日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国は「分析」が苦手


さて、本日は以前書いた「韓国では希望的観測と予測が事実上同じ」に関連した内容となります。


以前の記事で、韓国人は自身に最も都合のいい「かくあるべき姿」を前提に予測を立てると書いたわけだが、これは予測だけではなくありとあらゆる分析でも同じ傾向が見られる。


たとえば、韓国ではこれまで日本人に対する評価として、「侍文化の影響で脅されると従順になる」のであり、震災などで秩序だって動くのはこの文化のために病的に「迷惑をかけることを恐れる」からだという内容が広く一般化していた。


しかし、最近韓国がTHAAD関連で中国から脅されると全く逆の評価をして「日本を見習え」と言い出しており、彼らの行う分析が非常に刹那的でその場の感情やそのときの状況に流され易く、一貫性の無いものである事がわかる。


そして問題なのが、このような背景から彼らは「分析」や「観察」することが非常に苦手であるため、外部から「韓国に都合のいい内容」を教えられると簡単に特定方向に流されてしまう傾向にあり、その結果「何が問題だったのか」を知る事ができず何度も同じ問題を繰り返してしまう。



※一部を除き、引用記事が日本語の場合には文中にリンク用アドレスとタイトルのみ表記、韓国語のものやリンク切れで参照不能な記事のみ文末にまとめて本文を引用します。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:その場の都合で変化する日本人観


まずはこちらの記事から


【コラム】中国の報復に屈しなかった日本に学べ
朝鮮日報 2016/07/20
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/07/20/2016072000547.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/07/20/2016072000547_2.html
インターネットアーカイブ
https://web.archive.org/web/20160720201044/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/07/20/2016072000547.html
https://web.archive.org/web/20160720201100/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/07/20/2016072000547_2.html

 中国の政府とメディアが韓国への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐり、韓国を批判している。韓国では中国による通商報復を懸念する声が上がっている。その根拠の一つが日本に対する中国の報復だ。
(中略)
 日本が報復の脅しに動じなかったのは、国家的なプライドがあったからだけではない。日本人は「一度屈服すれば、中国は無茶な要求を繰り返す。中国が国際秩序に従う国になるよう、日本と国際社会が力を合わせるべきだ」と話す。それは単に報復に屈しなかったということなのか。

日本は14年、THAADの中核であるXバンドレーダーを追加配備する際、中国は日本を名指しすらせずに「地域の安定を害する」と形式的に批判した。日本と中国は対立の裏で貿易と観光交流を絶えず拡大してきた。日本を訪れた中国人観光客は12年の140万人から13年には130万人に減少したが、14年には240万人、15年には490万人に増加した。尖閣国有化で一時半分に減った日本車の中国での販売台数も翌年には40万台以上増えた。中国が貿易の枠組みを破壊するほどの報復措置を取れなかったのは、両国間の貿易が朝貢貿易ではないからだ。現代の貿易は中国が一方的に恩を施すのではなく、両国にとって利益だからだ。

 THAAD配備に関連し、中国の一部勢力が韓国に「通商報復」をちらつかせるのは時代錯誤だ。数百年前に逆戻りしたかのような「覇権的中華主義」が中国で首をもたげている。中国は日本だけでなく、南シナ海で領有権を争うフィリピン、ベトナムに対しても観光客の規制、バナナ輸入締め付けなどの報復措置を乱発している。国際裁判所で敗訴したことには武力アピールで対応している。

 THAAD配備めぐり、中国が韓国に見せた姿は日本、フィリピン、ベトナムなどにとってはあまりに見慣れたものだ。対応に苦慮して慌てるのではなく、日本の事例を参考にして、肝の座った対応が求められる。



この記事なのですが、韓国は普段「日本を越えた」とか「日本は反面教師だ」とよく書きますが、それは以前から書いているように自己の優越性を証明するためには他者の劣等性が必要だからであり、今回のように「本当に困った状態」になると上記記事のように「日本を見習え」と主張し始めます。



要するにこの記事単体だけならば特に問題にするまでもない「いつもの事」なのですが、この記事が興味深いのは2000年代以降韓国で一般的だった日本人観と180度正反対の日本人観を提示している点です。


例えば以下の記事などが典型的です。


【寄稿】韓国が日本を無視しても構わない理由 朝鮮日報 2015/09/27 (1/2ページ)(2/2ページ
【コラム】悲劇に冷静な日本、ぞっとするほど恐ろしい 朝鮮日報 2015/02/06


最初の記事では『日本人が乱発する「スミマセン」は美徳ではなく病気』『韓国より低劣な文化だった日本の「場違いな振る舞い」』としており、日本人は脅しに弱く上や周囲から強要されて(圧力で)病的に迷惑をかけまいとしているだけだと書いています。


また次の記事では、震災などの悲劇に見舞われた際の態度を文中で『「侍の刀による脅し」が日本人をそのようにしたという見方もあれば、教育の効果という見方もある。』と言及している部分があります。


このような日本評は韓国では一般的であり、他者の劣等性から自己の優越性を見出す韓国的価値観も相まって、特に東日本大震災以降日本人の震災時の対応が国際的に評価されると、韓国では「あれは日本人の意志が弱く、上から脅されると従順になるからだ」という評価になっていました。


しかし最初に引用した記事では同じ朝鮮日報の記事でも日本評が正反対になっています。


もともとの韓国社会で一般的な日本への評価ならば、中国からの「脅し」に日本が屈しないのは後ろにアメリカがいるからだ等の解釈をしていたでしょうが、今回の場合現実に韓国が中国から脅しを受けて「怯えている」状況であるという現実的な問題があります。


このような場合、韓国はよく日本を引き合いに出して「日本ができているのだから自分達もできるはずだ」と比較する場合があります。
なぜなら韓国社会では一般的に「韓国人は日本人よりも民族として優れているはずだ」との考えがあるからです。


常に他者との比較をし、優劣で相手との関係を図る韓国らしいやり方ではあるのですが、根拠を前提とする私達の常識からすると一貫性が無く矛盾にしか見えません。


しかし韓国の場合、物事の判断基準で最も重要視されるのは「そのときの感情」であり、過去自身がどのような判断をしていたかとか、整合性が取れていたかといった客観性や根拠は重要視されないため、「分析」もそのときによってばらばらで「刹那的」になるわけです。


2:明後日の方向へ向かう対中分析


上記で書いたように、韓国社会ではその独特な価値観=常識によって分析も独特で日本人からは矛盾にしか見えないものが多数あります。


彼らにとって重要なのは「(自分達が理想とする)かくあるべき姿」であり、それが絶対的な正しさであるためそうなるのですが、これが良くわかるのが最近の韓国による対中分析です。


ご存知の方も多いでしょうが、現在韓国は在韓米軍へのTHAAD配備に関連し、中国やロシアから文字通りの「脅し」を受け、それによって国内が蜂の巣をつついたような大騒ぎとなり朴大統領の求心力は更に低下しています。


まずこのような状況になった背景として、日経の鈴置氏も何度か記事で紹介していますが、韓国は今でも「米中双方との等間隔の外交(バランス外交)」が可能であり、双方から同等に厚遇を受ける事が外交によって成立するとの考えがあるからです。


あす「南シナ海判決」…もう一度試される韓国外交「米中間等距離戦略」 中央日報 2016年07月11日


そのため、現在韓国では「中国が韓国に経済制裁をすれば中国の失うものが大きいので、そんな事をやるはずが無い」等、「バランス外交が成り立つための分析」という、現状分析というよりも「かくあるべき」を成り立たせるための分析であふれています。


中国が報復すれば「失うものの方が多い」 韓国専門家が指摘 聨合ニュース 2016/07/20
【コラム】THAAD問題で中国が韓国に経済報復をできない3つの理由(1) (2)
 中央日報 2016年07月22日


私達の常識で考えると、「なぜそこまで自身に都合のいい状況ばかり想定できるのだ」と首をひねるでしょうが、韓国社会ではこうした考え方は日常的に行われています。


これは、以前も書いたように「責任は負うものではなく負わせるもの」との考え方が一般的であるので、「自身に問題がありそこを改善しなければいけない」としてしまうと、「全ての責任を負わされてしまう」状況があるため、何があっても「自分達には問題が無い」としなければいけないからです。


要するに、韓国人の多くはこの世の中の全ての人々が自分達と同じ価値観=常識を有していると考えているため、「少しでも落ち度を認めれば余計に危機的状況になる」と想定しているとも表現できます。


またもう一つの要素として、以前も紹介した韓国独特の易地思之という概念があります。


易地思之に日本人の価値観で最も近いものは「思いやり」が該当しますが、思いやりは相互にするものであるのに対し、易地思之は「相手は自分を思いやるべき」という一方通行の概念です。


具体的に書くと、易地思之とは「相手はこちらの都合を察して理解すべき」という考え方で、要するに「正しいことをしている自分」の考え方や都合を相手は無条件に受け入れるべきとの価値観です。


現在の韓国の「対中分析」にもこの考え方が登場しています。


【社説】韓中のTHAAD対立、易地思之の知恵を発揮せねば(1) (2) 中央日報 2016年07月17日


上記の記事は、タイトルだけ見ると「易地思之の知恵を発揮せねば」となっているので双方で易地思之を実行するとも取れるのですが、実際には記事中で以下のようになっています。


信頼の危機を乗り越えるため易地思之の知恵を発揮しなければならない時だ。まず中国はTHAAD配備が北朝鮮の核の脅威から韓国の国民を保護するための自衛 的次元の安保手段であることを受け入れ大国らしい度量を見せることを期待する。相手が苦しい時に手を差し伸べてこそ真の友人といえないだろうか。


要するに、中国は韓国の苦しい事情を理解して韓国への圧力や脅しをやめるべきとしているのです。
先ほどの「中国は韓国に報復をしない」とする記事もこの前提があるからです。


韓国は北朝鮮の問題で苦しんでいる、しかもアメリカからも圧力を受けておりTHAAD配備を受け入れざるを得ない、つまり原因は全てよそにあり「韓国には何の落ち度も無く正しい」、また経済的な報復を行えば少なからず中国にも被害が出る、だからやるわけがないといった具合です。


日本人の常識で考えると、「こんなものは分析ではなくただの願望ではないか」となるのですが、それは根拠や整合性を重視するからであり、根拠や整合性よりも「そのときの感情」を重視する韓国ではこれこそが「正しい分析」なのです。


3:「分析下手」による弊害


今回書いたように、韓国社会は一部の人々を除いて分析に願望を取り入れるため「分析が苦手」という状況になっています。
(厳密には、上手くいっているときはそれでも成り立つが、少しでも想定から外れると途端に全てが崩壊する、という状況になる事が多いですが。)


ここで問題となるのが、このように彼らは自らの願望や感情に基いて現状を把握し分析する事を当たり前としているため、彼らの主張を何でも肯定してしまう、韓国人から良心的日本人と呼ばれている日韓友好論者の主張を容易に受け入れてしまう事です。


例えば最近も以下のような内容がありました。


言論NPO代表「韓日関係が好転すれば歴史問題も解決」 朝鮮日報 2016/07/22


上記記事では、言論NPO工藤泰志代表という人物が、「両国の国民が少しだけ努力すれば、お互いの認識をいくらでも改善できる」としているのですが、これは要するに日韓友好を進めれば自然と歴史問題も解決するとの内容です。


しかし現実にはどうかといえば、たとえばこれも以前書いていますが慰安婦問題の場合韓国側は「軍命令による、軍人が行った女性の拉致の法的責任を認めよ」というのが公式の要求です。


しかし、朝日すら「軍命令による、軍人が行った女性の拉致」などという事実は存在しないと認めているのですから、日本側としては到底韓国側の要求を受け入れる事などできるわけがありません。


そして当然の事ですが、日韓の間で友好を進めたからとこの相互の認識の違いが埋まるわけでもありません。
これが慰安婦問題の本質です。


しかしこうした日韓友好論者達は、このような現実を全て無視して韓国に対して上記のようなまるで実体を伴わない解決策を繰り返し耳打ちします。


もし、これが本来の意味での「分析」ができる相手だとしたら、こんな非現実的な妄想など相手にしないのでしょうが、今回書いてきたように韓国人の多くはそのときの感情や独特な価値観を前提としているため分析という行為そのものが非常に苦手です。


ですから、日韓友好論者の非現実的な提案の何がおかしいのかが大抵の場合解らないのです。
むしろ「やはり日本にも道徳的正しさを理解している人々がいたのだ」と賞賛しています。


また、このような状況であるため韓国はそもそも「何が原因で日韓関係が悪化したのか」が全く理解できていません。


このことは過去の事例からも良くわかります。
2006年頃、現状ほどではないですが日韓関係が急速に悪化した時期がありました。


韓国に対する親近感
内閣府世論調査
http://survey.gov-online.go.jp/h27/h27-gaiko/zh/z14.html
※平成18年(2006年)に注目


(クリックで拡大します)



このときの原因は、当時の盧武鉉大統領が現在の朴大統領と同じように「日本人から見た反日」や「告げ口外交」を繰り返していたからなのですが、その後日本のメディアなどによる印象操作と、「韓国への批判のミスリードと隠蔽」によってK-POPなどの売込みが一時的に成功、好感度が復活します。


このときも現在と全く同じ状況であり、日本のメディアなどが「なぜ嫌韓が発生したのか」を正しく韓国に伝えず、韓国が受け入れ易い「嫌韓の理由」や「解決法」ばかり伝えたため、分析が苦手な韓国人の多くはそれを真に受けてしまい、「何が原因なのか」をまるで理解しませんでした。


その結果、好感度が復活した後も原因は潜在的に残り続け、それが2011年以降の好感度低下や嫌韓の大量増加に繋がったのですが、日韓友好論者はこりもせずにまた同じことをしようとしており、しかも韓国側も彼らの行う非現実的な解決法を真に受けてしまっているのです。


韓国人が分析を苦手とする事と、日韓友好論者が都合の悪い事を何でも隠蔽する行為が見事なまでに相乗効果を生み、延々と負のスパイラルが続いていくわけです。


韓国側はそもそも価値観=常識も発想も日本人とは根元から違ううえに、韓国内のことですので我々がどうにかしようとするような事でもないですが、原因の一端である日韓友好論者は日本国内に存在していますから、彼らがいかに問題なのかは周知していく必要があります。



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