日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

【産業革命遺産登録問題】日韓の間にあった最大の問題


さて、今回も前回に引き続き先日登録された産業革命遺産関連の内容となります。


この問題、今週に入り様々な内部事情が報じられるようになり、段々と「何が最も問題だったのか」が見えて来ました。
そういったものを調べていて気付いたのは、世界遺産登録を推進する人々の大部分が「日本の事情(自治体の事情)」しか考えていなかったということと、日本人特有の「問題はなるべく避ける」という態度が悪い方向に働いていた、という事です。


そしてこれはあくまで個人的見解ですが、日本側の問題点に順位付けするとこうなります。


1:地方自治体及び遺産登録を推進する当事者達
2:議員(地方議員、国会議員含む)
3:政府及び外務省他関係省庁


なぜこのような順位付けになるのかといえば、推進する人々の殆ど全てが「登録されること」しか前提に考えておらず、「なぜ外交問題になっているのか」「なぜこんな事になっているのか」そこをまるで考えず、現場に近付けば近付くほど日韓で対立している問題を丸投げし「他人事だった」からです。


特に自治体などは産業革命遺産の観光資源化しか考えていなかったのではないでしょうか。
以下の記事を


産業遺産登録、期待と課題 軍艦島維持、百億円の試算も
朝日新聞 2015年7月10日
http://www.asahi.com/articles/ASH785T7TH78TIPE03B.html
明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録された。構成資産は九州・山口、岩手、静岡の計8県に広がる23件で、地元は観光客の増加による地域振興に期待を寄せる。一方で、保存のあり方や稼働中の資産をどう公開するかなど、課題も山積みだ。

構成資産の一つ、端島炭坑軍艦島長崎市)への上陸ツアーには国内外から予約が殺到、定期ツアーを担う4社の予約は8月末までほぼ満席。うち1社「軍艦島コンシェルジュ」の浦瀬弘子さん(25)は「外国から『何とか上陸できないか』とのメールも多い」。

 登録決定翌日の6日に上陸した東京都新宿区の田窪ふみ子さん(62)は「廃虚の中に生活感が漂っていた。上陸しないと体感できませんでした」と語った。

 資産8件を抱える長崎市は登録初年度の観光客増加を6・5万人~26万人、経済波及効果を24・3億円~101・2億円と見込む。

 「明治日本の産業革命遺産」は製鉄・製鋼、造船、石炭産業が柱。欧米列強に対抗するため、西洋の技術を取り込みながらも独自に改良を重ね、やがて東洋初の近代化を成し遂げるまでの半世紀に及ぶストーリーだ。こうした産業遺産が世界遺産に登録されるのは、石見銀山(2007年、島根県)、富岡製糸場(14年、群馬県)に続き国内3件目となる。

 ただ、産業遺産ゆえの課題も多い。実用目的の施設が多く、巨大で劣化も激しい施設をどう維持するか。代表例の「軍艦島」の場合、登録対象は護岸や生産施設だが、通称の由来である建物群は島の価値を語るうえで切り離せない。だが、それらは崩壊が進み、維持するだけで100億円を超えるとの試算も。巨額の費用の捻出に、地元自治体は頭を痛める。見学者の安全確保も不可欠だ。



たしかにこういった問題も大切です。
地方の活性化というのも重要な問題ですし、そのうえで世界遺産登録と観光客の誘致というのが大切な役割を担っているのも理解できます。


しかし、だからといって登録されればそれで良いという問題でもありません。
実際問題、韓国側は「軍艦島は奴隷島だった」等のロビー活動を展開し、当初は登録そのものに反対していましたが、それが無理だとわかると「負の世界遺産」として登録されるよう各国に働きかけていました。


登録を推進した人々は、「負の世界遺産」として登録されても問題ないと考えていたのでしょうか。
彼らの期待を見ていると、明らかにそれは望まない姿のはずです。
観光資源として観光客を呼び込む目的で登録推進をしていたのにも関わらず、負の世界遺産として登録されたらイメージの悪化につながり本末転倒だからです。


韓国側の態度は以下の通り


強制労働「議論の余地ない」 後続措置呼び掛ける=韓国長官
朝鮮日報 2015/07/09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/09/2015070902817.html
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は9日、ソウル市内で開かれた討論会で講演し、朝鮮人の強制労役の歴史を反映させた「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録について、「(日本側が)今後、国際社会の期待に応じる誠実な後続措置を取り、両国関係が好循環に発展することを望む」と述べた。

 また、「世界遺産委員会で採択された決定文は国際社会に対する約束で、誠実に順守する責任がある」と強調。日本側が世界遺産委員会で言及した「forced to work」について、「強制労働を意味するものではない」(岸田文雄外相)などと否定したことや、犠牲者をしのぶ措置の履行を疑問視する声を踏まえて発言したとみられる。

 尹長官は、「forced to work」との表現を韓国側は「強制労役」、日本側は「働かされた」と解釈していることに関連し、「英文が正本」とした上で、「それがどういう意味というのは明確なので、議論の余地はない」と主張した。

 両国関係に関しては、「国交正常化50周年を関係改善の転機にするという意志を持ち、多方面から努力した」として、「こうした努力の結果、このところ両国関係の改善に向けた雰囲気がそれなりにつくられている」との考えを示した。

 尹長官は旧日本軍の慰安婦問題や安倍晋三首相が8月に発表する戦後70年談話などにも触れ、「忍耐を持って一つずつ解決していくことで、両国関係を好循環に改善させていくよう最善の努力を尽くしたい」と意欲を見せた。
(後略)


読んでみれば一目瞭然ですが、この問題はまだ終っていません。
「登録されました、めでたしめでたし」ではなく、韓国側は今後も施設の英語による案内などその都度注文を入れてくるでしょう。


ですから、日韓で問題になっている事柄を何もかも「お上まかせ」にするのではなく、自治体や推進委員会等で対策室をつくり、日韓問題の専門家の意見を聞いて外国向けのパンフレットを作成したり、当時働いていた人々の聞き取り調査をして実態を公表するなど、やれる事はたくさんあったはずですし、何より「なんとしてでも登録させるべき」という自分達の事情ばかりを要求すべきではなかったはずです。


これがまず一つ目の問題点です。


そして次の問題点は日本人的な「トラブルを避けるため曖昧な返事をする」という態度です。
以下の記事を


産業革命へ貢献 誇りに
読売新聞 2015年07月10日
http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/feature/CO017639/20150709-OYTAT50080.html
(一部抜粋)
端島炭坑〈1〉 長崎・端島会 加地英夫会長
今回の登録決定で、朝鮮人労働者の徴用の表現を巡って調整が難航。加地さんは「朝鮮半島出身者が端島で働いていたことは事実だが、そこに強制性があったかどうかは、よくわからない」と語り、無事に登録が決まったことに安堵の笑みを浮かべた。



実はこうした「よく解らない」という曖昧な態度は、韓国人に対して最もとってはいけない態度の一つです。
こうした態度をとってしまうと、相手の劣等性が自己の優越性の証明と直結しており、なおかつ人間関係が基本「どちらが上か下か」だけの韓国的価値観では、「歴史を知らない劣等な相手」としか取られないのです。


よく韓国人は「日本人は歴史を知らない」と批判しますが、それも明らかにこの態度が原因であり、日本人を相手にするときの感覚で、トラブルを避けようと「こちらが引けば相手も引くはず」という態度をとると、トラブルを避けるどころか韓国側に「歴史を知らないのだから我々の正しさを教えてやろう」という反応にしか繋がらず、結果的に更なるトラブルを呼び込むわけです。


恐らくですが、世界遺産登録を推進した人々は、多かれ少なかれこんな態度だったのではないでしょうか。
こうした他国の価値観への無理解が緊張感の無い態度につながり、登録ありきの要求となり、結果としてこのような「更なる問題を引き起こす」という事態になっていったのでしょう。


結局はこれも、視点を変えればある種の価値観の対立なのです。
ですから、今回の韓国側の一連の態度に対しても、非常識だとか前代未聞だとか予想外だとかそういった日本人的価値観で善悪や優劣に当てはめた「感想」を言うのではなく、「彼らはそれが当たり前でありそういう価値観の人々なのだ」との認識で、最初から対策を練り対応していかなければいけないわけです。


最後に少々余談を。
こうした「よく解らない」という態度の背景には、トラブルを避けようとする日本人的価値観の他に、以前も書いた「韓国に否定的な態度は差別である」という一種の刷り込みも関係しています。


こうした刷り込みがあるがために、多くの日本人は特に韓国関連では否定的な意見を考えるよりも先に思考停止してしまうという傾向があります。
その結果、韓国に対してまともな対応が出来ず、結果的にずるずると更なるトラブルを呼び込むという事がずっと続いています。


この状況は、明らかに日本のメディアやメディアに連なる人々が作り出したもので、現在でも彼らの多くは少しでも韓国に否定的な意見は全て差別と断じて封じ込めようとしているわけですが、上記でも書いたようにこの流れは結果的に日韓の間のトラブルを増やす事にしか繋がりません。


また、最近韓国の様々な反応を見ていると、実は韓国人の民族主義はここ最近更に先鋭化してきており、恐らくですが近い将来2002年のワールド杯のとき以上の暴走が発生しそうな雰囲気になりつつあります。


そしてこの現象は韓国経済の悪化や若年層の高い失業率とも深く関係しており、社会不安から民族主義に拠り所を求めているように見えます。
その拠り所の一つとして「日本の嫌韓は躍進する韓国への嫉妬だ」という反応も頻繁であちこちで見受けられます。
つまりこの考え方は韓国人の民族主義と非常に密接な関係にあり、ある意味韓国人の民族主義の前提となっているのです。


これを広めたのはどんな人達なのか、それを考えてもらえば、いかに彼らが日韓にとっての害なのかがよく解るでしょう。