日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国の徴用工裁判について


さて、本日は30日に韓国で判決が出された徴用工裁判についての解説と、前回の「韓国との戦後補償問題」で勘違いしていた内容があったので、その件も訂正と解説をします。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由

注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


10月30日に韓国で、戦前の徴用に関連し日本企業に対しての賠償請求が行われ、原告側が勝訴し日本企業は賠償をしなければいけないとする判決がなされたが、そもそもの原告側の主張が矛盾だらけで根本的に「証言の検証」がされていないうえに、動向の一部に慰安婦問題と同じロジックによる印象操作も見て取れる。


また、この裁判を過去に遡り調べていくと、裁判自体が非常に「政治的」で歴代の韓国の政権の意向に左右されてきた事がわかり、これは単純な民事裁判ではなく韓国政府の意向と都合が強く働いた裁判である事がわかる。


更に、この件には以前記事や動画でも紹介した「国民情緒法」が関係しており、韓国では「その時の多数派の感情」が国の三権に強く影響を与え、時に憲法よりも上位に来る場合すらあり、今回の件は親日派財産没収法、対馬仏像盗難事件と並んで、韓国の法治主義が機能していない事の証明となっている。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:徴用工裁判は杜撰


まずはこちらの記事から

「強制徴用訴訟の唯一の生存者、命かけて裁判を眺めている」
2018年10月30日11時33分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
https://japanese.joins.com/article/590/246590.html

日帝強制徴用賠償訴訟に対する韓国最高裁判所の全員合議体の判決が30日に下される。強制動員被害者4人が2005年に戦犯企業の新日本製鉄(現新日鉄住金)を相手取り損害賠償訴訟を起こしてから13年目だ。裁判が長引く間、被害者は一人、二人と亡くなり、イ・チュンシクさんだけがこの訴訟の唯一の生存者になった。

被害者側のキム・セウン弁護士はこの日、ラジオ番組のインタビューで「イさんは高齢だが、現在、健康は良い状況」としながらも「以前に比べると気力はかなり落ちているようだ」と伝えた。キム弁護士は「被害者は生涯の最後を送りながら、命をかけて裁判を眺めている」とし「裁判を取引手段にして故意に裁判を遅延させたということで、惨憺たる心情で眺めている。イさんは『こういうものを見るために98歳まで生きてきたと思っているのか』と怒りを表したりもした」と伝えた。

イさんは日本で技術を習うことができるという言葉を聞いて17歳の年齢で報国隊に志願した。報国隊とは日帝朝鮮人労働力を搾取するために設置された組織だった。

日本がイさんにさせた仕事は釜石製鉄所で一日12時間、鉄材を運ぶ単純労働だった。技術を習う機会どころか、賃金さえも受けられなかった。熱い鉄材の上に倒れた当時の傷あとが今も残っているほど腹部に大けがを負ったりもした。イさんは日本軍に徴集されるまで2年間をそのように過ごした。日本が敗亡した後、賃金を受けるために釜石製鉄所を訪れたが、戦争ですでに廃虚となっていた。

裁判の始まりは1997年、大阪地裁だった。ヨ・ウンテクさんら2人は「1人あたり1億ウォンを賠償すべき」と最初の訴訟を起こしたが、「日本に損害賠償責任はない」として原告敗訴で判決が確定した。

被害者は韓国の裁判所で訴訟を起こした。2005年にソウル地裁(現在のソウル中央地裁)にヨさん、イさんら4人が訴訟を提起したが、1審と2審で「日本の確定判決はわが国でも認められる」として棄却された。

しかし最高裁は2012年、「日本の裁判所の判決は日帝強占期の強制動員自体を不法とみる大韓民国憲法の価値と正面から衝突する」として事件を2審裁判所に差し戻した。2013年にソウル高裁で開かれた差し戻し審では新日本製鉄がイさんと同僚にそれぞれ1億ウォン(約1000万円)を賠償すべきという判決があった。しかし新日本製鉄側はこれに従わず、同年に最高裁に再上告した。

7年間続いたこの訴訟の終わりが見えるようだったが、最高裁は5年以上も判決を遅延させた。最近の「司法壟断」疑惑に対する検察の捜査以降、当時、朴槿恵(パク・クネ)政権と梁承泰(ヤン・スンテ)司法府が強制徴用裁判に介入した状況が表れた。

イさんは「いかなる意味もない裁判だと感じた。大韓民国の裁判は腐った裁判だ」と悔しさを隠さなかった。しかし「正当な判決を大韓民国で出さなければいけない」とし、今回の最高裁判決で常識的で正当な結論が出ることに期待を表した。


この記事において、「イさんは日本で技術を習うことができるという言葉を聞いて17歳の年齢で報国隊に志願した。報国隊とは日帝朝鮮人労働力を搾取するために設置された組織だった」となっていますが、この時点で明らかに事実と異なっています。


なぜかというと、この「報国隊」を記事では「報国隊とは日帝朝鮮人労働力を搾取するために設置された組織」としていますが、実際の「国民勤労報国協力令」を見てみると、

国民勤労報国協力令(昭和16年勅令第995号)
http://www.geocities.jp/nakanolib/rei/rs16-995.htm

(一部抜粋)
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム)第五条ノ規定ニ基ク帝国臣民ノ勤労報国ヲ目的トスル協力ニシテ隊組織ニ依ルモノ(以下国民勤労報国隊ニ依ル協力ト称ス)ニ関シテハ本令ニ定ムル所ニ依ル


となっており、別に朝鮮限定のものではなく、日本人も台湾人も区別無く施行された法令で、調べてみてもこの動員によって朝鮮人のみが扱いが違ったとする記録もありません。


しかもこの法令は、国家総動員法に基き一定期間の無償労働を義務付けたものであって、「騙して連れて行く」といった性質を有していませんし、法令で「無償労働」となっているのに「騙されて賃金も払われなかった」というのもおかしな話です。
「義務」なので募集過程において徴収側がそんな嘘をつく動機が無いのです。


ではこれはまったくのデタラメなのかといえばそうでもなく、実はこの証言の中にヒントがあり、そこから彼が「何をしたのか」をうかがい知る事が出来ます。


それは、「日本で技術を習うことができるという言葉を聞いて」という部分です。
なぜかというと、「報国隊」ではなく過去記事の「韓国との戦後補償問題」で紹介した「民斡旋」であるとすると、彼の証言は一応の整合性が取れます。

朝鮮工場労務者内地移住斡旋に関する件
(大日記甲輯昭和15年)
アジア歴史資料センター レファレンスコード C01001832500
https://www.jacar.archives.go.jp/aj/meta/image_C01001832500?IS_KEY_S1=C01001832500&IS_KIND=SimpleSummary&IS_STYLE=default&IS_TAG_S1=InD&


(クリックで拡大します)


目的が「朝鮮ニ於ケル技術水準ノ向上ニ資スルコトヲ以テ目的トス」となっているからです。
しかし彼は「技術を習う機会どころか、賃金さえも受けられなかった」と証言しています。


これだとこの部分の整合性が取れませんが、そもそもそう証言しているだけで客観的な検証がされたわけでは無い上に、「報国隊」に関する証言が明らかに客観的な資料と異なっている事を考えても、証言そのものの信憑性が著しく下がります。
(あくまで彼が新日本製鉄で働いていたという証言が正しいならという前提が必要になりますが)


しかも、更に問題なのが、韓国司法の判決ではこれが「徴用」となっている事です。


大法院、不法植民支配下の「強制徴用賠償請求権」を再確認 東亜日報 October. 31, 2018


国民徴用令が朝鮮で施行されたのは日本本土や台湾より遅く、1944年9月からです。
(日本と台湾では1943年4月から)


つまり、明らかに時期も内容も異なる法を混同させている上に、証言者の証言も当時の記録と整合性が取れず、本来は裁判で判断できるような客観的材料そのものが存在していないのです。
要するにこれは最初から一切客観的検証がされてない「結論ありき」の裁判という事になります。


また更に、実はこの件で「慰安婦問題」での問題点と非常に『似た』ロジックの印象操作を行っている新聞社があります。

元徴用工への賠償「協定の対象外」 韓国最高裁が初判断
朝日新聞 2018年10月30日
https://www.asahi.com/articles/ASLBY4Q9JLBYUHBI01C.html

(一部抜粋)
 動員は、企業による募集や国民徴用令の適用などを通じて行われた。当時の公文書や証言から、ときに威嚇や物理的な暴力を伴ったことがわかっている


この朝日の記事なのですが、「誰が」という主語が抜けています。
過去慰安婦問題に言及しましたが、日本と韓国の間で現在問題となっているのは、慰安婦の定義を韓国側は「軍や国の直接的な命令で日本の軍人や官憲が行った奴隷狩り」としている事です。



youtube
https://youtu.be/095qK7m6P0Y

元記事
慰安婦像問題の原因と日本のマスコミの不可解
http://ch.nicovideo.jp/ooguchib/blomaga/ar1169768


韓国側はこれを問題として法的責任を認めるよう日本側に求めているわけですが、そんな事実は存在しないためいつまでも問題が解決しないという背景があり、日本で韓国の側に立つ人々は、しばしば彼らの主張の「軍や国の直接的な命令で日本の軍人や官憲が行った」という部分を隠し、「強制性はあった」と主語の無い主張をします。


つまり、韓国側は国の方針としての命令で奴隷狩りが行われたと主張しているにも関わらず、日本で韓国の側に立つ人々は、「(どのような形であれ)強制性はあった」とする事で、問題の定義を広げているわけです。


この場合、例えば軍人個々や現場レベルで不法行為があっても当てはまりますが、韓国の求める「慰安婦の定義」には当てはまりません。


しかし、日本政府に対しては「韓国は強制性の有無を認めてほしいとしているだけなのに、なぜその事実をごまかし続けるのか」と印象操作が出来ます。


この朝日の記事も同じです。
募集過程のどこかで違法行為があった記録が出たとしても、それは「国の方針として奴隷狩り(韓国の言うところの徴用)をしていた」という事にはならないわけですが、韓国側が「強制連行」と定義しているのはこの定義です。


しかし朝日の記事の定義なら、「現場レベルでの違法行為」つまり国の方針とは関係ない違法行為も定義に当てはまります。
事情を知らない人なら簡単に朝日の論点のすり替えに騙されるでしょう。


またもう一つ韓国の裁判所や朝日の記事では特定の問題が意図して無視されている部分があります。


それは、同じく「韓国との戦後補償問題」で言及した、日韓請求権関連協定の問題です。


この件、以前の記事でも書いたとおり、日韓国交正常化交渉において、日本側は「個人個人への個別の補償」を提案しましたが韓国側がこれを拒否、一括で韓国政府が「経済協力金」という名で受け取ることとなりました。


しかもこの交渉過程で、韓国側はこの補償の事を「未収金はその当時の規定によって貰えるものを貰えないことをいい、補償金は生存者、負傷者、死亡者を含み被徴用者に対する補償、即ち精神的苦痛に対する補償をいうものだ。そしてこの被徴用者には軍人軍属を含む。」と定義しています。


しかしこの韓国が受け取った3億ドルは個人には支払われず、韓国の企業やインフラなどの経済発展に使用されました。


そして今回韓国の裁判所は、「日韓請求権関連協定での補償金は個人の請求権を無効に出来ない」としましたが、では日本側が個人補償分として支出し、韓国側が受け取った3億ドルはどうなるのか、この事が完全に無視されています。


そのうえ、韓国の裁判所は「日韓併合そのものが違法である」という判決を出しましたが、そもそもその件も以前の記事で解説したように、「当時としては国際法上合法」という実質的な結論が出ており、何もかもがデタラメなのです。


2:裁判は極めて「政治的」


このように、今回の韓国の裁判はとても法治国家の裁判所が下す判決とは思えないほど杜撰でいい加減です。


そして更に問題があり、この判決は極めて政治的意図が強いというより、政府の意向が強く働いているのです。
これはこの問題の時系列をみると解ります。


まずこの件の発端は2002年です。
この年、韓国で以下のような動きがありました。


強制動員被害者が情報公開訴訟 朝鮮日報 2002.10.11


記事では、韓国人達が日本で徴用工裁判を起こしても『条約で解決済み』とされて棄却されてしまう上に、韓国政府にこの条約がどういうものなのか問い合わせても「外交通商部は外交関係の悪化を理由に公開を拒否している」と言って協定内容を公開しないので、訴訟を起こしたという記事です。

※この当時日韓翻訳掲示板では日本側が日韓請求権関連協定の内容を書いたスレッドをいくつも立てていましたが、韓国側は「日本政府が出すなと言っているのに出てくるわけがない、その内容は捏造だ」といって信じませんでした。

これ、どういう事なのか事情を知らない人には意味不明でしょうから説明すると、実は韓国、日韓請求権関連協定の内容を国民に長年隠していました。
しかも「日本政府から依頼があり非公開にしている」という理由で。


しかし下記にもあるように、日韓請求権関連協定は日本では何十年も前から公開されており、特に隠しているようなものではありませんでした。


日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)


ではなぜ韓国側がこれを隠したかというと、協定では「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。 」となっており、個人の請求権が消滅していたからです。


そしてこれだけではなく、先ほども言及したように、この交渉過程において日本側からの提案である「個別補償」を韓国政府が蹴って一括で受け取った上に、この資金を韓国政府は個人に渡さず企業やインフラ整備に使ってしまっていました。


「韓国政府、韓日会談で個別請求権放棄」 朝鮮日報 2004/09/17


だから韓国側としてはこの問題を知られたくなかったので、「日本が非公開を要請していること」にして隠そうとしたが、日本で裁判を起こした人達に一部の内容がばれてしまい、訴訟問題になったわけです。


そして上記「韓国政府、韓日会談で個別請求権放棄」の内容が2004年に公開され、一連の問題の原因が韓国政府にあった事がバレます。


結果矛先が韓国政府に向かいそうになり、当時の盧武鉉政権は苦し紛れに

「日本の姿勢は受け入れられない」首脳会談で盧大統領
聨合ニュース 2005/11/18
https://web.archive.org/web/20060211023426/http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=012005111812600

(一部抜粋)
日本に対し、われわれはこれ以上謝罪を要求しない。また、個人に対する補償は別個だが、国対国の賠償を要求するものではない」


「国と国との補償は終わったが、個人に対する補償は別だ」と言い出します。
個別補償を拒否し、日本からの資金を受け取ったにもかかわらずそれを個人補償に使わなかったのは韓国政府なのにです。


しかしこれで収まらず、実はこの後韓国内で「韓国政府に対する」賠償請求がなされるようになり、収拾が付かなくなった盧武鉉政権は「個人補償はまだ出来る」というスタンスのまま、慰労金という名目で元徴用工とされる人々に小額のお金をばら撒き、それで問題を先延ばしにして李明博政権に丸投げします。


これに困った李明博大統領は以下のように


李・次期大統領の「日本に謝罪求めず」発言に批判 韓国 朝日新聞 2008年01月18日


「(歴史問題について日本に)謝罪や反省をしろという話はしたくない」とやって逃げようとしたのですが、その結果大バッシングを受けます。


しかし就任したばかりで支持率の高かった李政権は、以下のようにもう「請求そのものが出来ないように」関連機関の廃止案を通そうとします。


強制動員糾明委廃止法案に反対 韓国人遺族と日本の団体 共同通信/47news 2008/12/16


結果韓国内の世論が紛糾し自身の支持率も落ちたため、今度は裁判所に以下のような措置を取らせます。


「日帝徴用被害者不払い賃金、日本に請求権行使難しい」 中央日報 2009年08月15日


日帝動員被害者(不払い賃金)供託金は、請求権協定を通じて日本から受けとった無償の3億ドルに含まれているとしなくてはならないため、日本政府に請求権を行使しにくい」と。


そのうえで


徴用被害者の未払い賃金請求は困難、政府が立場表明 聨合ニュース 2009/08/14


韓国政府も「裁判所がそう言っているみたいだしちょっと難しいかなー(棒)」という態度を取ります。

※実はこのとき、韓国の裁判所は「当時の徴用者達は国籍上日本だったのだから、日本が2003年に「条約で解決済み」とした裁判結果が適用される」という強弁をしていたようです。要するに、「韓国政府の責任」には触れず「日本がそういっているから仕方が無い」という流れに持っていこうとしたわけです。

これが以前の記事で私が勘違いする原因になりましたが、詳細は後ほど。


ここで問題が終わったかに見えましたが、李明博政権末期になると更なる問題が発生します。


2012年頃になると、李明博政権は経済の失速やいくつかの失政で支持率が落ちレームダック状態となり、なんとかして支持率を上げる方策をとらないといけない事態になりました。


そこで、竹島上陸や天皇謝罪要求発言などと同時に、また韓国の裁判所に徴用工問題での以前とは異なる判決をさせました。


韓国最高裁「日本企業、徴用者に賠償責任ある」 中央日報 2012年05月24日


「1965年に締結された韓日請求権協定は日本の植民支配の賠償を請求するための交渉ではないため、日帝が犯した反人道的不法行為に対する個人の損害賠償請求権は依然として有効」と。


要するに、韓国政府が日本から受け取った個別補償金を個人に支払わなかった事を無かった事にして、「日帝が犯した反人道的不法行為に対する個人の損害賠償請求権」という話にすり替えたのです。


そして李明博政権は、「あー裁判でそう言ってるなら仕方がないなー、裁判所が言っているんだから日本に補償させないとなー(棒)」と言い出します。
そしてそのまま問題を次の朴槿恵政権に丸投げします。


困ったのは朴槿恵政権です。
そもそも、これで日本企業に賠償をさせてしまったら明らかに国際法違反になるうえに、確実に韓国経済は大打撃を受けます。


しかし朴槿恵大統領は就任当初から「親日派の娘」といわれ親北左派系から叩かれていたため、下手にこの問題で日本寄りの態度をとることも出来ません。
そこで裁判所に「裁判の先延ばし」を命じます、要するに更に次の政権に丸投げしようとしたわけです。


そして丸投げされた文在寅大統領はどうしたかというと、もともとの支持基盤が親北左派系で日本への賠償請求をしていた団体とも近しい関係にあった事もあって、「朴槿恵が裁判所に介入して徴用工裁判を先延ばしにしたんだ、全部あいつが悪いんだ」とやったのです。


ヤン・スンテ元最高裁長官時代の事務総局、「強制徴用裁判取引」に総動員された ハンギョレ新聞 2018-07-26
【社説】元最高裁長官が家宅捜索される国 朝鮮日報 2018/10/01


そして、当時大法院長(最高裁判所長官に相当)であった梁承泰氏は、法的根拠も整わないまま良く解らない理由で家宅捜査を受け、更に別件で色々な罪が追加され現在逮捕される寸前です。


ここで先日の徴用工判決に繋がるわけですが、見ての通り全ては歴代韓国大統領が責任逃れのために司法への政治介入を起こした結果というわけです。


2018年11月1日21時25分追記
そして文大統領は、本来この問題は韓国の国内問題であるにも関わらず、「日本が何とかすべき」と日本に問題を丸投げしたわけです。
日韓請求権関連協定における個別補償の問題の経緯を見る限り、資金を一括で受け取ってそれを個人に分配しなかった責任は韓国政府にあるわけですから、これは本来韓国の国内問題です。


しかし文政権は、この責任を放棄したという事になります。


※最後に私の勘違いについて解説します。

勘違い部分は「韓国との戦後補償問題」の「3:新たな主張」にある韓国建国年云々の部分です。

2008年の韓国の裁判所の判決では、「当時徴用者は日本人だったのだから日本の法判断が適用される」としていました。これは、「受け取った個人補償分を政府が使い込んだから」としてしまうと、また韓国政府に矛先が向いてしまうので、「日本がそう言っていたから」と責任を日本に押し付けようとしたわけです。


そして現在の話になるのですが、韓国の司法はこれを受けて、「韓国の法では日本による徴用は違法であり、併合も違法である」としました。この件と全く関係ないとは言いませんが、私はこの件を把握していなかったため、この判断を「きっと文政権で1919年が韓国建国年」とした影響だと考えたわけです。


実際、この主張は韓国の親北左派系によってずっと前からされていたので、不自然でもなかったからです。しかし実態は、李明博政権と当時の裁判所が言い訳に使った理屈に、現在の裁判所が当時の判決を打ち消す目的で行ったもので、韓国建国年との時系列や整合性は当初から考慮されていなかったというわけです。

要するに法判断というより政争(朝鮮伝統の党争)の一環の主張なのです。

3:国民情緒法


このように、今回の徴用工裁判は最初から最後までずっと歴代韓国政府による「責任のなすり付け」が引き起こした事なのですが、それ以外にももう一つ要素があります。


それは以前も記事や動画にした「国民情緒法」です。



youtube
https://youtu.be/0EBNTBOYTFg

過去記事
非常に厄介な韓国人の国民情緒・民族情緒
http://ch.nicovideo.jp/ooguchib/blomaga/ar554616
韓国では理論や学問や法律よりも「感情」が優先される
http://ch.nicovideo.jp/ooguchib/blomaga/ar552288


記事や動画で引用した中央日報の記事にもあるように、

【噴水台】 国民情緒法
中央日報 2005年08月12日
https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=66603

(一部抜粋)
国民情緒法に引っかかると、いかなる形態であれ罰を受ける。数十年前の偽装転入、半世紀を超えた父親の親日などの問題で、国民情緒に背いた公職者は現職から退く「恥辱刑」を受けた。通貨危機の直後、国民の憂憤に押されて「政策も司法的審査の対象」とし、当時の経済政策当局者らは司法処理された。最高裁で無罪が宣告されたが、当事者らは6年間も捜査機関と再判定に呼ばれながら、苦難を受けなければならなかった。


その時の多数派の感情によって法も憲法も捻じ曲げられ、対象者は社会的な制裁を受けるとしています。


似たような事例としてこれも過去動画や記事で言及した「親日派財産没収法」があります。







youtube
https://youtu.be/2gguS09EY64
https://youtu.be/MRdgQbun2S0

韓国の親日派財産没収法のとんでもなさとその背景
http://ch.nicovideo.jp/ooguchib/blomaga/ar434100

要するに韓国は、法律や憲法の上位に「国民情緒法」と呼ばれる、その時の世論の多数派の「感情」に沿って司法判断がされるという慣習があり、それによって基本的人権や財産権まで侵害される事が許容される社会なのです。


今回の事例も同じです。
そもそも裁判の原告の主張などが矛盾だらけという事を横に置いておくとしても、日韓請求権関連協定で日本側からの個別補償の提案を韓国側が拒否し、一括で受け取ってその資金を個人に回さなかったという背景がある以上、本来この問題は韓国政府と徴用工の問題のはずです。


しかし、韓国では国民情緒法によってこうした客観的判断は受け入れられず、感情的に「道徳的に日本が悪い、自分達は正当な立場を表明しただけだ」という意見が受け入れられ、それが司法判断に影響を与えた結果という背景があるのです。


そしてこうした背景がある以上、一度火がつくと国民情緒法は誰の手にもコントロール不能であり、ブレーキの利かなくなった世論は行き着くところまで行くしかありません。
そしてその「トリガーを引いた」のが文在寅政権による「※積弊清算」という名の政争なのです。

※積弊=長年続いた弊害


韓国歴代大統領による「責任逃れの先延ばし」から始まったこの問題は、責任逃れの果てに日本への責任の押し付けへと発展し、国民情緒法によって火がついた世論によってコントロール不能な状態になっており、最早韓国側にはこの問題を解決する能力がありません。


ですから日本としては、粛々と「事務的に」韓国の行いに対応し、国際社会に日本の立場をしっかりと表明し、ICJへの提訴を行い、「何が問題なのか」「なぜ日本は韓国の態度を拒否しているのか」をしっかりと説明していかないといけません。


こうなってしまっては、韓国を助けようと動いても逆効果で事態を悪化させるだけなのですから。
「コントロール不能」とはそういう事です。


お知らせ次回の動画なのですが、状況が状況だけにこの件についての動画をやる事にしました。waiwaiの件が中途半端ですが、それは次週にやる予定です。

お知らせ。
このニコニコのブロマガの仕様上、コメントが新たにあった事は解るのですが「どの記事にコメントがされたのか」を確認することが困難です。
そこで、もし過去記事に質問等私が何らかの回答を必要とするコメントをされた方は、お手数ですが最新の記事かtwitter@ooguchib」のアカウントのほうへその旨を書いていただけると助かります。



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