日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

「日本のテレビ局が中韓に乗っ取られている」論


初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


注意
・このブロマガは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブロマガのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください


さて、本日は別の内容をやる予定だったのですが、どうも以前少し言及した一連の「日本のテレビ局が中韓に乗っ取られている」という話とその「根拠」を、結構な数の人が無批判に信じ込んでしまっているようなので、その件について急遽改めて書きます。


少し前から「日本のテレビ局が中韓に乗っ取られている」という話が出回っており、その根拠として「日本のテレビ局内に中韓のテレビ局の支局がある」が提示され、コピペも出回っているが、これには大きな事実誤認がある。


問題は、「日本のテレビ局内に支局を持つのは中韓のみ」という前提が無ければこの説が成り立たない事で、実際のところどうかといえば、日本のテレビ局内には中韓以外の国のテレビ局の支局も多数あり、これは新聞社も同様となっている。


要するにこれは根拠として成り立っていないわけだが、では実態はどうかといえば「乗っ取られている」かどうかは別として、日本のメディアが他国の政府の意向を受けて報道内容を歪める、或いは自粛する事例は多数あり、根本的にこの「支局」の件に拘る意味がない。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:外国のテレビ局の支局


まずはこちらの記事から

元自民議員の学長「テレビ局を中韓の局が乗っ取り」
朝日新聞 2018年5月3日
https://www.asahi.com/articles/ASL535RKRL53TIPE011.html

 元自民党衆院議員で、九州国際大北九州市)学長の西川京子氏(72)が3日、福岡市内であった改憲派の集会で、テレビ局の放送内容が護憲に偏っているなどと批判し、「同じビルに中国、韓国のテレビ局が入っている。完全に乗っ取られているんですね。(改憲は)この人たちとの戦い」などと発言した。

 発言があったのは、改憲を訴える「美しい日本の憲法をつくる福岡県民の会」の集会。西川氏はまず、陸上自衛隊の日報問題を取り上げ、「(日報を)出さない方が悪いとやっているのは完全に日本のメディアではない」と主張。「いろいろな調査をした」とした上で、日本のテレビ局の建物の中に、中国や韓国のテレビ局が入居しているとして問題視。「以前は一部だったが、今は中枢にいるんですよ。日本人、何やってるんだと言いたい。この人たちとの戦いだということです、憲法改正は」などと述べた。

 発言後、西川氏は報道陣に対し、「テレビ局の住所の一覧表を見たら全部(中韓の局と)一緒だった。番組編成上、影響がないとは言えない」と説明。放送内容については、「コメンテーターは憲法改正に賛成じゃない人が圧倒的に多い。バランスが取れていない」などと話した。

関連記事
TV局「中韓に乗っ取られ論」デマ横行 学長発言に批判 朝日新聞 2018年5月16日



この記事が登場して以来、あちこちで「実際そうだろう」といった意見に同調する人々が増えており、最近は一部政治家までこの論調に同調する動きを見せていますが。そもそも、「同じビルに中国、韓国のテレビ局が入っている。完全に乗っ取られているんですね。」は成り立っていません。


もう少し詳しく書くと、「日本のテレビが中韓に乗っ取られている」という説の根拠として「中国、韓国のテレビ局が入っている」を提示するのは明らかな事実誤認です。


なぜかといえば、この説は大前提として「日本のテレビ局には中韓の支局しかない」或いは「テレビ局内に他国のテレビ局の支局があるのは一般的ではない」との前提が必要になるからです。


実際のところはどうかといえば、恐らくこの「噂」は以下のようなコピペが出回っている事が原因なのでしょうが

NHKは特亜三国に対して何があろうと批判せず、そして日本人に妙な贖罪感、閉塞感を与え、特亜から見た歴史認識をそのまま報道をし続けています。
非常に緊密な関係が下記からも見て取れます。
3社(NHK・CCVT・KBS)の日本住所
日本NHK(放送センター)
住所:東京都渋谷区神南二丁目2番1号
中国中央電視台(CCTV中華人民共和国の国営テレビ局)・日本支局
住所:東京都渋谷区神南二丁目2番1号NHK放送センター内
韓国放送公社(KBS/韓国の国営放送)・日本支局
住所:東京都渋谷区神南二丁目2番1号NHK 東館
NHK海外支局所在地
NHKの北京支局は中国・中央電視台(CCTV)ビル内にあり、
NHKのソウル支局は韓国・韓国放送公社(KBS)内にあるのです。


まず根本的な問題として、昨日1時間弱調べただけでも「東京都渋谷区神南2丁目2−1」のNHK放送センターには、KBSなど以外にも以下のようなテレビ局の支社がある事が直ぐにわかります。

ABCニュース東京支局
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M10015/13113/21331047235/
東京都渋谷区神南2丁目2−1

オーストラリア放送協会
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M10015/13113/21331257416/
東京都渋谷区神南2丁目2−1


また他にも、以下のように

CBSニュース 東京支局
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M10015/13103/21331904955/
東京都港区赤坂5丁目3−6
赤坂サカスTBS放送センター

同じ施設の赤坂Bizタワーにはロイター日本支局
ロイター
https://jp.reuters.com/info/office-map
東京都港区赤坂5丁目3番1号赤坂Bizタワー


AFP通信社
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M26005/13102/21330082993/
東京都中央区銀座5丁目15−8
時事通信ビル内



他にも、日本テレビタワー日本テレビ放送網株式会社本社)19階には、NBCアメリカの放送局)などの複数の国のテレビ局の支局があるそうです。


つまり日本のテレビ局内に提携などによって他国の放送局の支局が入っているのは「普通の事」であり、また中国と韓国以外の国の放送局の支局も多数あります。


それと余談になりますが、韓国のKBSは「公共放送」であって国営放送ではありません。
この辺りを勘違いしている人が多い事もこの「噂」が出回る原因となっていそうです。


またこの噂なのですが、元ネタは十数年前にニューヨークタイムズの「ノリミツオオニシ」という人物が、NYT日本支局のある朝日新聞社屋内から日本批判記事を書き、それをニューヨークタイムスに掲載、更にそれを朝日新聞が「ニューヨークタイムズ発の記事」として転載していました。


要するに、実質的に朝日新聞社内で書かれた日本批判記事(露骨に中韓寄り)の記事を、朝日新聞が出所をNYTにして転載という形で掲載していた事が発覚し、不法資金の出所を隠すマネーロンダリングをもじって「ソースロンダリング」と呼ばれ批判された事例です。


恐らくこの事から「日本のテレビ局内に他国の支局があるのは工作目的」という連想が生まれ、それが今回の噂に繋がったのではないでしょうか。
実際、今回のこの「噂」は朝日のソースロンダリングの件とこじつけられ、2000年代後半にも一時流行った事があります。


2:「影響下」にはある


私が今回この件を記事にしたのはなぜかと言えば、こうした明らかな事実に基かない「言いがかり」が出回りそれが「間違いだ」と批判されると、実際に日本のメディアが他国の意向を簡単に受け入れてしまうという事実まで、どさくさにデマ扱いされてしまいかねないからです。


実際のところ、日本のメディアが中韓に「乗っ取られている」という客観的な証拠はありませんが、中国、韓国、北朝鮮政府の意向を無批判に受け入れ、報道内容を歪めている事を証明する客観的な証拠は存在しています。


例えば中国の事例では以下のようなものがあります。


「台湾の声」【NHK】新証言:中国大使館からの抗議を恐れて台湾を扱えない


2005年の古い記事ですが、NHKが中国の意向を受けて台湾を「国として扱わない」という態度を公式に表明している事を、台湾人が批判しています。


つい最近、各国の航空会社に対し中国政府が台湾と香港を中国と表示せよと「恫喝」して問題になり、各国から批判されましたが、NHKは何の反発もせずに中国の意向を受け入れていたという事です。


また他に以下のような事例もあります。


(※1)
Christopher R. Hill, Assistant Secretary for East Asian and Pacific Affairs S Embassy, Tokyo Tokyo, Japan February 6, 2007
http://web.archive.org/web/20070219080621/http://www.state.gov/p/eap/rls/rm/2007/80100.htm
(一部抜粋)
NHK:私の友人の中国人外交官は日本政府の態度に不満を持っていて、日本政府が拉致問題にこだわっていることに不満です。彼らはいつも6者会合の進展にとって拉致問題は障害であると文句を言っており、日本と他の国の間に、この問題でギャップがあります。
日本政府に、この点について、貴方は説得できますか?



過去に動画等でも紹介した件ですが、2007年にNHKのアナウンサーがクリストファーヒル東アジア・太平洋担当国務次官補(当時)に対し、実質的に中国政府の意向をヒル氏に伝えるという、殆ど中国政府の国益のための質問をしていました。


また他にも最近の事例として、


「両会」記者会見、日本の記者が外国勢で唯一質問許される…日中関係改善への期待が顕著に―中国メディア Record china 2018年3月4日


言論弾圧を強める中国政府が、外国メディアでは唯一朝日新聞のみに質問を許したという事例ですが、これは明らかに「朝日新聞は中国政府の意向に反した質問をしない」と中国側が理解しているからです。


上記中国関連以外に、例えば韓国関連でも以下のようなものがあります。


韓流広がる国への管理行うべき、外交問題大討論会 中央日報 2005年11月25日
【社説】国家的課題に浮上した「韓国嫌い」解消 朝鮮日報 2008/08/16


最初の中央日報の記事では、韓国好きを増やすために国が韓国好きを管理し「韓国に似ている情緒・考え方を共有する地域に育成、発展させるべき」としています。


次の朝鮮日報の記事では、要するに韓国人の行いで韓国へのネガティブイメージが増えたので、その問題を解決するのではなく「良いイメージを政府主導で上書きしよう」というものです。


説明するまでも無いでしょうが、これはつまり韓流とは政府主導のプロパガンダであり、日本のテレビや新聞はそれを無批判に受け入れ賞賛しているということです。


また次に北朝鮮の事例もあります。


マスコミ問題を扱っているブログのほうで過去に記事にした事例として、これまで日本のメディアが朝鮮総連の意向を受けて番組内容を改編したり、或いは「自粛」したり、圧力を受けてそれを無批判に受け入れたりした事例が複数存在しています。


参考記事
未だに北朝鮮のプロパガンダを行う日本のマスコミ
朝鮮総連と日本のメディア
マスコミと「報道の自由度ランキング」


また北朝鮮関連では、以前動画にもしたNHK番組改変問題のように、番組に素性を明かさず北朝鮮の政府高官が参加していたことや、この件に関連した安倍幹事長(2005年当時)への抗議活動に、北朝鮮の国会議員が主導的に関わっていた事などが発覚しています。


参考記事
【マスコミ問題】NHK番組改変問題と朝日新聞


ちなみに、朝鮮総連北朝鮮政府の意向を受けて活動を行う北朝鮮出先機関であり、北朝鮮朝鮮総連は別という主張は成り立ちません。

北朝鮮の核実験場に世界が注目 廃棄実施なら非核化への第一歩
聨合ニュース 2018/05/24
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2018/05/24/0300000000AJP20180524002700882.HTML

北朝鮮の立場を代弁する在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)機関紙の朝鮮新報


韓国記者団門前払い、再び始まった「コリア・パッシング」
朝鮮日報 2018/05/22
https://web.archive.org/web/20180523030800/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/05/22/2018052202860.html

北朝鮮の立場を代弁する在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」


北朝鮮、「ボルトン氏、米第一主義に陥って米朝関係を妨害」
東亜日報 May. 19, 2018
http://japanese.donga.com/List/3/all/27/1324669/1

>対外的に北朝鮮の立場を代弁する在日本朝鮮人総連合会の機関紙「朝鮮新報」


北朝鮮、特使団の米国出国日に合わせて米国の代わりに日本非難…なぜ?
2018年03月08日14時30分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/359/239359.html

>朝鮮新報は北朝鮮住民向けではない対外用メディアで、朝鮮総連が発行している。北朝鮮が対外政策を間接的に発表する窓口として活用してきたメディアだ。


北朝鮮の官営メディアが南北・朝米首脳会談報道しない理由とは?
ハンギョレ新聞 2018-03-14
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/30024.html
>対外的に北朝鮮の立場を代弁する在日本朝鮮人総連合会(総連)の機関紙「朝鮮新報」


このように、「乗っ取られている」事は証明できなくとも、日本のテレビや新聞が他国政府のプロパガンダ言論統制を簡単に受け入れてしまう事例は多数あり、この日本のメディアの悪習は今でも全く変わっていません。


それどころか、日本のメディアや新聞はこの有様で「自分達は権力に屈しない、権力の監視者である」と自称している状態です。


そしてだからこそ、最初に言及したように「中韓に日本のテレビが乗っ取られている、その証拠は中韓のテレビ局の支局が日本のテレビ局内にあるからだ」といった、本来問題でもなんでもない事を問題にしてしまっていると、これに突っ込みを入れられたときに今回紹介した「実際の問題」までデマ扱いされる印象操作に利用されてしまうのです。


特に外国テレビ局の支局の件は、今回言及したようにちょっと調べれば直ぐにわかることです。どんな事でもまず「調べる」という事をする習慣をつけていかないといけません。
そうでないと、客観的な事実としての問題提起まで「埋もれて」しまうのですから。



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以下は当ブロマガのお勧め記事マイリストです、もしよかったらこちらもどうぞ。




動画版マイリスト





 



(※1)
Christopher R. Hill, Assistant Secretary for East Asian and Pacific Affairs
US Embassy, Tokyo
Tokyo, Japan February 6, 2007
http://www.state.gov/p/eap/rls/rm/2007/80100.htm(リンク切れ)
http://web.archive.org/web/20070219080621/http://www.state.gov/p/eap/rls/rm/2007/80100.htm

(前略)
QUESTION: My friend from the Chinese diplomats, he just mentioned some dissatisfaction over the Japanese Government, you know, insisting on something on the abductees issues. They just always complain that that's an obstacle for the further progress on the Six-Party Talks. So I see some gaps in the perception between Japan and other countries. So how can you just persuade the Japanese Government?

ASSISTANT SECRETARY HILL: Well, you know, I don't know who your friends are in the Chinese Foreign Ministry, but the Chinese Foreign Ministry people I talked to understand that this is a big issue for Japan, and the Japanese Government cannot ignore this issue. So I think the Chinese try to look at these problems with a sense of realism, and the reality is it's an issue. So we'll see what we can do.
(後略)

NHK:私の友人の中国人外交官は日本政府の態度に不満を持っていて、日本政府が拉致問題にこだわっていることに不満です。彼らはいつも6者会合の進展にとって拉致問題は障害であると文句を言っており、日本と他の国の間に、この問題でギャップがあります。
日本政府に、この点について、貴方は説得できますか?
ヒル:貴方の友人の外交官が中国外交部の誰なのか知りませんが、私の話している中国外交部は、この日本にとって大きな問題を理解しています。日本政府がこの問題を無視できない事を理解しています。中国はこの問題を現実的な観点で解決しようとしていて、実際それは問題なわけです。我々は何が出来るのかを今後知る事になるでしょう。