日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

「日韓がお互いの良い部分を見れば関係改善できる」は間違い


さて、今回は最近よく見かける「日韓はお互いの悪い部分ばかり見ている、良い部分を見れば関係の改善が出来る」という論調への突っ込みとなります。


例えばこんな感じの内容です。


[東京小考]国書の偽造劇が語るもの
東亜日報 MAY 14, 2015
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2015051415098
(前略)
それから約400年。大統領や総理大臣の発言がリアルタイムで相手に伝わる今日、こんな外交がまかり通るわけもない。だが、その余り、相手の言動の欠陥にばかり目を向ける風潮はいかがなものか。

情報の偽造は論外だが、少しは相手のよい部分や改善点に目を向けることも必要ではないか。自分が正しいと思うことを貫くだけが外交ではない。大きな国益のため、時に見て見ぬふりをし、相手に救いの手を差し伸べもした先人たちの知恵には、現代の外交が参考にすべき教えがあると言えまいか。

若宮啓文 日本国際交流センター・シニアフェロー、元朝日新聞主筆




最初に結論を書いてしまえば、要するにこれは「都合の悪い事には目をつぶり見なかった事にしろ」という事なわけですが、過去何年間も「それ」を韓流を通じて行ってきたのが日本のメディアであり、その結果歪みが発生し出てきたのが嫌韓です。
また同じ過ちを繰り返せという事です。


これは以前書いた「嫌韓の出発点、2002年日韓共催ワールドカップで何が起きたのか」などが典型的で、韓国にとって都合の悪いあからさまな反則行為などをメディアが徹底的に隠そうとし、準々決勝進出などの「(脚色された)韓国の良い部分」ばかりを宣伝し、韓国を「好きになる事」を強要した結果、韓国とメディアへの不信感と嫌悪感が増大したわけです。


本来友好とは、良い部分も悪い部分も見せた上で、そのうえで様々な「折り合い」を付けていくはずのものであって、良い部分だけを見て悪い部分には目をつぶらなければ成り立たない関係というのは、一般的には「上辺だけの付き合い」と呼ばれるものです。


当然「上辺だけの付き合い」とは本来は「それなり」「そこそこ」になるわけですが、にも拘らず彼らはその前提で「それ以上の関わり」を要求している、それでは反発が出てきて当然なのです。


では実際、「韓国の都合の悪い部分を見なかった事にして、良い部分だけを見ていく」という事が、現実にどんな歪みを生じさせるのかを見て行きます。
まずは以下の記事を

韓国外交部長官 日韓経済協会長に緊密協力呼びかけ
聯合ニュース 2015/05/12
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2015/05/12/0200000000AJP20150512003800882.HTML
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は12日午後、韓日経済人会議に出席するため来韓した日韓経済協会の佐々木幹夫会長(三菱商事相談役)と会談し、「韓日両国が緊密に協力し、アジア経済と世界経済(の回復)をけん引してほしい」と呼びかけた。

 会談には日韓経済協会の関係者約10人が同席した。

 尹長官は、国交正常化50年を迎える両国の協力が経済だけでなく多様な分野に拡大していると評価し、「両国関係は幅が広く、深く、未来志向的だ」と強調した。

 佐々木会長は、13、14日の両日に開催される第47回韓日経済人会議について、これまで一度も中断せずに毎年開催してきたと説明。両国経済人の経済関係発展にかける熱意のたまものだと強調した。

 韓日関係の冷え込みが長期化する中、韓国政府は歴史問題に関しては原則を保ちながらも安保や経済など互恵的な分野で協力するという「ツートラック政策」を維持しており、この日の会談は同政策に沿ったものとみられる。



これなのですが、韓国や日本のメディアは日韓の関係の悪化した数年前から、政治と経済は別であり、政治が対立しても経済は良好な関係を築いて行こうとのスローガンを掲げてきたのですが、当然二国間の経済交流にはそれなりの利益もあるでしょうが、韓国との間ではそれだけでは済みません。


元々経済と政治を完全に分離など不可能ですし、韓国側は韓国人の「絶対的正しさ」を背景として日本に様々な要求をしてくるうえに、その要求は解決不可能なものが殆どで挙句に経済分野に露骨な政治的要求を突きつけてきます。
以下はその典型例です。


強制徴用被害者、日本戦犯企業相手に大規模集団訴訟
2015年04月21日14時47分
[ⓒ 中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/319/199319.html
日帝強制占領期間における強制徴用被害者の遺族が日本戦犯企業を相手に1000億ウォン(約110億円)台の損害賠償訴訟を起こす。

「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」は21日、強制徴用被害者および遺族など920人を集めて新日鉄住友(旧・新日本製鉄)や三菱重工業など日本企業72社に損害賠償を請求する訴状を裁判所に提出した。

遺族はこれに先立ち記者会見を行い、「これまで徴用被害者に支給されなかった賃金供託金など個人貯金数十兆ウォンがそのまま供託されている状態」と指摘した。

また「大法院(最高裁に該当)が2012年強制徴用に対する損害賠償を認め、翌年ソウル高裁は1人あたり1億ウォンずつの賠償判決を下した」とし「これを根拠に訴訟を進める」と明らかにした。

遺族会はひとまず1人あたり1000万ウォンずつを請求した後、訴訟金額を1億ウォンずつ増やし、韓国裁判所で勝訴判決を受けた場合、次はこれを土台に米国裁判所で賠償執行手続きを踏む計画だ。



トヨタニコン東芝も韓国人強制徴用…新たに66社確認
2014年12月31日07時43分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/697/194697.html
日帝強占期に強制動員された韓国人がトヨタ自動車ニコン東芝など現存する日本企業66社で労務者として働いていたことが新たに分かった。

首相室所属「対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援委員会」(委員長パク・インファン)が2010年4月、日本政府の公式文書確保をはじめ、約4年間にわたり調査した結果だ。中央日報は30日、委員会が作成した「強制徴用企業名簿及び日本国内強制労働地現況調査報告書」を単独入手した。

報告書によると、強制徴用者を労務者として使用した日本企業のうち現在存続する企業は計291社。三菱・日産などは既に知られている企業だ。しかしトヨタ自動車など66社が強制徴用者を労務者として使った事実が初めて確認された。

委員会は報告書で、「日本がアジア・太平洋戦争時期に強制的に動員した韓国人は約782万7355人と推算され、うち日本に連行された被害者は102万125人(延べ人数)であることが調査で分かった」と明らかにした。

委員会はその間、朝鮮人労務者供託金文書、厚生年金台帳など各種関連記録を分析した。また、計2万7841件の被害申告内容に基づきアジア・太平洋戦争時期(1931-45年)に日本47都道府県に設置された強制労働作業場が4042カ所(合計1329社)であることを確認した。委員会は「このうち1737カ所は291の現存企業が運営したところと把握され、167カ所を運営した66社は今回の調査を通じて初めて把握された」と説明した。

チョン・ヘギョン委員会調査第2課長は「過去に日本市民運動家が研究レベルで強制徴用企業名簿などを公開したことはあるが、韓国政府が強制徴用企業名簿と強制労働紙現況を調査したのは初めて」と述べた。続いて「今回の作業は強制徴用被害者が現存する日本企業を相手に損害賠償を請求する根拠を確保したという点で意味が大きい」とし「過去に発表された戦犯企業目録上の誤謬を日本現地で発見した公式文書・文献資料を通じて正したのも成果だ」と説明した。これに先立ちセヌリ党の李明洙(イ・ミョンス)議員が「朝鮮人強制動員日本戦犯企業目録」を発表したが、重複記載などの誤謬が見つかった。


この件に関して、過去に何度も書いていますが、彼らの要求は国民徴用令やそれどころかそれ以前の民斡旋・官斡旋まで強制連行の奴隷状態だったとする「かくあるべき歴史観」を前提とする、かなり無茶苦茶なものなうえに、元々これはどんな理由があろうと既に解決済みの問題です。


1965年の日韓国交正常化において請求権関連協定も締結されており、そこで「完全かつ最終的に解決した」とされているうえに、交渉過程において日本側が韓国側への個別保障の提案をしたところ、韓国側がそれを拒否し、政府が受け取る一括保障を要求し締結されたという背景があります。
(参照:「韓国政府、韓日会談で個別請求権放棄」 朝鮮日報 2004/09/17


要するに、韓国側の提案を受け入れお互い合意の上で解決した「政治的懸案」を、今更韓国側の「絶対的正義」に基く現在の勝手な事情で蒸し返して民間企業に負担を強いるような事を要求してきているわけです。
この状態で、こういった韓国側の要求、つまり「都合の悪い事」を見なかった事にして経済交流を続けたらどうなるでしょうか。


当たり前の事ですが、「見なかった事」にすればこの問題が消えてなくなるわけではありませんし、なにより「良い部分」があるからと放置できる問題でもありません。
放置したまま経済交流を続ければ、韓国内に進出した日本の多くの民間企業が理不尽な損失を被る事になります。


当たり前の事ですが、この件で日本に出来る事、改善できること、歩み寄れる事は何もありません。
あくまでこれは韓国国内の一方的な事情を日本側に要求してきているだけだからです。


またこちらの事例も同じです。


韓国と日本 漁業指導取締実務協議を開催
朝鮮日報 2015/05/11
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/11/2015051102161.html
http://web.archive.org/web/20150511184836/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/11/2015051102161.html(ウェブアーカイブ
【世宗聯合ニュース韓国海洋水産部は11日、釜山で7~8日に2015年漁期(今年1月20日から来年6月30日まで)韓日漁業指導取締実務協議を開催したと発表した。

 韓国からは同部の梁東ヨプ(ヤン・ドンヨプ)指導交渉課長が、日本からは水産庁の廣野淳指導監督室長が出席した。

 協議で韓国側は、日本の水域で韓国漁船に対する夜間臨検など無理な取り締まりを自制するよう求めた。これに対し日本側は、操業条件や入漁手続きの順守を漁船に指導するよう要請した。

 韓国の排他的経済水域EEZ)で操業する日本漁船の多くは企業型の大型漁船だが、日本のEEZで操業する韓国漁船イカやタチウオ漁をする小規模漁船が多い。このため、相手国のEEZで操業する漁船の数は日本より韓国のほうが3倍程度多い。

 同部は相手国のEEZでの入漁手続きの違反について、日本漁船はここ数年間ほとんどないが、韓国漁船は毎年10回以上起こしていると説明した。

 今年に入ってからは、日本のEEZで操業中だった韓国漁船5隻が漁獲量の過少申告容疑などで日本側に拿捕(だほ)された。 



要するにこれは、「韓国側の密漁を取り締まるな」と要求しているも同じです。
当然韓国側の事情でしかないうえに、そんな事を認めたら漁業資源が減少してしまう事になります。
しかも韓国側は、元々日韓漁業協定を一切守っておらず、10年ほど前には韓国側の密漁漁船を日本の海保が取り締まろうとしたところ、韓国の海洋警察が割って入り密漁漁船を庇い、一時海保と韓国の海洋警察が一触即発というところまで行った事があり、その後も何度も密漁船を韓国側が庇うと言うことが延々と続いています。


これも「良い部分を見よう」で無視するのでしょうか。
無視すれば、当然のことですが誰かが損害を受ける事になります、そしてその損害を受けるのは明らかに日本の漁業関係者達です。
日韓友好のために日本の漁業関係者は犠牲になれという事なのでしょうか。


勿論これにも日本側が出来る事は何もありません。
韓国側の要求を呑むという事は、韓国側の不法行為を容認するという事だからです。
結局これも韓国側の国内問題でしかないのです。


またこんな事例もあります。


<韓日経済人会議> 「韓日両国の組織文化は似ている…交換就職を提案」
2015年05月14日15時40分
[ⓒ 中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/382/200382.html
韓国の趙顕俊(チョ・ヒョンジュン)暁星(ヒョソン)社長が韓日企業の交換就職を通じて青年雇用の創出の活性化を提案した。

趙社長は14日、ソウルで開かれた「韓日経済人会議」に参加し、「未来世代が見た韓日未来像と協力案」というテーマの発表でこのように明らかにした。

趙社長は同日の発表で「韓国と日本の両方で職場生活を経験したところ、韓日両国の組織文化は非常に似ているという点に気がついた」とし「両国企業協力案の一つとして、文化的共感を土台にした交換就職など、雇用交流拡大案について大いに考えるべき」と話した。

趙社長は「1992年、三菱商社で職場生活を始めたが、当時、先輩メンターによく助けてもらった」とし「韓日両国の経済人が韓日の若者の交換就職に関心を持つようになれば、企業の交流を拡大していくことはもちろん、共同研究開発(R&D)推進も提案できる」と伝えた。



交換就職となっていますが、そもそも日本側には韓国で就職する需要もメリットも何もありません。
韓国側がなぜこんな提案をしてきたのかといえば、それは韓国で10代から20代までの就職先が殆ど無いからです。
韓国経済は極端な外需依存体質なうえに財閥一極化が起きており、更に職業差別や賃金格差も非常に激しいため、その負担が若年層の就職難に繋がっているわけです。


つまり、韓国の経済政策の失敗から若者に就職先が無いものだから、変わりに日本で就職させてくれと要求してきているだけなのです。
これも韓国の国内事情の問題を日本に丸投げしている典型例です。


「良い部分を見よう」と、友好や交流のためだからと韓国側の要求を受け入れるのでしょうか。
これには特に問題があります。
国内の失政の解決を他国に丸投げする国というのは、そもそも独立国なのでしょうか?
100年以上前の大韓帝国の時代、日本は朝鮮に総督府を置いて保護国とし、朝鮮の政策の失敗のフォローをしていたわけですが、それと何が違うのでしょうか。


このように、現在の日韓関係というのは「お互い悪い部分しか見ていない」のではなく、悪い部分が噴出しそれが解決不能となっているから問題となっているのです。
これは当然「良い部分を見れば解決する」問題では無く、悪い部分を直視してそこを何らかの形で解決していかなければどうにもならない物です。


そして、この「悪い部分」というのは、今回書いたように韓国の国内事情の問題でしかない懸案の解決を、韓国が日本側に丸投げしようとするから起きている問題が大部分です。
しかし韓国の一般的な価値観では、以前書いたように「責任とは負うものでは無く負わせるもの」であり、「自分達は何も変わる意思が無い、相手が無条件に変わり受け入れろ」という態度のため、問題が延々と続いているという背景があります。


見方を変えれば、韓国が日本に対して「悪い部分を見せ付けている」と言い換えることも出来ます。
そして、こうなっている背景にはお互いが全く異質な価値観を有するにも関わらず、お互いが同じ価値観を有していると言う錯誤に陥り、相手の事情がまるで見えておらず、その結果として「お互いが悪い部分ばかり見ているから関係が悪化しているのだ」という文字通り見当違いの現状分析があるわけです。


日韓の関係悪化とは、「悪い部分ばかり見ている」という感情論やイデオロギー論ではなく、こうした実体を持った様々な弊害の積み重ねの結果起きているわけです。
そして、日韓友好を訴えるメディアなどがこの弊害を文字通り「無視」してきたがために、原因が蓄積し続け今があるということです。


「お互いが良い部分を見れば解決する」という考えは、原因を無視した単なる無責任でしかない、だから間違いなのです。
問題が解決していないのに現状がよくなる訳が無い、これは日韓関係に限らず「当たり前」の事です。