日韓問題(初心者向け)

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【慰安婦問題】今回の日韓合意について


さて、前回今年最後と書いておきながら最後の最後で記事を書く事になってしまいました。
何の準備もしておらず、手の込んだ事は何も書けませんが、今回の件について私なりの考えを書きます。


まず、何の準備もしていなかったのは、まさか28日の時点であのような合意が出てくるとは予想していなかったからです。
私の考えでは、来年1月末か2月初頭に何らかの形で大筋の日韓合意がなされ、3月に日米韓の首脳会談を行い最終的な結論に至る、そういう筋書きを思い浮かべていたからです。
ですので、今回の件は完全に読み違えであり予想外でした。


このような問題を考える時に、私個人の判断方法では「それによって現状から変わる事は何か」をまず分析し、そのうえで自身がその後どう対応していくべきかや、全体としてのメリット・デメリットを考えて天秤にかけていくという事をします。
以下はそうして得た結論です。


1:日本側にとって「慰安婦の定義」は致命傷ではない


今回の件を私なりに考えてみると、勿論失点部分はありますし、何より「慰安婦とはどのような状態の人々を指すのか」という、定義付けとルールつくりを行わなかった事は、明らかに政府の失態です。


ただし、これはあくまで現状私が得る事のできる情報のみを総合して考えた結論として、そこまで大局を左右するようなデメリットでもないと考えています。
要するに、マイナス要素ではあるが、致命的ではないということです。


この件を否定的に考えている皆さんが大きく勘違いしていることとして、「慰安婦問題の誤解が広まる」と危惧している人がいると思われますが、はっきり書くとこの誤解はとっくに広まってます。
政府の長年の失態と、日本のマスコミによる「内に向けては軍による強制をはぐらかし、外に向けては軍による強制を強調する」という行為が、20年以上も続いてきたからです。


国際的にこのイメージは非常に強固です。
2007年の米下院決議を見ればそれは明らかで、米国内でも「何となくおかしい」と感じている人がいても、そういった人々は直接声に出せず、決議を欠席するという消極的な意思表示しか出来なかったからです。


同一人物の「慰安婦の証言」とされるものが、下院での証言とCNNでの証言と、米国の大学での証言で全く異なっていたにも関わらず、誰もそのことに突っ込みをいれる事ができなかったのです、なぜなら『既に世論として確定している被害者の証言』だったからです。


自身が第三者として考えてみれば、それがなぜなのかは明白です、自身と直接関係ないことにもかかわらず、わざわざリスクを犯して火中の栗を拾う必然性が無いからです。
当事者から見れば無責任と感じるかもしれませんが、普通はそんなものです、日本でもこれは変わりません。


これを覆してどうにかしようとするとなると、多大なリスクを負う上に失敗したときのダメージもより大きいのですが、逆に書けば、覆せなくとも少なくともそれは「今より悪くなる」というデメリットではないという事です。
極論を書けば、今後の課題としてじっくりと解決していくという選択肢もあるのです。
(政府がそれを行うかどうかは別問題ですが)


ですから、今回の合意に関して「慰安婦の定義を確定できなかった」ことは、出来れば勿論良いですが、出来なくともそれが現状から考えて致命傷ではないのです。


2:韓国にとって致命傷となる可能性


そして次に合意が今後ちゃんと実行されるかどうかなのですが、かなり高い確率で韓国はこの合意を破ります。
なぜなら、それは以前から書いているように、彼らはこの問題を解決したいのではなく、他者の劣等性を担保に自己の優越性を証明するという独特の価値観から、永久に日本を批判し続け「被害者でいたい」からです。


朝鮮日報などが、「今回の合意で外交カードを失うのではないか」という危惧の記事を書いていますが、それがまさにその証明です。
慰安婦合意:「最終的かつ不可逆的」明言、韓国は対日カード失う懸念も朝鮮日報 2015/12/29 引用は文末にあります)


また、挺対協や他国にいる韓国系の活動家達は、この政府間合意に反対しており、現在韓国で抗議集会がおきているうえに、慰安婦像を更に世界各地で設置すると公言しています。


この件なのですが、これをデメリットと考えている人もいるようですが、これはむしろ考え方を変えると、日本政府の今後の挙動次第ですが、日本側にとってメリットになります。


なぜなのかといえば、韓国が独裁政権ならまだしも、民主主義国家の国民を代表する政府が、「最終的に解決」と合意したにも拘らず、それに反対して急進的な活動を続けるということは、第三者視点から見てどう見えるかが明白だからです。


多くの人はこう考えるでしょう。
「これでは解決方法などないではないか」と。


ただでさえ、殆どの国の人にとってこの問題は他人の喧嘩でしかないわけですから、感想としては「喧嘩はさっさと終わりにしてくれ」と考えるのが普通です。しかし、韓国人は常に自分は絶対的に正しいと考える傾向にあるので、「正しい事をしているのだから受け入れられるはず」と考え、相手の考えを無視して自己主張し続けます。


これを繰り返していたら、「被害者が絶対的に正しい」とか「他者の劣等性が自己の優越性の担保になる」とか、そのような価値観を持たない人々はどう考えるでしょうか、大抵の人は「関心を失う」でしょう。
どこまで行っても、世界の人々の大半にとって、これはあくまで他人事なのですから、被害者の救済という着地点が最終決着であり、それを蹴ってまでの問題の半永久的な継続などあり得ません。


そのうえで、韓国政府が何らかの口実で合意を反故にしたらどうなるでしょうか、普通は見捨てられます。着地点も成果も無い行為に付き合う物好きなど早々いませんから。
韓国人にとっては、被害者である事は、その価値観から絶対的ですが、他の国の人にっては、被害者の態度は重視されますが、それでも「絶対ではない」からです。


3:他国への「保障」の影響


次にこの件なのですが、ここで書くのはあくまで私の考えであり、他者や政府がそう考えているだろうと言う類の物ではありません、個人的見解だということをご了承ください。


この件、台湾、中国、北朝鮮、フィリピン、オランダなどの活動家や国によっては政府が「同じ対応をしろ」と動きはじめていますが、これについては国ごとに2つの対応をすることができます。


まず中国や北朝鮮に関しては、「韓国と同じ方法で最終決着を出来るのか?」と明確に相手に問うことです、これ等の国は外交カードとして慰安婦問題を利用しているうえに、自分達が矢面に立たないように韓国を露払いにしてきました。


そうした背景から、自分達が矢面に立たされるうえに、最終決着を迫られてそれを素直に受け取れるでしょうか?
普通ははぐらかして逃げるでしょう、どう考えても決着はこれ等の国にとってデメリットですから。


次に台湾やフィリピンやオランダに関しては、「もし、合意できなければ韓国と同じような事を国策レベルで行うという事なのかどうか」そこを公的に確認すれば良いのです。
現状から韓国と同じような事をやったらどうなるか、そこを突きつけられてそれでも持論を突き通せるほど、これ等国にとって慰安婦問題は国益にかなうのかどうか、相手に天秤にかけさせれば良いのです。


元々今回の合意は、国際世論として、こじれにこじれた日韓の関係を修復するという期待、これが表向きの大義名分ですから、こちらは「同じ事をしなければ、韓国と同レベルの事をして国家間の関係を揺るがすほどの外交問題にするのか」という事を国際社会に強調すればいいのです。


相手国に「慰安婦問題を国策の中心にすべきか」と正面切って問う、むしろこちらからそう促すということでもあります。
そこまでしてこれ等の国にどれだけの外交上の利益があるのか、天秤にかけさせるくらいの腹芸ができる事を期待したいです。


4:最後に


以上のように、今回の合意の懸念部分は全体を通してみると、失点ではありますがそこまでデメリットではないうえに、やり方次第では逆に主導権を握る事も可能です。


勿論、この件は恐らく裏で様々な思惑が動いているでしょうから、私の書いた事が実は箱を開いてみたら全くの見当違いだったという可能性もあります。


それを踏まえたうえでも、全体像を見渡した時に、ここに書いた事はそこまで見当違いとは思えませんし、なにより悲観的になるほどの外交上の失点とも思えません。
元々20年以上前から続く外交上の失点を、一度に全て解決するなど不可能ですし。


当然、この後の対応次第ではまだまだ日本の大失点になる可能性はありますし、予断を許さない状況にはありますが、対応さえ間違わなければなんとでもなる、むしろこれからが正念場であると、私は考えています。


まあ要するに、ピンチをチャンスに変えるか、それともチャンスをピンチに変えるかは、今後の政府の対応次第であって、今回の合意はその出発点に過ぎないというのが私の考え、ただそれだけのことなのですが。


少々お知らせ。
今後なのですが、コメント返信などは本日夜から恐らく1月3日夜ころまで一切出来ません。
その点だけご了承ください。
それでは。



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慰安婦合意:「最終的かつ不可逆的」明言、韓国は対日カード失う懸念も
朝鮮日報 2015/12/29
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/29/2015122900646.html

 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部(省に相当)長官と日本の岸田文雄外相が28日、ソウルで最終合意した従軍慰安婦問題の解決策は、両国間での公式な合意内容としては最も踏み込んだものと言える。

 「法的責任」という表現は抜け落ちたが、慰安婦問題に対する日本政府の責任が明記され、安倍晋三首相がおわびと反省の気持ちを表明した。また、日本政府の予算による被害者支援計画も明文化された。外交部当局者は「慰安婦問題解決の3大条件で大きな進展があった」と評価した。しかし、慰安婦問題で最大の争点が日本の国家的責任、法的責任を認めるかどうかだったことから見て、今回の合意の成果は半分だという指摘もある。また、韓国政府が「3大条件」の解決を過度に重視した結果、慰安婦少女像の移転など日本側が執拗に取り上げてきた問題で安易に譲歩し過ぎたとの批判も出ている。

■責任認定と首相謝罪

日本政府「道徳的」との修飾語なしで明確に「責任痛感」

 韓国政府は今回、「日本政府は責任を痛感している」との文言を引き出したことに大きな意味があるとしている。「道徳的」といった修飾語なしで責任を明確に認めたのは初めてだからだ。韓国政府はまた、安倍首相の「心からのおわびと反省の気持ちを表明する」との表現についても、2012年の首相就任以来、本人名義でおわびと反省の立場が表明されたのは初めてだと強調している。

 日本政府は過去に加藤談話や河野談話でおわびと反省の気持ちを表明したことはあるが、日本政府の責任を公式に認めたことはなかった。1995年のアジア女性基金事業の一環で、慰安婦被害者に発送した日本首相名義のおわびの書簡にも「道徳的責任」という表現で法的責任ではないことを明確にしていた。

 しかし、「日本政府は責任を痛感している」という表現自体は、李明博(イ・ミョンバク)政権下の12年、韓国大統領府(青瓦台)の李東官(イ・ドングァン)元広報首席秘書官と日本の斎藤勁官房副長官が水面下で合意した文言だ。当時の事情に詳しい元官僚は「やっとのことでこの表現を引き出してから3年を浪費したとすれば失望を覚える」と語った。


http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/29/2015122900646_2.html

さらに大きな問題は、日本の「責任」に関する言及から慰安婦動員の「強制性」が脱落したことだ。岸田外相は「軍の関与」とだけ語った。外交筋は「日本の国家的、法的責任が問題となるのは、慰安婦の強制動員にもかかわらず、その部分が不十分だ。日本が痛感する責任が結局は『道徳的』な見地だと言っても反論できなくなるのではないか」と指摘した。安倍首相が表明した「おわびと反省」も過去の日本の内閣談話や慰安婦被害者に送ったおわびの書簡の内容と同じで、前進したと評価するのは難しそうだ。韓国政府筋は「右翼傾向の安倍政権を相手にこれだけの表現を引き出したことは評価に値する」と述べた。

■日本政府の予算で支援財団

韓国側の要求貫徹、岸田外相「賠償はない」発言が論議

 岸田外相は同日の会見で、「日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が元慰安婦の方々の名誉と尊厳を回復し、心の癒しのための事業を行う」と表明した。韓国政府が創設・運営するが、財源は日本政府が約10億円規模で負担する慰安婦支援財団を設けるという話だ。

 これはアジア女性基金の失敗を教訓にしたアイデアだ。日本が慰安婦被害者支援のために95年に設立したアジア女性基金は、日本政府の予算に日本国民の募金を加えて運営した。1人当たり300万円の医療・福祉支援金は日本政府の予算だが、200万円の慰労金は民間募金だった。特に慰労金の名称である「償い金」をめぐっては、慰安婦被害者関連団体が「日本が法的賠償義務を回避するために手段だ」として強く反発した。

 新たに創設される財団は日本政府の予算でのみ運営されるという点でアジア女性基金の限界を克服したと評される。しかし、慰労金の名称がまだ決まらず、論議の余地が残されている。韓国外交部周辺からは暫定的に「慰安婦被害者の名誉・尊厳回復および心の傷の治癒金」という表現が浮上している。しかし、慰安婦被害者の関連団体は既に「賠償金とは言えない」として反発の動きを見せている。法律的には賠償は不法行為によって生じた損害に対して支払うもので、補償は過ちはないが、単純に損失を生じさせた際に支払うものだ。また、償い金とは法的な概念なしで使われ、「慰労金」と似た表現だ。


http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/29/2015122900646_3.html

■最終的かつ不可逆的に合意

妄言再発時に韓国側がカード失う懸念

 今回の合意でもう一つ論議を呼ぶのは、両国が共同記者発表で「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と明言したことだ。「最終的かつ不可逆的に」という表現は日本の主張が通った表現だ。韓国側が政府レベルではもう慰安婦問題を取り上げないことを意味する。

 「日本政府が表明した措置を着実に実行する」という前提条件は付いている。しかし、同日配布された共同記者発表文によれば、その「措置」とは慰安婦支援財団の設置に限られている。すなわち、日本が財団に約束通りに予算を投入し続ける限り、日本政府の責任認定や安倍首相のおわびと反省とは反する妄言など「約束の不履行」があってもそれに制裁を加える手段はないと解釈可能だ。

 日本問題の専門家は「これまで日本の政治家の歴史後退的妄言が絶えず繰り返されてきたことで、慰安婦問題の解決が阻害された面が大きい。それに対する制約を設けずに最終的解決に同意したのは問題だ」と指摘した。北京の外交筋は「これまで慰安婦問題で対立が生じるたびに、中韓両国は一種の対日共同戦線を張ってきたが、今回の合意でそれが困難になるのではないか」と懸念した。

 双方が今回、「国連など国際社会において、本問題(慰安婦問題)について互いに非難・批判することは控える」と表明したことにも納得しにくいとの声がある。元外交官は「事実上韓国が国際社会で不適切に日本を非難していたと認めたように受け取られる可能性がある」と述べた。国策シンクタンク関係者は「これまで国際社会を通じ、慰安婦問題の解決を訴える戦略が非常に有効だったが、今回の合意で韓国が自ら日本に対するレバレッジ(てこ)を放棄したのかもしれない」と話した。