変な生き物動画第18回、今回は変わったクチバシを持つ鳥4種の紹介をしていきます。
本日の投稿動画
www.nicovideo.jp
お品書き
・クロス(イスカ)
・エビ反り(ソリハシセイタカシギ)
・取り外し可(エトピリカ)
・横曲がり(ハシマガリチドリ)
※以下は動画のテキスト版です
レイム マリサ 大口
ゆっくりしていってね。
大口
今回は変な生き物動画第18回として、変わった形のくちばしをもつ鳥類を4種紹介していきます。
レイム
それはどういう選考基準なの?
大口
特に何か基準があるわけではないけど、変わっているけどあまり知名度が高くなさそうで、かつ「見た目が変だけど、説明を聞くと合理的な意味のある鳥のくちばし」かな。
マリサ
つまり、基準は「マイナーそう」ってことか。
大口
そういうこと。
そんなわけでそろそろ本編へ行くよ~
クロス(イスカ)
レイム
「クロス」ってなによ?
十字架?
マリサ
十字架をかたどったクチバシとか中二病全開だぜ。
大口
そういうのではないけど、まあ実物を見て。


レイム
え?なにこれ?
マリサ
クチバシがかみ合わさっていないんだが、これ元からこうなのか?
大口
そうだよ。
この鳥は、スズメ目アトリ科の「イスカ」と呼ばれている鳥で、生息域の地図を見ると日本にもやってくるのが分かるね。

黄緑:繁殖(繁殖個体)
緑:留鳥(年間を通してその地域に生息する鳥)
青:非繁殖(非繁殖個体、または非繁殖期にその地域に現れる鳥)
ピンク:迷鳥(季節性不明)
レイム
この鳥、渡り鳥として日本にも来るのね。
でもなんでこんな奇妙なクチバシなの?
大口
これね、イスカの食べ物が関係していて、昆虫とかも食べる雑食ではあるのだけど、特にマツやトウヒの種子を好んでいて、実をこじ開けるのにこのクロスしたクチバシが役立つんだそうな。
大口
あとは個体ごとに交差の向きが違う場合があって、「右交差型」と「左交差型」がそれぞれ約半数ずつ存在し、このバランスが食物資源の利用効率に影響を与え、進化的に維持されているなんて説もあるね。
大口
ちなみに、キリスト教圏では「イエス・キリストが十字架に貼り付けになったときに、その釘を引き抜こうとしたため、このような嘴になった」という伝承があって、義人のイメージを付与されているそうな。
大口
あと、「イスカ」という和名は、日本語の古語で「斜め」や「交差」を意味する表現に由来すると言われていて、クチバシが「食い違っている」事が語源とされているのね。
なので「鶍(イスカ)の嘴(はし)」ということわざがあって、「事がくいちがって思うようにならないこと。齟齬をきたすことのたとえ」なんだそうな。
The Bird Jaws of Life
As Many Exceptions As Rules: The Bird Jaws of Life April 1, 2015
https://biologicalexceptions.blogspot.com/2015/04/the-bird-jaws-of-life.html
Crossbills of North America: Species and Red Crossbill Call Types
eBird 11 10 2017
https://ebird.org/news/crossbills-of-north-america-species-and-red-crossbill-call-types
鶍の嘴(読み)いすかのはし
コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E9%B6%8D%E3%81%AE%E5%98%B4-203151
crossbills: which way to turn?
bootstrap analysis December 20, 2005
https://bootstrap-analysis.com/2005/12/crossbills_whic.html?utm_source=chatgpt.com
マリサ
クチバシがかなり変わっているから、色々と昔から注目されていたんだな。
エビ反り(ソリハシセイタカシギ)
レイム
で、次の「エビ反り」ってどういう事よ。
マリサ
まるで想像できないんだぜ。
大口
まず実物を見てもらうとわかるよ。



レイム
え、なにこれ。
マリサ
これは流石にCGだぜ。
大口
これはチドリ目セイタカシギ科のソリハシセイタカシギって鳥だよ。
ヨーロッパ、中央アジア、アフリカに分布していて、日本にも冬に迷鳥として稀に渡来することがあるそうな。

黄緑:繁殖地
緑:留鳥
青:非繁殖地
大口
で、この鳥は干潟や砂浜、汽水湖、河口に生息するのだけど、クチバシを水や泥につけ左右に振りながら歩き、甲殻類、昆虫類などを捕食するそうで、これは「横振りスイープ採餌法」とか「「scything(横掃)」と呼ばれていて、この鳥独特の狩りの方法なんだそうな。
What do avocets use their beaks for?
Birdful February 27, 2024
https://www.birdful.org/what-do-avocets-use-their-beaks-for/
大口
この上下湾曲したくちばしは、浅層での採餌に最適で、速く繰り返す操作に適した構造に特化していて、わずかに上向きに傾いているので、非常に浅い水域でもエネルギーをあまり消費せずに食べ物を探すことができるそうなんだよ。
レイム
なんかぱっと見た感じだと不便そうだけど、特定の環境で効率的なのね。
マリサ
調べてみると、くちばしの先で獲物をつつくんじゃなくて、横に薙ぎ払いながらクチバシの歪曲した部分で掬い取るのな。
大口
そういう事。
ちなみに、クチバシの先端付近に神経終末があるようで触覚で小さな餌を感知することができるみたいだね。
で、このクチバシのおかげで、他の鳥が効果的に食べ物を探せない生息地でも繁栄できるそうな。
大口
あと、この鳥は英国王立鳥類保護協会のロゴマークに採用されているのだけど、その理由はイギリスで一度絶滅した後に再び戻ってきた事から、イギリスの自然保護運動を象徴する鳥になっているからなんだそうな。
取り外し可(エトピリカ)
レイム
「取り外し可」ってどういうこと?
更に意味不明なのだけど。
マリサ
クチバシが取り外せるって外すと唇でも出て来るのか?
レイム
マリサ、変なもの出さないでよ。


大口
いや、そういう事じゃなくて…。
これは日本でも北海道などに生息しているエトピリカというチドリ目ウミスズメ科ツノメドリ属の鳥で、語源はアイヌ語の 「etu(くちばし)」+「pirka(美しい)」なのね。
大口
ちなみに生息域はこうなっていて、結構広い範囲に生息しているね。
あと、ヨーロッパから北米、北極圏に生息してるニシツノメドリ(パフィン)とは近縁で、エトピリカとツノメドリとニシツノメドリの3種でツノメドリ属を校正しているのね。
なので、エトピリカの英語名はTufted puffin(タフテッド・パフィン)なんですよ。

赤:留鳥
オレンジ:繁殖のための渡来
黄:冬季の渡来
マリサ
で、取り外し可能ってどういうことだ?
大口
それなんだけど、オスのくちばしの付け根の黄褐色部分は求愛のための装飾で、繁殖期に大きくなり、それが過ぎると剥がれ落ちるのだけど、その剥がれ落ちる範囲がクチバシ全体なので、こうなるんですよ。


レイム
ああ、クチバシそのものじゃなくて、クチバシの表面がカバーみたいにパカっとはずれるのね。
エトピリカの鞘
東京ズーネット 2009/05/01
https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=&link_num=11433
エトピリカのくちばしの装飾は外れるのです
山階鳥類研究所広報ブログ
https://yamashina.or.jp/blog/2012/02/etopilika/?utm_source=chatgpt.com
大口
ちなみに、この外れたクチバシカバーは5個のパーツに分かれているんだそうな。
あと、エトピリカはアイヌの伝承で海のカムイからの「使い」として描かれることもあるみたいだね。
横曲がり(ハシマガリチドリ)
マリサ
おい、今度の「横曲がり」ってなんだよ。
レイム
たしか動物って基本的に左右対称だから、クチバシが横に曲がってるなんてあり得るの?
生きていくうえでデメリットにしかならなさそうだけど。



大口
それがニュージーランドの固有種でチドリ目チドリ科ハシマガリチドリ属のハシマガリチドリさんは「曲がっている」んですよ。
ちなみに、みんな右に曲がっているそうなんだけど、これは鳥類で唯一の特徴なんだそうな。
Wrybill/ngutu pare
ニュージーランド自然保護省
https://www.doc.govt.nz/nature/native-animals/birds/birds-a-z/wrybill/
レイム
それで、なんで曲がってるの?
大口
それはニュージーランドの特殊な環境が関係しているんですよ。
マリサ
どういうことだ?
大口
ニュージーランドって、約8000万年前にオーストラリア大陸から分離したのだけど、その後のジ―ランディア大陸には原始的な哺乳類がいた可能性は示唆されてはいるのだけど、ジ―ランディアが沈んでニュージーランドになった後には、約700年前にマオリ族が到達するまで、哺乳類はコウモリしかいなかったのね。


大口
その結果、他の地域では哺乳類が担っている生態系ニッチ、つまり生態系の中で果たしている役割や地位の大部分を鳥類が占めている関係で、生息環境に適応した進化がかなり細分化されていて、ハシマガリチドリのクチバシもその典型例なんですよ。
レイム
で、どういうニッチに適応したらクチバシが右に曲がるのよ。
大口
それなんだけど、ハシマガリチドリの生活環に関係があって、この鳥は冬になると北島の穏やかな湾や干潟へ移動して、春になると南島の河川中流域の小石が多数あるような環境で産卵して子育てをするのね。


大口
で、子育てをする中流域の環境が問題で、こういう河川敷って度々増水するから、他の鳥はあまり近付かないので、ある意味で子育てに都合がいいのだけど、こういう環境では食べ物になる虫とかが岩の隙間にいて食べにくいのね。
マリサ
あ、もしかして先曲がりピンセットみたいに、狭い場所の獲物を取り出しやすい形状ってことか?
大口
そういう事。
あとこれは情報元の出典でも「古い情報」とか書かれていて、曖昧になっているのだけど、北島の干潟で生活する際は、このクチバシだとまっすぐ泥の中に突っ込めないので、頭を傾けて獲物を探しているなんて説もあるね。
Wrybill/ngutu pare
ニュージーランド自然保護省
https://www.doc.govt.nz/nature/native-animals/birds/birds-a-z/wrybill/
ハシマガリチドリ(wrybill)
Britannica
https://www.britannica.com/animal/wrybill?utm_source=chatgpt.com
Origin of pieces
BBC Wildlife
https://c01.purpledshub.com/bbcwildlife/2023/03/09/origin-of-pieces-8/
レイム
まあ、最初の方のソリハシセイタカシギと違って横向きだしね、不便ではありそうよね。
でも、なんでみんな右曲がりなの?
大口
その辺りはまだ科学的に解明されていない謎っぽいね。
マリサ
今回いろいろ紹介したが、クチバシでへんなのというから、オオハシとかかとか予想したが、全く違ったな。
レイム
最初に「比較的マイナー」って説明していたしね。
大口
そんなわけで今回の本編はここで終わります。
レイム マリサ 大口
ご視聴ありがとうございました。
出典
The Bird Jaws of Life
As Many Exceptions As Rules: The Bird Jaws of Life April 1, 2015
https://biologicalexceptions.blogspot.com/2015/04/the-bird-jaws-of-life.html
Crossbills of North America: Species and Red Crossbill Call Types
eBird 11 10 2017
https://ebird.org/news/crossbills-of-north-america-species-and-red-crossbill-call-types
鶍の嘴(読み)いすかのはし
コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E9%B6%8D%E3%81%AE%E5%98%B4-203151
Why do puffins shed their beaks?
Birdful March 4, 2024
https://www.birdful.org/why-do-puffins-shed-their-beaks/
crossbills: which way to turn?
bootstrap analysis December 20, 2005
https://bootstrap-analysis.com/2005/12/crossbills_whic.html?utm_source=chatgpt.com
ハシマガリチドリ(wrybill)
Britannica
https://www.britannica.com/animal/wrybill?utm_source=chatgpt.com
What do avocets use their beaks for?
Birdful February 27, 2024
https://www.birdful.org/what-do-avocets-use-their-beaks-for/
エトピリカの鞘
東京ズーネット 2009/05/01
https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=&link_num=11433
エトピリカのくちばしの装飾は外れるのです
山階鳥類研究所広報ブログ
https://yamashina.or.jp/blog/2012/02/etopilika/?utm_source=chatgpt.com
Wrybill/ngutu pare
ニュージーランド自然保護省
https://www.doc.govt.nz/nature/native-animals/birds/birds-a-z/wrybill/
ハシマガリチドリ(wrybill)
Britannica
https://www.britannica.com/animal/wrybill?utm_source=chatgpt.com
Origin of pieces
BBC Wildlife
https://c01.purpledshub.com/bbcwildlife/2023/03/09/origin-of-pieces-8/
大口
おつかれ~
レイム
今回はずいぶん早かったというか、すぐだったわね。
大口
まあ、これはピグバットワームさんと同時進行で資料を集めていたしね。
次はまだリサーチすら始めていないから、いつになるか全くの不明だけど。
マリサ
じゃあさっさと始めるんだぜ。
レイム
思い立ったらすぐ始めないと、また次回更新が1年後とかになりかねないしね。
大口
ま、まあ、空いた時間とかにぼちぼちとやってくよ。
大口
そんなわけで今回はここで終わります。
レイム マリサ 大口
またいつか~
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