日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

「日韓友好を訴える人」がなぜか韓国を助けない件


始めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由


さて、本日は「北朝鮮には軍事行動より対話を」と日本で主張する人々が、なぜか対話路線を悉く失敗した韓国の文在寅大統領に「対話の方法」を『教えてあげない』問題について書いていきます。


先日の北朝鮮による中距離弾道ミサイル発射に関連し、日本では軍事的圧力よりも北朝鮮との対話を模索せよと訴える人々がいるが、様々な融和・対話路線を訴えながら悉く北朝鮮に無視され続け、軍事的な圧力を容認するようになった文大統領の存在を無視している。


また現在韓国は、THAAD問題で中国と対立しており中国から実質的な経済制裁を受けているが、その件に関しても文大統領は中国との対話を求めており、これも中国から悉く無視され続けている。


こうした事例から、日本で北朝鮮との対話路線を訴える人と日韓友好を訴える人々はほぼ「かぶっている」わけなので、対話路線を訴えるならばまず対話路線から「脱落しかかっている」文政権にアドバイスをすることこそ真の友好のはずなのだが、彼らはそれを全くしない。


※日韓友好を訴える人々=韓国人が「良心的日本人」と呼ぶ人々=このブロマガでは「日韓友好論者」と呼称される人々。
参照()(


※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:「対話路線」を失敗し続けた文政権


まずはこちらの記事から


北の挑発が一線越えるなら攻撃作戦に転換 国防改革指示=文大統領
聨合ニュース 2017/08/28
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/08/28/0900000000AJP20170828004200882.HTML

【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領は28日、国防部から業務報告を受けた際、北朝鮮が一線を越える挑発を行ったり、首都圏を攻撃したりすれば、直ちに攻撃的な作戦に切り替えられるよう、近代戦に合わせて軍の構造改革を強く推進するよう指示した。

 また、北朝鮮の核とミサイルに対応する「3軸体系」の具体的な構築計画を策定するよう指示した。3軸体系は北朝鮮にミサイル発射の兆しがあれば先に破壊する「キルチェーン」、発射されたミサイルを迎撃する「韓国型ミサイル防衛(KAMD)」、北朝鮮が攻撃してきた場合に指導部などに報復攻撃を行う「大量反撃報復(KMPR)」の三つを指す。

 国防改革については主要国政課題に掲げている。文大統領は「強い軍隊が平和をもたらすということを一瞬たりとも忘れてはならず、強力な国防改革を迅速にやり遂げなければならない」として、「軍自らが身を削る自己革新の努力が必要だ」と強調した。

関連記事
北ミサイルの日本上空通過 「次元が違う重大な挑発」=韓国首相 聨合ニュース 2017/08/29


このように現在韓国の文在寅大統領は、「強い軍隊が平和をもたらす」と訴え交渉よりも軍事的な圧力を優先し始めている事がわかります。


元々文政権では北朝鮮との対話路線を積極的に進めており、赤十字を介した医薬品などの物資の支援や、7月にドイツで開かれたG20会談ではベルリン宣言を行い金正恩との直接対話を求めましたが、それらは全て北朝鮮から無視されています。


文大統領「金委員長と会う用意ある」 北朝鮮の決断促す 聨合ニュース 2017/07/06
北朝鮮の平昌参加 「引き続き要請」=韓国五輪委会長 聨合ニュース 2017/07/06
韓国政府 北に軍事・赤十字会談開催を正式提案へ 聨合ニュース 2017/07/07


しかもこの宣言そのものが、当のドイツの民間シンクタンクである「ケルパー財団」から「非現実的である」として否定されてしまいました。


文大統領の平和構想に独専門家「この状況で北と対話できるのか」 朝鮮日報 2017/07/07 (1/3ページ) (2/3ページ) (3/3ページ


中央日報によると、文在寅大統領のベルリン宣言の中身は以下の通りです。


文大統領「条件が整えば金正恩委員長に会う」
2017年07月07日13時43分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/010/231010.html

文大統領の7・6ベルリン構想4大提案

▼10月4日の秋夕(チュソク、中秋)墓参りなど離散家族対面の再開

北朝鮮の2018年平昌冬季オリンピック参加

軍事境界線での敵対行為中断

韓半島平和ための南北間対話再開


ちなみにこの宣言に対して北朝鮮からの返答は以下の通りです。


北朝鮮IOC委員、「スポーツで南北関係を解くとは、幼稚な考えだ」 東亜日報 July. 05, 2017


そして文大統領はそれでも対話路線の方針を諦めず、最近もアメリカに対して「韓国の同意なく北朝鮮への攻撃は出来ない」と宣言しましたが、それはアメリカから無視されます。


元在韓米軍司令官ら「北攻撃に韓国の同意は不要」 朝鮮日報 2017/08/23


更に、北朝鮮は「自分達の交渉相手は韓国ではなくアメリカだ」とでも言わんばかりに韓国を無視し始め、韓国内から「コリア・パッシング」論が次々と出てきたうえに、ご存知のように北朝鮮は7月以降も挑発とミサイル発射を繰り返しています。


米朝軍縮会議舌戦、韓国はかやの外() () 中央日報 2017年08月25日
韓経:韓国統一部長官「北核完成すればコリアパッシングも」 中央日報 2017年08月24日
[社説] 突然起こるかも知れない米朝対話、「コリア・パッシング」がないように 東亜日報 August. 24, 2017


最初の文大統領による軍事的圧力の強化への方針転換は、こうした背景から対話が不可能な状況にあると判断され、またポピュリズム政権である文政権は世論からの要求に反する政策はできないため、強硬論の増えた世論に迎合する形で先日の北朝鮮によるミサイル発射を契機に圧力重視になったというわけです。


またそもそも北朝鮮は、元々韓国と交渉することに何も価値を見出していません。


金正恩核武装できなければ自分は終わりだと考えており、それこそが体制保障の唯一の手段であると同時に、体制を揺るがす唯一の存在はアメリカであると考えているため、交渉相手としてアメリカしか見ていないのです。


2:中国とも「対話」がうまくいかない


更に、文政権の対話路線「挫折」は何も北朝鮮だけではありません。


以前より在韓米軍が対北朝鮮の核ミサイルへの対応として配備を進めてきたTHAADに関連し、中国が「中国の軍事的動向を探るもの」として大反対しており、配備を認めた韓国に対して実質的な経済制裁を繰り返しています。


【社説】中国のTHAAD報復でストップした現代自工場 朝鮮日報 2017/08/30


結果、特に現代やロッテなどの韓国の大企業が大損害を被っており、記事では「中国の報復に伴う経済への被害規模は最大22兆ウォン(約2兆1000億円)に上るとの試算が示されている」と書かれています。


更に記事では、報復による影響で中国にある現代の工場やロッテの営業所が操業不能な状態に陥っており、この状態にいずれ耐えられなくなると指摘しています。


こうした背景から現在韓国は中国に低姿勢外交せざるを得なくなっており、なんとか交渉の窓口を見つけようと努力しているわけですが、そもそも中国側の要求に交渉の余地が無いうえに、中国の態度がどんどん横柄になってきており、「このままでは正常な外交が出来なくなる」と危惧されるまでになってきています。


【社説】ICBMを発射する北朝鮮を「血盟」と呼ぶ習近平主席 朝鮮日報 2017/07/07 (1/2ページ) (2/2ページ
突破口見えない対中関係、文大統領の年内訪中も不透明 朝鮮日報 2017/08/24
中国との国交正常化25年も祝賀ムードなし 関係改善に苦心=韓国 聨合ニュース 2017/08/24
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更に問題なのが、元々THAADのレーダー範囲では中国の動向を捉えるだけの出力そのものがなく、更に韓国や在韓米軍にとっては北朝鮮の核がここまで高度化して実用レベルになっている以上、対策として必要な装備であるという事です。


ではなぜ中国がここまで強固に反対しているのかといえば、要するに韓国への政治的な影響力の増大のためと、米韓同盟に亀裂を入れるためです。
つまり、THAADは口実に過ぎず、クレームを入れる事ができれば何でも良いのです。


だから中国は韓国側からの交渉の提案に対し、一切取り付く島が無いわけです。
元々交渉して妥協点を探るような懸案ではなく、クレームを入れることが目的だからです。


結果韓国は外交上の窮地に陥っています。


3:友好を訴えながら韓国を「助けない」人々


今回書いたことが現在の韓国を取り巻く状況であり、だからこそ韓国の文政権は北朝鮮への軍事的圧力重視へと方針転換して行ったという背景があります。
あらゆる方面で「対話路線」が悉く失敗に終わったからです。


そしてここで注目すべきは、先日の北朝鮮によるミサイル発射を受けての日本のメディアの報道姿勢です。


田原総一朗米朝を新しい『6者協議』の席に着かせる手段はあるか」 AERA/週刊朝日 2017.8.30 (1/2ページ) (2/2ページ


たとえば田原総一朗氏の場合、朝日系のAERAで「文大統領は懸命に『合同軍事演習をやめよう』と提案したが、アメリカが北朝鮮を信用していないため聞き入れてもらえないのが原因であり、新たな6者協議を再開し北朝鮮を説得すべきだ」としています。


しかし、そもそも今回書いたように北朝鮮は米韓合同軍事演習前から韓国との対話を拒否し続けており、現在の北朝鮮の強硬路線が軍事演習を直接の原因としているわけではないうえに、元々韓国との対話を重要視していません。


また、琉球新報では「圧力一辺倒によって、これまで何ら成果が出ていないことからも、北朝鮮との対話を模索することを放棄してはならない。」としていますが、その方針で北朝鮮との対話を模索してきた韓国は実質的に方針の失敗を認めています。


<社説>北ミサイル日本通過 平和脅かす権利はない 琉球新報 2017年8月30日


更に毎日新聞では、「北朝鮮から見れば、圧倒的な軍事力で朝鮮半島の緊張を高めているのは米国です。在韓米軍や在日米軍の戦力を段階的に軽減すれば『脅威』は確実に弱まるのに、その議論が全くない」としていますが、その方針でやってきた文政権はそれで何の成果も得られなかったため圧力重視へとシフトし始めています。


「敵基地攻撃能力」保有すべきか 「やられる前に」乱暴すぎない? 「百発百中」なんて無理 毎日新聞 2017年8月30日



こうした記事から、彼らには何か「北朝鮮を対話の場に連れてくる具体的な方法」があるのでしょう。


ならば彼らのすべき事は日本政府に対して「圧力一辺倒ではだめだ」と訴えるだけではなく、同時に「軍事的な圧力重視」へと進んでいる韓国の文政権に対して、「北朝鮮が対話に応じるようになる具体的な方法」を教えてあげるべきでしょう。


元々こうしたメディアは韓国との友好を重視しているわけですから、今こそ「良い方法」を提案して韓国を助けるべきです。
元々韓国の文大統領は「北朝鮮と対話し平和を手にすること」をどの国よりも望んでいたわけですから。


私には現状の北朝鮮を対話の場につれてくる具体的な方法がどんなものなのかさっぱりわかりませんが、彼らにはその方法がわかっているからこそ「対話による解決」を主張しているのでしょうから。


対話の方法を知りながら、その方法を「対話から軍事的な圧力」にシフトし始めた韓国の文大統領に提案しない彼らの態度は矛盾しているとも言えます。


まさかとは思いますが、「言いっ放しで何も考えていない」わけではないですよね?



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