日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国政府による言論弾圧


さて、本日は先週韓国政府が韓国三大紙の朝鮮日報中央日報に行った言論弾圧について書いていきます。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


韓国政府が先週17日、朝鮮日報中央日報に対し「国内世論を日本に誤って伝えている」と名指し批判を行い、結果朝鮮日報が一部の記事を削除する事態になったが、現在韓国では扇動された人々により朝鮮日報の廃刊運動にまで発展している。


この現象の背景には、もともと現在の韓国政府はメディアが政府に否定的な報道をすることに過敏に反応し、度々圧力を加えてきたこと、特に朝鮮日報を目の敵にし標的にしてきた背景があり、「起きるべくして起きたこと」となっている。


またこの件について報じた日本のメディアも報じるメディアと報じないメディアにはっきりとした差が出た上に、このタイミングであからさまに問題のある報道をした新聞社も存在する。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:政府による言論弾圧


まずはこちらの記事から

大統領府報道官、「朝鮮日報」日本語版の見出しを真っ向批判
ハンギョレ新聞 2019-07-18
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/33920.html

懸案のブリーフィングで…「国民のためになるのか答えよ」

 コ・ミンジョン大統領府報道官が「朝鮮日報」と「中央日報」日本語版記事の見出しと内容が、国内世論を日本に誤って伝えていると、公開的に批判した。

 コ報道官は17日、懸案ブリーフィングで、「朝鮮日報は『国債補償、東学運動1世紀前に戻ったような大統領府』という見出しを日本語版では『解決策を提示せず、国民の反日感情に火を付ける韓国大統領府』(現在削除)に変更して提供した」と明らかにした。このほかにも、コ報道官は「朝鮮日報の日本語版は『日本の韓国投資1年間で-40%、最近韓国企業との接触も避ける』という国内記事の見出しを『韓国はどの面下げて日本からの投資を期待するの?』(現在削除)に変えて掲載した」と指摘した。

 彼はまた「現在もヤフージャパンの国際ニュース面には中央日報のコラム『韓国は日本をあまりにも知らなすぎる』、朝鮮日報の『外交の場に出てき…文大統領発言の翌日に外交が消えた韓国』のような記事が2位、3位にランキングされている。また中央日報が『“手あたり次第反日”という愚民化政策』という題目のコラムを、朝鮮日報が『韓国人はどれだけ不寛容なのか』(現在削除)という寄稿を日本語で日本のインターネットに掲載している」とし、「多くの日本国民がこのような記事などを通じて韓国の世論を理解している」と述べた。

 さらに「これが本当に韓国国民の声を反映したものなのか、問いたい」とし、「韓国の企業関係者が困難に直面した今の状況で、皆がそれぞれの位置から知恵を集めようとするこの時、何が韓国と韓国国民のためになるのか、答えなければならない」と述べた。

 これに先立ち、チョ・グク大統領府民政首席もフェイスブックに、朝鮮日報中央日報の日本語版の見出しが紹介された放送画面とともに、「嫌韓日本人の照会を誘引し、日本国内の嫌韓感情をあおるこうした売国的な見出しを付けたのは誰なのか」という書き込みを残した。彼は「民政首席以前に一人の韓国人として、強い抗議の意を表明する。そして両紙の責任ある回答を望む」と付け加えた。

 大統領府関係者は同日、ブリーフィングの背景と関連し、「大統領と5党代表らの会合が予定されるほど、日本問題を解決するため、多くの人が知恵と力を合わせる時だ。マスコミが韓国の世論を(日本に)正確に伝えてほしいという考えもあり、また国益の視点で(事態を)捉えてほしいという要請でもある」と説明した。ただし、大統領府が直接出るのはやり過ぎだという声もある。統領府が国内マスコミの外国語版の見出しについて、公の場で批判するのは異例のことだ。大統領府がマスコミ報道を「国益の視点」や「力を合わせなければならない時」との理由で批判するのが、マスコミの自律権と衝突する恐れがあるという懸念も示されている。

 これに先立ち、東亜自由言論守護闘争委員会や民族問題研究所、民主言論市民連合、全国言論労組など15の言論・市民団体は16日、ソウル中区の朝鮮日報本社前で、記者会見を開き「政派色に目がくらんで日本の暴挙まで味方している」と批判した。彼らは「朝鮮日報は不当な日本の経済報復を克服し、強制徴用被害者を保護しなければならない局面で、一体どの国の新聞なのか目を疑うような報道を行っている」と指摘した。
イ・ワン記者、ムン・ヒョンスク先任記者


関連記事
韓国人が怒り!“親日”報道の朝鮮日報に「それでも韓国のメディアか」、停刊求める請願には15万の署名―中国紙 Record china 2019年7月24日


記事では、朝鮮日報中央日報の日本語版が、韓国語版とタイトルを変えて「見出しと内容が国内世論を日本に誤って伝えている」としていますが、そもそも内容自体には日韓で違いはありません。


また朝鮮日報中央日報も、日本語版で記事内容の表現を変更することは過去何度もありましたが、それは国内版よりも「過激な内容を減らす」といったもので、内容自体を「より過激にする」といった事例は少なくとも私の知る限りでは存在しません。


そもそも今回の事例の場合、変わっているのはタイトルだけで内容に変更はありません。


以下に名指しされた記事のリンクを貼っておきますが


【社説】解決策を提示せず国民の反日感情に火をつける韓国大統領府 朝鮮日報 2019/07/15

輸出優遇除外:「韓国はどの面下げて日本からの投資を期待してるの?」 朝鮮日報 2019/07/04 (1/2ページ) (2/2ページ

【寄稿】韓国人はどれだけ不寛容なのか 朝鮮日報 2019/07/07(1/2ページ) (2/2ページ

【コラム】「手当たり次第反日」という愚民化政策=韓国 中央日報 2019年05月10日

【コラム】「韓国は日本をあまりにも知らなすぎる」 中央日報 2019年07月17日


そもそもどれも内容は韓国政府や政府が煽っている世論に対する批判記事であり、「誤った韓国のイメージを伝えている」というよりは、「韓国政府にとって都合の悪い内容を伝えている」といった意味のほうが正しいです。


つまり実態としては「国内の誤ったイメージを伝えている」のではなく、「政府に都合が悪い内容」なので、日本に有利に働くとして韓国政府が名指し批判をしているというのが実態です。


その結果、政府の扇動にのせられた人々が韓国の大統領府国民請願サイトに集まり、以下のように


(※1)
日本の極右の世論の前に利用されている偽のニュース源 朝鮮日報廃刊とTV朝鮮設立許可取り消し 国民請願 



朝鮮日報を廃刊、系列局のTV朝鮮を停波しろ」という請願を政府に依頼し、署名が十数万集まっているというのが現状です。


またこれにハンギョレ新聞が積極的に加担し、以下の記事のように


「朝鮮日報」不買に飛び火した日本製品不買運動 ハンギョレ新聞 2019-07-23


「日本の輸出規制で両国間の経済戦争に近い状況が起きている中で、朝鮮日報はむしろ韓国政府と国民をバッシングしている」「韓国メディアなのかどうか疑わしいほど日本政府に偏った報道をすることに反発し、不買運動を行うことにした」と煽り不買運動を呼びかけています。


つまり、現状韓国では韓国政府が政府に都合の悪い記事を書いた朝鮮日報に対し露骨に言論弾圧を加え、さらに世論を煽って「あいつらは日本の味方だ」と煽り、積極的に攻撃するよう仕向けているわけです。


2:問題の原因


そしてこの件なのですが、これは今回初めてこうなったわけでも、「日本寄り」と取られる記事を書いたからターゲットになったというわけでもありません。
実際問題それは口実であり、単に韓国政府が都合の悪い言論を封じたいだけという事が以下の事例からわかります。


例えば今年3月の事例なのですが


韓国与党「文大統領批判した記者は売国」、外信記者会「言論統制だ」 朝鮮日報 2019/03/17
「文大統領批判した記者への個人攻撃、フセイン時代のイラク以下」 朝鮮日報 2019/03/17


去年11月にブルームバーグが文大統領のことを、「文在寅大統領は金正恩氏の首席報道官」と書き、それを今年に入り韓国の野党議員が引用、国会で言及したところ、韓国政府がこれを猛烈に批判、記事を書いた韓国系記者を名指しでバッシングし、それに煽られた韓国人たちがこの記者をネット上で攻撃し始めるという事態にまでなったことがあります。


以下のFNNの記事の最後のほうに、この件に関する「ソウル外信記者会」からの公式抗議文の内容が掲載されています。


報道の自由を踏みにじる韓国与党…「文大統領は金委員長のスポークスマン」余波 FNN 2019年3月19日


またこれは今年4月のことなのですが、駐韓外信記者クラブ会長を務めた経歴のあるマイケル・ブリーン※という人物が、セウォル号の追悼施設に関連し、政府の方針に疑問を提起する記事を朝鮮日報に寄稿したところ


【寄稿】セウォル号追悼碑設置、果たして光化門は適切なのか 朝鮮日報 2019/04/21 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ


※この人物、上記朝鮮日報の記事で書いている内容は納得できる部分が多いですが、「Michael Breen」で彼について調べてみたところ、統一教会と関係のある人物のようですので、必ずしも「日本側の論調に融和的とは限らない」「信用できる人物なのかは不明」というところに注意が必要です。
また文政権をめぐる今回の一連の問題と本件は、内容を見る限り関係がないことも書いておきます。

参考
Sun Myung Moon: The Early Years 1920-53 Michael Breen



これに政府が不満を持ったのか、以下の記事にあるように


韓国公共放送KBSが本紙に寄稿した英国人ジャーナリストに圧力 朝鮮日報 2019/04/23 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ


韓国の公共放送であるKBSの人間(KBSの現在の経営陣は文政権の息のかかった人々で固められています)が、なぜか根掘り葉掘りブリーン氏に対しこの記事の件について聞きだそうとしたうえに、「朝鮮日報が書かせた」という事にして圧力をかけようとしたそうなのです。


またそのKBSにしても以下の事例のように


質問者「だから独裁者という表現が出る」 文大統領「それは違う」ぎこちない笑顔 中央日報 2019年05月10日
【社説】「独裁者」質問への集中攻撃は正しくない=韓国 中央日報 2019年05月11日


KBSが文大統領に「就任2周年KBS対談」という企画を行ったのですが、その中で文大統領への批判的なやり取りが発生し、 「野党は独裁者だと言うが、どんな感じか」「だから大統領に独裁者だと表現しているのではないか」という質問が出ました。


するとその後文大統領の支持者達からこの記者は大バッシングされ、公式に謝罪せざるを得なくなりました。


記者からこうした質問が出たのは、以下の朝鮮日報の記事を読む限りだと、文大統領が矛盾したことばかりを答え続け、記者側がだんだんとイライラしてきたのが原因のようです。


【社説】文大統領の認識が問題なのか、それとも言葉遣いに問題があるのか 朝鮮日報 2019/05/11 (1/2ページ) (2/2ページ


細かな事例はほかにも色々とありますが、こうした事例からわかるのは文政権は自分達への批判の一切を許容する意思がまるでなく、批判を受けると直接批判者に圧力をかけたり、または自分達の息のかかった人物や支持者に恫喝させる、そうした事例が元々続いていたわけです。


そしてとうとう今回のように直接恫喝する事例が発生し、本来朝鮮日報の日本語版は日曜日に前週に韓国語版に掲載された社説やコラムをまとめて掲載していたのですが、今週はそれが全てなくなりました。


朝鮮日報 2019年7月21日 記事一覧


これまで朝鮮日報は、文政権から様々な圧力を受けても政権批判をやめなかったので、今回は相当な圧力があったことがここからもわかります。

3:日本のメディアの問題


今回書いたように、文政権は「親日派」とか「土着倭寇」という単語を駆使して韓国人の民族主義を煽り、自分達に批判的なメディアに対して「あいつらは日本の味方だ」とレッテルを貼り、世論を先導して攻撃させているわけです。


参考記事
韓国政界に「時ならぬ親日」攻防 朝鮮日報 2019/03/16


この韓国政府による言論弾圧に対して、日本のメディアのいくつかが反応しており、例えば以下のように


文政権、「日本は急所突いた」との韓国紙記事批判 読売新聞 2019/07/18
文政権が韓国紙日本語版を「売国的」と批判 事実上言論統制 産経新聞 2019.7.17


読売と産経は文政権が朝鮮日報中央日報に圧力をかけたことをすぐに報じています。


また日経新聞は、それ単体では記事にしていませんが以下の記事の最後の部分で

韓国、輸出規制で総合対策検討 米に再び協力要請
日経新聞 2019/7/17
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47437940X10C19A7FF8000/

(一部抜粋)
韓国大統領府は保守系メディア批判まで繰り出し始めた。大統領府報道官は17日の記者会見で大手の朝鮮日報中央日報の日本語版サイトの見出しや内容が韓国政府に批判的だと指摘し「韓国国民の声を反映しているのか問いたい」などと注文を付けた。


上記のように問題化しています。


そして問題は毎日新聞朝日新聞で、そもそも毎日新聞は少なくともこの記事を書いている2019年7月24日時点までにこの件に関する記事は私の調べた限りでは存在しません。


さらに問題なのが朝日新聞で、最初に挙げた韓国政府から朝鮮日報中央日報への圧力があったのは2019年7月17日なのですが、朝日にはその件に関する記事がないというだけではなく、以下の記事にもあるように

韓国で過熱報道→強硬発言の悪循環 日本側は冷めた見方
朝日新聞 2019年7月17日
https://www.asahi.com/articles/ASM7J5DSXM7JUHBI028.html

(一部抜粋)
文氏による対日批判には、韓国メディアによる過熱報道が影響している。日本政府の規制発表後、一部の日本メディアが、安倍政権の匿名与党幹部の話として、規制対象の素材が北朝鮮に密輸された疑惑がある、などと報じた。

韓国メディアはこの報道を相次ぎ引用。安倍晋三首相が疑惑を指摘したかのように伝え、紙面には「対北制裁を持ち出し、報復を正当化した安倍」(東亜日報)、「北制裁と韓国報復を連結 安倍の前例のない誹謗中傷」(中央日報)、「根拠ない安倍カード 攻撃に出た安倍」(朝鮮日報)などの見出しが躍った。


韓国政府が過激なのではなく、朝鮮日報中央日報東亜日報が「過熱報道をしている」ことが影響しているのだと、一連の問題の原因を朝鮮日報中央日報東亜日報に転嫁しているのです。


韓国政府が、朝鮮日報中央日報は過激なタイトルで「国内世論を日本に誤って伝えている」「これが本当に韓国国民の声を反映したものなのか、問いたい」と露骨に圧力をかけた当日に、日韓の一連の問題の原因の一端がこの2社+東亜日報にあると記事を書いたわけです。


そもそもの問題として、不正輸出の疑惑を報じたのはフジのFNNで、この3社が当初伝えたのもその件です(というよりこの件はハンギョレ含む殆どの韓国メディアが報じています)、最初に「安倍晋三首相が疑惑を指摘したかのよう」な論調を言い出したのは韓国政府関係者であって、この3社を含む韓国メディアは「その後」それを煽ったというのが真相です。時系列が本来は逆なのです。


参考記事
安倍首相の“こじつけ”…「北朝鮮制裁」と結び付けて経済報復を合理化 ハンギョレ新聞 2019-07-08


朝日のこの記事はそもそもの事実関係がおかしいうえに、朝日がどういうつもりなのかは知りませんが、結果的に韓国政府による言論弾圧をサポートする形になっているわけです。


朝日新聞は、先日の選挙で安倍首相の演説への野次をした人物が警察によって退場させられた件に対して、「言論弾圧だ」と批判していましたし、一連の放送法をめぐる問題や、東京新聞の望月衣塑子氏をめぐる問題でも、「政府による言論弾圧」と批判していたはずですが、どういうつもりなのでしょうか。



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(※1)
日本の極右の世論の前に利用されている偽のニュース源 朝鮮日報廃刊とTV朝鮮設立許可取り消し
国民請願 
https://www1.president.go.kr/petitions/581384

私は政府の朝鮮日報が報道機関としての機能をもうしないように廃刊処分をしてくださることと、系列局であるTV朝鮮また国の許可を取り消してくださることを請願します。

大韓民国表現の自由が保障される国であり、報道機関は権力を牽制する者として報道の自由も保障されます。 しかし、朝鮮日報の場合には、自分に与えられた報道の自由を託して偽ニュースで世論を歪曲して、自分が敵視する政治勢力を攻撃するためには、検証されていない偽ニュースもはばからず、実際に引き揚げ報道しています。 これは私たちの憲法がマスコミの自由を保障した旨も正面から反して、法的に保護する価値がないと思います。

現在のすべての報道機関をあわせて、朝鮮日報が過去に報道した偽のニュースについて訂正報道を最も多くした新聞社であることを理由に、裁判所の判決に基づいて廃刊措置させ、巨大メディアの世論糊塗横暴に対抗して戦ってください。
系列会社であるTV朝鮮また連日扇情的で露骨な文章で事実を歪曲して偽りのニュースで国益を損なうしています。 放送通信委員会の手順に従って放送局設立許可処分を取り消してください。