元記事
マスコミと「報道の自由度ランキング」
関連動画
youtube版
https://youtu.be/awB3qNxlIhk
youtube版
https://youtu.be/hvyiz90AIZ4
youtube版
https://youtu.be/DXJ3EqO3-iA
youtube版
https://youtu.be/m8DPGXZebsU
注意
・この動画は「マスコミ問題」を扱っています
・「マスコミ問題」ですので、イデオロギーや属性等は一切関係ありません
・「特定の国との特別な関係」は問題の枝葉です、主問題は業界の体質です
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう。
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
・キャラ崩壊あり
・動画の拙い部分は生暖かく見守ってください、そのうちなんとかします
本日の動画
youtube版
https://youtu.be/xyQs0tCzJU0
以下は動画のテキスト版になります。
レイム マリサ
ゆっくりしていってね
マリサ
さて、今回は久々にマスコミ問題なので私が解説していくぜ。
レイム
今回のお題の報道の自由度ランキングってどういうこと?
日本のマスコミが真っ当な報道をしないからランキングが低いとかそういう事?
マリサ
その件なんだがな、そもそも報道の自由度ランキングって「そういうものじゃない」んだぜ。
レイム
どういうこと?
マリサ
まあそれを今回順を追って説明していくんだが、最初からはっきりさせておくべきこととしてな、このランキングは「読者・視聴者視点ではない」という事だけ明言しておくぜ。
「どこ視点」の自由度?
レイム
何かまたややこしい事になりそうな臭いがプンプンしてくるわね。
マリサ
まあな、でもまあまずはこの報道の自由度ランキングについてざっと説明するとな、これはフランスに本部を持つ非政府団体「国境なき記者団」が2002年から毎年行っているランキングだぜ。
レイム
なんか聞いたことある名前ね。
マリサ
んで、このランキングはこんな感じで決まるそうだぜ。
世界ランク下がり続ける日本の「報道の自由」 評価方法を知っていますか?
BuzzFeed News 2016/04/22
https://www.buzzfeed.com/jp/eimiyamamitsu/houdou-no-jiyuu
自由は測れるものなのか。
NGO「国境なき記者団」が公開した「報道の自由度ランキング2016年版」が話題だ。日本は180カ国中72位と前年から11もランクを下げた。このランキングはどうやって順位をつけているのか。日本の評価が下がる理由は。
ランキング公開後、朝日新聞、日本経済新聞やNHKは、報道の自由が大きく後退していると、ランキングを引用する形で報じた。
一方、菅義偉官房長官は、21日の記者会見で、「どういう基準、判断か全く承知していないが、わが国で表現の自由、報道の自由は極めて確保されている」と述べた。(時事通信)
そもそも、このランキングはどのようにして作られているのか。
関係者が答えるアンケート
国境なき記者団のサイトによると、ランキングを作るために、180カ国のメディア専門家、弁護士、社会学者にアンケートが配られている。
アンケートは87の質問から構成されている。以下のようなものだ。
「権力者がメディア関係者の解雇を強制するのは、どれくらい簡単か」
「ジャーナリズムを学ぶ学生に、批評的判断を養成するトレーニングはあるか」
「メディアは一般市民が持つ様々な意見を反映しているか」
「どのように報道の自由、情報の自由、表現の自由は保障されているのか」
この数式にある「scorePlur」や「scoreInd」などは、報道の自由に関する7つのカテゴリーを意味するものだ。87の質問への回答をもとに、それぞれのカテゴリーを配点0〜100で評価する。7つのカテゴリーは以下の通り。
1. 多元論(scorePlur):意見がいかに報道で表されているか
2. メディアの独立(scoreInd):政治、政府、ビジネス、宗教の権威と影響に関係なく独立に機能しているか
3. 環境と自主規制(scoreEA):ニュースや情報提供者が運営している環境の分析
4. 法制度(scoreCL):ニュース・情報を統治する法制度の影響力
5. 透明性(scoreTra):ニュース・情報の制作を左右する組織や手順の透明性
6. インフラ(scoreInf):ニュース・情報を支える基盤の質
7. 不正・暴力行為(scoreExa):ジャーナリストやメディアに対する不正・暴力行為
なぜ、SCOAとSCOBという2つの数式があるのか。それは、権力者によって報道が規制されている国が上位に入らないようにするためだという。
1〜6に基づいてSCOAを算出。さらに、7の「ジャーナリストに対する不正や暴力(scoreExa)」の評価を加えたSCOBを算出する。このscoreExaは、プロ、アマ問わずジャーナリストが投獄されている期間などで数値が決まる。
両方の数値のうち、数字が大きい方がその国の評価として採用される。100点満点中、0が最良、100が最悪だ。
スコアの評価分布は、下記の通り。カッコ内の色は、地図で表示されている色を指す。
0ー15:良い (白)
15.01ー25: まあまあ良い (黄色)
25.01ー35: 問題あり (オレンジ)
35.01ー55: 悪い (赤)
55.01ー100: 非常に悪い (黒)
2016年の日本の評価
日本の報道の自由度は、昨年の61位から72位へと一気に下がった。また、スコアも「問題あり」の28.67となった。報告書の中で、日本に関するページは「『国家機密』にはちょっかいだすな」と題され、こう記されている:
世界で最も力を持っている国の中に入る日本のメディアは、何を報道するのにも自由である。国家機密以外は。やや曖昧な国家機密は、ジャーナリストが調査するのを妨げる、とても厳しい法によって保護されている。福島の原発被害、皇族の私生活、そして日本の防衛—全て「国家機密」なのだ。
どのカテゴリーが何点だったのかなどの詳細は、このページでは公表されていない。
「報道の自由度ランキング」が始まった2002年から現在までの日本のランキング推移は下記の通り。
マリサ
記事では「権力者がメディア関係者の解雇を強制するのは、どれくらい簡単か」とか「ジャーナリズムを学ぶ学生に、批評的判断を養成するトレーニングはあるか」とか「メディアは一般市民が持つ様々な意見を反映しているか」とか「どのように報道の自由、情報の自由、表現の自由は保障されているのか」とか、こんな感じの87の質問を行い、それでランキングを決定しているらしいな。
レイム
これ、質問を見る限り普通に真っ当な内容じゃない?問題があるように見えないけど。
マリサ
レイム、この手の質問ってのはな「受け手側」の主観次第でいくらでも見え方が変わってくるんだぜ。
レイム
なんか引っかかりのある言い方ね。
マリサ
まあそんな事より、現状の日本の順位に関してなんだが、次にこちらを見てくれ。
報道自由度、日本67位 国境なき記者団、前年同様
日経新聞 2019/4/18
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43917270Y9A410C1000000/
【パリ=共同】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は18日、2019年の世界各国の報道自由度ランキングを発表した。日本は前年と同じ67位。経済的な利益が優先され「多様な報道が次第にしづらくなっている」と指摘した。
全体の傾向についてRSFは「記者への憎しみが暴力となり、恐怖を高めている」と指摘。クリストフ・ドロワール事務局長は「恐怖を引き起こす仕掛けを止めることが急務だ」と訴えた。
ランキング対象の180カ国・地域のうち「良い」か「どちらかと言えば良い」状況にある国は前年の26%から24%へ減少。トランプ大統領が批判的メディアを敵視している米国は48位に順位を下げ、日本と同様「問題のある状況」とされた。
1位は3年連続でノルウェー。フィンランドとスウェーデンが続き、3位までを北欧諸国が占めた。政府が独立系メディアやインターネットへの圧力を強めているとしてロシアは149位に下がり、中国も177位に下落した。北朝鮮は最下位を脱して179位となり、トルクメニスタンが最悪だった。
日本は10年には11位だったが、次第に順位を下げ、17年は72位だった。
マリサ
報道の自由度に関してなんだが、日本は現状180カ国中67位で、「経済的な利益が優先され多様な報道が次第にしづらくなっている」と指摘されているそうだぜ。
ちなみに前年も同じく67位で、その前は72位だったそうだな。
レイム
え?日本ってずっと順位落としてたの?
なんかまるで実感無いのだけど。
マリサ
一般的には「特定機密保護法(特定秘密の保護に関する法律)」が原因のようだが、調べていくとどうもこれは構成要素の一つでしかなくて、他にも色々原因があるようなんだよな。
んで、それは後で説明するとして、それより問題は「高かったのはいつか」なんだぜ。
次にこれを見てくれ。
「報道の自由度」ランキング、日本はなぜ61位に後退したのか?
日本大学大学院新文学研究科 2015.7.15
http://nihon-u-gs.jp/journalism/article/328/
国境なき記者団が発表する「世界報道自由度ランキング」で、2015年に日本が順位を61位まで下げたことが大きく報じられた。その理由は何なのか。言論・報道の自由が保障されている「はず」の日本に対して、なぜそのような評価がなされるのか。その背景を考察したい。
世界報道自由度ランキングとは?
「国境なき記者団」(Reporters Without Borders, http://en.rsf.org/ )は、世界の報道の自由や言論の自由を守るために、1985年にパリで設立された世界のジャーナリストによるNGOである。活動の中心は、世界各国の報道機関の活動と政府による規制の状況を監視することであり、その他にも、世界で拘束された記者の解放や保護を求める運動や、戦場や紛争地帯で危険に晒された記者を守る活動など、幅広い活動が展開されている。
その中心的な活動である世界各国の報道機関と政府の関係についての監視と調査の結果をまとめた年次報告書が「世界報道自由度ランキング」(World Press Freedom Index)である。これは2002年から開始された調査報告書であり、世界180か国と地域のメディア報道の状況について、メディアの独立性、多様性、透明性、自主規制、インフラ、法規制などの側面から客観的な計算式により数値化された指標に基づいたランキングである。つまり、その国のメディアの独立性が高く、多様性、透明性が確保されていて、インフラが整備され、法規制や自主規制などの規制が少ないほど、メディア報道の自由度が高いとされる指標である。
世界的なトレンドは?
2002年から2015年までの間で13回発表されているが、国際的には、フィンランド、ノルウェー、デンマークなどの北欧諸国の報道がランキングの上位を占めてきた。一方で、毎年の変動はあるものの、アメリカやイギリス、フランスといった先進国は、その時代情勢によって10位代から40位代の中間よりやや上位を推移している。また、中国や北朝鮮、ベトナム、キューバといった社会主義諸国のランキングは170位代前後を推移し、常に最下位レベルである。中東のシリアやイラン、アフリカで紛争の続いたソマリアやスーダンなどのランキングも常に最下位レベルである。このように、国家の体制により、または国内の政治情勢により、政府とメディアの関係は大きな影響を受け、メディア報道の自由度が決まってくるという考え方である。同報告書では、2014年に報道の自由が世界的に低下したとされており、その一因をイスラム国やボコ・ハラムなど過激派組織の活動によるものと指摘している。
日本の評価は?
日本のランキングは2002年から2008年までの間、20位代から50位代まで時代により推移してきたが、民主党政権が誕生した2009年から17位、11位とランキングを上げた。2008年までの間は欧米の先進諸国、アメリカやイギリス、フランス、ドイツと変わらない中堅層やや上位を保っていたが、民主党政権誕生以降、政権交代の実現という社会的状況の変化や、政府による記者会見の一部オープン化もあり、2010年には最高の11位を獲得している。
しかしながら、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の発生の後、2012年のランキングでは22位に下落、2013年には53位、2014年には59位を記録した。そして今年2015年にはついに過去最低の61位までランキングを下げる結果となった。自由度を5段階に分けた3段階目の「顕著な問題」レベルに転落した状況である。
なぜ日本の順位は後退したのか?
世界報道自由度ランキングのレポートでは、日本の順位が下がった理由を解説している。ひとつは東日本大震災によって発生した福島第一原発事故に対する報道の問題である。例えば、福島第一原発事故に関する電力会社や「原子力ムラ」によって形成されたメディア体制の閉鎖性と、記者クラブによるフリーランス記者や外国メディアの排除の構造などが指摘されている。
戦争やテロリズムの問題と同様に、大震災や原発事故などの危機が発生したときにも、その情報源が政府に集中することにより、「発表ジャーナリズム」という問題が発生する。政府が記者会見で発表した情報をそのまま鵜呑みにして報道する姿勢である。また、同様に戦場や被災地など危険な地域に自社の記者を派遣しないで、フリー・ジャーナリストに依存する「コンプライアンス・ジャーナリズム」の問題も重要である。メディアとしての企業コンプライアンスによって、危険な地域に自社の社員を派遣できないという状況から、危険な地域に入るのはフリー・ジャーナリストばかりになるという構造的問題である。
このような日本のメディアの状況下で一昨年に成立した特定秘密保護法の成立が日本の順位下落に拍車をかけた形である。特定秘密保護法の成立により、戦争やテロリズムに関する特定秘密の存在が自由な報道の妨げになるという評価である。日本が置かれる国際状況や、日本国内の政治状況が大きく変化している現在こそ、日本のメディア、ジャーナリズムに自浄作用と改革が求められている。
マリサ
この記事を読むと解り易いが「民主党政権が誕生した2009年から17位、11位とランキングを上げた。2008年までの間は欧米の先進諸国、アメリカやイギリス、フランス、ドイツと変わらない中堅層やや上位を保っていた」と書かれているだろ?
※動画説明欄に過去動画へのリンクがあります。
レイム
ちょっとまって、過去動画の「マスコミと政治の癒着」で解説してたけど、この頃ってマスコミが補助金ほしさに政府と癒着しまくっていた時期よね?
なんでそれで順位が上がるの?
そもそも、たしか管政権からはぶら下がり取材とかも廃止されているし、議事録なしの会議も増えているわよね。
マリサ
だから言ったろ、この質問は受け手側次第でいくらでも解釈が変わるって。
要するにこの「報道の自由度」ってのはな、「どれだけマスコミ業界の利益追求に不都合がないか」の指標であって、一般的な報道の自由とか言論の自由は考慮されていないんだぜ。
レイム
つまりこういうこと?
どんなに一般人の知る権利や言論の自由が侵害されても、マスコミ業界の利益が侵害されない限り報道の自由度は高くなり、逆にどんなに一般人の知る権利や言論の自由が保障されても、マスコミ業界の利益が侵害されれば低くなるって事?
マリサ
まあ、極端な話そういうことになるぜ。
マスコミのための自由度
レイム
なんか色々衝撃的なんだけど。
マリサ
どうせレイムは「国外の言論機関が関わった調査ならまともに機能する」とでも思ってたんだろ?
考えが甘いぜ。
レイム
でもちょっとまって、確かに数字的におかしくはあるけど、これだけじゃ情報として確実性がないわよ。
民主党政権時代の評価には疑問があるけど、基本的に状況証拠だけじゃない。
マリサ
まあそうなるよな。
じゃあ次にこの朝日の記事を見てくれ。
「報道の自由度ランキング」日本の順位、前年と変わらず
朝日新聞 2019年4月18日
https://www.asahi.com/articles/ASM4L26GMM4LUHBI00L.html
国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は18日、2019年の「報道の自由度ランキング」を発表した。調査対象の180カ国・地域のうち、日本は前年と同じ67位だった。「記者団」は日本では「メディアの多様性が尊重」されているものの、沖縄の米軍基地など「非愛国的な話題」を取材するジャーナリストがSNSで攻撃を受けている、と指摘した。
トップはノルウェー(1位)、フィンランド(2位)などの北欧が占め、昨年45位だった米国は48位。トルコのサウジアラビア総領事館内で殺害されたジャマル・カショギ記者の出身国、サウジは順位を三つ下げて172位。「記者団」は中東では「多くの記者が、命を失うことを恐れて自己規制しているか、記者を辞めている」と指摘した。中国は177位(前年176位)だった。(パリ=疋田多揚)
マリサ
これは朝日がさっきの日経と同じく今年の日本の報道の自由ランキングを伝える記事なんだが、そこにこの報道の自由度の評価基準を知る事ができる非常に興味深い記述があってな。
マリサ
見てのように、「メディアの多様性が尊重」されているものの、沖縄の米軍基地など「非愛国的な話題」を取材するジャーナリストがSNSで攻撃を受けている」と書かれているんだぜ。
しかも面白いのは、報道の自由度ランキングには「意見の多様性の有無」って項目もある事だぜ。
レイム
沖縄の基地移転問題でSNSって、要するにtwitterの事なんでしょうけど、あれ単なる罵倒もあるけど真っ当な批判もかなりあるわよね?
これ、もしかして批判も罵倒も一緒くたに「攻撃」と定義していない?
マリサ
そうだぜ。
もっと言えば、基地移転反対派も賛成派も、観察していると罵倒から客観的なデータに基く反論まで玉石混交だぜ。
マリサ
つまり問題は、言論の自由度に関する評価基準に「基地問題で特定の考え方に反対する意見」があると、それを攻撃と定義して言論の自由が侵害されたと認識する人が関わっているって事なんだぜ。
レイム
なんか凄く既視感があるんだけど。
※動画説明欄に過去動画へのリンクがあります。
マリサ
そりゃあるだろうな、この傾向って過去動画の「日韓問題とイデオロギー論争」で解説した「自称リベラルさん」の考え方そのものだからな。
レイム
それか、たしか異なる意見に対して寛容なのがリベラルなはずなのに、自称リベラルさんは自分と異なる意見は頭から完全否定して、相手の話を聞く意思すらないのよね。
マリサ
そう、そして日本の報道の自由度ランキングには、色々とデータをつき合わせてみるとこの「自称リベラルさん」が関わっている可能性が極めて高いんだぜ。
彼らは自身の意見と異なる相手を「悪」と定義するからな。
レイム
なんとなく状況が見えてきたけど、でもこの1例だけじゃ流石に判断基準として弱くない?
マリサ
尺の関係で全部は紹介できないが、勿論他にもあるぜ。
例えばこの事例
「金正恩」平壌取材 TBSだけが出入禁止のワケ
デイリー新潮 2017年4月27日号
(1/2ページ) (2/2ページ)
俗に“人間の盾”と揶揄されるのが、北朝鮮に滞在中の報道陣ご一行様である。その数、日本と海外合わせ200名弱。米国と一触即発で半島情勢が緊迫する中、4月15日の「金日成生誕105周年式典」の様子はテレビでもこぞって放送された。そんな中、在京4大キー局で唯一、TBSが平壌入りを拒まれ「出入禁止」になっていたというのだ。
(中略)
その番組とは、坂上忍が司会を務めるバラエティー番組「好きか嫌いか言う時間」。脱北者が出演する韓国の人気番組を織り交ぜながら、公開処刑や政治犯収容所などでの人権侵害が如何に残酷か紹介したものだ。放送では、脱北者やデイリーNKジャパン編集長の高英起氏らが出演し、北の実態を赤裸々に語ったのである。
「案の定、放送が終わるとTBSには在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)が3日間に亘って抗議の声をあげたのです。今までにない激しいもので、人を替えてやって来ては猛烈に怒鳴り散らす。応対した外信部幹部は憔悴して可哀想になるくらいでした」
理不尽な抗議を受け“出禁”となったわけだが、問題はその後である。
槍玉に挙げられた番組に脱北者の一人として出演した川崎栄子氏によれば、
「実は、TBSから次回も出演して欲しいというオファーがあって、テレビ朝日からも同様の依頼がありました。ところが、総連の抗議以降、これらの番組の担当者から“出演はキャンセルになりました”という連絡が来たのです。その理由を明確に教えてくれることはありませんでした」
川崎氏は国連でも北の実態を訴え、金正恩から“暗殺指令”が下っている。まさに命がけの告発者なのだ。
「私の発言が不都合だから抗議してきたのでしょうけれど、総連はいったい何の権利があってメディアに圧力をかけるのか。日本の国民には真実を知る権利があり、どんなテレビ局であろうと報道の自由が保障されています。抗議に屈したテレビ局も弱腰だと思いますが」
朝鮮半島事情に詳しい、関西大学の李英和教授はこうも言う。
「平壌に行ったからといって、現地では決められた場所でしか取材できません。飢えて困窮する国民が沢山いても、そういう光景は一切撮影させないのです。街には“ヤラセ”で用意された群衆が歩き、北がいかに栄えているかを演出するため、報道陣の質問にはこう回答せよという想定問答集が配布されています。間違えた受け答えをすると罰せられるのは言うまでもありません。総連も日本のメディアも、あまりに子供じみた対応をしていると思いますね」
これらの指摘に対してTBS広報部は、
「取材や編集、番組制作の過程などについては、お答えしておりません」
テレビ朝日広報部も、
「番組の制作過程につきましては、従来お答えしておりません」
と言うばかり。都合の悪いことはシャットアウトなんて、いったいどこの国のメディアなのか。
マリサ
2017年のことなんだが、TBSが脱北者やデイリーNKジャパンという北朝鮮関連専門メディアの人を呼んで北朝鮮の内情に関する報道をしたら、北朝鮮系の朝鮮総連から「今までにない激しいもので、人を替えてやって来ては猛烈に怒鳴り散らす。応対した外信部幹部は憔悴して可哀想になるくらいでした」という状態の抗議を受けたそうなんだぜ。
マリサ
しかもだ、番組は好評で出演者達は次回も出て欲しいとTBSから依頼を受け、テレビ朝日からもオファーがあったそうだが、総連の抗議後全部キャンセルになったそうだぜ。
要するに、TBSやテレ朝は朝鮮総連からの圧力に屈して、「知る権利」を放棄したわけだ。
レイム
これ、報道の自由度ランキングの選定基準の「どのように報道の自由、情報の自由、表現の自由は保障されているのか」に抵触するわよね。
これで日本の報道の自由度がまた下がったって事?
マリサ
それがな、2017年版日本の報道の自由度は72位で、2018年は67位だぜ。
報道の自由度は前年の状況が反映されるから、2018年の報道の自由度は2017年の状況が反映されるって事な。
レイム
は?
マリサ
だから、総連からの圧力に屈したら報道の自由度の順位が5つも上がったんだぜ。
そして報道の自由度ランキングではこの件に一切触れていないぜ。
レイム
あ゛?
マリサ
いやレイム、私にキレられてもどうする事もできないぜ。
レイム
いやおかしいでしょ。
沖縄の基地反対活動に異論があると「攻撃」と認識されて報道の自由度の低下に影響を受けて、朝鮮総連から「北朝鮮に不都合な報道をするな」と圧力をかけられても、それが報道の自由度に影響を与えないってことでしょ。
マリサ
その通りだぜ。
少なくとも日本においては、これが報道の自由度ランキングの実態なんだぜ。
何もかもが矛盾
マリサ
それでな、この支離滅裂な報道の自由度の評価基準が更におかしな状況を作り出しているんだぜ。
レイム
まだ何かあるの?
※動画説明欄に過去動画へのリンクがあります。
マリサ
あるぜ。
例えばだが、過去動画の「テレビ局と放送法」や「支離滅裂なマスコミ」で解説したが、放送法二章四条に関する問題で、日本政府がTBSに対して「放送法違反である」として停波に言及した事あったよな。
放送法
総務省
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000132&openerCode=1
第二章 放送番組の編集等に関する通則
(放送番組編集の自由)
第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
マリサ
ここで問題となったのは、特に政治的な中立性や両論併記を殆どのテレビ局が日常的に怠っていて、特にTBSが酷かったからなんだよな。
レイム
ああ、そんなことあったわね、結局テレビ局が守る気も無い法律に守られていることが問題なのよね。
マリサ
そう、んでこの件に反発したマスコミ業界が、アメリカの大学教授を呼んでこんな批判をしたんだよな
国連報告者「報道の自由に脅威」…放送法改正勧告へ
毎日新聞 2016年4月19日
https://mainichi.jp/articles/20160420/k00/00m/040/088000c
国連人権理事会が任命した特別報告者(表現の自由担当)のデビッド・ケイ米カリフォルニア大アーバイン校教授が19日、訪日調査を終え「日本の報道機関の独立性が深刻な脅威にさらされていることを憂慮する」として、放送法や特定秘密保護法の改正を求める声明を発表した。
表現の自由を担当する特別報告者の訪日調査は初めて。日本政府への正式な勧告を来年発表する予定という。
ケイ氏は同日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で離日を前に記者会見した。放送事業者に「政治的公平」を求めた放送法4条の規定を根拠に、高市早苗総務相が放送局の電波停止に繰り返し言及した問題について「大いに懸念を抱いている。4条を廃止すべきだ」と述べた。
日本は政府が放送免許を認可し、放送行政を監督していることに関し、政府ではなく独立行政機関が監督すべきだとの考えを示した。
特定秘密保護法を巡っては、特定秘密の定義があいまいで範囲が広がること、報道機関が萎縮する恐れがあることを挙げ「法を根本的に変えるべきだ」と語った。ヘイトスピーチ対策にも触れ、まずは雇用や住居に関する人種差別を禁止する法制定を急ぐべきで、ヘイトスピーチの定義があいまいなまま規制すれば表現の自由に悪影響を及ぼす可能性があると指摘した。
マリサ
記事では『「政治的公平」を求めた放送法4条の規定を根拠に、高市早苗総務相が放送局の電波停止に繰り返し言及した問題について「大いに懸念を抱いている。4条を廃止すべきだ」と述べた。』となっているな。
レイム
要するに、放送法の二章四条は報道の自由に反していると定義されていて、この時点でマスコミ各社はデビッド・ケイ教授に一切反論していない事から、四条の撤廃こそが報道の自由に寄与するってことになるわよね。
マリサ
そう、つまりこの件では政府が「放送法二章四条を守れ」とテレビ局に指摘する事は、政府による圧力であり、報道の自由度ランキングを下げる結果になるわけだな。
次にこちらを見てくれ
放送法の「政治的公平」撤廃を検討 政府、新規参入促す
朝日新聞 2018年3月24日
https://www.asahi.com/articles/ASL3Q6TVRL3QUTIL084.html
放送番組の「政治的公平」などを定めた放送法4条の撤廃が、政府内で検討されていることがわかった。放送の自律を守るための倫理規範とされる4条は、戦後に同法ができて以降、番組作りの大原則となってきた。インターネットテレビ局などが放送に参入する際の壁を低くする狙いとみられるが、政治的公平性が損なわれ、番組の質も下がるといった懸念が出ている。
政府内でまとめられた文書「放送事業の大胆な見直しに向けた改革方針」によると、「コンテンツ産業における新規参入・競争」を進めるとして、「放送にのみ課されている規制(放送法第4条等)の撤廃」などを明記。「放送業界の構造改革を進め、放送と通信の垣根のない新しいコンテンツ流通環境を実現」するとした。NHKについては「放送内容に関する規律は維持」するという。
4条を撤廃した場合、民間放送は政治的公平性や事実関係に配慮せずに番組を放送することが、理屈の上では可能になる。
このため、放送を所管する野田聖子総務相が22日の衆院総務委員会で撤廃などについて問われ「4条は非常に重要で、多くの国民が今こそ求めているのではないか。(4条が)なくなった場合、公序良俗を害する番組や事実に基づかない報道が増加する可能性が考えられる」と述べるなど、政府内にも異論がある。日本民間放送連盟内からは「極端に政治的に偏った局ができる可能性がある」といった懸念の声も出ている。
マリサ
こっちはそれから2年後の2018年の記事なんだが、今度は政府が放送法二章四条の撤廃を検討しだしたら、「民間放送は政治的公平性や事実関係に配慮せずに番組を放送することが、理屈の上では可能になる」とか「極端に政治的に偏った局ができる可能性がある」とか批判しだしたんだぜ。
レイム
これってつまり…
マリサ
一目瞭然だが、政府がテレビ局に対して「放送法を守れ」と言っても、逆に「放送法二章四条を撤廃します」と言っても、どっちでも『報道の自由度が下がる』要件になるって事だぜ。
レイム
え、ナニコレ。
マリサ
俯瞰的或いは客観的視点から見ると意味不明で支離滅裂だよな、放送法が言論の自由を侵害していると訴えているのに、じゃあ「二章四条撤廃します」と言い出したら、なぜかそれも「政治的中立性を侵害する」として報道の自由度が低下する原因になるんだぜ。
レイム
実際無茶苦茶じゃない。
マリサ
それがな、視点を変えてみると何の矛盾もないんだぜ。
レイム
どういうこと?
マリサ
報道の自由を「マスコミ業界の利益」に置き換えてみ。
放送法に守られて業界がカルテル化し利権が守られているから、放送法自体は業界に必要だけど、それを理由に政府が「報道の中立性が守られていない」とマスコミを批判するのは、業界にとって不利益だろ?
レイム
あー…、なるほど。
最初の「このランキングは読者・視聴者視点ではない」ってそういう事ね。
マリサ
そう、実はランキング自体は別に何もおかしくないんだぜ。
あれは「マスコミ業界の利益」がどれだけ守られているかって指標だから。
ただ問題は、「どの視点の自由度なのか」ってことがちゃんと明示されていなくて、錯誤が起き易いランキングって事だな。
今回のまとめ
・報道の自由度ランキングは「読者・視聴者視点」のランキングではない
・ランキングの評価基準は特定の思想信条や利益に左右され、条件がそろえば政治的な圧力も許容される
・報道の自由とは「マスコミ業界の利益」の事。
レイム
なんというか、報道の自由って要するに内輪の利益が保証されるかどうかでしかないのね。
マリサ
そうだぜ。
一見すると、報道の自由とは読者・視聴者の利益を代弁したもののように見えるけど、ある面ではそうであっても、逆に「読者・視聴者の利益と反する」場合もあるって事だぜ。
レイム
これ、知らないと色々と問題が起きそうよね。
特に「報道の自由は一般人の利益と常に一致するわけではない」って部分。
マリサ
そうだぜ。
なんか世間にはこの報道の自由度ランキングを錦の御旗みたいに振りかざす人いるけど、そういう人に特に言いたいぜ、「あんたらそれ意味わかって言ってるのか?」ってな。
マリサ
そんなわけで今回の本編はここで終わるぜ。
レイム マリサ
ご視聴ありがとうございました。
大口
おつかれ~
マリサ
ところで、番外編どうなってるんだ?
大口
がんばる
レイム
これは半年放置コース確定ね。
大口
そ、そんな事ないよ!そんな事ないよ!
マリサ
進捗は?
大口
がんばる
レイム
「がんばる」しか言ってないじゃない。
レイム
視聴者の皆さん、この有様なのであまり期待せず気長にまっていたほうがいいわね。
マリサ
そんなわけで今回はここで終わるぜ。
レイム マリサ 大口
またらいしゅ~
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