日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国は「自己完結」社会


さて、本日は以前書いた「易地思之」に関連した内容となります。

また、本日引用しようとしていた東亜日報の記事がなぜか消えており、誤報だったのかそれ以外の理由だったのかが不明であるため、土壇場で内容の変更を行ったので少々短めの記事となります。


韓国関連でよくトラブルになる事柄として、韓国側が一方的に自分達の言い分を通そうとして譲らないため、結果まとまるはずの事柄がまとまらなくなるという事例があるが、これには韓国独特の考え方が関係している。


韓国では、以前から書いているように「その時の感情」を最も優先するが、そうした状況で彼らは多くの場合で自己完結で「相手はこう考えているはずだ」という自身に都合のいい好意的解釈を行い、その前提で相手と対話をし、想定した通りにならないと「裏切られた」と感じる事がある。


これがあるため、彼らはそもそも相手の意見を聞いて対話に反映させるというプロセスが行われない事が多く、結果日本人の常識ではまとまるはずの事柄がまとまらず、通じるはずの意見が通らないという状況が発生する。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:主観で決定され「相手の意見」は反映されない


まずはこちらの記事から

韓経:【コラム】感情論理から抜け出して日本と接する=韓国
2017年06月27日13時16分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/587/230587.html

韓国の大統領は「権不十年」どころか「権不五年」であるため、あれこれしているとすぐに5年が過ぎる。韓日関係戦略が非常に不足した韓国で日本専門家の力はまともに発揮されず、感情論理と民主論理に埋もれてしまわないか心配だ。この2つの論理が通じない日本であるため、その2つの基準を突きつけるのは国益にならない。消耗的な空転で歳月が流れるだけだ。経済を活性化し、青年をより豊かな経験の海に導こうとするのなら、感情論理、民主論理とは違う基準での日本との接し方が要求される。文在寅ムン・ジェイン)政権の対日戦略として「個別案件は専門家に任せ、経済文化は協力しよう」という趣旨の実利路線を提言する。

感情を前に出して少女像を日本大使館や領事館の前に設置して抗議したところで、日本政府が頭を下げて「慰安婦問題を再交渉する」と言ってくることはあり得ない。日本政府としては朴槿恵(パク・クネ)政権当時に「最終的、不可逆的」に慰安婦問題が解決されたと見るからだ。「不可逆的」とは「二度と後戻りしない」という意味であるため、、日本としては「すでに解決したことをなぜまた持ち出すのか」と背を向けるしかない。もし日本国民が人権や人間の尊厳性を前に出して自国政府に抗議するようなことを望んでいるのなら、それは安易な考えだ。ほとんどの日本人は人権や尊厳性など抽象概念を深刻に悩むこともないうえ、政治外交は政府に任せて沈黙する方向で慣れている。

すぐに解決することでもない事案に韓日関係が足を取られ、目の前の問題も解決できないのが昨今の韓国だ。「慰安婦問題は専門家グループが議論することにしよう」という方向に誘導し、深刻な青年失業の解消などのために日本を利用するのが賢明な戦略だ。韓国は青年の就職が難しく厳しい現実である半面、日本は企業が人を確保できず苦労している。韓国の青年の日本中堅企業就職は、仕事に慣れていきながら日本を知っていく機会にもなる。日本企業としても悪くはない。対外志向が不足する日本の会社員に新たな刺激になるためだ。

韓日関係で画期的な転機は、1998年の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相の「21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップのための共同宣言」だ。この宣言は韓流文化ブームの導火線となり、2002年のサッカー韓日ワールドカップ(W杯)共同開催を経て韓流は熟していった。その韓日関係は2012年の李明博(イ・ミョンバク)前大統領の独島(ドクト、日本名・竹島)訪問と「天皇謝罪発言」で冷え込んだ。日本で文在寅ムン・ジェイン)大統領は「反日」イメージとして映っている。盧武鉉ノ・ムヒョン)元大統領の秘書室長だったという文大統領の経歴を挙げ、盧武鉉政権当時と似ているという推測もしている。ところが盧武鉉政権は金大中政権を受け継いだ。これを外交的な武器として逆に利用し「金大中-小渕宣言の精神で進んでいこう」という戦略が有効だろう。

文大統領は1953年生まれ、安倍首相は1954年生まれと年齢は近いが、形成されてきた思考は対照的だ。文大統領は草の根民主主義を経験し、人権を重視してきた庶民出身である半面、安倍首相は自民党結成(1955年)以降続いてきた政治権力の家門出身だ。2人は全く違う。したがって文大統領が安倍首相に韓国的な民主論理を強調しても空回りするしかない。2人の間の考え方のコードと情緒の違いを認め、外交および政治の象徴としてお互い握手して写真を撮ることができる関係なら合格点といえる。それ自体が大きな進展だ。

鞠重鎬(クク・ジュンホ)/横浜市立大教授


この記事なのですが、主題としては朴政権の頃から言われている政治問題と経済問題を分離して日本と外交を行う、「ツートラック戦略」について言及されているわけですが、これは簡単に書くと「政治でも経済でも韓国の言い分を聞くべき」というだけの内容です。


また言及されている慰安婦合意での「日本側は人権や人間の尊厳性が欠如している」とは、いわゆる「劣等性の指摘」をしていますが、これも要するに「自分達はこの世の絶対普遍の道徳に基いて要求しているのだから、本来は要求が通るはず」と想定しているからです。


実際には、以前から書いているように韓国側の要求は韓国側の望む慰安婦の定義「軍や国の方針としての命令で軍人や官憲が直接的に行った女性の拉致の法的責任を日本が認めること」であり、そんな事実は存在しないので当然日本側がその法的責任を認める事はありません。


しかし彼らのなかでは、この定義が「人類普遍の正しさ」であると自己完結しているため、それを受け入れない日本側が道徳的な人格破綻者に見えているわけです。


また経済関連でも、「日本企業としても悪くはない。対外志向が不足する日本の会社員に新たな刺激になるためだ。」としていますが、韓国人が国際感覚に優れているといった国際的評価は存在していません。


むしろ以前動画で紹介した事例のように、閉鎖的で排他的な社会の風潮が問題視されています。


これらも、韓国人が勝手に自己完結でそう思い込み、それを日韓友好を訴える日本人が無批判に受け入れているだけです。
要するに、韓国では「自分がそう思っている」=「世界の常識」という考え方が根強いのです。


これは他の事例でも同じで、先日韓国で「外国人留学生“独島愛”スピーチコンテスト」という発表会が開かれ、日本国籍の韓国系ハーフの人物が参加したようなのですが、そこで主張された「竹島が韓国領である」という主張の根拠が非常に特徴的でした。


日本人が“独島愛”コンテストに?…「簡単ではない選択だった」() () 中央日報 2017年06月27日


記事では「韓国が独島のことを知らなかったはずがない。今から1500年前に新羅異斯夫(イサブ)という将軍が住んでいた」という話が持ち出され、これが韓国領だとする主要な根拠となっていたのですが、これは国際法上認められる領有権原ではないという根本的な問題以外に、日本人の常識で見ると致命的な問題を含んでいます。


異斯夫という人物の記録は、現存する朝鮮最古の歴史書である三国史記于山国討伐で言及されているのですが、この于山国とは現在の鬱陵島のことです。


この人物は新羅の軍人であり、当時新羅に服属していなかった于山国鬱陵島)を計略によって服属させたという記録があります。


要するに、「今から1500年前に新羅異斯夫(イサブ)という将軍が住んでいた」とは、計略によって服属させた「元于山国鬱陵島」に住んでいたという事です。
当たり前の事ですが鬱陵島竹島は別の島です。


以下が鬱陵島竹島の位置関係




そしてこの鬱陵島竹島の混同は今から十数年前までに日本側から長年繰り返し突っ込みを入れられ、韓国側は苦し紛れに「竹島は鬱陵”諸島”の一部である」と主張するようになりました。
つまり、島嶼(とうしょ)なのだから元々鬱陵島に属している認識だったという主張です。


これは明らかに後付け設定であるうえに、鬱陵島の住民や新羅竹島鬱陵島に含んでいたという記録もどこにもなく、その事も日本側から散々突っ込まれていますが、彼らは今でもこうした主張を行い、異斯夫の事例もこの件をベースとしています。


要するに日本側からの反論を無視しているわけですが、韓国ではこの「竹島鬱陵島に服属する島嶼である」という説が自己完結で一般化しているため、「日本人は昔から韓国の領土だった事を無視している」と広く信じられており、今でも竹島領有の有力な根拠とされているのです。


日本人の常識からすると意味不明ですが、彼らの社会ではこれが一般的に成り立っており、だからこそ「自己完結社会」なのです。
相手の意見は余程のことが無い限り(韓国的価値観での「反論」が思いつかない限り)そもそも考慮されないのです。


2:自分がそう思うなら相手も同じ考え


こうした一方的な自己完結による齟齬はなにも日本に対してだけではなく、他の事例でもよく見られます。


例えば最近韓国の文在寅大統領が、2018年に韓国で開かれる平昌オリンピックに南北合同チームで参加しようと北朝鮮に呼びかけましたが、呼びかけた2時間後に北朝鮮側から拒否されました。


張雄IOC委員、文大統領の「平昌南北統一チーム」提案に難色表明 東亜日報 June. 26, 2017


北朝鮮側としては、これを外交カードとして使い経済制裁を解除させたい目論見があったようで、結果的に文政権が支持率維持のための目論見として行った行為が、逆に北朝鮮に政治利用されたという事例です。


これも要するに、文政権は「自分達が呼びかければ北は答えるはず」と自己完結で思い込んでいたからです。
北の事情や思惑は一切考慮していなかったのです。


また他にも、先週アメリカを訪問した文正仁大統領特別補佐官が、訪問中に「北朝鮮が挑発を中止すれば、韓米合同訓練の縮小を米国と協議できる」と発言し、アメリカで大問題となった事例がありました。


米が注目する文正仁氏の振る舞い 東亜日報 June. 24, 2017


この事例では、アメリカがあまりにも強く不快感を表したため、文政権は「個人の発言である」と火消しをしようとしましたが、これと似たような発言は過去に文大統領自身もしていたため何の説得力もありませんでした。


この件も同じで、文正仁大統領特別補佐官は文大統領も同じ事を言っていたと同時に、「自分がそう思っているのだから相手(アメリカ)もその意図は理解するはずだ(=易地思之)」と自己完結していた事例です。


韓国側は事前にはアメリカがここまで強く反発するとは想定していなかったのです。
(観測気球だったという意見もありますが、その後の韓国政府の慌てようから私はそれは無いと見ています。)


またTHAAD配備問題でも、文政権はアメリカにも中国にも「いい顔」をしようとしており、そのため配備を「手続きの問題」として先送りしていますが、これに関してアメリカも中国も一切納得しておらず、特にアメリカ側は「韓国を守るものなのに理解不能だ」という態度を取っています。


米CSIS所長、「THAADをなぜ先送りするのか、文大統領は質問を受けるだろう」 東亜日報 June. 26, 2017


しかし文政権は、既に「蝙蝠外交」の意図がアメリカにも中国にも完全に看破されているにも関わらず、「手続き上の問題である事はアメリカも理解するはずだ」との見解を発表しています。


文大統領「首脳会談でトランプ大統領との信頼を積む」 ハンギョレ新聞 2017.06.26


この事例でも、文政権はアメリカの考えや思惑などは一切考慮していません。
「自分がそう思うのならば相手は理解するはず」と自己完結しているのです。


そしてこうして自己完結で結論を導き出し、思った通りにならないと彼らは「相手に裏切られた」と感じる傾向にあります。
主観的な視点のみによって導き出された「絶対的正しさ」が結論として存在しているうえに、相手の事情を一切考慮しないため、異なる見解を出されると「相手が不道徳を働いた」と感じるわけです。


ですから、本日韓国の聨合ニュースがアメリカが文大統領のために「破格のもてなしで歓迎する」とニュースにしていますが、


トランプ氏 文大統領に破格の待遇へ=「最高のもてなし」 聨合ニュース 2017/06/28


これでもしトランプ大統領がTHAAD問題などを持ち出した場合、韓国人の多くは「アメリカが後ろから殴ってきた」と不満を持つでしょう。
「特別待遇をしたのだから韓国に厳しい態度は取らないはず」と「自己完結で」想定する傾向にあるからです。


韓国関連の対応の難しさはここにあるわけです。


3:日本の常識で対応してはいけない


現在、故吉田清治氏が韓国の国立墓地に建立した謝罪碑を、吉田清治氏の息子と元自衛官の奥茂治氏が、「発言が捏造だったのだから別の内容に変える」として、碑文の上に別の碑文を上書きした件、韓国で問題となり奥氏が韓国の警察から取調べを受け、現在韓国で出国禁止措置を取られています。


吉田清治氏の慰安婦謝罪碑書き換え 韓国警察が元自衛官の奥治氏を出国禁止 損壊容疑で取り調べ 産経新聞 2017.6.26(1/2ページ) (2/2ページ


奥氏は「韓国では吉田証言の嘘について認知されていない。裁判ではっきりと説明していきたい」という考えから、自ら韓国に赴き警察に出頭したようですが、今回書いたような事例からもわかるように、それは不可能です。


韓国では慰安婦の定義が「軍や国の方針としての命令で軍人や官憲が直接的に行った女性の拉致」で「決定している」ので、吉田証言のような「拉致」の事例は紛れも無い事実と認識されているのです。


ですから百歩譲って吉田証言の虚偽は認めても、上記定義を否定するような主張は韓国では決して受け入れられません。


また、一時期朝鮮日報朝日新聞で吉田証言を虚偽と認める記事を掲載したときに「証言が嘘の事は解っていた」と記事にしましたが、その前後では吉田証言を肯定しており、結局認識は変わっていません。


彼らは相手の意見を考慮せず「自己完結」で結論を出す傾向が強いので、奥氏が何を言おうと意味が無いのです。
恐らく奥氏は産経新聞の加藤元支局長と同じような政治的決着になるでしょうが、それで韓国側の認識が変わる事は無いのです。


ですからむしろ奥氏の主張は、韓国で「道徳心があるのなら韓国の望む慰安婦の定義を肯定するはずで」あり、それを否定するのは「普遍的人権を否定する不道徳な右翼」としか認識されず、韓国社会からバッシングされるだけです。


そもそも、奥氏の意図が成立する社会であれば、慰安婦合意も竹島問題もここまで拗れに拗れたりはしません。
根本的な思考ロジックが異なるからこうなるのであり、今からでも奥氏は「韓国人に訴える」のではなく、「国際社会に訴える」方針へ転換するべきでしょう。



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