さて、本日は書籍なども出版している韓国人のシンシアリーさんが、先日非常に興味深い記事を文春に寄稿していたので、その件に関する内容となります。
殆どが過去記事の内容ではありますが、シンシアリーさんのこの記事には私の記事にはなかった発想があることと、このことは定期的に書くことで「新規の人にも見てほしい」ため改めて書くこととします。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由
注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
シンシアリー氏によると、韓国の「敬語」のシステムは日本と大きく異なっており、日本の敬語が「他者を尊重する」ためのものであるのに対し、韓国の「敬語」は「序列の決定作業」の一つであり、「目上の相手を敬う」事に限定されるという特徴がある。
このことから、「常に相手との序列を決定したがる社会」となっているため、韓国では序列が高いと決定されると、文字通り「何をしても許される存在」となり、それが現在の韓国でも頻繁に観察できる。
また、このことは対日本にも深く関係しており、「常に自身の序列を気にしている」韓国人は、「自身が日本より上である」と確認するために、日本に対して高圧的な態度を取っているという事がわかる。
※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:「敬語」の概念の違い
まずはシンシアリー氏が文春に寄稿した記事から
(非常に長いので要点部分のみを抜粋します)
なぜ韓国語で会話をする前には必ず「序列」を確認しなければならないのか
文春オンライン 2020/07/06
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(一部抜粋)
韓国語の敬語は、「お互いの序列を証明する」身分証明書
私が肌で感じた韓国語と日本語の敬語表現の差は、それらの方向性が、一方通行なのか、双方通行なのかにあります。韓国では、AがBを尊待すると、BはかならずAを下待します。AとBが尊待し合うことはまずありません。未成年の友だち同士でタメ口を使う(平待し合う)ことはもちろんあります。でも、本当にマブダチでもないかぎり、大人同士で「平」の関係で話し合う、お互いに尊敬語またはタメ口を使い合うことは、そうありません。
どれだけ些細なことでも、どれだけ下らないことでも、かならずAとB、二人はお互いの序列、上下を決めます。そして、それをお互いに確認し、ある種の釘を打っておくために、序列の低い人は高い人に尊待語を、高い人は低い人に下待語を使います。言わば、韓国語での敬語は、「お互いの序列を証明する」ための、身分証明書のようなものです。これが、少なくとも「実用」の中での、韓国語と日本語の「敬」の本質的な差です。
こう書いても、日本の皆さんにはピンと来ないでしょう。参考になればと思って、この問題に関する、専門家の寄稿文を一つ紹介します。著書や論文などで、韓国内の嫌悪(ヒョモ、相手へのヘイト表現)問題を指摘してきた、原州(ウォンジュ)大学の多文化学科キム・ジへ教授が、市民記者として「オーマイニュース」(2009年6月14日)に書いた寄稿文、「バンマル、彼らの身分社会」です。バンマルについては後述しますので、引用部分では普通に「タメ口」に訳しました。
会話の前に自分と相手の「上下」を決める
<……韓国人は、人に会えば、まず年齢を聞く。言葉遣いをどうすべきかを決めるため、すなわち相手の名前に「氏」を付けるべきか、文章に「です、ます」を付けるべきかを決めるには、年齢を知る必要があるからだ。年齢だけではない。韓国語で相手と会話を始めるには、その前に、相手について知っておかないといけないことが、あまりにも多い。職業、教育水準、結婚したかどうか、親や配偶者の職業、経済的能力、乗っている車の種類、住んでいる街、着ている服、などなど。もちろん、男か女かも会話の前に知っておくべき重要な要素だ。
職業といっても、韓国では全ての職業に貴賎があるため、その職業において、どれほどの職位にまで登ることが出来た人なのか、その点も知っておかなければならない。それらの項目で、これといって他人より優れたものが無かった場合、その人は、タメ口をきかれなければならない。私が「タメ口でいいですよ」と先にことわっておくことも無くはないが、ほとんどの場合、私にタメ口をきくかどうかは、私に話しかける人が一方的に決める。
だからこそ、だろうか。他人より上を行くものが「年齢」しか無い人たちは、わずか1、2年差にも、ものすごく敏感に反応する。いや、数カ月、数日の差すらも、重要である。1月に生まれた私のような人は、その前の年の12月に生まれた人と友だちになるためには、「生まれた『年』はあなたより後ですが、早い時期(1月)に生まれましたので」と、かならず強調しておかなければならない。わずか数日の遅れで、その相手からずっと「下待」される関係にはなりたくないからだ……。
いまの時代において、韓国語のタメ口というものは、社会においての関係ではなく、身分の違いを表す。カースト制度のように、社会全体の固定された身分を意味するものではない。代わりに、韓国には、個人単位で勝手に決める身分階級がある。誰もが、自分自身も含めて、周りの人を一列で並べて序列を付けた身分階級である。階級といっても、生まれ持っていたものでもないので、その階級を作る責任も、各自にある。なのに、明確な基準も無く、年齢、職業、性別等に応じて、自分の勝手で決めてしまう。それは、極めて個人的な決定ではあるが、実は社会レベルで存在する偏見をそのまま反映している。タメ口は、そうやって自分で作った自分の身分社会の中で、自分よりも低い立場の人にだけ使う言葉なのだ。朝鮮時代のような公式の身分制度はもう無くなったかもしれないが、タメ口を使うことで作られる身分社会は、日常と分離することができない、生活そのものになってしまったのだ……>
記事では、韓国における「敬語」の概念は日本と大きく異なっており、日本の敬語が「他者への尊重」の意味を持つのに対し、韓国における「敬語」とは序列の決定作業の一つであり、相手より自身が下だと「主観的に感じれば」敬語を使い、自身の方が上だと感じれば「使わない」そういう概念のようです。
以前から書いているように、韓国では対等の概念が一般的に希薄であり、常に上下を気にする社会であることは書いてきましたが、それ以上にそもそも「敬語」の概念そのものが「序列」に特化したものであるという事は非常に興味深いです。
そしてシンシアリー氏はこのことを「誰かは誰かの上で、誰かは誰かの下。そういう階級を作っておかないと、自分自身のアイデンティティーが見出だせなくなってしまった」と書いています。
ただし、あくまで私見になりますが、このシンシアリー氏の「なってしまった」というのは70年代、80年代頃の韓国と比較してという意味であり、もっと前の李氏朝鮮時代も「この概念であった」であろうと見ています。
どうしてかといえば、李朝の外交政策などが小中華思想に基づいており、この考え方がそもそも「序列を前提としている」からです。
恐らく日本統治時代に概念が変質し、その後日本統治時代を経験した人々が国を動かしていた時代は引き続き「日本での概念」が通じたが、そうした人々が寿命や引退などでいなくなるにつれて、「元に戻っていった」のでしょう。
「韓国が善」であるために「日本は悪くなければならない」という発想の言語的背景
文春オンライン 2020/07/06
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そして続くこちらの記事では、こうした韓国社会では「知らず知らずに、私たちは、自分自身を、自分より地位が低い他人と区別することによって、私は他人よりも優れていると示そうとする。」と書かれており、それがタイトルにもある「韓国が善であるために日本は悪くなければならない」という発想になっていると書かれています。
この辺りは以前から何度も説明している「蔑視ありきの自民族中心主義」で説明していますので省略しますが
※蔑視ありきの自民族中心主義
韓国の自民族中心主義(エスノセントリズム)は非常に特殊であり、通常の自民族中心主義が自己の優越性の肥大化から異民族や異人種を蔑視するようになるのに対し、彼らの価値観では「他者を蔑視する事で自己の優越性を証明する」通常とは逆のプロセスになっている。
韓国人が日本人から嫌われる根本的原因
youtube版
https://youtu.be/StPglNFdHxE
この記事で重要なのは「誰もが、尊待されるため、命をかけて、権力、出世、学歴、権威にぶら下がるというのだ。よって、私たちは、他人を自分と「同等」な人格として見ない傾向に慣れている。」という社会であると書かれている事です。
つまり、韓国社会では「自分は常に相手より上でなければならない」という発想が根底に存在しており、そのうえで独特の「正しさの概念」によってむしろ「自身がなぜ正しいのか」を説明できないという状態にあります。
※独特の正しさの概念
彼らの正しさの概念は独特であり、根拠を必要としない。
また「この世には最初から一つの正しさが存在する」と考えられており、自分はその正しさを常に選択していると考える傾向にある。
そして正しさ同士がぶつかった場合には、(曲解でも捏造でもその件と全く関係なくともなんでもいいので)相手の劣等性を指摘する事でそれを自己の正しさの担保とする。
また相手の劣等性を指摘した時点で自身が指摘された問題は相手の問題にすり替わる。
youtube版
https://youtu.be/PvEa1FjkkEw
過去記事「韓国社会では「記憶の改変」が起きているわけではない?」で書いたように、「最初からそこに存在している正しさを選択している」という発想なので、そもそもそれを説明しようがないのです。
だからこそ、彼らは自身の正しさの証明として「相手がいかに劣っているのか」にこだわるというわけです。
2:韓国社会における実例
このことは「敬語」という概念を超え、韓国におけるありとあらゆる事柄が独特の概念に基く「序列の決定作業」に根差しているという事がわかり、これは最近の韓国における動きを見ていても非常に顕著にみられます。
例えばこちらの事例では
韓国与党は日本バッシング、野党は北朝鮮・中国たたき 朝鮮日報 2020/04/02
今年4月に行われた韓国の国政選挙が「親日」「親中」「親北」と与野党で罵り合う場になっていたのだそうです。
「どちらが上か下か」を他者の劣等性で決めようとしており、その方法が野党は与党を「親中だ」「親北だ」と罵り、与党は野党を「親日だ」と罵るという、劣等生の指摘合戦となっており、それに与党が勝利したというわけです。
また一連の慰安婦団体の内紛においても、渦中の正義記憶連帯とその支持者たちは
韓国政界に落ちてきた元慰安婦団体代表をめぐる論争…「内訳公開を」vs「親日攻勢だ」 中央日報 2020.05.12
スマートフォン版
https://s.japanese.joins.com/JArticle/265851
自分達を批判する人々を「親日派」とレッテル貼りし、また問題を告発した韓国政府認定慰安婦の李容洙氏に関しても、
李容洙さんへの人身攻撃が深刻…本質から外れた「2次加害」 中央日報 2020.06.01
スマートフォン版
https://s.japanese.joins.com/JArticle/266545
「あいつは親日派だ」とレッテル貼りをし攻撃していました。
このことから解るのは、実際に親日かどうかなどは一切関係がなく、「どちらが上か下か」を決定するために、「そうこじつけている」だけであり、実態がどうであるかは一切関係がないという事です。
重要なのは人間関係において「自身が相手より上である」と確認する事であり、敬語が相手が自身より上であると決定する作業であることと同じく、こうしたレッテル貼りが韓国において「自身が相手より序列が上だ」とアピールする手段なのです。
重要なのは、「他者を尊重する」という発想はそもそも彼らの価値観において非常に希薄であり、「相手を上に見る」「相手を下に見る」という発想そのものが私達とは大幅に異なっているという事です。
3:「対日本」でも同じ
そして韓国内でこうなっている以上、当然対日本でも発想は同じです。
例えばこちらの事例
ハロプロアイドルのMV動画に批判「政府のプロモーションビデオ?」韓国語中心にコメントが集まったワケは リアルライブ 2020年07月07日
2019年にリリースされた日本のアイドルグループが歌う曲に対して、最近になって突然韓国人達が押し寄せ猛バッシングをし始めたという事例です。
そうなった背景は、アメリカ人が韓国語で日本の曲と韓国の曲を紹介しているユーチューブチャンネルでこの曲を紹介したところ、韓国人達がタイトルで「日本賛美の曲」と思いこみ、一斉に荒らしだしたという事なのだそうです。
これなど典型的です。
そもそも1年も前の曲なうえに、彼らは曲の内容ではなく「ニッポンノD・N・A!」というタイトルに反応しただけで、詳細など一切知りません。
さらに、たとえそれが「日本賛美」の内容であったとしても、日本語で日本人が日本賛美の曲を歌ったからと本来韓国人には一切関係のない事です。
なによりこの曲は、聞いてみたところ韓国人がクレームを入れそうな内容どころか、韓国を連想する内容すら一切ありません。
また次の事例では
(※1)
'旭日旗'つけ南シナ海訓練出た米軍戦闘機 韓国日報(韓国語) 020.07.06
在日米軍の戦闘機の尾翼に旭日旗が書かれていたとして、韓国人達がクレームを入れてきたという事例です。
これなのですが、以下の過去記事や過去動画で紹介したように
過去記事
『旭日旗問題』に見る韓国人独特の考え方
過去動画
youtube版
https://youtu.be/act1XK9Ak7w
YouTube版
https://youtu.be/Uq93x1gIslI
そもそも出発点自体が「ただの言いがかり」で序列の決定作業の一環なのですが、今回の事例の場合過去に韓国は在日米軍の旭日マークにクレームを入れ、結果的に無視されたという背景があります。
ではなぜ突然またこんなことを言い出したかというと
韓国人8割「生まれ変わっても韓国人」…対日敵がい心、北より高い 中央日報 2020.07.08
スマートフォン版
https://s.japanese.joins.com/JArticle/267881
見てのように、現在韓国では民族主義の高まりとともに日米中への敵愾心が高まっており、更に
(※2)
[チョンドンコラム]差別禁止・気候対処は‘G10’の土台 京郷新聞(韓国語) 2020.07.06
上記記事では、韓国はすでにG7入りにふさわしい国であり、「韓国という新しい均衡者モデルが浮上している」と、以前も書いたように現在進行形で韓国人は「韓国の序列が上がり続けている」と考えています。
なので、とにかくなんでもいいから「自分が上だ」と主観的に認識するために、「自分より下だ」と認識できる他者が必要であり、だからこそ再度米軍の旭日マークの件を持ち出してきて「劣等性の指摘」をしているというわけです。
つまり、一連の動きは単なる反日・反米というよりも「他者を尊重する」という概念が希薄な韓国的価値観において、「自分の地位が上だ」とアピールするための「ごく普通の行為」と考えた方がいいわけです。
これが「序列社会」である韓国です。
そもそも「敬語」にしても「他者への尊重」にしても、私達とは全く異なるロジックで思考し結論を出しているので、こういう事が起きるわけです。
また余談になりますが、こうした背景があるので韓国人が「日本は過ごしやすい」と言ったからと、それを安易に真に受けるのも危険です。
なぜかといえば、今回書いたように韓国において「敬語」とは目上の相手に対する「敬い」という発想があるため、基本的に他者に「敬語」で接する日本人が「自分の事を序列上位者と考えているのだ」と発想している可能性があるからです。
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動画版マイリスト
番外編マイリスト
(※1)
'旭日旗'つけ南シナ海訓練出た米軍戦闘機
韓国日報(韓国語) 020.07.06
https://www.hankookilbo.com/News/Read/A2020070615100000801
米国、太平洋空軍司令部(PACAF)が5日、尾翼に旭日模様が描かれたF/A-18F 「スーパーホーネット」(Super Hornet)艦載機の訓練場面をホームページに公開した。米本土から出撃した爆撃機と日本岩国飛行場に駐留中の航空母艦打撃群が南シナ海で行った合同訓練を紹介した初めての写真で該当艦載機をアップした。
旭日模様の旗は日本軍国主義の象徴であり第二次世界大戦中、日本軍が使った戦犯旗だ。まだ日本陸上および海上自衛隊の軍旗として使われている。
米軍の旭日模様使用は過去にも議論になったことがある。数年前、有事の際、韓半島に展開することもできる日本駐留米軍部隊が旭日模様を部隊マークに適用したことが知られて国内で批判世論が起きた。しかし、私たちの国民感情とは異なり米国人にとって旭日模様は日本を象徴する模様程度と認識され、当時は特別な後続措置なしで論議はだんだんなくなった。
今回公開された写真の中、艦載機の模様もやはり特別な問題意識なしで使われた可能性が高い。該当艦載機は空母ロナルド・レーガン号を旗艦とした第5空母打撃群所属で現在、日本の岩国飛行場に駐留中だ。駐屯地を現わす象徴として旭日模様を尾翼に描いたと見られる。
同じ飛行大隊所属艦載機の過去の写真に旭日模様がないことから推して、簡単に消して再び塗ることを繰り返す程軽い「デザイン」程度でもある。
しかし、今回公開された写真の中で尾翼塗装は非常に定石的な図案という点で過去と異なる。議論になった当時、旭日模様の比率が違ったり、中央部の円形が一部、あるいは全て遮られて批判を避ける素地があった。米軍は旭日旗を戦犯旗と認識せず、軍の象徴と塗装は各国の固有権限という立場を守っている。
しかし、海外駐留部隊の場合、駐屯地住民の情緒を考慮して部隊の象徴や軍用機塗装を変更したこともある。日本に駐留している米軍は韓半島もやはり作戦区にするだけに旭日模様に対してつらい記憶がある韓国に十分配慮していない、という批判が引き続き提起される理由だ。
イ・ハンホ記者
(※2)
[チョンドンコラム]差別禁止・気候対処は‘G10’の土台
京郷新聞(韓国語) 2020.07.06
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?art_id=202007060300015
ジョー・バイデンが11月、米国大統領に当選すれば世界は再び過去の「正常」に戻ることができるだろうか?いや、すでに時代は大きく変わってしまった。
この前、トランプが主要7カ国(G7)首脳会議に文在寅(ムン・ジェイン)大統領を招いたことに対し、一部ではトランプ特有の即興提案という声がある。とんでもない。今、米国の共和党と民主党の主流は国際秩序を西欧自由主義対中国権威主義同盟の対決に再編しよう、とする大きな絵を描いている。
ところで興味深い点は二つの「文明」の両極的対決の隙間で韓国という新しい均衡者モデルが浮上していることだ。
均衡者?過去、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が口にして当時の主流社会からとんでもない嘲弄を受けた概念だ。だが、世界は変わった。
西欧の知性は中国式権威主義に転落せず、今のところ防疫を成功裏に成し遂げた大韓民国の新しい均衡モデルに関心が高い。自分たちが今まで信じてきた自由と平等の概念がみな溶けて流れているからだ。
これは防疫に限ったことではなく、ポスト・コロナ時代の新しい正義論の領域だ。価値談論で新しい秩序をリードするこれは既存の均衡を変化させることができる。
もちろん米中両極対決の隙間は大変疲れる。しかし、韓半島の歴史上、韓国が未来の国際モデルの可能性に浮上した事件は空前絶後だ。ただ、新しい普遍としての均衡者になるためには近代期に達成できなかった宿題と脱近代時代の新しい課題を完了してこそ、ひとまず出入証を受けとることができる。例えばすべての差別禁止と真正性ある気候の危機克服の話だ。
近代的冷戦時期、差別禁止法は普遍を主張するための最小限の資格だった。すなわち、米国は旧ソ連との理念競争で勝利のために民権法通過に死活をかけた。事実、憲法に黒人の法的価値を「白人の5分の3」と記録した国で、どのようにソビエトの人権弾圧を非難できるのか?
大韓民国ももう新しい普遍進入のためのリトマス試験の前にいる。ミレニアム世代ジャンヒェヨウン正義党議員と586民主化運動の象徴グォンインスク民主党議員などが、私たちに宿題を課した。その包括的な差別禁止法の共同発議は、現在韓国でも「正常国家」に進入する入口に膜入ったという意味である。
脱近代」新冷戦」時代には、生態系の感受性は、普遍のための新しい資格である。過去ルーズベルトはニューディールとマーシャルプランでレーニンをKOさせた。今日のアメリカの主流社会は地球的グリーン・ニューディールと量的緩和に習近平を克服しようとしている。事実気候悪役のトランプ政府がどのように生態文明を憲法に入れた習近平との体制競争に勝つことができるか?長い期間生態運動を展開した量ウォンヨン民主党議員の炭素削減のか、予算制度は、大韓民国の新しい認定試験である。これは、今後、実質炭素削減の観点から、すべての政府の予算を評価して監督する構想だ。韓国が長くは北朝鮮まで含まれている、アジアの生命政治共同体(Biocracy)の大胆な未来をリードする最初の布石だ。
今日、国際社会が合意する新しい普遍ビジョンは「包容的(包括的)民主主義(Inclusive Democracy)」である。ムン・ジェイン大統領は普段このビジョンに興味が非常に大きい。私はムン・ジェイン政権と議会がこの国際社会の共通の価値を一次元発展させることができると信じている。ムン・ジェインの「グローバル包容民主主義論」と呼べばどうだろうか?包括的差別禁止の価値が受け入れ民主主義の当然の帰結であれば、炭素削減をはじめとする生態系は、新たな次元への思想進化である。包容は人間だけではなく、自然の多様な主体たちまで対象だからだ。青瓦台キム・サンジョ実装と民主党イ・ヘチャン代表は、キム・テニョン院内代表の最も重要なミッションは、大統領の地球的包容民主主義のビジョンを実現することである。
大韓民国がG10に招待されて経済突破口の機会を開くことは本来、保守のアジェンダでもある。なぜ私たちは差別と気候危機に敏感なドイツ のメルケル総理の様な傑出した保守大統領候補がいないのだろうか?ドイツ社会の卓越を最もよく理解するキム・ジョンイン未来統合党代表と柔軟な政治家であるチュ・ホヨン院内代表の次の話題が包括的差別禁止と気候危機緊急対処になることを期待する。
まだ影が多いがK防疫は新しい普遍へ初の突破口を開いた。もう包括的差別禁止法と炭素縮小認知予算制度通過で新しい流れを継続したらよいだろう。