さて、本日は一見すると日本人からは不可解にしか見えない韓国の対日観について書いていきます。
数日前に朝日系のAbemaTVの番組において、読売新聞と韓国日報の共同世論調査で「今後の日韓関係について良くなると答えた人は韓国が56%なのに対し、日本は5%となっている」と指摘されていた。
韓国の現在の態度を見ると、日本人の視点ではなぜそうなるのかが不可解に見えるが、実際には韓国では一般的に客観的視点というものがないため、「自分達の事情」しか想定しておらず、「これをしたら相手がどう思うか」といった発想がない事が根底にある。
こうした事例は何も今回のことに限らず起きており、この「相手がどう反応するか」という視点が存在しない事がわかると、現在の韓国の不可解な態度の実態が見えてくる。
※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:外的要因は考慮されない
まずはこちらの記事から
慰安婦問題、日韓双方のメディアが対立を煽る構図に?
abemaTIMES 2017.12.18
https://abematimes.com/posts/3402860
(一部抜粋)
こうした流れに対し日本でも嫌韓ムードが高まり、ヘイトデモも行われている。読売新聞と韓国日報社の日韓共同世論調査では、今後の日韓関係について良くなると答えた人は韓国が56%なのに対し、日本は5%となっている。
元在韓国特命全権大使の武藤正敏氏は「日本人が今の韓国のやり方にキレてしまった。日本人はわりと我慢する国民性だが、一旦キレてしまうとこれを回復するのはなかなか大変だ。韓国の人たちはそこを理解していない。相変わらず日本はけしからん、慰安婦問題けしからんとやっている。慰安婦の合意で大事なのは、お互いが譲り合ったということ。日本にも韓国にも国民感情はある。お互いにそれを尊重し合って、いかに友好関係を作っていくのかが国の基本。韓国は『自分たちには国民感情がある、だけど日本にはあるのかね』としていることが問題」と指摘する。
世論調査の元記事
日韓関係、両国で意識にずれ…読売など調査
読売新聞 2017年06月12日
http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000302/20170612-OYT1T50082.html
これなのですが、まず前半は「慰安婦問題で韓国側が何を求めているか」を無視した中身の無い内容なので省略するとして、記事にある世論調査は今年6月に行われたものです。
まあ、なぜ半年前の調査である事が言及されていないかという疑問はありますが、現状もさして数字に変化は無いだろうということでこの数字を前提にします。
この事を踏まえても、多くの人が「なぜ現状の有様で韓国人の多くは関係改善できると思い込んでいるのか」という疑問が出てくるでしょう。
それには韓国特有の「客観的視点が存在しない判断基準」が関わっています。
以前から書いていることですが、日本人から見て「反日」に映る韓国人の態度は、韓国人から見て反日ではないという認識の事例が多いです。
それは彼らに「正しい事をしているだけ」という認識しかないからです。
そのうえで、韓国では文在寅大統領が高い支持を得ていますが、そのなかで「文大統領が韓国の積弊を清算し経済も外交も内政も全て立て直してくれる」といった論調が主流となっており、単純にそこから「対日外交も文大統領なら立て直せる」という判断に繋がった結果、あのアンケート結果となっているわけです。
そこに実態としての対日外交の現状や、日本人の感情は一切考慮されていません。
考慮対象は韓国の国内事情のみです。
2:類似の事例
これと似たような反応は現在の韓国でいくつも確認できます。
例えば文大統領による一連の訪中での問題などが典型的です。
以下の記事では、中国側が国賓待遇の外交慣例を一切守らず、晩餐会も非公開で数も少なく、THAAD問題で相変わらず圧力をかけてくる等々、他国の首脳と文大統領への対応がまるで違い失礼であるとしています。
文大統領国賓訪中、外交慣例を無視し続けた中国のごう慢 朝鮮日報 2017/12/16 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ)
またこちらの中央日報の記事ではTHAADで圧力をかけ、北朝鮮問題などの重要な案件ははぐらかし、記者暴行事件や李克強首相との昼食会なしなど、中国側の傲慢さが目立ったとしています。
【社説】「THAAD」圧力と取材陣殴打で汚れた文大統領の訪中 中央日報 2017年12月15日
また東亜日報でも、「中国の態度は冷遇を超えて無礼だ」とする記事を掲載しています。
中国、「国賓」招待しておいてこのような冷遇と無礼を犯すのか 東亜日報 December. 15, 2017
こうして読んでみると単なる中国批判記事のようにも見えますが、韓国三大紙では特に中央日報と朝鮮日報がここから文政権の「対中外交失敗」へと話をつなげています。
例えば以下の記事では「文在寅政府は『戦争を防いだ』という成果を前に出すだろうが、日本と米国の信頼と韓国民の自尊心を失った」とし「中国も韓国を屈服させる姿を全世界に確認させたと同時に、韓国民の心を失った」としています。
「韓国は日米の信頼を失い、中国は韓国民の心を失った」(1) (2) 中央日報 2017年12月18日
後半で「韓国政府が戦略的観点からアプローチしたのとは違い、中国は力を土台とした目に見える国益を確保する現実主義的アプローチをしたと分析」と良くわからない事を書いていますが、これは恐らく保険※で全体としては文政権の訪中失敗を批判する記事です。
(※文政権は自分達の意に反する相手を「積弊」認定して蹴落とすといった事をし続けているので、あまりにも否定的になると何をされるか解らないわけです)
そして興味深いのはこの記事です。
【社説】どう考えてもおかしすぎる文大統領の国賓訪中 朝鮮日報 2017/12/16 (1/2ページ) (2/2ページ)
記事では、文政権の支持者が中国と一緒になって暴行を受けた記者を叩いていると批判しています。
これが重要で、韓国において他者への批判は「相手の劣等性の指摘」であり、それはイコール「自己の優越性や正しさの証明」です。
つまり、文政権と対立する保守系が文政権の劣等性の指摘として対中外交の失敗を指摘し、それに反発した文政権支持者が「記者の劣等性の指摘」をして応酬したということです。
つまり彼らにとって重要なのは、対中外交が失敗したかどうかや中国から「韓国がどう思われたか」ではなく、双方にとって相手の劣等性の指摘(自己の正当性の証明)に繋げられるかどうかなのです。
そして更に興味深いのは、こうして韓国三大紙や韓国野党が文政権の訪中失敗を指摘すると、先日訪日した韓国野党の自由韓国党代表に対して、与党議員などが「安倍に深く頭を下げ卑屈な態度を取った」と劣等性の指摘をしました。
安倍氏へのあいさつに「屈辱外交」の声 「儀礼」と一蹴=韓国野党代表 聨合ニュース 2017/12/18
野党や三大紙などからの文政権への劣等性の指摘に対して、与党側から「野党の劣等性の指摘」をし返すことで、自分達の問題(対中外交失敗)を打ち消し「相手の問題」にすり替えようとしたわけです。
3:相手の事はどうでもいい
またこの件はそれだけでは終わりませんでした。
劣等性の指摘をされた野党側は、今度は以下のように、入国の際に「指紋押なつと顔写真の登録を拒否した」としており、そのうえで「このような点から見ると、頭を下げた目礼は「あいさつとしての姿勢」であって「屈辱外交の姿勢」ではないと見ることができる。」としています。
本当に「悪意の切り取り」? 洪準杓氏のお辞儀を動画で検証 朝鮮日報 2017/12/19
更にその後には「安倍が椅子で失礼な態度を取った」と劣等性の指摘をし始めました。
安倍首相、訪日の韓国政治家を「椅子」で格下げ? 中央日報 2017年12月19日
そしてこの事例が重要なのは、この件で彼らは「日本を見ていない」ということです。
「そもそも目的が反日では無い」と言い換えることもできます。
他者の劣等性から自己の優越性や正しさを導き出す彼らは、与党議員から「野党代表は日本に対して卑屈だ」と劣等性を指摘されたため、「我々は卑屈ではない、むしろ日本を叱り付けているのだ」と、日本の劣等性を指摘する事で自己の正当性を主張したわけです。
当然これは日本に対してかなり失礼な態度であり、中国の態度を批判した三大紙や韓国野党にブーメランとなって返ってくるはずですが、彼らの考え方ではあくまで「与党から劣等性の指摘をされたから自己の正当性を証明した」だけであって、「日本がどう思うか」は元から考慮の対象外なのです。
本質的に最初に引用した世論調査と根元の部分は同じです。
彼らは国内(内側)や自身(ウリ)の事情のみにしか関心が無く、「これをやったら相手がどう思うか」といった認識がそもそもありません。
だから文政権なら日本との関係を改善できると期待を持つ事ができ、また与党と野党の「劣等性の応酬」に日本を巻き込んでも、それが「失礼にあたる」という発想そのものが無いわけです。
ですから、例えばこの件を理由に日本側が「韓国はなんて無礼なんだ」と更に態度を硬化させた場合、韓国側は「日本側が一方的に態度を硬化させてきた」という認識になるわけです。
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