お待たせしました、番外編の変な生き物動画第四回、今回はオオグチボヤについてになります。
注意
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
・キャラ崩壊あり
・動画の拙い部分は生暖かく見守ってください、そのうちなんとかします
・うp主はただの「変な生き物好き」です
本日の投稿動画
YouTube版
https://youtu.be/8uS3M-0Eeeo
以下は動画のテキスト版になります。
レイム マリサ 大口
ゆっくりしていってね
大口
さて、今回は久々に変な生き物動画の更新になります。
マリサ
おいうp主、「次は早ければゴールデンウィーク頃」って話はどうなった?
レイム
あ、そういえばそうだったわね、もう8月の後半だけど?
大口
3か月くらいは誤差です、たぶん、きっと。
レイム
そんなわけないでしょ。
マリサ
大雑把にもほどがあるぜ。
大口
ま、まあ一応投稿はしたんだからいいじゃないか、細かいことは。
深海について
レイム
で、なんで「オオグチボヤ」の事を説明するのに深海についてなの?
大口
まず深海について説明しておくと、その後が説明し易いから。
マリサ
深海は深海だろ、何を説明するんだよ。
大口
マリサ、甘いな。
深海は深海でそれはそれは奥深いんだよ、深海だけに。
レイム
三枚おろしと干物にされるの、どっちがいい?
マリサ
ホヤは塩ゆでしてレモン汁かけて食べるとおいしいらしいぞ。
大口
やめてーーーー!
そ、それで話を戻すとね、レイムとマリサは「深海」って水深何メートルくらいからか知ってる?
参照
GODAC国際海洋環境情報センター
レイム
500メートルくらい?
マリサ
1000メートルとかじゃないのか?
大口
残念、200メートルからが深海ね。
ちなみにオオグチボヤは水深300から1000メートルくらいの世界中の海に住んでいるよ。
レイム
200メートルって、意外と短い距離よね。
大口
でもね、水圧って10メートル潜るごとに1気圧、つまり1立方センチメートルあたり1キログラムずつ圧力が増えていくから、それで体がつぶれることはないけど、水深200メートルでは体全体に20㎏の圧力がかかることになるのね。
※よく創作物の世界で真空に投げ出された人の体が破裂するという描写がありますが、現実には1気圧差程度でそんなことは起こりません。
詳しくは「ソユーズ11号事故」を参照。
マリサ
200メートルでもかなり過酷な世界なんだな。
大口
そういうこと。
あとこれが重要なんだけど、水深200メートルでは光が地上の0.1%しかとどかなくて、1000メートルを超えると完全に真っ暗になるのね。
レイム
じゃあ、深海は真っ暗でほとんど何も見えないって事?
大口
まあそうなるね。
そんな過酷で地上とは全く異なる環境の深海だけど、実は身近な食材として深海生物が利用されている事例って結構あるんだよ。
レイム
全く想像できないんだけど。
大口
有名なところではサクラエビとキンメダイがあるね。
あと最近有名な富山湾のシラエビも深海生物ね。
大口
ただサクラエビとかは常に深海にいるわけじゃなくて、夜になると表層に上がってくるし、キンメダイも稚魚のうちは比較的浅い海にいるのね。
これも重要なんだけど、なんでだと思う?
マリサ
全くわからんぜ、もったいぶってないで答えを教えてくれ。
大口
答えはさっき出てたんだけどね。
まあいいや、要するに光がほとんど届かないから、食物連鎖ピラミッドの下層にいる植物プランクトンが光合成できなくて、それを食べる動物プランクトンも少ないからなんだよ。
レイム
ああ、そういう事ね。
植物プランクトンが少ないからそれを食べる生き物も少なくて、さらにその動物プランクトンを食べる小魚も少なくて、当然それを食べる中、大型の魚も少ないって事ね。
マリサ
そうか、だから稚魚のうちは食べ物の多い表層で生活するわけか。
でもそれならずっと表層でもいいんじゃないか?
大口
食べ物が多いってことは、当然のことだけど「自分が食べられる可能性も高い」ってことでしょ。
深海なら天敵が少ないから、それだけ生き残る可能性が高いって事。
だからサクラエビは夜になると表層に上がってきて食事をするわけ。
大口
ちなみに、稚魚のうちは表層で生活する深海魚ってかなり多くてね、伊豆諸島や沖縄の離島のうち、沖に出るとすぐに深海になっている島では、潮だまりで稀にだけど深海魚の稚魚が発見されたりするよ。
レイム
なるほどね。
要するに「深海は食べ物が少ないけど安全」ってことね。
大口
そういう事。
オオグチボヤの口
大口
さて、ここからが本題なんだけど、ホヤといっても色々種類があって、日本や韓国、フランス、チリなどではマボヤ目のマボヤやアカボヤが食用されているんだけど、ほかにもマメボヤ目という種類がいて、オオグチボヤはこのマメボヤ目なのね。
マボヤとアカボヤ
マメボヤ目のホヤ
マリサ
というか、そもそもマメボヤ目は食べるとこないだろこれ。
大口
きみらそれを三枚おろしにしようとしたり干物にしようとしたりしているんだけど?
まあいいや、それで他にもヒカリボヤという群体を形成する種があるけど、尺の関係でこれは省略ね。
大口
まあそれはそれとして、ホヤの仲間って基本的には水中の有機物を吸い込んでこし取って食べているのね。
レイム
ああ知ってる、デトリタスとかマリンスノーって呼ばれているものよね。
マリサ
私も知ってるぜ。
マリンスノーとか気取った名前付いてるが、ぶっちゃけ生物の死骸やフンが分解されて細かくなったものだろ?
大口
まあ、みもふたもない表現をすればそうだね。
あと分解されたものだけじゃなくて、プランクトンの死骸そのものもデトリタスと呼ばれるし、地上の有機物もデトリタスと呼ばれるね。
大口
それで、さっきも解説したように、深海は殆ど光が届かないから植物プランクトンが育たないわけだけど、そうなると当然
レイム
ああ、そういうことね。
ホヤの食べ物になる海中の有機物も少ないわけね。
大口
そういう事。
それで改めてオオグチボヤの体を見てほしいんだけど、名前の通り大きな口があるでしょ?
マリサ
つまり、食べ物が少ないからほかのホヤと違って大きな口で食べ物をかき集めるって事か?
大口
マリサ、おしい。
厳密には、オオグチボヤには他のホヤの仲間にあるような水を吸い込む機能がなくて、あるのは口を閉じる機能だけなのね。
大口
で、その大きな口で海流に乗ってやってくる有機物やプランクトン、さらには少し大きめの甲殻類まで、なんでも口に入れば食べてしまうわけ。
レイム
なるほど、食べ物が少ないから食べものを得られる機会が多くなるように進化したのがあの姿って事ね。
大口
そういうこと。
なので、オオグチボヤは基本的に海流が向かってくる方向に口を向けているのだけど、富山湾で見つかった群生地域では、すべての個体が同じ方向を向いて並んでいたそうなのね。
マリサ
まあ、説明を聞く限り必然的にそうなるんだろうが、なんか奇妙な光景だな。
※ちなみに、オオグチボヤは日本では福島県いわき市の「アクアマリンふくしま」で展示飼育されています。
深海生物 オオグチボヤ展示
アクアマリンふくしま 2019年6月28日
https://www.aquamarine.or.jp/new-animals/tunicate/
2階「親潮アイスボックス」でオオクチボヤの展示を再開しました。
今回は飼育担当者も驚きの全長約15cmの大きくて立派な個体です。飼育の難しい生き物なので、お早めにご覧ください。
オオグチボヤは、英名で「Predatory tunicate(肉食性のホヤ)」と呼ばれ、海外でも有名な深海生物の一つです。水深300~1000mの海底の岩盤や沈木に付着して生活しているホヤのなかまで、流れに向かって大きく口(入水孔)をあけ、餌を捕らえます。富山県など日本海側の一部で分布が確認されていますが、生きて採集されることは非常に稀です。 今回は北海道羅臼沖の刺し網漁で水深約800mから採集されました。歌っているように大口をあけた不思議な生物にぜひ会いに来てください。
大口
ちなみにオオグチボヤは、唯一の肉食性ホヤとか呼ばれているのね。
流れ込んでくるものは、有機物だろうがプランクトンだろうが、甲殻類だろうが口に入れば何でも食べるから。
レイム
まあ要するに、一見変な形でもそれ相応の理由があるって事ね。
ホヤは優秀
大口
ちなみに、これはホヤ全般に言える事なんだけど、実はホヤって子供のころは親にはない感覚器官があってオタマジャクシみたいな姿で泳ぎ回るのね。
マリサ
え?こいつら泳ぐのか?
※同時掲載のブロマガに画像へのリンク先があります。
筑波大学 下田臨海実験センター マリンゲノム研究室
発生遺伝学グループ 笹倉研究室
http://www.shimoda.tsukuba.ac.jp/~sasakura/research_metamorphosis.html
レイム
生まれたら海を漂って岩とかに定着するとかじゃないのね。
大口
そう、で脊髄動物と非常に近い体の構造をしていて、しかも子供から大人になる過程で体が劇的に変化するから、脊椎動物の進化過程の研究に利用されているのね。
大口
あともう一つ重要なことがあって、ホヤって動物では唯一セルロースを体内で生成するのね。
マリサ
セルロースって植物の食物繊維とかのことだよな?
動物なのにそんなもの生成するのかよ。
大口
そう、遺伝子の水平伝播といって、捕食などによって他の生物の遺伝子が体内に入り込むことで獲得した性質で、生物の目も植物プランクトンの光を感じる感覚器官の遺伝子を取り込んだ事で出来上がったんじゃないかと言われているね。
レイム
珍しいといえば珍しいけど、それが何で重要なの?
大口
こんな感じで
バイオナノファイバーの製造と利用に関する 欧米の研究動向調査
京都大学
http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/labm/wp-content/uploads/2012/07/icrdsbbmena20120615-01.pdf
バイオナノファイバー(BNF)を使った材料製造について世界の各地で多くの先導的研究が行われており、また、その動きが2004年頃から加速しているということである。欧州ではセルロースナノウィスカー(BNFをさらに切断した針状結晶物質)によるナノコンポジット研究が盛んである。1995年頃からフランス、CERMAVの研究者グループが、セルロースナノウィスカーとラテックスの複合(ウィスカー量:3-10wt%)を行い、これまでに50近い論文発表がなされている。多くは、柔らかなマトリックスを剛直なナノウィスカーのネットワークで補強するという考えに基づくもので、パーコレーション理論の適用可能な複合材料である。用途としては塗膜や生分解性フィルム、あるいはリチウムバッテリー固体電解質の補強がある。ウィスカー原料として、チュニシン(ホヤの外皮)や麦ワラ、砂糖ダイコンパルプ、ポテトパルプといった農産廃棄物、ウチワサボテン(Opuntia ficus)やサイザル麻の繊維などが使われている。
大口
バイオファイバーをつかった素材の研究に、ホヤの外皮にあるセルロースが使えるのではないかって研究が進められているのね。
マリサ
なんかいきなり未来的な話になったが、これどんな意味があるんだ?
大口
一番注目されているのは、石油由来のプラスチックをこのバイオファイバー由来のものに置き換えることができるんじゃないかって研究ね。
あとは透明な紙とかもつくれるらしい。
レイム
え?なんかすごくない?
最近プラスチックゴミの問題とか出てきてるし。
大口
そう、ホヤはすごいんだよ!
マリサ
ホヤは解剖されてるだけだぞ?
大口
そ、それにね、ほかにもすごいことがあるんだよ!
ホヤとしてよく知られている被嚢動物からのナノスケールの繊維は、人間の筋肉組織を成長させる可能性があります
Nanotechnology Today Saturday, March 26, 2011
http://nanotechnologytoday.blogspot.com/2011/03/nanoscale-whiskers-from-tunicates.html
マンチェスター大学の研究者たちは、海の生物から採取したナノスケールの微細なウィスカーが、機能する人間の筋肉組織を作成する鍵を握っている可能性があることを発見しました。
科学者は、ホヤとして一般に知られている被嚢類からのセルロースが、実験室での骨格筋細胞の挙動に影響を与える可能性があることを発見しました。
これらのナノ構造は筋肉細胞よりも数千倍小さく、細胞の整列を引き起こすことがわかっている最小の物理的特徴です。
筋肉を含む体内の多くの組織には、強度と剛性を与える整列した繊維が含まれているため、整列は重要です。
セルロースは多糖であり、一緒に結合された糖の長い鎖であり、通常植物に見られ、紙や綿などの特定の織物の主成分です。
創傷包帯を含む多くの異なる医療用途にすでに使用されていますが、骨格筋組織を作成するために提案されたのはこれが初めてです。
被嚢類は、世界中の沿岸海域の岩や人工構造物で成長します。
被嚢類から抽出されたセルロースは、その独特の特性により、筋肉組織を作るのに特に適しています。
マンチェスター大学の学者であるスティーブン・アイヒホーン博士とジュリー・ゴフ博士は、博士課程の学生ジェームズ・デュガンと協力して、ナノウィスカの形でセルロースを化学的に抽出します。 1ナノメートルは10億分の1メートルであり、これらの微細なひげは幅がわずか数十ナノメートルで、人間の髪の毛よりはるかに細いです。
互いに整列して平行になると、それらは筋肉細胞の急速な整列と融合を引き起こします。
この方法は単純で比較的迅速であるため、医師や科学者は骨格筋組織の通常の整列した構造を作成することができます。
この組織は、既存の筋肉を修復したり、筋肉を最初から成長させたりするのにも使用できます。
損傷または病気にかかった人間の筋肉を置き換えるために使用できる人工組織を作成することは、医療に革命をもたらし、世界中の何百万人もの人々に大きな利益をもたらす可能性があります。
アイヒホルン博士は、生物から抽出されたセルロースが医療の重要な進歩につながる可能性があると考えています。 彼は次のように付け加えました。「それは非常に詳細な化学プロセスですが、潜在的な用途は非常に興味深いものです。
「セルロースは、そのユニークな特性と再生可能な資源のため、世界中で非常に注目されていますが、骨格筋組織工学の用途に使用されたのはこれが初めてです。
「筋肉の精密工学の可能性がありますが、靭帯や神経など、他の構造的に整列した構造物にも可能性があります。」
博士課程の学生であるジェームス・デュガンは、ナノウィスカに関する研究でアメリカ化学協会のセルロースおよび再生可能材料部門賞を受賞した最初の英国の学生になりました。
編集者向けのメモ
Eichhorn博士、Gough博士およびJim Duganは、リクエストに応じてインタビューに応じることができます。
James M. Dugan、Julie E Gough、Stephen J Eichhornの論文「配向セルロースナノウィスカを使用した骨格筋細胞の形態と分化の指示」は、プレスオフィスからのリクエストに応じて入手できます。
大口
このマンチェスター大学の研究によると、ホヤ由来のセルロースが医療分野で人の筋繊維の再生に使えるんじゃないかって研究も行われているんだよ。
さすがホヤ、すごいよホヤ!
レイム
凄いけど、単にホヤの体組織を利用しているってだけよね?
大口
と、とにかくホヤはすごいんだよ、それがこの動画の趣旨だから。
マリサ
いや、単なる「変な生き物」動画だろ。
レイム
いつからホヤ自慢の動画になったのよ。
大口
そ、そんなわけで今回の本編はここで終わります。
レイム マリサ 大口
ご視聴ありがとうございました。
大口
おつかれ~
マリサ
おい、最後のあれはなんだよ。
大口
ホヤの優秀さを世に広めたかった。
レイム
変な生き物動画からいきなりそんな話になっても意味不明なんだけど?
マリサ
予定より3か月も遅れた挙句に、どさくさに紛れてこれかよ。
大口
次は、次は早い予定だから!
レイム
なんかこの前、「最近変な生き物が次々ネットでニュースになってやりにくい」とか言ってたじゃない。
大口
確かにそういうのもあるけど、ネタはあるから!
マリサ
そして次は来年2月とか3月になるわけだな?
大口
年内にやれるし……多分。
レイム
それは今年12月までに動画が投稿されるって事でいいのね?
大口
それは誰にもわからない。
そんなわけで今回はここで終わります。
マリサ
あ、強引に〆やがった。
レイム マリサ 大口
またらいしゅ~
お知らせ。
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