日韓問題(初心者向け)

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なぜ韓国で親北左派が支持されるのか


皆様、新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


さて、本日は韓国のいわゆる「親北左派」について書いていくわけですが、以前記事にしたように韓国の右派左派は本来の左右の定義とは異なっており、どちらも原則的には民族主義であり、違いは北朝鮮を肯定するかどうか、つまり北朝鮮の扱いの違いが最大の対立点です。


要するに、国粋主義系と民族主義系の対立になるのですが、それだとわかりにくくなってしまうので、便宜上このブロマガでは国粋主義系を右派(or保守)、民族主義系を(親北)左派と分類しています。


韓国では現在一連の崔順実問題を起因とし、保守系の与党セヌリ党の支持率が急落・分裂、結果野党の「共に民主党」が第一党となり支持率もトップとなったが、ここは親北朝鮮系の政党であり「普通に考えれば」韓国人が親北を支持する理由が無い。


しかし実際には支持され、その理由として「歴史的な背景」と「現在の韓国の社会構造+韓国的価値観」が関係しており、前者の理由として日本統治時代の朝鮮の独立組織「上海臨時政府」の継承政府としては一般論として比較的北朝鮮のほうが近いと認識されている問題がある。


また後者の理由として、韓国的価値観では「上位の存在は下位の存在に何をしても許される」という考え方があるが、韓国では比較的上位の既得権者や企業と右派(保守系)の結びつきが強く、それが韓国社会で「恨(ハン)」の形成に繋がっているという背景がある。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。



1:親北韓国人の歴史的な背景



まずはこちらの記事から

【社説】左派偏向教育を変える可能性を示した新しい歴史教科書
朝鮮日報 2016/11/29
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 韓国政府が28日、国定歴史教科書の現場検討本を公開した。教育部(省に相当)の李俊植(イ・ジュンシク)長官は「生徒が特定のイデオロギーに偏らず、バランスある歴史観を持てるように教科書を作った。12月23日まで内容をインターネットで公開し、国民の意見を聞きたい」と語った。

 検討本は「1948年8月15日、大韓民国臨時政府の法統を継承する大韓民国が樹立された。韓国の歴史上初めて、民主的自由選挙により樹立された国家」と意味を付与した。また「48年12月12日、国連は総会決議を通して、大韓民国政府を韓半島(コリア)で樹立された唯一の合法政府として承認した」と記した。従来の検定教科書は、大韓民国について「政府樹立」、北朝鮮について「国家樹立」という表現を使い、自ら国家の正統性を格下げしているとして批判を浴びた。

 「大韓民国樹立」という表現をめぐって、一部では「大韓民国臨時政府を否定するもの」と反発している。しかし「大韓民国樹立」なのか「大韓民国政府樹立」なのかという論争は消耗的で、不必要なものだ。検討本が「臨時政府の法統を継承する」と明示した上で「大韓民国樹立」と書いたからといって、臨時政府の意味が縮小されたとは見なせない。19年の臨時政府樹立と48年の大韓民国政府樹立は、同じ流れの中に存在する建国過程と理解しなければならない。臨時政府が国を宿したとするなら、大韓民国樹立は出産と見るべきだ。重要なのは、48年8月15日を起点として、大韓民国が国土と国民と主権を備えた、名実相伴う国家として生まれ出たという点だ。このため、国史学会でも長らく「大韓民国樹立」という表現を使ってきた。歴史学者の故・李基白(イ・ギベク)教授や韓永愚(ハン・ヨンウ)教授も、概説書で「大韓民国成立」「大韓民国樹立」と記し、進歩系の歴史学界の長老、李万烈(イ・マンヨル)教授も、年表で「大韓民国樹立を宣布」と記した。左派・右派のヘゲモニー論争はもうこれっきりにすべきだ。
(後略)

関連記事
【中央時評】建国節の論議を中止しよう=韓国(1) (2) 中央日報 2016年08月26日



以前も何度か取り上げたことのある韓国の教科書論争なのですが、1919年の大韓民国臨時政府(上海臨時政府)の樹立を建国とするか、或いは1948年の大韓民国政府の樹立を建国とするかで右派系と左派系が今でももめています。


これなのですが、韓国では大っぴらには北朝鮮擁護が出来難いのではっきりとは言及していませんが、実はこの上海臨時政府は韓国と北朝鮮、双方にその構成員だった人物が参加しており、ある意味で北朝鮮の母体のひとつでもあります。


そしてあくまで「強いて書けば」ですが、韓国内では北朝鮮建国に比べて韓国建国は正当性が弱いと考えている意見が根強く存在しています。
つまり、上海臨時政府を正当な建国としてしまうと、韓国の「半島唯一の政府」という建前が弱くなってしまうのです。


これがどうしてかといえば、それははっきり書くと初代韓国大統領である李承晩に最大の原因があります。
(以下、その背景となるのですが、詳しく書いていると長くなりすぎるため大幅に端折ります)


まず上海臨時政府設立直後、初代大統領となったのは李承晩だったのですが、元々彼は「李朝の王族」という肩書きがあるだけで臨時政府内では一派閥の長でしかないにも関わらず、勝手に大統領を名乗ったため数年で臨時政府から追い出されます。


その後臨時政府内では多数の派閥が乱立、互いに勢力争いや暗殺合戦を繰り返していたのですが(特に金九ら一派と共産党系が激しく対立していました)、日本敗戦後は最終的に金九ら民族主義派が優勢となります。


そして金九ら一派は米ソ冷戦の始まりなどもあり朝鮮半島が分裂するなかで、共産党系とは対立しながらも朝鮮の統一国家樹立を目指すのですが、この時点でのGHQは暫く連合国による朝鮮半島信託統治を想定していたようです。
(厳密には共産党系の中でも対立があったのですが、書いているときりがないので省略)


そして、ハワイを中心に独自の独立運動(という名の派閥争い)をしていた李承晩が復権、勝手に「南側単独での大統領選挙」を主張、反対していた金九らを暗殺し、なし崩し的にアメリカの許可を取り付け身内だけで選挙を行い当選します。


これに反発した李承晩派以外の勢力が武装蜂起、北朝鮮側への合流などへと繋がっていき、それがその後に続く李承晩による自国民大虐殺や朝鮮戦争へとエスカレートしていくわけですが、それは以前書いた通りです。


韓国の反日は李承晩が作り上げた


このような背景から、李承晩は日本敗戦後の上海理事政府の主要メンバーではなく、更に李承晩に反発する臨時政府のメンバーが次々と北へ流れたという背景があるので、韓国内でも「北朝鮮のほうが正当性がある」と考える人がいるわけです。


ただし、北朝鮮金日成の側でも「本物の金日成は別にいる」という説があり、去年7月には中国との取引(恐らく朴大統領の抗日式典参加の見返り)により、「本物の金日成の子孫」とされる人物が韓国に帰化していますので、こちらも厳密には継承性が薄いわけですが。


[オピニオン]「本当の金日成」の子孫が帰化 東亜日報 July. 23, 2015


現在の韓国で、上海臨時政府を韓国建国とするか、それとも1948年の政府樹立を建国とするかでモメる原因にはこんな背景があるわけです。
右派系としては、1948年を建国としないと国の基盤そのものが揺らぎかねないのです。



他にも韓国の地域差別や職業差別の問題などがあるのですが、今回は省略しています。

2:親北左派が支持される現在の理由


上記のように、韓国内ですら「李承晩の非常識な言動」が原因で建国の正当性を疑われているという背景のほかに、親北左派が支持されるもっと身近で現実的な問題もあります。
こちらの方が本題となります。


それは、以前から書いている「序列社会としての韓国」の問題です。


韓国では以前から「金の匙」「土の匙」「ヘル朝鮮」と表現される格差論争があるわけですが、日本などで見られる格差論争とは少々性質が異なります。


日本の場合には、収入の格差から来る教育や福祉面での違いなどが問題となっているわけですが、序列社会の韓国ではこうした問題のほかに「上位の存在は下位の存在に何をしても許される」という社会的背景があります。


どういう事かといえば、以前何度か話題にしたことがあるナッツリターン問題のように、企業のトップがちょっとした事で自身より地位の低い相手に暴力を伴う暴言などを吐き、地位の低い相手は原則的にそれに泣き寝入りを強いられるという問題です。


たとえば2013年には、韓国大手企業ポスコの役員が大韓航空の客室乗務員に対し、「ラーメンを作り直さない」という理由で暴行を加えた事例や


乗務員暴行の韓国企業役員、大韓航空が提訴を検討 中央日報 2013年04月22日


韓国大手財閥であるSKグループ創業者の甥に当たる崔哲源という人物が、会社の自身へ待遇に反発しSK本社前で1人デモをしていたタンクローリー運転手を呼び出し金属バットで暴行を加え、「暴行の代価」として札束を渡したという事件などがあります。


(※1)
SKチェ・テウォン会長のいとこの弟、野球のバットで労働者暴行  ノーカットニュース(韓国語) 2010-11-29


こうした事例は、まさに「上位の存在は下位の存在に何をしても許される」という韓国社会を体現したような事件で、この事例ではたまたま問題が大きくなり警察沙汰となりましたが、どちらの事例でも犯人は「微罪」で済まされています。


このような背景から、韓国では社会的に地位の高い相手や企業に対して不信感や「恨(ハン)」の蓄積が続いており、また政治勢力としては伝統的に韓国では既得権は保守系との繋がりが強く、韓国人の中には「既得権を打ち破りたい」という世論が潜在的に強くあるのです。


そして親北左派系というのは、政治勢力ではあるのですが元々韓国において共産党共産党を支持することが違法であったことや、右派系独裁政権が長く続いた事でこうした既得権との繋がりが弱く、だからこそ崔順実問題のような既得権に絡む汚職問題が発生すると、「既得権を打破してくれる」としてスポットが当たるのです。


ただし、以前から書いているように親北左派系もこうしたものとは別の既得権を有しており、たとえば過去に何度か書いたことがある労組が「貴族化」しており利権の世襲や特権化を構築している問題や、最近発覚した事例として、自分達の既得権を守るために積極的に外国人労働者排除を行っているなどの問題があります。


韓国政府の外国人労働者の取り締まり・追放に積極協力、民主労総が謝罪 朝鮮日報 2017/01/03


ちなみに上記で問題となっている民主労総は親北左派系の「共に民主党文在寅氏支持です。


つまり、形態が異なるだけで親北側も韓国内で利権を有しているわけですが、それが「あまり目立っていない」「社会に不満を持つ若い層にはあまり関係が無い」ので多くの支持を集めているわけです。


また、崔順実問題の汚職関連で韓国の大手財閥のトップ達が国会に呼び出された際、野党の議員たちが「企業トップに意図的に恥を書かせるような扱い」をしたのも、結局は「(韓国的価値観で)相手の劣等性」によって自身の地位が上がり、「何をしても良い存在」と認識したからです。


[オピニオン]聴聞会会場での無礼な「挙手投票」 東亜日報 December. 08, 2016


本質的には、実質双方でやっていることに違いがないわけですが、左派系は企業を攻撃対象としているので、特に「特権を持つ企業」に対して恨(ハン)を蓄積している庶民は「溜飲が下がる」わけです。


3:本質的には右派左派に違いはない


今回書いたように、親北系が支持されているのは韓国建国にまつわる李承晩の行いと、保守系と既得権の繋がりによる汚職や序列社会の問題となるわけですが、実際には上記のように本質部分に大して違いがありません。


要するに韓国的価値観では、こうした既得権そのものを「無くしたい」と思っているのではなく、「なぜその場所(特権)にいるのが自分ではないのか」と考え、「恨(ハン)」の蓄積を行っているだけの人が大部分なのです。
だから形を変えて「同じ事」が繰り返されるのです。


こうした背景があるので、右派系が政権をとると左派系が弾圧され、左派系が政権をとると右派系が弾圧される、つまり「下位の存在には何をしても良い」が政権の交代によって逆転し繰り返されている背景があります。


たとえば親北左派の盧武鉉大統領が政権を取っていたころ、以前も書いたことのあるいわゆる「親日派財産没収法」が施行され、事実上韓国建国に関わった保守(右派)系の人々が「親日派の子孫である」として弾圧を受けました。


また、東亜日報創立者金性洙や朝鮮日報の前社長方應謨が「親日である」として、現在の東亜日報朝鮮日報が実質的な表現の自由の弾圧を受けていました。


国家機関も金性洙,方應謨‘親日’認定 ハンギョレ新聞 2009-11-12



要するに、親日という「加害者」認定を受けて劣等性が確定し、罪の連座によってその子孫や会社そのものが「下位の何をしても良い存在」となったわけです。


また、その後李政権、朴政権になると、今度は左派系が「親北である」としてブラックリストに載せられ「下位」の存在として様々な嫌がらせを受けていたことが最近発覚しています。


[社説]左であれ右であれ「文化界ブラックリスト」は権力の文化弾圧だ 東亜日報 December. 28, 2016

元文体部長官、「ブラックリスト知らない」という朴大統領に「公式記録が残っている」 ハンギョレ新聞  2017.01.02


こうした事から解るように、韓国では単にいつも通りの派閥争いによる序列の構築作業が行われているだけであり、「左派系なら現状を改革してくれる」という韓国世論も要するに私達の考える改革とはまるで異なっており、単に「序列を逆転させたいだけ」なのです。


日本でいわゆる日韓友好論者などが「韓国の民主主義は進んでいる」等と主張していますが、実態はこのように民主主義だとか改革だとか、そういったものとはほぼまるで関係が無く、「自分がその地位にいないことが不満」だからあそこまで大きなデモになったのです。


また、「建国の正当性」云々を論じているのは右も左も実際のところ現状の韓国では年配層だけであり、若い層は今回「2:」以降で書いた動機から親北左派系の文氏を支持しており、そして若い層ほど民族主義の傾向が強い事から、文氏など野党は民族主義を煽っているという背景もあります。


こうした事から、日本のメディア、特にテレビの報じる次期韓国大統領関連のニュースがいかに「本題からずれているか」がわかるのではないでしょうか。
テレビの報じる韓国大統領選挙をめぐる分析を真に受けている人は、選挙後誰が大統領になっても「なぜこんな事をするのだ?」と疑問を感じることだらけになるでしょう。



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以下は当ブロマガのお勧め記事マイリストです、もしよかったらこちらもどうぞ。











(※1)
SKチェ・テウォン会長のいとこの弟、野球のバットで労働者暴行
ノーカットニュース(韓国語) 2010-11-29
http://www.nocutnews.co.kr/news/778110

= "暴行後 ''代価'' 2千万ウォン渡し」1人デモ... 警察の捜査に着手
SK家の2世雇用継承問題で摩擦を醸しタンクローリーの記事を野球のバットで殴り書」「代価''とし、お金を渡したという主張が提起され、警察が捜査に着手した。

28日放送されたMBC時事マガジン2580によると、チェ・テウォンSKグループ会長のいとこであり、物流企業のM&Mの元代表であるチェ・チョルウォン(41)氏は先月18日、ソウル龍山区、自分のオフィスで乳母(52)氏を野球のバットで10回殴打した。

チェさんはタンクローリー車の売却問題でオフィスを訪れたユ氏のM&Mの役員が見守る席でアルミバットと拳で殴った後、 ''代価 ''とし、2千万ウォンを渡したという。

続いてチェさんは、5千万ウォンにタンクローリーを渡すという内容の契約書を書かせたのと伝えられた。

民主労総貨物連帯所属のユさんは、自分が通っていた会社を合併したM&Mは雇用継承を拒否すると、SK本社前などで、最近数ヶ月の間、1人デモを行ってきた。

''代価暴行 ''が知らされ、ポータルサイトの ''アゴラ ''には、チェ氏の拘束を必要とする問題請願が上がってきて、この日の午前までに3400人が署名した状態だ。

ソウル地方警察庁暴力系は ''最大限迅速に被害者を相手に被害経緯を調査した後、原則に立脚して関係者を召喚調査などの手続きに基づいて厳正に捜査を進めていく方針 '' と明らかにした。