日韓問題(初心者向け)

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慰安婦合意を「反故」にしたい韓国


さて、本日は昨年末に日韓の間で合意したいわゆる慰安婦合意に関連し、「破っても良い口実」を次々と作り出している韓国について書いていきます。


昨年末に合意されたいわゆる慰安婦合意には、「最終的かつ不可逆的な解決」などの内容が盛り込まれたが、以前から書いているように韓国では「正しさ」に根拠が必要ないこともあり、韓国側の望む通りになっていない=慰安婦合意を日本側が破ったとの認識が形成されつつある。


これには「主観的・絶対的正しさ」以外にも「相手も自分と同じ考えだと思い、違うと分かると裏切られたと思う」という韓国独特の考え方と、「被害者は序列の上位に位置する」という考え方が関係している。


このことにより、現在韓国では「日本が合意を破っているのになぜ韓国が守るのか」との世論が形成されつつあり、また「解決」の定義も日韓で異なっている事から、数年以内に合意が破られる可能性が高い。


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:「合意が破られた」と感じている韓国


まずはこちらの記事から


日本の教科書 慰安婦に関する韓日合意反映せず=韓国議員
聨合ニュース 2016/09/30
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2016/09/30/0400000000AJP20160930001000882.HTML

【ソウル聯合ニュース】来年から日本の学校で使われる歴史の教科書について、韓国の最大野党・共に民主党の金炳旭(キム・ビョンウク)議員が30日、「(旧日本軍の)慰安婦問題をめぐる昨年末の韓日合意が全く反映されていない」と批判した。国会教育文化体育観光委員会に所属する同氏は政府系シンクタンク東北アジア歴史財団の資料を公開しながら、教科書が旧日本軍による強制動員の事実に触れず、依然としてあいまいに記述にしていると指摘した。

 東北アジア歴史財団は日本文部科学省の今年の検定に合格した11点の教科書を分析し、「慰安婦が旧日本軍により計画された点が示されておらず、誤解の余地がある」と指摘した。また、昨年末の韓日合意時に取り上げられた日本政府の責任に対する部分や、日本の首相がおわびと反省の気持ちを表明したという部分が反映されていないことは問題だとし、歴史的な事実と日本政府の責任が忠実に反映されるよう修正が必要との見解を示した。

 金氏は「日本政府が慰安婦に対する自分たちの責任を全く認めていない教科書を使うというのは、韓日合意の内容に真っ向から反するもの」と指摘。教科書には旧日本軍による慰安婦集めの強制性が記されておらず、自発的に募集に応じたと思わせるようなあいまいな表現になっているとした。

 このほか、新羅を日本の属国、高麗を元の属国と記述した点、16世紀末の壬辰倭乱文禄・慶長の役)を侵略ではなく派兵と表現した点も問題視した。

 東北アジア歴史財団は2011年から、日本の検定に合格した教科書の内容を分析し、韓国に関連した記述のうち歴史をゆがめていると思われる部分の修正を働きかけるよう、韓国政府に求めてきた。


まず上記の記事なのですが、韓国の言い分としては慰安婦とは「軍命令によって軍人が組織的に女性を拉致した」と定義されており、韓国では慰安婦といえばこれ以外は殆どの場合認められていません。


実際、現在も韓国で「慰安婦の名誉を傷つけた」「歴史の歪曲」と非難され裁判を受けている世宗大学朴裕河教授は、この定義から外れた慰安婦の定義を著書『帝国の慰安婦で記述したため訴えられたという背景を持ちます。


しかし実際のところどうなのかといえば、2年前にこのブロマガで記事にした「【河野談話】韓国政府が自爆しました」でも書いたように、日本側が「軍命令によって軍人が組織的に女性を拉致」の有無について再検証したところ、韓国側は「ある」とする根拠を何一つ提示できませんでした。


にもかかわらず、現在韓国は最初に引用した記事でもあるように、「軍命令によって軍人が組織的に女性を拉致」を日本側が認めた事になっており、教科書にその記述がないのだから慰安婦合意が破られたとしています。


なぜなら、根拠を必要とせずまた「被害者が最も偉い」という価値観を持つ彼らにとっては、上記定義で被害者を名乗る人物が現れた時点で、自分達(ウリ)の優越性と日本人(ナム)の劣等性が証明されているため、彼らの中ではこれがゆるぎない事実なのです。


※「ウリとナム」に関しては下記参照
韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念


また、これも以前書いていますが、ソウル大学の李符永教授の著書『現代韓国人の国民性格』で書かれているように、韓国人の多くは「相手も自分と同じ考えだと思い、違うと分かると裏切られたと思う」と考える傾向にあります。


ですから、彼らが「正しい」と感じたものは何の客観性の提示がなくとも他者も「正しい」と感じるべきであり、この正しさを否定する相手は間違った考えや何か不正をしているはずだと考える傾向にあるため、「裏切られた」と感じるわけです。


今回の場合も同じで、彼らが定義する慰安婦が日本の教科書によって否定されているため、彼らは「日本に裏切られた」と感じており、「なぜ自分達だけ合意を守らなければいけないのだ」となっているわけです。


2:「解決した」の解釈が異なる


彼らが慰安婦合意を反故にしようとする動機付けは他にもあり、最近韓国では韓国最大の慰安婦団体である「挺対協」が「旧日本軍の慰安婦被害者に安倍晋三首相の名前で謝罪の手紙を送るよう求める要請」をし、韓国政府がこれを支持しました。


日本側の「感性的な措置」期待 慰安婦問題で=韓国外交部 聨合ニュース 2016/09/29


しかし、昨年の慰安婦合意では「最終的かつ不可逆的に解決」となっているのですから、追加でまた何かしていたら不可逆的ではなくなってしまいます、つまりこの要求自体が厳密には本来合意違反なのですが、彼らはそうは考えません。


そもそも、彼らがなぜ慰安婦問題に拘るかといえば、以前も書きましたが韓国では「どちらが上か下か」という序列を最も重要視していることや、被害者になることが出来れば自動的に序列が上位になれる特異な価値観があります。


また、これも以前から書いていますが韓国的価値観では自己の優越性や正当性は「他者の劣等性を担保に証明される」独特の価値観が存在しており、日本に対して慰安婦問題の件で責め続けるという「行為そのもの」が、彼らにとっては自己の優越性や正当性の証となっています。


ですから、日本側が先ほど書いた慰安婦の定義を認めて「永久に謝罪し続ける事」が彼らにとっての解決と認識されており、不可逆的な解決の合意をしたからとそれ以降「何の要求もしてはいけない」という発想そのものが無いのです。


このことは慰安婦合意が行われた直後から、韓国メディアなどでも主張されてきたことです。


慰安婦合意:「最終的かつ不可逆的」明言、韓国は対日カード失う懸念も 朝鮮日報 2015/12/29 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ


彼らにとっては、慰安婦問題とは被害者云々を飛び越えて、自分達の優越性や道徳的優位性、また序列決定に非常に重要な役割を果たしている問題であり、むしろ本来はこの要求内容を「日本側が自主的に行わなければいけないはず」と彼らは考えているのです。


それをしないために韓国側から提案したということなので、彼らにとっては合意を反故にしたことにはなっておらず、むしろこの要求を否定した日本側こそ合意を破っていると認識されます。


日韓慰安婦合意、外相「追加措置の要請応じず」 日経新聞 2016/9/30


もう一度書きますが、韓国にとっては慰安婦合意が「最終的かつ不可逆的解決」とされたからと、それで以後もうこの問題で双方何も言わないわけではないのです。


日本が韓国の望む形で慰安婦を定義し、その事に対して永久に謝罪し続ける事こそ彼らにとっての解決ですので、先ほど引用した韓国側からの手紙の要求は合意の範囲内のことと認識されているという事になり、それを拒否した日本側が合意を破ったと認識されているのです。


ちなみに余談となりますが、日本のメディアでは殆ど報じられていませんが、元朝日記者の植村氏のスタンスもこの韓国側の主張とほぼ同じです。
そもそも韓国側で活動する場合に、先ほど挙げた慰安婦の定義を否定したら韓国では裏切り者扱いですので、植村氏がどのようなスタンスになるのかは明白なのですが。


元朝日新聞記者・植村隆氏、日本の慰安婦報道を懸念 朝鮮日報 2016/09/27


3:第三国への説明方法が重要


今回書いたように、韓国では日本との価値観=常識の違いから、「解決」の定義そのものが異なっており、そのため私達の常識からみると合意違反に見える行為でも、彼らにとっては合意の範囲内の事であり、むしろ日本側の態度こそ合意違反に見えています。


そしてそのうえで、韓国では多くの人々がこの慰安婦合意を「不当な合意で破棄すべき」と認識しており、彼らは彼らの常識に則って渋々合意の範囲内の要求をしているという認識であり、そこすらも日本は守っていないと多くの人が認識しているのです。


ですから、今後も韓国では彼らの常識に則った「合意の範囲」での要求が次々と行われ、「日本が合意を守っていない」とする既成事実が積み重ねられていくでしょう。


結果、合意そのものは朴政権の間は一応残るでしょうし韓国側も安易に破棄はしないでしょうが、今回紹介したような合意が有名無実化する韓国側からの要求が今後も繰り返され、恐らくこのまま行けば再来年2月の大統領交代後に、この合意は何らかの形で実質的な破棄をされるでしょう。


今回何度か書いたように、韓国人視点では「日本が合意を破っているのになぜ韓国だけが合意を守らないといけないのか」という世論が高まってきているからです。


日本人の常識で考えれば非常識極まりないのですが、彼らの常識で考えれば非常識なのは日本側なのです。


これはあくまで常識の違いなのですから、韓国側にこのことを指摘してもまるで無意味ですが、国際社会に対して日本側がこの合意違反をどのようにアピールしていけるのかが非常に重要です。


なぜなら「合意を破っても良い口実」を韓国側が積み重ねており、またそれが韓国特有の常識に根ざした国際常識から外れる行いであったとしても、それがなぜ合意違反なのかを日本側がしっかりと国際社会に説明していけないとお話にならないからです。


そしてこれは単に政府に役割があるというだけではなく、民間レベルで重要な事として、韓国が合意を守らないからとただ罵倒や単なる非難をするのではなく、「合意は最終的かつ不可逆的解決」であった事をしっかりと指摘し、それに対して韓国が何をしてきたのかを具体的に証明し説明しそのうえで批判することが必要です。


なぜなら日本のメディアには「韓国側」や「北朝鮮側」に立つところが多いですし、そういったメディアはこの問題で「罵倒や単なる非難」の部分だけを抽出して国外に宣伝するのが目に見えていますから、その事を念頭に置くべきなのと、それ以上に重要な事としてこれは他国の人々から見れば「他人の喧嘩」でしかないからです。


そしてそのうえで、贅沢を言えば今回書いたような「日韓の常識の違い」もアピールできればなお良いのですが、そこまでは流石に無理でしょう。
説明に時間と手間がかかりすぎますから、耳を傾ける人は殆どいないでしょうし。




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