンについて、1瓶あたりの接種回数を6回から5回に見直すことを明らかにした。国が確保した注射器では、5回分しか採取できないためで、政府が同社製のワクチンで想定している7200万人の接種人数が減る可能性が出てきた。
ファイザー製のワクチンは、1回あたり0・3ミリリットルの薬液を筋肉に注入する。厚労省によると、昨年12月に同社から「1瓶あたり6回接種を検討している」との連絡を受け、1月に正式に説明を受けたという。1瓶から6回分を採るためには、接種後に注射器の先端に残るワクチン量が少ない特殊な注射器を使う必要がある。
政府はワクチン接種にあたり、昨夏から注射器や針の確保を進め、既に2億数千万本の注射器を用意している。だが1月下旬、確保した注射器のほとんどが、特殊な注射器に比べて接種後注射器内に残る量が多いものということが判明。そのため、5回分を採取した後に瓶の中に残った量は1回分のワクチン量に満たないという。6回接種が可能な注射器も一部含まれるが、十分な数は用意できていない。
厚労省は全国の自治体に対し、1瓶あたり6回接種と説明してきたが、5回に変えて体制を整えるよう近く通知する。同社ワクチンの最小流通単位は1箱195瓶で、接種回数は1170回分から975回分に減る。
政府はファイザー社と今年1月、年内に7200万人分(1億4400万回分)のワクチンの供給を受ける契約をした。厚労省はワクチン供給量について「総接種回数で契約している」としているが、必要となる瓶数が増えるため供給に影響が出る可能性もある。厚労省は供給量への影響については「ファイザー社と交渉中で、影響の有無についてコメントはできない」としている。【金秀蓮】
マリサ
この毎日の記事によると、日本は2020年の夏ころから注射器の確保を進めていたが、2021年の1月になって6回分の容器に対して5回しか採取できず、1回分が無駄になり接種回数が想定していたより減る事が危惧されているという内容だな。
レイム
去年の夏から準備が進められていたのに、専用の注射器が用意できなかったというのは、政府のコロナ対応の失敗の延長線上に来る問題のようにしか見えないけど。
マリサ
こうした日本メディアの報道を受けてな
注射器を誤って用意…日本、ファイザーワクチン相当量廃棄不可避
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.02.10 14:54
https://japanese.joins.com/JArticle/275428
今月17日から米国製薬会社ファイザーが開発した新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)ワクチンの接種が始まる日本で、政府の準備不足で接種可能人数が大幅に減る状況が発生した。
10日、NHKなど日本メディアによると、厚生労働省は当初ファイザーと「ワクチン1容器あたり6回接種」を基本として計算し、計7200万人分(1億4400万回分)を契約した。だが、厚生省が確保した注射器では一つの容器につき5回分しか採取できないことが一歩遅れて明らかになった。注射器を間違って用意したことでファイザーワクチンの接種を受けることができる人員が20%近く減ることになった。
ファイザーは小さな瓶に一定量のワクチンを入れて各国に供給しているが、通常使われる注射器では5回分を注射した後、注射針と筒(シリンジ)に一定量が残る問題があった。残ったワクチンを最大限活用するために最小残高注射器の使用が推奨され、ファイザーは特殊製作されたこの注射器を使う場合、1瓶あたり6回まで接種することができると指針を変更した。
これに伴い、米国は先月から6回分採取を方針として定め、ファイザーから供給される2億回分のワクチン供給時期を予定より2カ月前倒しした今年5月末までに修正した。EU(欧州連合)や英国なども一つの容器から6回接種することを認めている。
だが、厚労省は昨年末にファイザーから「一つの容器につき6回の接種を検討している」という連絡を受けても新しい注射器の導入などの措置を取らなかった。先月末に公式に連絡を受けた後、現在購入した2億本以上の注射器では一つの容器につき5回しか採取できないという事実を確認した。
加藤勝信官房長官は9日午後の記者会見で「6回採取するには特殊なシリンジが必要で、特殊なシリンジの必要量を確保するのは非常に困難」と認めた。続いて「厚生労働省において近日中に自治体向けの(一つの容器あたり5回採取という)手引きを改正し、連絡を行う」と話した。
この場合、日本政府が既に確保したと発表したファイザーワクチン物量が6分の1に減ることになり、接種日程にも支障が出るものとみられる。昨年末以降、特殊注射器を確保する時間があったにもかかわらず準備をせず、供給を受けたワクチンを効率的に使用できなくなったことに対する批判も避けられなくなった。
日本政府は17日から医療スタッフを対象にワクチン接種を始めると発表したが、まだ具体的な接種計画は明らかにしていない。
マリサ
韓国三大紙のうちの一つの中央日報が、NHKなどの報道を引用して「厚労省は昨年末にファイザーから「一つの容器につき6回の接種を検討している」という連絡を受けても新しい注射器の導入などの措置を取らなかった。」と記事にしているぜ。
マリサ
ちなみに、共同と時事も朝日や毎日と同様の論調でこの注射器の件を報じているから、地方紙も殆どが報じているぜ。
レイム
要するに、元々夏から準備していた注射器が使えないとわかっても、厚労省は注射器に問題があることを無視していたという事でしょ?
これ「お役所仕事の弊害」じゃないの?
マリサ
まあ、韓国メディアが報じるのもある意味仕方がないよな。
日本のメディアが「ある重要な情報」を全く伝えないか、わかり難くして報じていた事が原因なのだし。
レイム
まさか、また印象操作?
問題の真相
マリサ
これな、意図して印象操作したのかそれとも認知バイアスで先入観ができて「とばし」をしたのか、そのあたり判別できないんだが、1月の外信ニュースをちゃんとチェックしていれば、この報道が明らかにおかしいことに気付くんだぜ。
レイム
どういう事?
マリサ
まずはこの2021年1月20日のロイターの報道を見てほしいんだが
欧州、ファイザーワクチン投与量巡りなお混乱 接種目標に狂いも
REUTERS 2021年1月20日
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-vaccine-doses-idJPKBN29O1VQ
[チューリヒ/パリ 19日 ロイター] - 欧州の一部では、米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチン接種について、承認された1瓶6回分を投与せず、5回分にとどめている国がある。
フランスでは当局が1瓶5回以上接種できると確認しているが、当初は5回分を投与するよう指導。専門家は接種を最大化するためには注射器が不足しているとも指摘する。
スイスでも一部当局者が5回接種が基準になっているとし、北西部バーゼル・ラント準州の危機管理チーム広報担当者は「5回接種が信頼性の高い方法であることが証明された」と述べた。
米食品医薬品局(FDA)は昨年12月、指示された用量を投与した後に残った分も捨てずに使えると勧告。欧州医薬品庁(EMA)は今月8日、1瓶で接種できる回数を従来の5回から6回に増やすことを認めた。
ビオンテックは11日、今年のコロナワクチンの出荷目標を約20億回分とし、従来の13億回分から引き上げると発表。この生産目標について、1瓶6回分の接種を一部前提にしていると述べている。
マリサ
この記事によるとな、欧州でもフランスやスイスなどが6回ではなく5回の採取で行っていて、「欧米では6回接種が許可された」としているけど、実際には「特殊な注射器の不足」が起きていて、これ2021年1月になっていきなり発生した問題っぽいんだぜ。
レイム
え?ちょっとまって、日本のメディアの記事とだいぶ印象が変わるんだけど?
「欧米では6回接種が許可された」って、許可が下りただけで「特殊な注射器への対応」はできていないって事じゃない。
マリサ
そう、日本の報道ではあたかも「日本が対応できていないだけ」のような印象を受けるが、そもそもこの記事の通りなら恐らく対応できている国の方が少ないぜ。
更にな
コロナワクチン、1瓶で何回接種可能? スウェーデン保健当局は明確化求め支払を保留
REUTERS 2021年1月27日
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-pfizer-sweden-idJPKBN29W098
26日付のスウェーデン紙ダーゲンス・ニュヘテルは、同国保健当局が欧州連合(EU)に対し、米製薬大手ファイザーへの新型コロナワクチンの支払いに関し、1瓶あたり接種何回分を支払うのか明確にするよう求めていると報じた。
数週間後に迫る支払期限までの回答を期待しているという。
同紙は、何回分の接種に対する請求なのか明確になるまで、スウェーデン政府はファイザーと独ビオンテック製ワクチンへの支払いを保留としていると伝えた。ファイザーは1瓶あたり接種回数を合意していた5回ではなく、6回として請求している。
また同紙によると、スウェーデンは1瓶あたり何回分の摂取量が入っているのか、欧州委員会とファイザーで合意することを求めている。
スウェーデンの新型コロナウイルス対策の責任者を務めるアンデシュ・テグネル氏は記者会見で報道に関して問われ、「事実だが、既存の請求の支払期限はまだなので問題ない。期限までの回答を期待している」と応じ、期限まではあと数週間あると付け加えた。
同紙は、ファイザー・スウェーデン法人の広報責任者の「6回接種が承認されてから、われわれはその数字を使っている。承認を受けた製品概要に従う必要がある」とのコメントを引用した。
欧州医薬品庁(EMA)は今月、ファイザー・ビオンテック製ワクチンに関し、1瓶で接種できる回数を6回に増やすことを認めた。 スウェーデンはEUの共同購入プログラムで必要量よりも多くのワクチンを購入し、残余分はEUに加盟していない隣国ノルウェーに渡している。
マリサ
同じくロイターの2021年1月27日の記事なんだが、スウェーデンが「接種可能なのが5回なのか6回なのかわからない」として、ファイザー側がちゃんとした回答を出すまで支払いを保留する」という声明を出していて、欧州で「6回許可」が下りた後も混乱が発生している事がわかるぜ。
レイム
これどういう事?
ファイザーが注射器の件をちゃんと説明していなかったようにしか見えないのだけど。
マリサ
それなんだが、「こういう背景があった事を踏まえたうえで」日経とNHKの記事を見ると、その真相がわかるぜ。
2400万回分目減りの恐れ ファイザー製、1瓶6回が5回に
日経新聞 2021年2月10日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF095XR0Z00C21A2000000/
厚生労働省は9日、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン1瓶あたりの想定接種回数を1回減らし、5回にすると発表した。接種できる人数が減り、ペースが遅くなる懸念がある。
加藤勝信官房長官は同日の記者会見で「6回採取するには特殊なシリンジ(注射器)が必要で、確保するのは非常に困難だ」と述べた。接種の実務を担う自治体に「5回採取を基本に準備を進めるよう連絡する」という。
ファイザーとは2021年中に1億4400万回(7200万人)分の供給契約を結んだ。厚労省によると、ファイザー側からは瓶1本につき6回分が可能と伝えられていた。瓶の総量が変わらず1本5回分だと1億2000万回(6000万人)分に目減りする。
ファイザー日本法人は「承認前のため容器あたりの接種回数などの運用についてはコメントできない」と取材に答えた。一方で「欧米当局や世界保健機関(WHO)は6回分を推奨している」とコメントした。
日本が確保してきた通常の注射器では6回分に対応できないと分かったのは契約後の1月末だった。注射器と針の接合部分の空洞にワクチンが残るため5回分しか採取できないという。
今後の方針についてはファイザー側と改めて協議する。関連企業にも呼びかけて6回分に対応できる注射器の生産や輸入を可能な限り進める。仮に1瓶5回分で1億4400万回分となれば、ファイザーは供給量を増やす必要がある。
ワクチンは6月までに英アストラゼネカや米モデルナからも供給を受ける。仮にファイザー製が減っても日本全体として供給不足になる懸念は小さいとみている。
ファイザーのワクチン 接種6回の予定も採取は5回分のみ 厚労省
NHK 2021年2月9日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210209/k10012858221000.html
アメリカの製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省はこれまで1つの容器で6回の接種を予定していましたが用意した注射器では5回分しか採取できないことを明らかにしました。
一方、ファイザーは1つの容器で6回の接種を前提にしているため現在、計画されている供給量で接種を受けられる人数は2割近く減る計算になり、供給の時期などに影響が出ることも懸念されます。
日本政府は、ファイザーとの間で年内に7200万人分、接種回数にして1億4400万回分のワクチンの供給を受ける契約を交わし、今月12日に専門家でつくる部会を開いて承認の可否を判断する方針です。
厚生労働省によりますと、ファイザーが1つの容器で6回の接種を行う方針を示していたのに対し、これまでに用意した注射器では、シリンジと呼ばれる筒の部分の仕組み上、5回分しか採取できないことが分かったということです。
このため、ファイザーが現在、計画しているワクチンの供給量では日本で接種を受けられる人数が計算上、17%減少することになります。
6回分を採取するためには別のシリンジが必要で、十分な数を確保できるめどは立っていないということです。
このため、厚生労働省は、全国の自治体に対して、1つの容器から採取するワクチンを5回分に変更するよう近く通知する方針です。
厚生労働省は、ファイザーから供給されるワクチンについて接種の回数で契約しているということですが、必要になるワクチンの総量が増えることで、日本への供給の時期などに影響が出るおそれもあります。
ファイザーからは去年12月に「6回の接種を検討している」と連絡を受け、先月になって正式に方針を伝えられたということです。
厚生労働省は契約通りの人数に接種できるようすでにファイザーと交渉を始めていて、「現時点では供給への影響についてコメントできない」としています。
ファイザーは、「バイアル」と呼ばれる容器に一定の決まった量のワクチンを入れて各国に供給しています。
欧米では、ワクチンの内容量が当初、想定していた5回分より多かったことから特殊なシリンジを使って6回分を採取することを認めています。
このうちアメリカでは先月から6回分の採取が認められ、供給を受ける2億回分のワクチンについて、予定を2か月前倒ししてことし5月末までに供給される見通しとなったと現地のメディアが伝えています。
また、EU=ヨーロッパ連合やイギリスも、1つの容器で6回接種することを認めています。
一方、厚生労働省によりますと、日本で一般的に使われている注射器では、注射をした際により多くの薬液が針とシリンジの間に残る構造になっているため、特殊なシリンジを使った場合に比べて必要となる薬液の量が増えるということです。
このため、1つの容器から5回分のワクチンしか採取できず、容器に残ってしまった分は廃棄される見通しだとしています。
各国でワクチンが不足するなか、欧米に比べて供給されるワクチンを効率的に接種に使えないことに、国際社会から懸念の声が上がることも予想されます。
加藤官房長官「ファイザーと調整が必要と聞いている」
加藤官房長官は、午後の記者会見で「6回採取するには特殊なシリンジ=注射器の部品が必要で、特殊なシリンジの必要量を確保するのは非常に困難といった課題もあり、厚生労働省において近日中に自治体向けの手引きを改正し、連絡を行うと承知している」と述べました。
そのうえで「政府としては、すべての国民に提供できる数量について、基本的対処方針にのっとって必要な数量の確保に向けてしっかりと取り組み、接種体制の構築にかかる自治体や医療機関にも正確でわかりやすい情報を提供していきたい」と述べました。
また、接種回数の変更により必要になるワクチンの総量が増えることから、今後の供給に影響が出るのではないかと問われたのに対し、加藤官房長官は「私が承知している範囲では、ファイザーと調整が必要と聞いている」と述べました。
ファイザー「日本で承認されれば契約通りに供給」
ファイザーはNHKの取材に対し、「日本でワクチンが承認されれば、契約通りに1億4400万回分を供給できようにする」などとコメントしています。
マリサ
日経の記事では「日本が確保してきた通常の注射器では6回分に対応できないと分かったのは契約後の1月末だった。」と書かれていて、NHKの記事では「ファイザーからは去年12月に「6回の接種を検討している」と連絡を受け、先月になって正式に方針を伝えられたということです。」と書かれているんだぜ。
レイム
ちょっと待って、これを読む限り世界中ほとんどの国で「6回接種が可能」とわかったのは2020年12月、「6回接種には特殊な注射器が必要」とわかったのは2021年1月って事じゃない。
こんなのどう対応しろと?
マリサ
しかもな、この件で日本のメディアで唯一「まともな報道」をしたフジテレビの記事によると
“命を救う0.3ml” ワクチン回数2割アップの「特殊注射器」不足 アメリカでダブル節約作戦も…日本は大丈夫?
FNN 2021年2月9日
https://www.fnn.jp/articles/-/141780
まもなく日本にも到着する予定の新型コロナウイルスのワクチン。世界中で「ワクチン争奪戦」が始まっているが、実は「注射器」の種類によって、接種できる回数(ひいては人数)に大きな差が出るのをご存じだろうか。
ワクチン接種で先行する欧米では、今この注射器が、超低温冷凍庫と同様に目下の必需品となってきている。そんな中、日本でもこの注射器の確保をめぐり“黄色信号”がともっている。
手のひらサイズの小さな瓶
こちらの写真は、米国在住の安川康介医師が病院内で撮影したファイザー社のワクチンの瓶(バイアル)だ。安川医師の手のひらにすっぽりとおさまっていて、非常に小さいのがわかる。
この瓶の中身を一定量の生理食塩液を注入して希釈し、そこからいよいよ「1回分のワクチン摂取量である0.3ml」を吸い上げていくのだが、その“回数”が問題だ。
当初、アメリカでファイザー社のワクチンの緊急使用の承認がされた際には、「1つの瓶から5回分」という条件だった。
1つの瓶にもともと入っているワクチンは0.45ml。ここに生理食塩水を1.8mlを足して希釈するため、0.45+1.8=2.25mlとなる。1回の接種で1人に投与するワクチンは0.3mlのため、
2.25÷0.3=8回分とれるのではないか?という疑問が残るが、そうではないようだ。
通常の注射器を使う場合、0.3mlを“実際に腕に接種する”ためには、少しだけ余分に吸い上げなければならない。なぜなら、注射器の構造上、かなりわずかではあるが、薬液の一部が注射器内や針に残ってしまうからである。薬液が残ってしまう“すき間”のことを「デッドスペース」または「死腔(しくう)」という。残ってしまった液は、廃棄されるしかない。1瓶につき0.75ml、5回分として単純計算すると1回当たり0.15mlは無駄になってしまう訳だ。
この薬剤のロスを防ぐために開発されたのが、「low dead space=デッドスペースが少ない」タイプの注射器だ(ここでは“特殊型注射器”と呼ぶ)。こちらのタイプを使うと、注射器先端の“すき間”に薬液が残ることが少ないため、ワクチンのロスが少なくて済む。この仕組みによって、ファイザー社のワクチンの“手のひらサイズの小瓶”から「6回分」接種することができることがわかってきた。
同じ量なのに「5回」が「6回」に増えるということは、接種回数/人数が「2割」多くなるということだ。100人が120人に、1万人が1万2000人に増える。
アメリカFDA食品医薬品局は2021年1月、「1つの瓶から接種できる回数を5回から6回に」変更することを承認した。この動きはフランスなど欧州でも見られ、カナダでも変更が間近だと報じられている。カナダメディアは「6回吸い上げられる特殊な注射器が、世界中で“ホットな必需品”となっている」と伝えた。
EMA欧州医薬品庁によると、「6回分取るには1回毎のロスを0.035ml 以下にする必要がある」としているが、各メーカーは従来からそれぞれの技術で針や注射器本体に工夫をこらし、ロスを少なくする仕組みを開発してきた。
国防生産法も発動 アメリカで不足の現状
「ワクチンを無駄にしないためには、すべての接種に特殊型注射器を使えばいいのに」と思うだろう。しかし、この特殊型注射器は、ワクチン用に開発された器具ではなく、インスリン投与など限られた場面でしか使用されていなかった。
ワクチン接種が始まってから注目を集めたため、そもそも供給量が多くはない。バイデン政権は発足直後に「国防生産法」を発動して、新型コロナウイルス対策やワクチン接種にあたり不足している物資の調達をしていくと表明したが、その中にこの「特殊型注射器」も含まれていた。
実際の医療現場ではどうなのか。FNNは、ノースカロライナ大学病院で薬剤部長を務めるリンジー・アマリンさんに話を聞いた。
ノースカロライナ大学病院 リンジー・アマリン氏:
特殊注射器を得るのはまだまだ大変です。注射器の入手は引き続き課題だと思います。特殊注射器の供給元を探し続けています。現在はまだ少しありますが、このままずっと入手できるかどうかはまだわかりません。だんだんと入手が難しくなっているので…
苦肉の策…従来型と特殊型の「ダブル節約作戦」
アマリンさんは、ワクチン接種会場で準備をするボランティアをしている。貴重なワクチンを無駄にしないための特殊型注射器も「希少」なため、こんな工夫がなされているという。
ノースカロライナ大学病院 リンジー・アマリン氏:
“注射器のコンビネーション”作戦で乗り切っています。1つの瓶で6回分のワクチンを吸い上げるために、最初の3回は“通常の注射器”で接種します。そのあと後半3回は、無駄が少ない「特殊型」を使います
つまり、「従来型注射器」だけでは5回分のワクチンしか吸い上げられず、0.75mlが廃棄となってしまう。一方、1つの瓶に対し特殊型を「6本」を使ってしまうと、今度は注射器が枯渇してしまう。「従来型」と「特殊型」を組み合わせることにより、ワクチンの無駄をギリギリまで少なくするという知恵を絞り出したのだ。ワクチンも注射器も「ダブルで節約」するという作戦だ。
「瓶の中身をフルに使うことにより、より多くの人に接種することができる」(アマリンさん)という思いから、知恵を絞って接種をしているという医療現場。無駄を極限まで減らして、生み出した1回分は、わずか0.3ml。非常に少ない量だが、ワクチン接種を受けた池田早希医師(テキサス州在住)は、「その0.3ml(1回分のワクチン量)は、命を救う0.3ml。無駄にはしたくないです」と語り、特殊型注射器の重要性を強調する。
しかし、接種を間近に控えた日本では、心配な材料も出てきた。2月9日、田村厚労相は国会で、特殊な注射器の確保が難しいため1瓶からの接種が6回から5回に減り、結果として接種できる人数が減少する可能性に言及した。厚生労働省によると、国が用意していたものが特別なシリンジ(注射筒)にあたるのか検証した結果、国が用意しているシリンジでは1瓶から6回とることが難しいということが判明したというのだ。
先行する欧米で、「ワクチンを無駄にしない」という医療者の思いが接種に関わる多くの工夫を生み出している現状を受け、しっかりとしたシステムと医療機器の確保体制をとり、ワクチンが少しでも無駄にならないようにしてもらいたいと思う。
マリサ
当初アメリカがファイザーと契約した時には「1瓶から5回」という内容だったらしいが、2020年末頃になって「糖尿病などに使われる特殊な注射器」を使えば針先に残ってしまうワクチンの量を減らすことができ、6回接種できるようになる」と方針を転換、「アメリカFDA食品医薬品局は2021年1月、「1つの瓶から接種できる回数を5回から6回に」変更することを承認した」と説明されているな。
マリサ
そしてアメリカでは採取の際にまず3回は既存の注射器で行い、残り3回を特殊な注射器で行うとしているが、特殊注射器の総量が少ないのでこれもいずれ在庫がなくなるとしているぜ。
レイム
ちょっと待って。
殆どの日本のメディアの報道だと、あたかも日本政府と厚労省の怠慢で起きた不祥事のように書かれているけど、日本より先に接種の始まった欧州のほとんどでも対応ができていなくて、他国に先んじて情報を得ていたアメリカは多少対応しているけど、それも「いつまで対応できるかわからない」って事じゃない。
マリサ
要するにこれな、「世界的なワクチン不足」への解決策として、ファイザーが2020年12月に急遽発表したものであって、そもそも日本の1回目接種で対応できるような仕様変更じゃないんだぜ。
まず対応する注射器の使用許可と増産から始めないといけないからな。
レイム
で、それをちゃんと報じたのはフジテレビだけと。
その後ちゃんと訂正して実態を報じたところはあるの?
マリサ
無いぜ。
「各国でワクチンが不足するなか、欧米に比べて供給されるワクチンを効率的に接種に使えないことに、国際社会から懸念の声が上がることも予想されます。」とか報じていたNHKも訂正なしだぜ。
レイム
うわぁ…。
繰り返される不祥事
マリサ
それでな、色々とこの件の続報を追い続けたんだが、2021年2月9日から10日ころに注射器を巡る政府批判報道が繰り返されたが、その後批判自体がピタッととまって何事もなかったかのようなコロナ関連報道が続いているぜ。
レイム
それがどう重要なの?
マリサ
このことから解るのは、恐らく各社ともろくに取材もせずに「政府の失敗」に飛びついたが、後から実態に気が付いて「無かったことにした」というシナリオが有力って事だぜ。
レイム
それが事実なら、マスコミ各社は「一般人以下」の裏取りしかせず記事を書いていたって事になるわよ。
マリサ
そういう事になるな。
そしてなんでこんなお粗末なことになるかといえば、全ては「業界に全く自浄作用がない」事が最大の原因なんだぜ。
レイム
というと?
マリサ
「マスコミ不信」ってだいぶ前から話題になっていて、マスコミ業界も明らかにそれを意識しているんだが、問題意識が明後日の方向に向かっているんだぜ。
例えばこれを見てくれ。
「マスゴミ」という蔑称まで浸透。なぜ人はメディアの報道に偏りを感じるのか
Agenda note 2020/10/27
https://agenda-note.com/customer/detail/id=3179&pno=0
「マスゴミ」なんて言葉が使われて久しくなった
「マスゴミ」とは、テレビや新聞・雑誌などを中心とするマスコミを批判的に表現する際に用いる蔑称で、ネットスラングの一種です。マスコミとゴミの混成語で、つまり、ゴミ同然と侮蔑しているのです。
特に、特定の新聞社やテレビ局(番組)が定期的に槍玉に上げられています。SNS上では、2週間に1回は「マスゴミ」ネタで炎上しているのではないでしょうか。
そして、最近では「マスゴミ」なんて言わない人からも、「いかがなものか」と批判されているのが、メディアの今までにない傾向であると筆者は考えています。マイルドなメディア批判が市民権を得たと言っていいでしょうか。メディアは、どんな批判をしても良い対象として認知されたとも言えます。
その最たる例として挙げられるのは、「メディアは偏っている」「マスコミには報道しない自由がある」といった偏向報道批判です。米国では大統領がSNSを駆使して率先して、マスメディアの報道をフェイクニュースと連呼しています。日本でも個別具体的な事例への言及は避けますが、政治や社会ニュースで偏向報道という批判が巻き起こりました。
私が報道ベンチャーでもあるJX通信社に入社して一番驚いたのは、「偏向報道をやめろ」といったメールや電話が定期的に来ることです。アルゴリズムで記事を配信するニュースキュレーションアプリであっても「記事のチョイスに恣意性を感じる」という理由で批判されます。その発想はなかったな、と驚きました。
そもそも、なぜ人は「メディアは偏っている」と感じるのでしょうか。そして、その心がどんどん進化すると、何が起こるかについて考えてみました。
https://agenda-note.com/customer/detail/id=3179&pno=1
そもそも「偏っている」とは何か?
実際に「メディアと政治が結びついている」というニュースを見かけますが、ここでは、その詳細について趣旨と違うため触れません。まずは、そもそも偏っているとは何かから考えていきましょう。
当たり前ですが、「ファクト(事実)」と「オピニオン(意見)」は違います。ファクトは本当にあった出来事ですが、オピニオンは個人の意見です。ファクトは真偽を証明できますが、オピニオンは得てして真偽を証明できません。突き詰めればファクトは実態があり、オピニオンは実態がないことも多いです。
では、マスコミ(メディア)が「偏っている」という指摘は、ファクトでしょうか、オピニオンでしょうか。
例えば、Agenda noteの常連として「PGマフィア」と評される方々をよくお見かけしますし、NewsPicksなら落合陽一さんがよく登場しますが、それをもって各メディアが「偏向メディア」「公平性に欠ける」と言えるでしょうか。そもそも「よく見る」「よく登場する」はファクトではなく、個人の主観です。偏っていると言うなら、誰に登場してもらうべきでしょうか。
Agenda noteを例にあげれば、九州の単品通販の雄と言える方々、ファンベースマーケティングのグル(師)とも言える方々も登場されています。「○○さんが出ていないからおかしい」と批判すると、○○さんの持つ党派性が現れる分だけ、結局は「偏っている」と評されるのです。それはつまり、「偏っている」というのが個人のオピニオンの域を出ないことの証明でもあります。
これらと同じで、虚偽報道をしているわけでも無いのに「偏っている」と批判される場合の多くは、ファクトとオピニオンが混同されているのです。その理由として、敵対的メディア認知と呼ばれる「メディアが自分とは反対側の陣営にとって、有利な方向に歪んでいる」という認知の歪みに陥っているからだと思われます。
ここで、ある事例をご紹介したいと思います。Valloneら(1985)は、1982 年にレバノンのパレスチナ人難民キャンプで起きたイスラエル系民兵組織によるパレスチナ人虐殺事件報道を題材に、ある実験を行いました。
全く同じ内容をイスラエル寄りの人と、パレスチナ寄りの人に見せて、その反応を調べたのです。その結果、イスラエル寄りの人たちは「報道がイスラエルに対して批判的である」と認知し、パレスチナ寄りの人たちは「報道がパレスチナに対して批判的である」と認知していました。
具体的な数字で言えば、報道の内容について、イスラエル寄りの人はイスラエルに関する言及の16%がイスラエルに友好的で57%は非友好的であったと回答し、アラブ寄りの参加者は平均してイスラエルに関する言及の 42%がイスラエルに友好的で26%が非友好的であったと回答しました。読む側が何を支持するかで、同じ内容がまるで別物のように受け止められたのです。(参考:詳細な内容は「The hostile media phenomenon: biased perception and perceptions of media bias in coverage of the Beirut massacre」に記載されていますので、お時間あればご一読いただければ幸いです。)
このように認知が歪む原因として、「① 客観的で公平性が担保された報道の具体的な内容が、自陣営に有利な形を想定している」、「② 報道された内容について、自陣営に対してネガティブな情報を優先的に知覚してしまう」という二つのメカニズムが作用していると言われています。
Valloneらの実験以降もPerloff(1989)、Giner-Sorolla & Chaiken(1994)、Arpan & Raney(2003)など、さまざまな後続研究でこの「敵対的メディア認知」が確認できます。
すなわち、メディアに向けて「偏っている」と言っている私たちも同様に「偏っている」のです。
https://agenda-note.com/customer/detail/id=3179&pno=2
「認知の歪み」に気付けるか?
敵対的メディア認知の話をすると、決まって「私は歪んでいない!真っ直ぐだ!」と反発される方が大勢います。「偏り」という言葉がネガティブに聞こえているようですが、即座に物事を判断できるヒューリスティクスな思考も偏りのひとつですから、全てが悪とは言い切れません。むしろ「偏り」とは人間らしさ、いや人間そのものとすら言えます。
私は偏見が少ないと主張する思考を「バイアスの盲点」と表現します。「大声を出すな!と大声で注意する人」や、「人を批判する奴は許さない!と批判する人」を思い浮かべると良いかもしれません。言動と行動が相反する人たちは「バイアスの盲点」に囚われているのです。
ファクトはひとつですが、オピニオンはいくつあっても良いでしょう。「バイアスの盲点」に囚われてしまうと、オピニオンが違うだけで「あの人はウソを言っている」と批判しがちです。また、オピニオンを言う側も、それがあたかもファクトのように振る舞うので、誤解を招きがちです。
余談ですが、ファクトとオピニオンの区分は報道に限らず、あらゆる分野で必要な“スキル”です。毎日のように繰り返して「ファクトか、オピニオンか」を分けて考えると、自分自身がいかに偏見と思い込みに囚われていたかを思い知らされるので、良い訓練にもなります。
https://agenda-note.com/customer/detail/id=3179&pno=3
私たちマーケターは「マスコミ不信時代」に何ができるか
メディアの根幹は、「信頼」だと筆者は考えます。新聞にしろ、テレビにしろWeb媒体にしろ、その媒体に対する信頼がなければ、いくら真実に迫る報道であったとしても単なる冗談や与太話で済まされてしまいます。
ところがマイルドなメディア批判が長らく続いたおかげで、この信頼が少しずつ毀損され始めています。SNSの強い拡散力も相まって、敵対的メディア認知によりメディアに対する不信が強くなってしまいました。
最近では、特定の新聞社やテレビ局の番組に広告を出稿していると「同じ思想の持ち主だ」とレッテル張りをされて、場合によってはお客さま相談センターに「電凸(電話をかけて抗議・批判すること)」される始末です。この状況は、果たして健全でしょうか。
メディア論を語れるほど、知識と経験が豊富にあるわけではありませんが、こうした状況をマーケティングに携わる人間として傍観しても良いのか、さすがに疑問に感じ始めています。
信頼できるメディアに広告を出稿するからこそ「信頼できるサービスだ」と認知されるのであり、信頼が無くなれば、人がどれだけ集まろうと同じように信頼は得られないのではないでしょうか。
緩やかに蝕まれていくメディアというブランドを、企業として、業界として、どのように信頼回復に努めていくのかは大きな課題であり、その意味において例えば、先日公開された静岡新聞のイノベーションレポートは非常に読み応えがあります(「静岡新聞社イノベーションリポート」リンク先はこちら)。
「当事者(メディア)がなんとかするべきだ」というのはその通りなのですが、今起きている地殻変動は、当事者だけで何とかなる話でしょうか。
私がお会いするのは、どちらかと言えば記者の方が多いのですが、「諦め」「放置」「無視」という意見が非常に多い印象です。既にメディア批判は党派性を超えているのに、今までと一緒で良いワケがないと思うのですが…。
今から4年後、5年後に、この記事を見直して「そんなこともあったね」と笑い話にできるような事態になれば良いのですが、信頼回復の端緒は今のところよく分からない、といったところです。
マリサ
例えばこの記事では、「マスコミは偏っている」という批判に対して、「ファクト(事実)」と「オピニオン(意見)」の混同を批判側がしているとして、「虚偽報道をしているわけでも無いのに「偏っている」と批判される」場合が多くみられるとしているぜ。
マリサ
そして「全く同じ内容をイスラエル寄りの人と、パレスチナ寄りの人に見せて、その反応を調べた事例」を引用して、イスラエル人がみたらパレスチナ寄りと多くの人が回答し、パレスチナ人に見せたら「イスラエル寄り」と回答したという事例を引用しているな。
レイム
ちょっと待って、たしかにそういう事例もあるけど、今回の件は明らかに「オピニオン」じゃなくて「ファクト」の方よね。
ファイザーワクチンを巡る報道の実態についてなのだし。
マリサ
そう、実際問題「ファクト(客観的事例)」を批判されている事例が多数あるのに、「オピニオン(主観的事例)」の問題がマスコミ不信の主体であるかのように印象操作しているんだぜ。
レイム
問題を直視する意思がないようにしか見えないわね。
マリサ
更にこちらの事例では
『テレビリサーチャーという仕事』(青弓社)
ALL REVIEWS 2021/02/01
https://allreviews.jp/review/5331
正確でネタになる情報を地道に探し揃えていく
テレビ番組を制作する上で必要不可欠な仕事が、リサーチャー。クイズ番組、旅番組、情報番組……番組に見合う情報を正確に用意していく。
実際にリサーチャーを務める著者が作成した『世界遺産』(TBS系)のリサーチ資料の一部が掲載されているが、登録されている理由、詳細な地図、基礎情報、見どころ、監修者候補などが並んでいる。図書館などで調べ上げた資料をベースに、正確性に加え、番組のネタになるアイデア出しを行う。
とりわけ、健康情報などは出どころの怪しい場合も多いし、著しく間違った情報を流した場合、番組の存続にかかわってしまう。多忙な制作スタッフが「これ、ネットにこう書いてあるんだけど、この資料は何でないの?」などと聞いてくる。危ういスピードで作られ続ける中、的確な情報を揃(そろ)える。
リサーチャー同士の座談会が興味深い。番組を作る側は、すぐに「テレビ初」といった希少価値で、煽ったものを作りたがる。「『日本初』とか『世界一』とかホント疑いなさいと、特にこれからテレビで働くかもしれない学生さんには伝えたい」(髙村敬一)とある。情報を揃えるだけではなく、その精度を保証する仕事なのだ。
視聴者の受け取り方も変わってきた。「直感的・生理的」「部分的」「感情移入・発散」の傾向が強い。しかしながら、そういった「見方を促進してきたのはテレビ自身でもある」。
制作する側と見る側の、どちらが正しくて、どちらが間違っている、といった議論ではなく、相互にコミュニケーションをとり続けている。その上で色濃くなってきた「メディア不信」をどのように覆していくか。正確にリサーチする、という当たり前の行為の深度を知った。
マリサ
テレビ番組を「直感的・生理的」「部分的」「感情移入・発散」で受け取る視聴者が増え、その原因にはそういうみかたを促進してきた制作側の責任もあるとしており、メディア不信にもその影響があるので、いわゆる番組制作で「裏取り」を行うリサーチャーの存在が重要としているぜ。
レイム
これもおかしいわね。
そもそも番組制作に「リサーチャー」という存在がいるのなら、それこそ今回紹介したような事例ではちゃんと裏取りをしていないのはおかしいし、間違っていたのならちゃんと訂正しないといけないし。
マリサ
それもそうなんだが、この記事の重要な点はな、「マスコミ不信の原因は視聴者の側のスタンスの問題」ということに結論が行き着いている事だぜ。
レイム
ああ、そういう事。
マリサ
つまりどっちの事例でも、マスコミ不信の原因を「視聴者・読者の問題」にすり替えてしまっているわけだ。
レイム
たしかに、こんなことをしていたらいつまでたっても今回のような報道はなくならないわね。
どんなに批判されても最終的な原因を読者や視聴者に転嫁できるのだし。
マリサ
そういう事だぜ。
そして「そういう認識」だから、今回みたいな酷い風評被害をばらまいても、問題を「無かったこと」にできてしまうわけだ。
レイム
なるほどね。
今回のまとめ
・報道各社の多くがファイザーワクチンに関連し「日本政府の不備で摂取量が減った」と報道
・実態はファイザー側の突然の仕様変更が原因で、同様の問題は世界的に起きていた
・マスコミは自身への批判を視聴者・読者に転嫁してしまうため、いつまでも同じ過ちを起こす
マリサ
マスコミはマスコミ不信を「イデオロギーや心象の問題」にしているが、実際のマスコミ不信の主要な原因は、今回紹介したような「デマや印象操作を報じて放置」という事例が多数ある事なんだぜ。
レイム
たしかに、今回の件も含めてマスコミはコロナ関連でかなりの数のデマや風評被害を起こしているけど、一切何の責任もとらないどころか、問題の存在自体を認めていない場合がほとんどだしね。
マリサ
そうだぜ。
そしてこのマスコミ問題シリーズでも「そういう事例」を多数紹介しているように、昔からずっとこの有様なんだぜ。
だから信用を失うわけだ。
レイム
でもマスコミ側はマスコミ不信の原因を視聴者・読者の側に求めるから、いつまでも原因がなくならず更に不信が大きくなっていくと。
マリサ
そういうことだぜ。
そしてその最たるものとして過去何度か言及しているが、2019年7月に朝日新聞が、韓国政府が行った自国メディアへの弾圧行為を肯定し、片棒を担ぐような記事を書いたにも関わらず、他のマスコミが一切批判しなかった事例のようなことになるわけだ。
レイム
たしかに、あれは日本のマスコミ業界の自浄作用の無さを最もよく表した事例よね。
マリサ
そういうことだぜ。
そんなわけで今回の本編はここで終わるぜ。
レイム マリサ
ご視聴ありがとうございました。
大口
おつかれ~
大口
今回は長くなりすぎておまけをやると15分過ぎるので、おまけはないよ。
一つだけ、去年皆さんからアドバイスいただいたモニターの件、年始にEIZOの27インチを買いました。
アドバイスありがとうございました。
マリサ
そんなわけで今回はここで終わるぜ。
レイム マリサ 大口
またらいしゅ~
お知らせ。
引用について
・個人の利用であれば「引用」の範囲での転載は自由にしてもらってかまいません、報告も必要ありません。
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