さて、本日は一連のGSOMIA問題に関連して、私の勘違いやいくつか新たな情報もあるため、そのあたりについて手短に書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由
注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:「対話」と「協議」
まずはコメント欄で指摘いただいた日経ビジネスの記事から
(長い記事なので該当部分のみ抜粋します)
韓国の“独り相撲”のGSOMIA狂騒を読み解く
日経ビジネス 2019年11月25日
(1/4ページ) (2/4ページ) (3/4ページ) (4/4ページ)
(一部抜粋)
さらに国内向けのメンツのために、輸出管理での局長級の会合を「協議」と位置付けて説明し、日本が譲歩したように見せかけた。
しかし、これは「協議」ではなく「対話」である。
一般には分かりにくいが、国同士の「協議」と「対話」は、その意味が大きく異なる。きちっと使い分けるのが国際的にも常識になっている。つまり「協議」とは国同士の交渉の場であるのに対して、「対話」は交渉の場ではなく、単に意見交換して理解を深め合うものだ。
韓国は日本の輸出管理厳格化の措置の撤回に向けて交渉する場だと国内的に言えるように、故意に「協議」と言い換えているのだ。
ところが事実は、正確には「輸出管理政策対話」と言われるもので、お互いの輸出管理についての理解を深め合うものだ。しかもこれは、以前から日韓政府間の意見交換の場として局長級で行われてきたもので、特に新しい動きではない。ところが文政権になって以降の過去2年半、韓国が会合の開催に応じてこなかった。これを従前通りに再開したものだ。つまり、日本の措置の撤回に向けた協議ではない。
「WTO提訴の中断」のカードで「政策対話の再開」を買った
日本側は何もこれまでの方針を変えていないし、何も譲歩していない。「対話」は輸出管理厳格化についての決定の見直しに何らコミットしていない。これまでも日本政府は「一定の条件が整えば対話を再開する」と言ってきた。その「一定の条件」が満たされたと判断したのだ。それが「WTO手続きの中断」という通報だ。
7月に課長級の「事務的説明会」が開催された。あの冷え冷えとした雰囲気の中で行われた会合の後、韓国側のゆがんだコメント発表に日本政府はあぜんとした。“言った言わない”で相当ギクシャクして、実に後味の悪いものだった。
その後、非公式に役人同士でコミュニケーションを繰り返し、WTOでは長時間の二国間協議も経て、次第に事務レベルでは韓国側の理解も進んだのは間違いない。韓国側が自分たちの輸出管理の問題点も認識し、この間、輸出管理当局同士の意思疎通がある程度進んだのも事実だ。
それでもWTO提訴というけんかを売られているうちは、真摯な「対話」などできるはずがない。今回のWTOプロセスの中断通知があったからこそ、日本側も「韓国が問題点改善の意欲を示した」と認めて、「対話」再開を決めたのだ。
ところが韓国は国内へのメンツから、こうした事実を認めたくない。GSOMIAの失効回避と輸出管理厳格化の対話の再開を意図的にリンクさせることで何とかメンツを保とうとしている。それは韓国の報道を見ても明らかだ。
韓国側はGSOMIAと関連付けるために、そう見えるようにタイミングを見計らって「WTO提訴プロセスの中断」というカードを切ってきた。日本はそのカードに対して輸出管理当局として上記のような当然の判断をしただけで、何らGSOMIAとは無関係だ。タイミングも含めて必死に関連付けようとしているのはあくまでも韓国なのだ。
一連の輸出優遇措置解除問題において詳細な解説をしている細川昌彦中部大学特任教授の記事なのですが、細川氏によると「協議」と「対話」は全く別物なのだそうです。
先日の動画のほうでは、私はこの違いを理解しておらず協議と対話を混同してしまっていたのですが、「協議」とは国同士の交渉の事であり、「対話」とは意見交換をして問題等の理解を深める、つまり共通認識化を行う場という事だそうです。
そして私は動画でこの「対話」の事を「協議」としてしまっていた事と、その後の訂正で「優遇措置を元に戻すかどうかをその後協議する」としてしまっていましたが、実はこれも間違いで、そもそも許可するかどうかは日本の判断で行うものであるため韓国と「協議」するような性質のものではないそうです。
よくよく考えてみればこれは当たり前のことで、日本側は韓国の「輸出管理の杜撰さ」を問題視しているのですから、問題点が改善されたかどうか、それによって優遇措置を新たに許可できるかどうか、それを判断するのは日本政府であり、韓国政府がその判断に関与することはできないからです。
そのうえで改めて今回の問題を整理すると、まず今回日本政府が韓国政府と取り決めたのは「輸出管理政策対話」と呼ばれるもので、2018年6月に本来行うべきだった対話での、韓国側の輸出管理の問題点を指摘し「日韓で問題点の共通認識化をはかる」というわけです。
そして、それがいつ頃になるかわかりませんが、韓国側が問題点の改善を行い、そのうえで日本側と「実際に改善が行われたかどうか、問題点が残っていないか」の対話(協議?)を改めて行い、それで問題がないと日本側が判断後「優遇措置を行えるかどうかの判断」をするという流れです。
そのうえで以下の毎日の記事のように
対韓輸出規制問題 政府、12月にも協議の意向 毎日新聞 2019年11月25日
日本「韓国、3つの条件クリアしなければホワイト国復帰ない…数年かかる」 中央日報 2019年11月25日
(スマートフォン版)
https://s.japanese.joins.com/JArticle/259954
「12月に協議」とか、「復帰に数年かかる」というのは間違いです。
おおよそ察しは付くでしょうが、そもそもこの「輸出管理政策対話」は「韓国を優遇国に復帰させるかどうか」を話す場ではありません。
あくまで「問題点の共通認識化をはかる」場であり、それを受けて韓国側が輸出管理の改善措置をとるわけですから、それがいつ頃になるかなどわかりませんし、何よりしっかりと改善が行われるのか、できたとして日本側がそれを優遇国に復帰させる判断材料とできるかは未知数であり、「時期」など決めようがないのです。
「数年かかる」というのは、あくまで記事を書いた毎日新聞の記者の願望に過ぎないわけです。
2:特別なことは何も必要ない
次に、韓国側は以下の記事にあるように
「輸出規制撤回に1カ月程度必要」 GSOMIA終了前に日本が言及=韓国政府筋 聯合ニュース 2019.11.25
韓国側は「輸出規制撤回に1カ月程度必要」と強弁していましたが、当然これもあきらかに事実と異なっています。
(※これはよく読んでみると「(日本側が)韓国に問題点がないと判断してから、優遇措置を再度承認するまでに1か月」とも読めます。)
実際問題、なぜ韓国側がこんなことを言っているかといえば、実のところ韓国側はメディアも含め本来の問題点である「韓国による戦略物資輸出管理の杜撰さ」について国民に一切説明をしていません。
以下の記事にあるように
「不買運動、日本経済に及ぼす影響はゼロ」…強硬一辺倒の日本の観点
中央日報 2019.11.19
https://japanese.joins.com/JArticle/259704
スマートフォン版
https://s.japanese.joins.com/JArticle/259704
(一部抜粋)
対外経済政策研究院のチョン・ソンチュン先進経済室長は「日本政府の立場をより緻密に理解する必要がある」と主張した。彼は「日本政府が持っている韓国の輸出制度に対する不満事項を見ればキャッチオール制度の不十分さ、輸出管理人材不足、両国間の政策対話に応じないことなどが指摘されている。韓国政府はこうした不満を解消するため前向きに対応する必要がある」と指摘した。
専門家の間では問題が過去何度か指摘されていたので、おそらく政府内でも問題は認識していたのでしょうが、彼らはその独特の「正しさ」の概念から、「問題が起きたならそれは相手のせいである」と考える傾向にあるため、「原因は日本が徴用工問題の報復をしてきたからだ」と強弁し続け、一般の韓国人はそもそもこの件での本来の問題自体を知りません。
※独特の正しさの概念
彼らの正しさの概念は独特であり、根拠を必要としない。
また「この世には最初から一つの正しさが存在する」と考えられており、自分はその正しさを常に選択していると考える傾向にある。
そして正しさ同士がぶつかった場合には、(曲解でも捏造でもその件と全く関係なくともなんでもいいので)相手の劣等性を指摘する事でそれを自己の正しさの担保とする。
また相手の劣等性を指摘した時点で自身が指摘された問題は相手の問題にすり替わる。
youtube版
https://youtu.be/PvEa1FjkkEw
そのため、このままだと文政権が韓国内で「日本が悪いのに政府が折れた」と「劣等性の指摘」をされてしまうため、「日本が折れて制裁を解除したのだ」というストーリーを作り上げ、原因を日本に転嫁しようとしたわけです。
しかし、日本側が「日本は殆ど譲歩していない」と言っていることがメディアに報じられ、さらにこの件でアメリカ側から「韓国の信頼が損なわれた」と明言されたうえに
アーミテージとビクター・チャ「韓米信頼は既に損傷」 東亜日報 November. 25, 2019
先ほどの毎日新聞と中央日報の記事「日本「韓国、3つの条件クリアしなければホワイト国復帰ない…数年かかる」 」で言及されていたように、日本側が具体的に何が問題なのかを明言して問題提起してきたうえに、面子を保つための「日本からの謝罪」の件も日本側に否定され、韓国側は発言を翻しています。
以下の聯合ニュースの記事がわかり易いですが
日本の対韓輸出規制 「撤回される方向で協議」=韓国外交部 聯合ニュース 2019.11.26
元々韓国側は、韓国がGSOMIA破棄を撤回すれば日本がすぐにでも優遇措置を元に戻すかのように主張していたのが、「関連規制が撤回され、元に戻ることを期待しており、そのような方向で協議が行われることを期待する」と、いきなりトーンを大幅に落としているのです。
これはどういうことかといえば、過去韓国は問題が起きると、ひたすら時間稼ぎになるような行為をし続け、少しでも相手が折れると勝手に自分達に都合の良いような状況を既成事実化してしまうという態度をとってきました。
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しかし今回、日本側がこれまでと違い韓国に一切「配慮」せず、この作戦ができなかったため、「GSOMIA破棄を撤回したのだから日本は輸出規制を撤回することになった」という既成事実化に失敗し、事態を取り繕う手段がなくなり強弁し続けることができなくなったわけです。
現在も韓国は何とか自分達に有利になるよう、都合の良い話を既成事実化しようとしていますが、今後も日本側が韓国側に「配慮」しなければそれで済む話なうえに、この問題は「韓国が解決すべき問題」なのですから、日本が手助けをして泥をかぶる必要もありません。
何より、今回の件は兵器転用可能な戦略物資にかかわる問題である以上、韓国の杜撰な輸出入管理を日本が放置すれば、当然日本の責任問題にもなるため、韓国側が何を言ってきても一切答えず、「韓国側が問題を自力で解決する」まで放置でいいでしょう。
特に手助けする必要もないのは当然の事として、過去の河野太郎大臣のように無駄に韓国を煽る必要もないのです。
ただ淡々と事務的に対応すればそれでいいのですから。
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