日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

日本が行ったのは「経済制裁」ではない


さて、本日は数日前に発表された日本政府の韓国に対する方針について、どうもおかしなメディア報道が続いている事もあり、勘違いしている人が多いようなので、急遽その件について解説します。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由

注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:経済制裁とは性質が違う


まずはこちらの政府発表から

規制の事前評価書(要旨)
輸出貿易管理令の一部を改正する政令
貿易経済協力局貿易管理部貿易管理課 令和元年6月
https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000189429
上記はなぜかリンクが消えていました。

インターネットアーカイブ
https://web.archive.org/web/20190701224405/https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000189429

現在はこちらにあるようです。
輸出貿易管理令の一部を改正する政令
https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000189604


規制の目的、内容及び必要性
①規制を実施しない場合の将来予測(ベースライン)
今次改正は、外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」)に基づく輸出管理を適切に実施する観点から、外為法に基づく輸出貿易管理令の別表第3の地域(いわゆる「ホワイト国」)から大韓民国を削除するもの。

大韓民国の貿易管理に係る規制(キャッチオール規制)が不十分であることに加え、同国との信頼関係が著しく損なわれた中で、同国の貿易管理制度の適切な運用の確認が困難になったことから実施するものであり、仮に規制改正を実施しない場合、適切な輸出管理体制が維持されない可能性がある。

②課題、課題発生の原因、課題解決手段の検討(新設にあっては、非規制手段との比較により規制手段を選択することの妥当性)
【課題及びその発生原因】 大韓民国の貿易管理に係る規制(キャッチオール規制)が不十分であることに加え、同国との信頼関係が著しく損なわれた中で、貿易管理制度の適切な運用の確認が困難になったこと。
【規制以外の政策手段】 今般の措置は、輸出管理制度を適切に運用するために、大韓民国向けの輸出について、輸出管理制度を厳格に運用するための措置であり、非規制手段は考えられない。
【規制改正の内容】 適切な輸出管理体制を運用するためには、輸出貿易管理令別表3の国(いわゆる「ホワイト国」)から大韓民国を削除することが必要である。


韓国への輸出規制強化は「安全保障理由」官房長官 NHK 2019年7月2日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190702/k10011978861000.html


こちらなのですが、少々解り難いので、噛み砕いた説明は最後にあるNHKの記事のリンクを参照してください。


最初に結論を書くと、これは経済制裁では無いです。
またそれと同時に、一連の徴用工(募集工)裁判問題とも関係していますが、同時に対抗措置ではないという政府発表も、建前としてそうなっているわけではなく、実際に言葉通りです。


どういう事かというと、この措置はそもそも「優遇措置の撤回」であって経済制裁のような「締め付け」とは根本から性質が異なる事、これが最も大きな違いです。


つまり、もともとは「韓国という信頼に足る友好国」に対して、本来輸出に厳しい審査が必要な物品を、優遇措置として審査を簡略化し輸出しやすくする措置を取っていたが、「同国との信頼関係が著しく損なわれた」ために、この措置を解除したというのが実態です。


そして、ではこの「同国との信頼関係が著しく損なわれた」とは何かといえば、まさにそれが一連の徴用工(募集工)裁判問題です。


以前から書いているように、この問題の本質は「双方の政府が同意の上で取り決められた条約や協定を、事後に国内の都合で反故にしても良いという判断に対して、韓国の裁判所がお墨付きを与えた」というものです。


当然の事ですが、これでは国同士の信頼関係など維持できるわけがなく、だからこそ信頼関係の上に成り立っていた優遇措置を解除したというわけです。
当然の事ですが、これは経済報復とは異なります、「信頼が損なわれたから信頼の上に成り立っていた優遇措置を解除した」だけなのです。


だからこそ「徴用工(募集工)問題と関係するが、経済制裁では無い」というわけです。


2:突込みどころだらけの朝日


上記のように、そもそもこれは経済制裁では無いのです。
ですから以下の記事のように


(社説)対韓輸出規制 「報復」を即時撤回せよ 朝日新聞 2019年7月3日


報復や規制というのは明らかに見当違いの批判ですし、朝日の書くように

大阪でのG20会議で議長だった日本は「自由で公平かつ無差別な貿易」を宣言にまとめた。それから2日後の発表は、多国間合意を軽んじる身勝手な姿をさらしてしまった。


というのも見当違いです。


日本は元々自由で公平かつ無差別な貿易を行っており、むしろ韓国に対しては「差別的に」信頼を土台とした優遇措置を取っていたが、信頼が損なわれたので「差別的措置」を撤回したというだけです。


また、これは当然の事ですが朝日の記事にある

かつて中国は尖閣問題をめぐり、レアアースの対日輸出を止めた。米トランプ政権は安全保障を理由に鉄鋼などの関税を上げた。国際社会はこうした貿易ルールの恣意(しい)的な運用の広がりを強く案じているさなかだ。


中国の事例とも違います。
中国は別に日本に対して信頼に基く特例の厚遇をしていたわけではなく、勿論日本が中国との条約や協定違反をしたわけでもなく、単に「政治的に対立した」というだけで輸出規制をしたのであり、前提条件が全く異なっています。


これは前提条件の異なる事例を、あたかも同一事例のように印象操作しミスリードしている事から、典型的な「燻製ニシンの虚偽」と呼ばれる詭弁論法です。


更に朝日の記事では

日本政府は徴用工問題を背景に認めつつ、「韓国への対抗措置ではない」などとしている。全く説得力に欠ける。なぜいま規制なのか、なぜ安全保障に関わるのか、具体的な理由を国内外に堂々と表明すべきだ。


と書いていますが、これは単なるフェイクニュースです。
どういう事かといえば、日本はこれまでここに書いてきたのと同等の事を何度も記者会見で発表しており、特にNHKのニュース記事ではそれを具体的に答えている事に言及しています。


にもかかわらず、朝日は「具体的な理由を国内外に堂々と表明すべきだ。」とさも日本政府が何も説明していないかのようにミスリードしているからです。


当たり前の事ですが、国内の都合で条約や協定を一方的に反故にしてしまえるような国に対して、国の安全保障に関わるような物品輸出で厚遇など出来るわけが無いのです。


また更にそこから続く内容もおかしいです。

韓国と取引する日本企業にも被害が跳ね返る公算が大きい。将来的には韓国企業が供給元を変える可能性もある。


そもそも日本はこの分野での世界シェアが70~90%と、代替品が存在しない状態で輸出を行っており、代わりを見つけようとして簡単に見つかるようなものではありません。


しかも元々韓国は2005年頃、当時の盧武鉉政権が日本との政治的対立から経済制裁カードを出そうとした事がありますが、日本への依存度が高すぎて韓国のダメージのほうがはるかに大きく断念した事があります。


対日強硬カード、韓国にブーメラン効果も 朝鮮日報 2005/03/17


そして当時から現在までの14年間、その間の全ての韓国の政権が日本への依存から脱却しようと様々な政策を行い、調達先の多様化や物品の国産化をかなり積極的に行ってきました。
そしてその結果が現状であり、平たく書けば「14年かけても日本依存から一切脱却できなかった」のがこの分野なのです。


朝日は「将来的には韓国企業が供給元を変える可能性もある。」と断言するのならば、具体的にどうやるのかについて、詳しく解説するべきでしょう。


また後ほど詳しく書きますが、この件で日本から韓国への輸出量が減る可能性も極めて低いです。


そして最後の文もかなり酷い印象操作です。

日韓両政府は頭を冷やす時だ。外交当局の高官協議で打開の模索を急ぐべきである。国交正常化から半世紀以上、隣国間で積み上げた信頼と交流の蓄積を破壊してはならない。


まずそもそも、日本は去年10月から現在までの8ヶ月間、韓国に対して条約に基いた話し合いを行うよう呼びかけてきましたが、韓国側はそれを全て拒否し続けてきました。


そのうえで、今月16日になり韓国側は以下のように


出口が見えない強制徴用問題 日本は韓国の提案拒否 聨合ニュース 2019.06.19


日本の企業と韓国の企業が資金を出し合って問題を解決するという案を提示してきましたが、これは以下の記事にもあるように


強制徴用:韓国大統領府、韓日企業参加の基金設立に反対 朝鮮日報 2019/01/26


元々去年末に韓国の外交部が「韓国政府と日韓の企業が資金を出し合い、財団を設立し補償する」とした案を韓国政府が拒否し、ここから「韓国政府の負担分」を除外しただけのものに過ぎません。


しかも韓国側は「こちらの条件に応じれば話し合いに応じる」という態度なのです。


これはつまり、日本が話し合いに応じるように呼びかけたがそれを無視し、挙句の果てに、「場当たり的で一方的な」自分達にとって都合のいい条件を提示し、「それを飲めば話し合いに応じる」という態度なわけです。


朝日は「国交正常化から半世紀以上、隣国間で積み上げた信頼と交流の蓄積を破壊してはならない。」と書いていますが、そもそもその蓄積をこれまでの過程で韓国が全て破壊してしまったので、日本は「もう韓国は信用できない」として、「優遇措置の解除」を行っただけなのです。


今回のこの朝日の記事は、内容の9割が「突っ込みどころで出来ている」という、一連の韓国擁護記事の中でも特に酷いものですが、韓国擁護をしている各社の記事はどれも似たり寄ったりの酷さです。


ここまで酷いと「実は何も取材をしていないのではないか」と疑いたくなります。


3:実際の韓国の被害とは?


まず、日本の多数のメディアがこの件を「経済制裁」と呼んでいる事のおかしさは理解できてもらえたでしょうが、それと同時にもう一つメディア報道にはおかしな部分があります。


それは何かというと、この報道において、日本の政策を否定的に扱うにせよ肯定的に扱うにせよ、「日本が輸出制限や実質的な輸出禁止を行う」と結論付けているニュースが多い事です。


実際はどうかといえば、これで輸出量に制限がかかる事はありませんし、当然実質的な輸出禁止になるわけでもありません。
韓国は「本来の正規の手続き」を行えば今まで通りに輸入が出来ます。


ではなぜ韓国企業が慌てているかというと、それは以下のロイターの記事が比較的現実に即した記事を書いています。


アングル:日本の対韓輸出規制、対象となる材料とその重要性 Reuters 2019年7月3日
関連記事
対韓輸出規制:「やはり日本は怖い」…韓国が輸入多角化できない素材を狙い撃ち 朝鮮日報 2019/07/03




つまり、韓国は今後日本から輸入する製品のコストが否応なく上昇するのです。
一切の代替手段無しにです。


どういう事かといえば、今後韓国は製品を輸入する際に個別ごとの厳格なチェックを受けることになるわけですが、それには90日間の手続きが掛かります。


するとどうなるかというと、当然需要や世界の景気動向にあわせて柔軟に輸入量を調整することが難しくなり、記事にもあるように「韓国企業は在庫の積み増しを迫られる」というわけです。


また、こうした製品は非常に毒性が強いため保管にはかなりの設備が必要になる事から、韓国は新たに保管設備の投資が必要になり、これもコスト増に繋がります。


そして更に重大な事は、以下の記事にもあるように


韓経:【社説】「不確実性さらに拡大した」という韓国経済、通貨・財政だけでは立て直せない 中央日報 2019年06月27日


半導体に一極集中してきた韓国は現在かなり苦しい状況にあるうえに、文政権の週52時間労働制と所得主導成長による弊害の負担を吸収するのに手一杯で、今後このコスト増の衝撃を吸収する余力がなく、調達コストの増加がダイレクトに完成品の製造コストに反映されます。


また更に、韓国でも同様の製品の製造を行っていますが、


対韓輸出規制:「やはり日本は怖い」…韓国が輸入多角化できない素材を狙い撃ち 朝鮮日報 2019/07/03 (1/2ページ) (2/2ページ


上記朝鮮日報の記事で「問題は、国産レジストは品質水準が低く、10ナノ級以下の超微細工程では描画できないことだ。」と書かれているように、日本と同等の品質の製品ではないうえに、無理に同等のものを作ろうとすれば製造コストが跳ね上がります。


いずれにせよコスト増加が避けられないわけです。


つまり、今回の日本の措置により、韓国は輸出依存度が高いにも関わらず、完成品の製造コスト増加が今後避けられない事態になったというわけです。
経済における輸出依存度が高い韓国にとって、これはかなり致命的です。
大幅な値上げをしない限り、いくら売ってもこれまで通りの利益が得られなくなるからです。


そして重要なのは、「国家間の条約や協定を守れない」韓国に全ての原因があるという事です。
同時に、他国の企業にとってはこれが間違いなく「チャンスになる」わけです。




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