さて、本日は様々な司法リスクを抱え、更に党自体も問題を抱える李在明氏が、なぜ韓国で高い支持を得ているかについて書いていきます。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題（初心者向け）』を始めた理由 - 日韓問題（初心者向け）
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください

現在韓国では、次期大統領候補の李在明氏が世論調査で圧倒的な支持を得ており、実は尹前大統領による戒厳令以前から変わらず高い支持を得ている。

しかし李在明氏には多数の司法リスクがあり、しかも所属する「共に民主党」にしても、法治を無視するような言動が目立ち、更に複数の北朝鮮関連スキャンダルがあるなど、本来であれば高い支持を得られるような候補には見えない。

これには、いわゆる「保守系」の「国民の力」のルーツが独裁政権にある事や、歴代の大統領が何人も逮捕等されている事などから、政党としての歴史を積み重ねられず、寄り合い所帯のようになっている事や、伝統的に韓国では「北朝鮮の建国に正統性がある」という考えが根強く残っている事などが挙げられる。

※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓（別サイト）へのリンクです。

以下から本文

１：高い支持率

まずはこちらから

李在明氏４９.７％、金文洙氏２９.１％、李俊錫氏７.４％…李在明氏４９.８％、韓悳洙氏３０.８％、李俊錫氏６.１％
東亜日報　May. 07, 2025
https://www.donga.com/jp/article/all/20250507/5589142/1

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６月３日に行われる韓国大統領選挙で、３者対決となった場合、最大野党「共に民主党」の李在明（イ・ジェミョン）大統領候補が５０％近い支持率で、与党「国民の力」の金文洙（キム・ムンス）候補や韓悳洙（ハン・ドクス）前首相、そして改革新党の李俊錫（イ・ジュンソク）候補を大きくリードすることが分かった。李在明氏は、二者対決の場合でもいずれも５０％を超える支持率でライバル候補を上回った。
東亜（トンア）日報が、大統領選を控え、リサーチ・アンド・リサーチに依頼し、４日と５日に全国の成人１０１３人を対象に調査した結果（電話インタビュー１００％方式。無線ＲＤＤを標本として実施。信頼水準９５％、標本誤差±３.１％。回答率は１０.０％。詳細は中央選挙世論調査審議委員会参照）、李在明氏は金氏（２９.１％）と李俊錫氏（７.４％）との３者対決では、４９.７％の支持を得た。韓氏（３０.８％）、李俊錫氏（６.１％）との３者対決では４９.８％だった。金氏と韓氏が一本化に成功しても、李在明氏がそれぞれ２０.６ポイント、１９.０ポイントの差で大きくリードした。
金氏と韓氏だけでなく、李俊錫氏も含めて候補一本化に乗り出した場合を想定した二者対決でも、李在明氏は過半数の支持率を得た。李在明氏は金氏との二者対決で５２.７％の支持を受け、金氏（３３.９％）を１８.８ポイントの差でリードした。韓氏（３６.０％）との二者対決では、李在明氏の支持率は５２.１％で、１６.１ポイントの差だった。李俊錫氏（２１.３％）との二者対決では、李在明氏の支持率は５１.６％で、その差は３０.３ポイントだった。

直近の韓国大統領候補の支持率なのですが、これを見ると李在明氏が圧倒的な支持を集めており、今後「国民の力」の候補の一本化に成功したとしても、李在明氏の圧勝という結果になっており、韓国で非常に高い支持を得ている事が分かります。

ここで重要なのは、金文洙氏と韓悳洙氏は「国民の力」に所属しており、李俊錫氏は尹錫悦前大統領と対立する前まで「国民の力」の代表だった人物であり、この3者の候補が一本化しても李在明氏に追いつけないほど高い支持を得ているという事です。

また次を読むと

尹大統領の支持率２５．７％　２週連続上昇
聯合ニュース　2024.11.25
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20241125000900882

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【ソウル聯合ニュース】韓国世論調査会社のリアルメーターが２５日に発表した調査結果によると、尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の支持率は２５．７％で、前週から２．０ポイント上昇した。不支持率は２．７ポイント下落した７０．３％だった。
　調査は１８～２２日に全国の１８歳以上の２５０８人を対象に実施された。
　支持率は２週連続で上昇し、６週間ぶりに２０％台中盤となった。
　一方、２１～２２日に全国の１８歳以上の１００３人を対象に実施した政党支持率の調査によると、保守系与党「国民の力」は１週間前の調査より１．３ポイント下落の３０．３％、革新系最大野党「共に民主党」は２．６ポイント下落の４４．９％だった。
　「祖国革新党」は７．８％、「改革新党」は３．２％、「進歩党」は１．０％、支持政党がない無党派層は１１．３％だった。

尹錫悦前大統領が戒厳令を布告する数日前の世論調査なのですが、政党支持率を見ると、「国民の力」の支持率は30.3パーセント、「共に民主党」の支持率は44.9パーセントと、この当時「共に民主党」は閣僚の弾劾を繰り返し国政がマヒする原因を作っていたにも関わらず、高い支持を得ている事が分かります。

更に次を読むと

大統領支持率　前週と同じ２０％＝不支持率は７２％
聯合ニュース　2024.11.22
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20241122001100882

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【ソウル聯合ニュース】世論調査会社の韓国ギャラップは２２日、全国の１８歳以上の１００１人を対象に１９～２１日に実施した調査の結果、尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の支持率は前週と同じ２０％だったと発表した。不支持率は１ポイント上昇した７２％だった。
(中略)
　一方、２０２２年の大統領選に絡み虚偽の事実を述べたとして、公職選挙法違反の罪に問われた共に民主党の李在明（イ・ジェミョン）代表が懲役１年、執行猶予２年の有罪判決を受けたことについて、「正当な判決」との回答は４３％、「不当な政治弾圧」との答えは４２％だった。

同時期の別の世論調査なのですが、このなかで李在明氏の司法リスクについてのアンケートも行われており、有罪判決を受けた件で世論が完全に二分している事が分かります。

このことからも、尹前大統領による戒厳令を発端に「国民の力」の支持が落ちたというより、以前から「共に民主党」と李在明氏が世論から高く支持されていたという背景が見えてきます。

２：マイナス要素が多い

しかし「共に民主党」や李在明氏には、支持率に対してマイナスに働く要素が非常に多いのも確かで

「李在明氏に免罪符」　最大野党の法改正を批判＝韓国旧与党
聯合ニュース　2025.05.07
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20250507003500882

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【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦（ユン・ソクヨル）政権の与党だった「国民の力」は７日の議員総会で、最大野党「共に民主党」が大統領選当選者の刑事裁判の手続きを停止する内容を盛り込んだ刑事訴訟法や虚偽事実公表罪を規定した公職選挙法の改正を進めていることについて、複数の裁判を抱えている共に民主党の大統領選候補の李在明（イ・ジェミョン）前代表に免罪府を与えるものとし、直ちに撤回するよう求めた。
　国民の力の権性東（クォン・ソンドン）院内代表は「（国会の）法制司法委員会と行政安全委員会は李在明の有罪を霧散させる法案を上程した」として、「このような非道な集団を政党といえるのか」と非難した。
　国民の力は２０２２年の韓国大統領選に絡み虚偽の事実を述べたとして公職選挙法違反の罪に問われた李氏の差し戻し審の初公判が大統領選（６月３日投開票）後の６月１８日に延期されたことに関しては、政治的な圧力の結果だと強く批判した。

たとえば最近のこちらの事例のように、李在明氏が大統領に当選した後も司法リスクに脅かされないよう、「そのためだけ」に公職選挙法を変えようとしており、立法府である国会を多数派であることを利用して私物化しているのです。

通常であれば、この時点で大きく支持を落としそうなものですが、そうなっていません。

更に次にあるように

北朝鮮に８００万ドル不正送金　下着メーカー元会長に実刑判決＝韓国地裁
聯合ニュース　2024.07.12
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240712002800882

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【水原聯合ニュース】韓国の水原地裁は１２日、最大野党「共に民主党」の李在明（イ・ジェミョン）前代表が京畿道知事だった２０１９年、道に代わって北朝鮮に８００万ドル（約１２億７０００万円）を不正送金したなどとして外国為替取引法違反や贈賄の罪などに問われた下着メーカー大手・サンバンウルグループの元会長、キム・ソンテ被告に懲役２年６カ月の実刑と懲役１年、執行猶予２年を言い渡した。
（中略）
　また、京畿道が北朝鮮側に支払うとしたスマートファーム（農林複合型モデル農場）支援事業費５００万ドルと当時の李在明・道知事の訪朝費用３００万ドルを肩代わりし、見返りに道が推進する対北朝鮮事業の優先的な事業機会などを約束された。検察は金融制裁対象である北朝鮮側関係者に巨額が渡されたとして外国為替取引法違反の罪でキム被告と李華泳氏を起訴。李氏は先月、外国為替取引法違反の罪や収賄罪などで懲役９年６カ月を言い渡された。

李在明氏は、北朝鮮への不正送金に関わった疑惑がもたれており、記事にもあるように既に関係者は有罪判決を受けるなど、今後外国為替取引法違反の罪に問われる可能性もあるのです。

他にも次のように

「北朝鮮主導の吸収統一」を主張する団体にTHAAD機密を渡した文在寅政権幹部たち【4月10日付社説】
朝鮮日報　2025/04/10
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/04/10/2025041080102.html

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文在寅（ムン・ジェイン）政権時代にTHAAD（高高度防衛ミサイル）正式配備を遅らせるため、装備・工事資材の搬入情報といった軍事機密をTHAAD反対派の市民団体に知らせた疑いで、検察が鄭義溶（チョン・ウィヨン）元国家安保室長、徐柱錫（ソ・ジュソク）元国家安保室第1次長などを在宅起訴した。特に徐・元次長は、計8回にわたって、関連情報を市民団体に教えるよう職員に指示したという。この市民団体の中には祖国統一汎（はん）民族連合（汎民連）南側本部など、大法院（最高裁に相当）が利敵団体と認めた組織も三つ含まれていた。汎民連は北朝鮮主導の吸収統一を「自主統一」だと主張してきた団体だ。こうした親北団体に2級軍事機密を渡したのだから、安全保障の「自害行為」も同然だ。
　THAADは、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するため、朴槿恵（パク・クンヘ）政権時代に在韓米軍への配備が決まった。ところが中国が反発し、THAAD反対の各市民団体は「THAADのレーダーの電磁波は人体に有害」と称し、慶尚北道星州のTHAAD基地前でデモ・座り込みを繰り広げた。韓米両軍当局は2020年、衝突を避けようと、秘密裏に装備の輸送作戦を立てた。ところが徐・元次長などがこの情報をTHAAD反対派団体にあらかじめ教えてやり、デモ隊が車両を動員して搬入路を遮断するなど、作戦を妨害した―というのが検察の捜査結果だ。文政権の安全保障の責任者が、事実上、激しい反対デモを助長していたのだ。
（後略）

こちらは李在明氏ではなく、文在寅元大統領関連ですが、中国から配備を批判されていたTHAAD関連で、文政権がTHAAD反対派の市民団体に機密情報を渡していた事が発覚、これらの団体の中には、大法院が利敵団体と認定した親北団体も含まれており、捜査対象になっています。

また他にも

「北の最前線監視所は無力化」　文在寅政権は検証結果を捏造して国連軍司令部もだましていた【独自】
朝鮮日報　2025/04/25
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/04/25/2025042580049.html

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監査院が検察に6人に対する捜査を要請
文在寅（ムン・ジェイン）政権当時の2018年、9・19合意に基づき南北が非武装地帯（DMZ）にあった最前線監視所（GP）の一部を撤収させる際、韓国軍は北朝鮮GPに重要な装備などがそのまま残っている事実を把握していたが、検証結果を捏造（ねつぞう）し「北朝鮮GPは無力化した」と発表していたことが分かった。18年末までに南北GPの試験的撤収を完了するタイムスケジュールに遅れを生じさせたくないことがその理由だった。そのため韓国軍は現場で確認作業を行った検証チームの担当者らに虚偽の結論が記載された報告書への署名を指示した。韓国軍はGP撤収を認めさせる目的で、DMZを管轄する国連軍司令部に虚偽の説明を行った疑いも浮上した。監査院は先日、この問題を巡る具体的な容疑を確認し、大検察庁（最高検察庁に相当）に捜査を要請したことが23日までに分かった。大検察庁は先月、監査院から捜査要請を受け、事件を今月ソウル西部地検に担当させた。
　捜査当局が確保した資料によると、韓国軍合同参謀本部は2018年に9・19合意が締結される前から「GP撤収により予想される状況」を評価し、韓国国防部（省に相当）に報告していた。その内容は▲北朝鮮GPは韓国の2倍以上に達するため、南北で同じ数のGPを撤収してはならない▲北朝鮮が同数のGP撤収後に態度を変え、残りのGP撤収を中断した場合は韓国側が不利な状況に追い込まれる▲これにより生じる警戒作戦上の脆弱（ぜいじゃく）さは補うことが難しい―などだった。しかしこれらの報告は黙殺され、国防部は「同数撤収」という軍事合意の草案を合同参謀本部に送った。
（後略）

同じく文政権時代の事なのですが、2018年の南北首脳会談で合意が行われ、緊張緩和のために非武装地帯にあった双方の監視所を一部撤去する事になったのですが、その際に北朝鮮は破壊後にすぐ復旧できるよう、地下施設を残し地上施設のみを爆破しました。

そして、その偽装工作に韓国側は感づいていたにもかかわらず、文政権が報告書を改竄し、国連軍司令部に虚偽の報告をしていた事が発覚、現在警察の捜査対象となっています。

このように、李在明氏にしても「共に民主党」にしても、本来であれば支持率が激減するような事がいくつも発覚しているにも関わらず、現在に至るまで高い支持率を得ているのです。

３：「国民の力」が支持されていない

では、なぜここまで問題のある人物や政党が高い支持を得ているかといえば、それは「国民の力」に問題があるからです。

まず、「国民の力」のルーツは李承晩政権であり、李承晩は初代韓国大統領ではありましたが、独裁者であり済州島事件のような民間人虐殺事件や、不正選挙事件などを起こし、国外追放になった人物です。

その後の朴正煕政権にしても、経済発展を成し遂げた成果はありますが、軍事独裁政権であったことには変わりなく、韓国では評価が二分する人物です。

更に次にあるように

全斗煥元大統領が死去　生涯つきまとった光州事件に対する責任問題
KBS　2021-11-23
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?Seq_Code=80719&lang=j

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（前略）
結局、退任後、クーデターや光州事件などを起こした内乱罪や、大統領在任中に数千億ウォンの不正資金を蓄財した罪などに問われ、1997年に1審で死刑判決を言い渡され、最高裁に当たる大法院で無期懲役刑が確定しました。ただ、その8か月後には特別赦免を受けて出所しています。
全氏は2017年4月に、自らの回顧録を出版しましたが、光州事件などについて一切謝罪せず、大きな批判を呼びました。
最近では、光州事件で軍の発砲があったことを証言したチョ・ビオ神父（故人）について回顧録で「うそつき」と記述したことで、死者名誉き損罪に問われ、在宅起訴され、1審で懲役8月、執行猶予2年の有罪判決を受けていました。
現在は、2審の裁判が進行中で、今月29日に結審のため公判が開かれる予定でした。

全斗煥元大統領は、過去に無期懲役刑を受け特別赦免で出所しているうえに、光州事件※での虐殺を告発した神父を回顧録で嘘つき呼ばわりして文政権時代に起訴され、こちらも有罪判決を受けている事から、イメージがよくありません。

※光州事件
韓国で1980年に民主化を求める学生や民衆と軍が衝突した事件、当時クーデターで政権を奪取した全斗煥はこの際の軍司令官であり、その後裁判で有罪判決を受けている。

他にも

尹前大統領　１４日に内乱事件の初公判＝罷免から１０日
聯合ニュース　2025.04.13
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20250413000500882

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【ソウル聯合ニュース】昨年１２月の「非常戒厳」宣言を巡り内乱首謀罪で起訴された韓国の尹錫悦（ユン・ソクヨル）前大統領の初公判が１４日、ソウル中央地裁で開かれる。憲法裁判所が４日に尹氏の罷免を決定してから１０日で刑事裁判が本格的に始まることになる。
（中略）
　韓国の民主化以降、大統領経験者が被告人席に座るのは全斗煥（チョン・ドゥファン）氏、盧泰愚（ノ・テウ）氏、李明博（イ・ミョンバク）氏、朴槿恵氏に続き５人目。

民主化以降の大統領も、「国民の力」の系譜の大統領が軒並み被告人席に座るという状況になっている事から、党としてのイメージが悪く、何度も離合集散を繰り返しており、まともに後継者が育たないというのが実態なのです。

そのため、

韓国与党大統領候補は極左から極右への「転向者」
辺真一/ジャーナリスト・コリア・レポート編集長　2025/5/3
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/db23f1db26d67c96e28e31da2e5f24344de70e34

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（一部抜粋）
　何よりも異色なのは、保守政治家には珍しい学生運動、労働運動の出身、闘士であったことだ。
　朴正煕（パク・チョンヒ）政権時代の１９７０年代、ソウル大学在籍中に過激なデモを主導したとして２度除籍処分を受け、１９８０年代には工場に偽装就職し、組合を結成し、労働者のストライキを煽ったとしてこれまた２度も刑務所送りされた経歴の持ち主である。
　獄中で過酷な拷問を受けても仲間の居場所について絶対に口を割らなかったことからその不屈の精神力と鋼鉄の意思は当時、同僚や後輩の間で「運動圏の皇太子」と称されるほど尊敬の念を集めていた。

保守にも革新にも嫌われる「日和見主義者の極み」ハン・ドクス首相＝韓国
ハンギョレ新聞　2025-04-10
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/52903.html

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（一部抜粋）
　ハン・ドクス大統領権限代行首相が違憲的な「大統領任命枠の憲法裁判官」指名後、激しい批判を受けている中、政界内外ではハン権限代行の日和見主義的な面が話題になっている。
　盧武鉉（ノ・ムヒョン）政権最後の首相を務めて以来、2022年尹錫悦（ユン・ソクヨル）政権で最初の首相に抜擢され、14年ぶりに首相職に復帰したハン権限代行にはいつも「老獪な日和見主義者」というレッテルが貼られてきた。
　進歩（革新）政権と保守政権で共に起用された初の首相という珍記録を立てたハン権限代行は、就任100日を迎え「これが国民のための最後の奉仕という初心を忘れない」と述べた。
（中略）
　金大中（キム・デジュン）政権で大統領府秘書室長を務めた「共に民主党」のパク・チウォン議員らは、ハン権限代行が保守政権では昇進のために全羅北道全州（チョンジュ）出身であることを明かさなかったが、金大中政権が発足すると、この事実を自慢げに語ったというエピソードを伝えた。ハン権限代行はこれについて「原籍と本籍を一緒に使うことになっていた時期に錯誤や誤解などで混同した可能性がある」と釈明した。しかし、これを言葉通り受け取る野党関係者はほとんどいない。ハン権限代行の承認表決に参加した共に民主党のアン・ミンソク元議員は「日和見主義者ハン・ドクスの聴聞会、この方の人生の軌跡と価値観をどのように評価すべきか悩む。盧武鉉大統領の『日和見主義者は包摂の対象であっても、指導者にはなれない』という言葉が頭に浮かぶ苦しい日だ」とも述べた。

現在「国民の力」で大統領候補となっている人物2人は、1人が朴正煕政権で学生運動に参加し逮捕歴もある活動家出身で、1994年に当時の金泳三大統領の勧誘を受け「民主自由党（＝現在の国民の力の系譜)」に参加した人物です。

またもう一人は、金大中政権で経済首席秘書官を、廬武鉉政権で国務総理を務めた人物で、こちらは過去に「共に民主党」の系譜の政党とかかわりの深い人物です。

他にも、李明博元大統領にしても、金泳三大統領が現代建設社長から政界にスカウトした人物ですし、尹前大統領は朴槿恵政権で左遷させられ、文政権で中央に復帰した元検事と、その大部分が「党の外部の人間」なのです。

現在「国民の力」が大統領候補の一本化でもめているのも、このまとまりのなさが原因です。

関連記事
韓国大統領選　保守系候補が一本化目指し協議も物別れ
聯合ニュース　2025.05.07
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20250507004900882

これも結局のところ、党のイメージが悪すぎて外部から人を連れて来るしかなかったからで、朴槿恵元大統領くらいしか、「元から内輪」だった人物がいないのです。
つまり、ある意味で韓国ではいわゆる「左派系」のほうが、党としての伝統や連続性があるともいえる状態なのです。

また、これは過去にも何度か言及していますが、

朱子学の影引きずる朴氏の反日　筑波大学大学院教授・古田博司
産経新聞　2013.12.5
https://www.sankei.com/article/20131205-MX6Q7Y6BAZOGTKSCGJCT3TNKYE/

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（一部抜粋）
正統性はそうではない。「どちらが正しいか。こちらだ！」という選択を経て、選ばれたものが正統で除かれたものが異端である。韓国の朴槿恵政権の苦悩はここにある。韓国は対日独立戦争をしていない。日本統治時代は自然に始まり自然に終わった。北朝鮮の金日成氏は負け戦だったが、日本軍警と東満州で一応戦っている。
　国家の正統性は北朝鮮にある、と韓国の左翼政党や左翼教員組合は攻撃する。朴氏は自らの正当性を確保すべく、彼らを非合法として裁判に訴えた。同時に自分が異端でないことの証として反日を連呼する。慰安婦の像や碑を米国に建て続ける韓国系移民も同様だ。自分たちは国を捨てた異端ではないと故国に弁明しているのだ。

日韓の複雑　冬ソナとホタルを結ぶもの
朝日新聞　2004/09/26
https://web.archive.org/web/20040926123009/http://www.asahi.com/column/wakamiya/TKY200409260099.html

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そういえば、独立後に激しい反日姿勢を貫いた李承晩政権ですら、日帝時代の役人や軍人を起用して国づくりを進めた。この点、日帝の残滓（ざんし）を完全に追放した北朝鮮への民族的引け目もあるようだ。

韓国では以前から「北朝鮮の方が建国に正統性がある」と考える風潮があり、これには上記記事に書かれていること以外にも、韓国はアメリカから支援を受けた独裁者の李承晩が建国し、国の運営を「総督府の元官僚」が行ってきたという背景があるため、韓国人の中には北朝鮮に対して後ろめたさのある人々も存在しています。

このような背景があるため、現在様々な問題のある「共に民主党」や李在明氏は、高い支持率があるともいえるのです。

尹前大統領による戒厳令の影響も当然あるにはありますが、今回紹介したような歴史的背景が土台にあるというわけです。

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