さて、本日は日本での「首相交代」に関連し、韓国側の反応から彼らがどんな考えを持っているか、日本とどのような外交をしていくつもりなのかについて書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由
注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
日本の首相交代がニュースとなると、韓国メディアはどこもかなり大きく取り上げており、韓国の政界などからも反応が大きいが、観察しているとある一つの共通した特徴があることがわかる。
韓国側では、ほぼ一貫して「日韓の関係悪化の原因が安倍と日本の嫌韓化にある」としており、全体として「日本が変わらなければいけない」という考え方をしており、そのため原則的に「韓国側が方針を変える必要はない」という共通認識が出来上がっている。
また、韓国側は歴史問題とそれ以外を分ける「ツートラック外交」を行うとしているが、これは実質「日本にそうするよう要求している」だけであり、韓国側は何一つ方針を変える意思がなく、これは「日本が韓国の要求を全面的に呑む」以外に韓国側は選択肢を用意していないという事でもある。
※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:韓国側の反応
まずはこちらの記事から
韓国与野党「新首相の前向きな姿勢に期待」 安倍首相の辞意表明受け
聯合ニュース 2020.08.28
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200828004300882
【ソウル聯合ニュース】安倍晋三首相が28日、辞任する意向を表明したことを受け、韓国の与野党は新首相に対して韓日関係への前向きな姿勢を期待した。
進歩(革新)系与党「共に民主党」の崔芝銀(チェ・ジウン)国際報道官は「韓国と日本の交易と経済のためにも、両国間の対話と疎通が持続的に行われなければならない」とし、「日本政府のより前向きで責任ある姿勢を期待する」と論評した。
保守系最大野党「未来統合党」の金恩慧(キム・ウネ)報道官は「安倍首相の在任中、韓日関係はいつにも増して容易ではなかった」とし、「新たに選出される首相は、韓日関係により前向きな視線で臨む閣僚であることを願う」とコメントした。
また、「歴史の痛みを認めるざんげと和解の土台の上に、両国間の協力と未来を図る新しい道が開かれることを希望する」と述べた。
この記事を読むとわかりますが、一応韓国内でも「日韓の関係悪化」は問題となっており、何らかの形での関係改善を望んでいる事がわかります。
また次の記事を読むと
韓国の新外交部次官 韓日関係改善へ「歴史問題」「実質的協力」分離 聯合ニュース 2020.08.31
関係改善へ向けての方針として「歴史問題と実質的な協力事案を分離して対応する「ツートラック」基調を続ける方針を明らかにした」と書かれており、関係改善を望むわりに何か雲行きが怪しくなってきます。
つまり、韓国側は「何も方針を変えるつもりがない」というわけです。
そもそも、歴史問題と他の件を「分ける」と言いながら、元々現韓国与党は野党時代にフェイクニュースを使ってまで日本とのGSOMIA締結に反対だったにもかかわらず、そうした元からの方針を「歴史問題とこじつけ」ています。
韓国野党院内代表「韓日軍事協力は危険な発想…国民感情に反する」 中央日報 2016年09月20日
スマートフォン版
https://s.japanese.joins.com/JArticle/220857
また一連の輸出優遇解除問題に関しても、
関連動画
YouTube版
https://youtu.be/2r20-pm44NA
韓国側の輸出入管理に問題があったからこそ、「優遇措置の解除」という事態になったにも関わらず、韓国側はこれを「歴史問題」と関連付けて政治問題化しています。
つまり、「歴史問題と実質的な協力事案を分離して対応する「ツートラック」基調を続ける方針を明らかにした」というのは、こうしたこじ付けをやめるのではなく、「日本側が歴史問題もそれ以外も韓国の要求通りにする」という要求でしかないわけです。
2:韓国側が方針を変えない原因
ではなぜ韓国側はここまで問題がこじれ、更に韓国側にとって不利になるような状況が続いているにもかかわらず、こうした態度を続けているのかですが、そこには主に3つの理由があります。
まず一つ目は「これまで日本が折れてきたから」というもので、これについては説明する必要はないでしょう。
そして二つ目は、国内の人気取りのためです。
文在寅政権は特にその傾向が強いですが、過去記事の「韓国の「易地思之」外交」でも書いたように、韓国の外交というのは基本的に「国内の事情のみ」が反映される独特なものです。
更に文在寅政権は典型的なポピュリズム政権でもあるため、国内の人気取りに「対日強硬姿勢」を利用しているため、どんなに対日関係が問題になろうと、それでそのほかの国との関係にまで影響を与えようと、方針が変わることはまずありません。
「相手は自分の事情を考慮すべき(易地思之)」としか考えていないからです。
そして三つめは次の記事が「韓国人の考え方」を知る上でわかりやすいです。
本題になるためリンクではなく全文をここに引用します。
(※文中あちこちに話が飛んでいてまとまりのない文章になっていますが、それは「韓国発の記事ではよくあること」なのでとくに気にしないでください。)
ポスト安倍韓日関係、核心は「嫌韓」
トゥデー新聞(韓国語) 2020.08.31
http://www.ntoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=74407
日本の安倍晋三首相が健康悪化を理由に辞意を表明し、次期首相への関心が高まっている。誰が首相になるかによって、今後の韓日関係が変わるからである。
しかし政界では、誰が首相になっても韓日関係は安倍首相と特に変わらないと言われている。核心は嫌韓世論である。嫌韓世論が日本内に蔓延し続ければ、誰が首相になっても人が変わっただけで、韓日関係は全く変わらないからである。
日本の安倍晋三首相が健康悪化を理由に電撃辞意を表明し、日本の政界では誰が次期首相になるのかに注目が集まっている。日本としては、コロナ19による景気低迷と慢性的な景気低迷などにより、没落している国家である。
このような理由から、新たな突破口を開かなければ日本は沈み続けるだろうという分析が支配的である。こうして次期首相に誰がなるのかは、日本国民にとって最も重要な問題となった。
あまりにも長く首相をしていたせいで後任を考えておらず、来年の任期が終わっても在任をする可能性があったという理由で、後任が全く発掘されていなかった。
■ 世論は石破、政治的には菅
世論を見てみると、日本の国民は石破茂・元自民党幹事長を次期首相に挙げている。共同通信が29日~30日に全国の有権者1,050人を対象に電話世論調査をした結果、石破茂・元幹事長が34.3%の支持を得て1位を占めた。2位は菅義偉・官房長官(14.3%)、3位は13.6%の支持を得た河野太郎(コノ・タロ)防衛相が占めた。
他にも、小泉進次郎・環境相(10.1%)と岸田文雄・自民党政調会長(7.5%)が、それぞれ4位と5位を占めた。だが政界では、菅長官を挙げていることが分かった。国民の反応が高い政治家と言っても、日本の政治制度上では首相になることはできない。
したがって、自民党が誰を推すのかが最も重要な問題である。安倍首相の後任のため、自民党としては次期首相に石破・元幹事長よりの菅・官房長官を好むのである。
しかし、変数はいくらでもある。なぜなら、コロナ19の再拡散が日本国内に強打しているからである。日本国民も、時期首相に望むことの一つがコロナ19の対応である。安倍首相があまりにもコロナ19の対応を誤ったことで、支持率が下落する姿を見せたのである。
そこで日本国民の挙げた最優先の課題が、コロナ19の対応である。結局、核心は安倍首相とは異なるコロナ19の対応策を用意しなければならない課題を次期首相は抱えている。
もう一つの課題は韓日関係である。安倍首相が昨年7月に、日本の部品・素材の輸出規制などから触発した韓日関係の悪化を戻さなければならない。これは単に、韓日関係の改善が我が国に有利であるからではなく、日本の産業界を再興するために必要である。
■ 容易でない韓日関係
日本のメディアなどによれば、日本の部品・素材の輸出規制などにより、日本の半導体部品・素材産業が大幅に萎縮した。我が国は部品・素材の多角化と国産化により、むしろ輸出規制の時点よりも良好な状況になったが、日本は半導体部品・素材産業がこのまま行けば枯死の危機に直面すると予測されている。
ただでさえコロナ19によって経済が良くない中、輸出規制によって半導体部品・素材産業が枯死することになれば、日本経済にとって相当の打撃は不可避である。
このような理由により、日本としても韓日関係の改善に乗り出さなければならない。ただし、一瞬では韓日関係は改善しないと政界は眺めている。
まず、外交当局間の会談や首脳間の階段がこれまでも行われてきたが、対立の糸口を解くような進展はなかった。これが次期首相に変わったからといって、急激に韓日関係が改善するとは政界は見ていない。
さらに、2021年10月20日が現・衆議院議員の任期満了のため、次期首相は1年間の首相である。1年間の首相が急に、韓日関係を改善させるはずがない。すなわち、1年間の首相は革新型の首相より、むしろ管理型の首相である可能性が非常に高い。仮に菅・官房長官が首相になれば安倍バージョン2となるため、韓日関係はより一層悪くなる可能性は十分にある。
■ 嫌韓世論を鎮めるべき
最も重要なことは、嫌韓世論である。日本国民は、「韓国は反日で日本を苦しめる国」という認識を強く抱いている。日本が謝罪をしたにもかかわらず、謝罪を求めることに対して憤怒するという日本国民も多くいる。これに嫌韓デモが日常化し、放送でも我が国を非難する芸能番組があるほど嫌韓世論が強い。
嫌韓世論を鎮めない限り、韓日関係が改善されるわけがない。このような嫌韓世論は、安倍の支持派として国会を掌握しているのが現実である。すなわち、安倍首相が退陣したとしても、安倍バージョン2が首相になるため韓日関係が急激に改善する可能性は非常に低い。
嫌韓世論を鎮め、日本の国会に親韓派の国会議員を数多く養成すべきだという話である。このような理由から、長期的に親韓派の政治家を養成すべきだという声もある。親韓派の政治家を数多く輩出して国会を掌握し、日本の行政府を掌握してこそ韓日関係が改善するという話である。これには我が国も日本がアメリカの政界に親日派の政治家を養成したように、日本の政界内に親韓派の政治家を養成すべきだという声もある。
色々と書かれていますが、要するに「日本の嫌韓世論が関係悪化の原因なのだ」としている記事です。
関連記事
【社説】安倍退陣で「嫌韓政治」「反日政治」が全て終わることを願う 朝鮮日報 2020/08/29
韓国大統領府・外交部、「ポスト安倍」に変化を期待しない雰囲気 中央日報 2020.08.29
スマートフォン版
https://s.japanese.joins.com/JArticle/269666
つまり、韓国側は「自分達には一切落ち度が存在せず、問題の原因は日本の側にだけあるのだ」としているわけです。
韓国側の反応を見ていると、ほとんどの場合で上記記事と同じように「日本の嫌韓が関係悪化の原因」としており、「日本が何を問題にしているのか」についてちゃんと検証しているところはほぼ存在しません。
韓国三大紙が稀に以下のように
「安倍以後」の韓日関係、韓国が変化を主導すべきだ 東亜日報 September. 01, 2020
「文政権は発足後、韓日間の慰安婦合意を事実上破棄し、大法院の元徴用工判決後には傍観して関係悪化を放置した」と触れることはありますが、「国家間の協定を一方的に反故にしたこと」そのものを問題にするところは、2018年の徴用工裁判判決後はほぼありません。
「問題に気付ている記者」も、世論を気にして問題を記事にできないのです。
メディアや政府がこの状態であるため、当然一般人の中でも「日本側が問題にしている本来の原因」について知る人はほんの一握りしかおらず、結果韓国政府の「原因は一方的に日本にある」という主張が韓国で広く受け入れられているため、「韓国側は何も変わる必要がない」という方針が支持されています。
3:今後も悪化は続く
そしてさらに問題なのが、もう韓国側には「日本と意見調整のできる人材が存在しない」ということです。
去年のこちらの記事を見てもらうとわかりやすいですが
韓国外交部が組織再編へ 日中を別の局で担当・対北制裁担当官を新設 聨合ニュース 2019.04.16
韓国政府は去年韓国外交部(日本の外務省に相当)の組織改編を行っており、実質的に日本に対する外交リソースそのものが減らされました。
また次の記事を読んでもらうと
【コラム】韓国では国益よりも優先される政治的理念 朝鮮日報 2019/04/14 (1/2ページ) (2/2ページ)
前政権の影響をすべて否定する韓国独特の政争に巻き込まれ、長年日本との外交に関わってきたベテラン外交官たちが次々と左遷させられ、まともに外交のできる人材がほぼいなくなってしまったそうです。
そして現状、韓国の対日外交はほぼ「青瓦台」の「外交素人」が行っているようで、結果「何も話が進まなくなっている」ようなのです。
そもそも現在の青瓦台の主要ポストはいわゆる「市民活動家」が大部分を占めており、根本的に外交どころか「政治のやり方がわからない」人々だらけです。
当然のことですが、この状態でまともな外交ができるわけがなく、しかも文政権は他の政権にもまして「問題が起きると他人のせいにする」頻度が高く、問題解決能力がありません。
【萬物相】無誤謬政権が主婦を責める 朝鮮日報 2020/08/30 (1/2ページ) (2/2ページ)
問題が発生すると、「他人のせい」にしてその後問題を放置してしまうのです。
当然これでは日本との真っ当な外交ができるわけもなく、自民党の石破氏は「韓国との関係を改善する」と意気込んでいるようですが、韓国の要求を呑む方針はやればやるほど問題が悪化していくのがほぼ確実です。
また朝日新聞は元東亜日報記者で現在次期大統領候補人気1位の李洛淵氏に期待しているようですが
韓国与党代表に前首相 李洛淵氏、政界屈指の知日派 朝日新聞 2020年8月30日
彼は現韓国与党「共に民主党」の議員であり、文在寅大統領と対日方針に大して差がないうえに、先ほども書いたように韓国は既に「外交の機能そのもの」が死んでしまっているので、日本との諸問題の解決自体が不可能です。
今回書いたことから解るのは、現在の韓国には「日本に韓国の問題を解決”し続けて”もらう」方針以外が取れないということです。
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