日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国では日本の嫌韓が理解できず「なぜだ」と驚いている


さて、今回の内容なのですが文字通りの内容です。
最近の嫌韓現象が韓国人には完全に理解不能であり、「なぜこんなにも多くの日本人が韓国の事を嫌うのだ」と首を傾げています。
ほんとうに理解できないようなのです。


まあ、以前も書いたように日本人と韓国人の想定する反日には違いがあるので、日本人の想定する反日を韓国人が反日と想定していないだけだとも説明できるのですが、実はそれだけではないのです。


そもそもおかしいのは、以前韓国人は世界一「嫌韓」でも書いたように、韓国人で韓国の事を嫌っている人は非常に多く、移民希望者が後を絶たず、移民に成功した人の事を韓国では「勝ち組」と呼ぶほどです。


という事は、韓国人が最も韓国の中にある問題を知っているという事でもありますから、同じ理由で日本人などが韓国の事を嫌っても不思議ではないはずです、「嫌韓が理解できない」というのはかなりおかしな話なのです。
(たとえば極端な上下社会や蔑視ありきの他者への評価は、「下」とみなされた韓国人にとっては苦痛でしかありません、別にこれ等は対外的にのみ起きる事ではないので当たり前ですが)


なぜこんな事が起きるのでしょうか?
それは韓国人個人の実体験としての韓国への評価と、民族としての韓国の評価=「かくあるべき姿」が完全に分離しており、繋がっていないからです。
日本人の感覚からするとこの2つは同軸線上に存在しないとおかしいのですが、韓国人の中ではこの2つは全く別の軸線上にあり、一切交わらないのです。


結果、個人としてはどんなに彼らが韓国の事を嫌っていても、「日本に嫌韓がある」と聞かされると、「かくあるべき姿」を前提にして「なぜ嫌うのだ、我々には落ち度なんて全く無いのに」と考えるわけです。


この「乖離」のようなものは他の事柄でもよく起きる事のようで、それを知ってもらうために少し古いですが過去の呉善花さんの記事を。


靖国神社関係資料
反日」と「謝罪」では見えない歴史の真実
呉善花
http://www.yasukuni.or.jp/siryou/siryou6.html(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20030622180502/http://www.yasukuni.or.jp/siryou/siryou6.html(ウェブアーカイブ
(前略)
日本の非道は戦後に知った?
-ところで、韓国の方にもインタビューされていますが、日本人の証言と較べてニュアンスが違っていますね。
呉 日本人の場合は、非常に具体的な自分の体験を話してくれたのですが、韓国人の場合、特に男性は自分の体験を話すというより天下を論じるという感じなんです。私が当時の具体的な生活のことをお聞きすると、一旦は答えてくれるんですが、いつの間にか天下の話に戻ってしまう。それでうまく話がかみ合わない・・・。
 ですから、その方の周囲で何があったのかという実際の体験と歴史認識との間に差が生じてしまうんです。例えば、日本統治時代は、自分の周囲にいた日本人は非常にいい人だったと言われる。自分の体験ではそんなに悪いことはなかったと。けれども、日本人は韓国に対してひどいことをしたということも皆さんおっしゃるんです。
 そこで、「では、どんなひどいことがあったのですか」とたずねると、日本人は韓国人の姓を奪ったとか、従軍慰安婦として連れていったとか、いろんなことをあげられるのですが、「では、従軍慰安婦として強制的に連れていかれたところを見たり、誰かから聞いたりしたことがありますか」と聞きますと、「いや、私の周りではそんなことはなかった」と。  さらに、「当時、そういう噂を耳にされたことがありますか」と迫りますと、「いや、当時はそんなことは知らなかった。けれども、戦後になって調べてみたら日本人はひどいことをしていたのだよ」。
 こういうことで、私が「あなたの周囲がどうだったのか、ということが大事なんです」と、いくら言っても話がかみ合わない。

—皆さん戦後になってから知ったと言われるわけですね。
呉 そうなんです。戦前・戦中には見たことも聞いたこともない。しかし、後で分かったのだと。後で分かったというのは何かというと、本を読んで知ったということです。
 韓国では、制度を論じたりするのが歴史を含めた学問であって、身の回りの体験などは学問の対象にならないというのが、知識人の普通の認識ではないでしょうか。だから、日本人のことはひどいことをしたと言いながら、抽象的な話しかしないし、具体的な場面ではそんなことはなかったという乖離が起こってくるのだと思います。
(後略)



一種の形而上学的思考なのですが、「自身の実体験とまるで繋がっていない」という点において、これは全く同じです。
ここでもインタビューされた人々は自己の体験ではなく「かくあるべき姿」を語っており、実体験との間に乖離がある事を本人が全く把握していません。


これと同じように、現実として自身が実感する姿と形而上学的な「かくあるべき姿」に乖離があるがために、韓国人は日本の嫌韓が全く理解できないと言うわけです。
そして、この乖離現象は特に最近日本での嫌韓が韓国でも頻繁に報じられるようになると、非常によく見られるようになって来ました。


ここ最近、韓国では「韓国に反日は無いが日本には嫌韓がある」との論調の記事が非常に多く、また日本のいくつかのメディアでもその前提での記事が見受けられます。
しかし、実はそれと同時にこんな記事もあるのです。


【社説】外交安保の基盤は「国益リアリズム」だ=韓国
2015年01月04日13時07分
[ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/815/194815.html
乙未年青羊の年が明けた。光復と同時に分断70周年になる年だ。韓日修交協定締結50周年でもある。その延長線でわれわれには課題が山積している。特に統一の土台の用意、そして成熟した韓日関係の構築が急務だ。

(中略)

日本との冷え込んだ関係もやはり国益のためには必ず解決すべき課題だ。右傾化する日本の前から一方的に退こうというのではない。戦犯国の日本が慰安婦問題の解決策をまず出さなければならないというのは国際的常識だ。だが、これを対話の大前提としたままただ日本の態度変化を待つのは賢明でない。独島(ドクト、日本名・竹島)、慰安婦、教科書問題はある日突然すっきりと解決されるものでは決してない。反日感情や対日強硬論に陥り実利を捨てる愚を犯してはならない。過去史と未来を分離する処理方式を探さなければならない。求同存異(違いを認め同じ点を追求する)の知恵で第3の道を模索する時だ。

このように北朝鮮と日本を相手にした韓国の外交安保政策はあくまでも「国益リアリズム」を基盤としなければならない。しかしこれは政府だけで実現できるのではない。感情を節制し現実と実用を尊重する国民意識の後押しが必要だ。



「日強奪文化財、無条件出せと言うなら解決できなくて」
東亜日報 015-01-01
http://news.donga.com/3/02/20150101/68865059/1
(前略)
チョン・ウテク東国(トングク)大美術史学科教授は「ひとまず互いに相手側の立場で懸案を眺めようとする試みが必要だ」として「日本側では直ちに目の前に起きた状況(対馬仏像)を国際協約により処理することが先決課題と見ている。日本側は長い間の歴史的悪縁によって韓国社会に根付いた日本に対する否定的感情の必然性を理解しようとする努力を見せるべきだ」とした。

ムン・ミョンデ韓国美術史研究所長は「私たちの文化財を返してもらわなければならないという目標は明確に置いても、交流協力を通じて相談する努力なしに一方的に返還主張だけしては、得るものがない」として「実益のない消耗的感情対立を自制し、長い観点の戦略的接近を堅持しなければならない」と話した。



韓国の三大紙のうち中央日報東亜日報の記事なのですが、どちらも韓国に存在する反日感情=日本人の想定する反日の存在を認めている内容です。


これも要するに乖離現象の一種です。
「かくあるべき姿」としては韓国は絶対的に正しいので落ち度があってはいけません、ですから韓国に嫌韓現象の原因となるような反日はあるはずがないとなっていますが、実際問題として「韓国が苦しい状況にあり、日本との関係改善を急がないといけない、その障害とはなんだ」となった場合の「実体験としての個人レベルの意見」では反日の存在を認めているのです。


また、日本のメディアの場合も「一般の韓国人に反日は無い」とするのは韓国人のこの「かくあるべき姿」を前提にしているからです。
それが単に韓国の事を上辺だけ調べて解ったつもりになっているだけなのか、それとも解っていて無視しているのか、その辺りは解りませんが。


そして、実はこの日本のいくつかのメディアやメディアに登場する言論人の「韓国人のかくあるべき姿」を前提とした分析が、韓国人自身にもかなりの悪影響を与えています。


韓国で日本の嫌韓が始めて大きく取り上げられたのは、2005年のマンガ嫌韓流が初めてだったのですが、このマンガの登場に韓国人は非常に動揺しました。
なぜなら全く想定していなかったからです。
今まで書いてきたように、自己の行いや認識と「かくあるべき姿」が完全に乖離しているので、これまでの自分達の行いが日本に悪い印象を与えているとは考えてもいなかったからです。


そして、全くの想定外だったからこそ、彼らはそれがなぜ起きたのかがまるで理解できず、ただひたすら「右傾化だ!」「韓国への侮辱だ!」と漠然と騒ぎ立てるだけでした。
そこに日本の言論人やメディアが「答え」を与えてしまったのです。


「日本人が自信をなくし躍進する韓国に嫉妬したからだ」とか「貧困層が自己の不幸を韓国に転嫁しているいからだ」とか「無教養な人間がコンプレックスの解消に利用しているだけだ」とか、そういうことを韓国人の耳元で囁いたのです。


その結果、ただ漠然と反発するだけだった韓国人に「劣等な日本人ネットウヨク」という解りやすい答えとなってしまい、それが「かくあるべき姿」に組み込まれます。
そして更に現実との乖離が進み、韓国で嫌韓に対する分析が以下のように明後日の方向へと全力疾走して行ってしまっているのです。


日本で歴史小説嫌韓本が人気を集めるワケ
朝鮮日報 2014/05/18
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/05/18/2014051800148.html(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20140518045242/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/05/18/2014051800148.html(ウェブアーカイブ
「強い日本が懐かしい」
人気小説『村上水軍の娘』…戦国時代の海賊の活躍を描いた歴史小説
雑誌社は嫌韓世論を主導
出版市場、2000年の2兆4000億円規模から昨年は1兆7000億円規模に縮小


包み隠さず言うと、今回の日本探訪の動機は「日本人の胸の内をのぞいてみよう」というものだった。なぜ安倍首相はあのように振る舞い、なぜ多くの日本人がそんな安倍首相に熱狂するのか。日本人の心の中に、何が起こっているのか。人々の胸の内を探る上で、書店に勝る場所はないだろう。

 東京都心の千代田区神保町。古書店をはじめ、大小約170余りの書店が集まる「本の町」だ。ここにある6階建ての大型書店「三省堂」を訪れたのは、先月24日のことだった。売り場1階の最もよく見える場所には「本屋大賞」と書かれた特設コーナーがあった。「本屋大賞」とは、日本の主な書店の店員が、最近1年以内に出た本の中から「最も売りたい本」を選ぶイベントだ。毎年4月に実施され、今年で11回目を迎える。受賞作はほとんどがベストセラーになり、映画化もされる。日本人がよく読む本を知る上での指標になるわけだ。数百冊の本が積まれている台で本を開いていた40代の男性は「受賞作に関心がある。買おうと思う」と語った。

■自信を失った日本人「昔の栄光が恋しい」

 今年の「本屋大賞」に選ばれたのは『村上水軍の娘』。戦国時代、織田信長に対抗して瀬戸内海を中心に活躍していた、村上水軍を素材にした歴史小説だ。昨年の大賞は『海賊と呼ばれた男』だった。190万部売れたこの本は、石油会社「出光興産」を創業した出光佐三を主人公にした実話小説だ。内容は、敗戦直後の1950年代、日本の実業家が西欧のメジャー資本と戦い、国家再建のため奮闘するというもの。

 日本で最近ベストセラーになる本は、昔の栄光を回顧する本や、強い日本を懐かしむ歴史物が多数を占めている。第2次世界大戦で特攻隊員だった祖父の足跡を追う孫の物語を描いた小説『永遠の0』は、2006年の出版後、最近再びミリオンセラーになった。昨年12月には映画化され、800万人の観客を動員した。安倍晋三首相も、映画を見て「感動した」と語った。

 「強い日本」を懐かしむ歴史物が人気を集める理由は、日本が長期不況に直面する一方で、格下と考えていた韓国や中国の国力が高まり、日本人が不安感を抱いているからだ-と分析されている。出版・メディア専門の週刊紙『文化通信』の星野渉編集長は「かつては『西欧に学ぼう』という系統の本がよく売れたが、最近は『西欧も日本を立派な国と考えている』という類いの本がベストセラーになっている。自信があるなら外国からどう見られようと気にしないが、景気が低迷し、国民が自信を失っているのが原因」と語った。



この日本のメディアから「逆輸入」されたかくあるべき姿は、韓国人にとって非常に心地の良いものでした。
なぜなら、以前も紹介した韓国人が日本人から嫌われる根本的原因で紹介したように、蔑視ありきの自民族中心主義と非常に相性がよかったからです。


実態は韓国人が当たり前の物としている蔑視ありきの自民族中心主義そのものや、その他今まで書いてきた日韓の価値観の大きな隔たりが日本で噴出した結果なのですが、最早韓国人にはそれが全く見えていません。
なぜなら「当の日本人達」が上記のように「教えてくれる」からです。


しかも現在韓国では、先月の内閣府の各国の好感度調査の結果で更に驚愕し混乱しました。
日本の言論人やメディアが教えてくれた通りならば、一部の貧乏人や無教養な日本人が騒いでいるだけだったはずなのに、内閣府の調査では半数以上が韓国に良い印象を持っていなかったからです。


しかし韓国では、もう彼らの言葉が「かくあるべき姿」に完全に組み込まれているので、その前提でこの現実を見るしかありません。
なので最近になって更に「なぜだ」となってしまっているのです。


恐らく、今後この状態に対し日本の言論人やメディアが更なる「耳打ち」を韓国人にするでしょう。
結果韓国人は、その前提に立って「対策」をし、問題の本質とはかけ離れた見当違いの方向へと全力疾走して行く事になるでしょう。


最早こうなってしまっては何もかもが手遅れです。
「いずれ何とかなる」と考えている人がもしいるのならば、それは諦めたほうが良いです。日本に問題を問題として認めない人々が存在し、そういった人ほど韓国と近しい位置にいて韓国人にとって耳に聞こえの良い言葉を囁き続けるからです。


そして今後も韓国人の乖離現象と「なぜだ」は続き、明後日の方向への全力疾走が行われるわけです。