さて、今回は最近ニコニコニュースで話題となった韓国で「日本が好き」という人が増えているとのアンケートに関係した内容となります。
ただし、はじめに書いておきますがここで論点とする反日とは日本人の定義する反日であって、韓国人はそれを反日とは定義していません、韓国人にとっては「(道徳的に)正しい事をしているだけ」との認識です、その点だけご了承ください。
まずは問題の記事を
日本人が好き――韓国と中国で上昇
Business Media 誠 2014年8月27日(水)16時26分配信
http://news.nicovideo.jp/watch/nw1208801
2012年に行った調査で「日本という国が好き(大好きを含む)」と答えた韓国人は36%だったが、2014年には56%に上昇していることが、マーケティング事業などを手掛けるアウンコンサルティングの調査で分かった。
「日本人が好き(大好きを含む)」という韓国人は、2012年の調査時は40%だったが、2014年では71%となり、31ポイントも上昇。また「日本人が好き」という中国人は、2012年の調査時には50%だったが、2014年では59%となり、9ポイント上昇した。
韓国人と中国人の間で、日本に友好的な感情を持つ人が増えているようだが、日本へ旅行したいと思っている人はどのくらいいるのだろうか。アジア10カ国(地域を含む)の人に聞いたところ、2012年に行った調査で「日本へ行きたい(とてもを含む)」と答えたタイ人は94%だったが、今回はなんと100%。タイだけでなく、マレーシア(86%)、シンガポール(90%)、インドネシア(96%)、ベトナム(94%)、フィリピン(92%)ではいずれも85%を超えており、東南アジアの人たちが観光地として日本に注目していることがうかがえた。
ちなみに「日本へ旅行に行きたい」と思っている韓国人は71%、中国人は59%だった。
「日本へ旅行に行きたい」と答えた人に、その理由を聞いたところ、10カ国中5カ国で「行きたい観光地があるから」がトップ。次いで、回答者が多かったのは「日本食が好きだから」「日本文化に興味があるから」「日本の製品に興味があるから」が続いた。
アジア10カ国、それぞれ18歳以上の男女100人が回答した。調査期間は8月4日から14日まで。
ご覧の通り、韓国人の日本人への好感度は上がっています。
ただしこれは韓国人の中で反日が薄まったといった意味ではありません、(日本人の考える)反日は今でも変わらず韓国人の中に存在しています。
ではなぜこんな結果になっているのでしょうか、まずはそこからです。
一番の理由は韓国経済の停滞です、去年末頃から朴政権が日本企業からの投資を必死で呼び込んでいることからも解るように、2011年以降韓国では日本からの投資が激減してきており、それが韓国経済に少なからず打撃を与えています。
結局のところ、国家間の貿易には必ず何らかの形で政府間の調整や便宜などが必要になります。日本のマスコミなどでは「政治と経済は別」と宣伝していますが、政治が冷えれば必然的に経済活動も冷え込むのです、日本にとっては韓国との貿易は大したことないうえに、最近政府主導で東南アジア諸国との経済交流が活発な事もあり殆ど実感を感じないかもしれませんが、韓国では元々韓国へ来るはずだった投資が別の国へ行ってしまっているので目に見えて大打撃となっているわけです。
そこで、最近になって韓国内で「用日論」が日の目を見て、「日本には言いたい事がたくさんあるが、まずは日本をうまく活用することを考えよう」との意見が経済界を中心に大きくなってきているのです。
これがこのアンケート結果の原因の一つです。
もう一つは中国へ接近しすぎた事への警戒感です。
韓国人は中国人に対して非常に複雑な感情を持っており、基本的に野蛮人と蔑視していますが共闘して日本を懲らしめようとの考えももっています、そしてその上で歴史的背景から中国人の事を非常に怖れてもいます。
そういった複雑な感情があるうえに、急速な反日と中国接近で日本からは見捨てられつつあり、米国からは露骨に脅されている、流石にこれでは不味いと感じる人達が増えてきたのです。
ここまで信用を失ってしまったうえに、未だに中国からの懐柔政策が続いているので、今更問題の深刻さに気付いても遅いのですが、とにかく韓国人は状況のが明らかに自分達にとって不利益になると考え、日本に目を向け出したわけです。
ただし、以前から書いているのようにこれは韓国内の保守層に近い考え方で、革新層は未だに頑固に原理主義的反日です、そして朴政権が少しでも日本に譲歩したと見れば親日派と罵って政権叩きに利用するので、結局朴政権は「日本が無条件に要求を呑まなければ首脳会談はしない」との態度なわけですが。
これが韓国内の今の現状です。
結局は用日論でしかないので、反日が薄まったわけでも日本に融和的になったわけでもなく、更に国民世論は政府の現実的な対応を絶対に許さないとの状況は変わらないのです。
また仮に問題を棚上げにしごまかし日韓の関係が改善されれば、韓国側からの要求が増え、激しい反日運動がおきるという事でもあります。
そして次にもっと根本的な問題として、韓国人にとっての日韓友好と反日が矛盾しない理由があります。
それは韓国人の蔑視ありきの自民族中心主義と非常に密接な関係にあります。
韓国人は自分達を(道徳的に)最も優れた民族と考えており、自分達の行っている事は常に正義なのだと考えてもいます。
以前も書いたように韓国人は蔑視ありきの自民族中心主義を他者(国)が劣等であるという事を担保として成り立たせています。
そしてこの韓国人の考える絶対的正義こそ反日の正体でもあります。
この他者(国)の劣等性というのが重要で、韓国人の人間関係の基本は「どちらが上か下か」なのですが、この上下は社会的地位でほぼ決まります。
この社会的地位とは経済的に成功したとか国際社会で大きな役職につけたとか、世界的に注目されたとか、なんでもいいのですが、とにかくそういった事で高い地位を得られたと韓国人が感じれば「道徳的に正しい人」となります。
つまり、韓国人の中では道徳的に正しいから社会的に高い地位につけた=道徳的に優れた人間でなければ高い地位につけない=高い地位につけない人間は劣等である、との必要条件と十分条件の逆転した三段論法が成り立っています。
そして現在の韓国では、サムスンなどの企業が躍進した、国連事務総長を輩出した、キム・ヨナが金メダルを取った、K-POPが世界的に人気となった、G20の開催国となった、などなどそういった事柄を見て「我々の高い道徳心がやっと世界に認められた」と感じています。
ここからが重要なのですが、韓国では高い地位にある人間は道徳的に正しく、尚且つ道徳的に正しい事の証明は他者の劣等性の証明をすることが担保です。
つまり韓国人は道徳的な正しさから高い地位にあると感じているので、他者の道徳的劣等性を指摘しないと韓国人の中で地位の高さが成り立たないのです。
だから従軍慰安婦問題や日本海呼称問題、旭日旗問題、竹島問題などで「日本人の道徳的劣等性」を世界に向けて指摘しているというわけです。
そして、日本人もこの韓国人の正義に反する道徳的劣等性を指摘して改心させるべきだと、日本人の定義するところの反日をすれば日本人は自らの劣等性を自覚し改心するはずだと、そう信じているわけです。
そしてこれは以下の記事からも解ります。
韓国で大ヒットの“抗日映画”、日本でも公開に向け準備中 キム監督「日本人は歴史についてあまり知らない」―中国メディア
XINHUA.JP 8月27日(水)12時56分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140827-00000016-xinhua-cn
韓国で大ヒット中の映画「鳴梁―渦巻く海」のキム・ハンミン監督がこのほど、同作品を日本でも公開できるよう、準備作業を進めていると明かした。中国芸能情報サイトの青春娯楽網が25日伝えた。
「鳴梁」は16世紀末に李氏朝鮮の将軍・李舜臣が水軍を率いて日本軍を撃退した戦いの様子を描いた“抗日映画”で、韓国での観客動員数は24日までに1600万人を突破。米映画「アバター」の記録を塗り替え、韓国史上最高となった。
キム監督は「日本人は歴史についてあまり知らない。この作品は日本の観衆が歴史を知ることの手助けになると思う。作品に出てくる日本の武将のイメージは史実に近く、日本での上映でも大きな問題にはならないだろう」と語った。
「鳴梁」は韓国で7月末に公開。8月15日には米ニューヨークやボストン、シカゴなど北米の映画館30カ所で公開され、3日間で興行収入が56万2332米ドル(約5850万円)となった。北米で公開された韓国映画の第1週目の記録として、過去最高だという。
この秀吉の慶長の役における鳴梁海戦と呼ばれる戦い、実体は李舜臣が少数(25~30隻の小型・中型船)の先遣隊と戦い先遣隊に損害を与え、そのまま本隊が来る前に追撃の来ないところまで逃げ、その後は明の将軍の指揮下に入ったというものです。
結果的に李舜臣は制海権を失い根拠地も奪われているので、戦略的に見て敗北でしかないのですが、韓国では13隻の李舜臣の水軍が133隻の秀吉軍を打ち破り進軍を阻止した歴史的大勝であると、学校教育ですら教えています。
韓国人の考えるような李舜臣の功績はどこにも記録がないのですが、韓国では政府レベルでそういう事になっています。
そしてこの映画は韓国で「史実を元にした映画」として大ヒットし、上記記事のように日本人にも「正しい歴史」を教えるために公開しようと、そうなっています。
日本人から見ると、自分達に都合の良いように歴史を歪め美化し、「日本人を懲らしめてやったのだ」と自己満足しているだけの反日映画なので、これを「正しい歴史」として日本で公開しようとの態度は喧嘩を売っているようにしか見えないのですが、韓国人にとっては日本人に正しい歴史を教え改心させるための行為なのです、要するに韓国人の考える日韓友好の理想的な形です。
つまり、韓国人の日本が好きとか日韓友好しようとの考えは、日本人に自らの道徳的正しさを教え、日本人に韓国人の正義を理解させ改心させようと、そして日本を“用日”する事で利用しようとそういった意図でしかないと言うわけです。
個別の「日本が好き」を抽出すれば、日本文化が好き、日本食がすき、日本のアニメや音楽が好き、色々とあるでしょうが、そういったものは結局枝葉であって本質ではありません。
子供の頃からの教育と社会的・文化的背景に根ざした蔑視ありきの自民族中心主義を価値観として持つ多くの韓国人にとっては、一番の望みは「日本人に自分達の道徳的正しさと、日本人の道徳的劣等性を教え改心させる事」なのです、そしてそれは彼らにとって悪意ではなく善意なのです。
ある種、韓国人にとって反日とは高貴な社会的地位に伴う社会的責任の行使であるノブレス・オブリージュの概念に近いと言い換えることができます。
だから反日と日韓友好は韓国人の中で一切矛盾しないわけです。
相手に悪意が無いからと、それが我々にとっても悪意ではないとは限らない、そういう事ですね。