さて、本日は現状認識に明らかな問題があるため、どんな外交も少しずつ「ズレ」た対応になっている韓国の問題について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブログ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらどう思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
現在、韓国では親日論争が巻き起こっており、与野党が双方を攻撃し合っているが、一見現実的な日米協調路線に見える与党の態度も、よくよく調べてみると明らかに実態とかけ離れた朱子学的考え方であることがわかる。
またこれは対日関連だけではなく対中対米でも発生しており、韓国与党や与党寄りメディアが前政権の「親中寄り」の態度を李朝末期になぞらえ批判しながら、自分達も中国の顔色を伺うという矛盾した態度を取っている。
これには、彼らが現状分析よりも「韓国的正しさ」に基いた「歴史観」や「国内の政争」といった「内側の常識」を優先し、今現在国際社会で起きている事を軽視している事が関係する。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
以下から本文
1:対日論争
まずはこちらの記事から
【時視各角】国益のない韓国野党代表の「親日国防」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.13 10:55
https://japanese.joins.com/JArticle/296538
こうなると思っていた。韓国野党「共に
民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が7日、「韓日米訓練は極端な
親日」としながら「
親日国防」カードを取り出したところから全面戦争は予告されていた。李代表は「
旭日旗が
韓半島(
朝鮮半島)に掲げられるかもしれない」(10日)、「座視できない安保自害」(11日)と言って攻勢を続けた。黙っている与党でもなかった。総出動による猛非難だった。
親日論争はついにセッカル(理念)論争に拡大した。筆者が予想したように、いや、李代表が意図したシナリオ通りになったようだ。
この時局に親日論争とは。金正恩(キム・ジョンウン)が戦術核の脅迫程度を最高潮まで引き上げて、為替レート・金利・輸出の危機が迫っているのに果たして今取り上げるべきことなのか。
10日、YouTubeに出演した李代表をみると「親日フレーム」で一勝負してやろうという意志が強く感じられた。映像のタイトルが「再び旭日旗がひるがえる韓半島?」であり、開始コメントから「独島(トクド、日本名・竹島)を巡る日本の自衛隊問題」としながら怒りの導火線「独島」に触れている。予告画面には「歴史を忘れた民族に未来はない」という字幕を付けた。すべて親日拒否感を最大化しようという装置だ。しかも当日は北朝鮮が戦術核部隊の訓練を直接指揮した金正恩の様子と貯水池SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)まで公開した日だった。なのに北核に対しては一言も言及しなかった。
策略が何か。ある野党圏の重鎮要人は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府が不適切発言論争で外交で問題が多かったではないか」とし「李代表がそれを逃したくないため取り出したのが竹槍歌」と話した。実際、この分析のように世論戦で勝算があると判断した李代表は親日論争で政府の外交弱点に食い込もうとする雰囲気が歴然としている。今回の機会に支持層も結集させて「司法リスク」論争も少しの間でも覆おうと思っているかもしれない。実際、李代表がYouTube放送をする前まで周辺の参謀はこの事実をよく知らなかったという。文政府に身を置いたある要人は「李代表は物事を進めるスタイル上、さまざまなチャネルの意見を聞いて方向を即興的に決めることがあるが、今回は熱狂的支持者側の意見をすぐに取り込んだようだ」と話した。
李代表と同じ党内からは別の声が初めて出てきた。丁世均(チョン・セギュン)元首相が11日、米大学の講演で「北朝鮮は事実上、世界4~5位の核武力国」としながら「韓日米3国間安保協力は避けられない現実」と述べた。
ついでに再選以上の元老・重鎮要人に電話をかけた。与党の批判には聞く耳を持たないだろうから、自分の陣営から出ている声だけでも聞けということだ。金大中(キム・デジュン)時期から党に身を置いたある要人は「大きな政治家はいつでも国益を考えなければならない」とし「冷静でなければ。この時期に竹槍歌を歌っている場合ではない」と話した。
--李代表の訓練非難は適切なのか。
「前政府でも批判をしなかったわけではない。訓練は当然のことだ。あまりにも神経質に反応しているがそれは不必要だ。文在寅政府でも親日を利用した両班(ヤンバン)がいたが政治的に役に立ったかもしれないが正しい政治ではない。国内政治のために国際関係を利用してはいけない」
--訓練が自衛隊を公式に認めることだと主張する。
「間違った話ではない。ところで今、誰が自衛隊を軍隊ではないというだろうか。日本は実際に軍事強国だ」
文政府時の他の元老も「李代表があまりにも極端な表現を使っている」とし「世論が有利だからと判断して独島を前面に出したのは典型的なプロパガンダ(宣伝)」といった。それとあわせて「李代表がよく知らないからそのようにする。日本の軍隊保有は我々がどうこうできる問題ではない。たびたび否定するのはナンセンスだ。現実は認めながら方案を探さなければならない」と述べた。
李代表が「親日追求」で自身の政治的利益を取ろうとしているのではないかという疑念を拭いきれない。すでに大統領選挙敗北以降、仁川桂陽(インチョン・ケヤン)を国会議員選挙と党代表出馬を通じて自分だけ大事に大切にするというイメージがより一層強くなった。原因を提供した北朝鮮には何も触れず、軍事協力を親日だというべきではない。当面の威嚇は自衛隊でなく核であることを否定してはいけない。元老の助言のように「親日論争」は国益に役に立つわけがない。今からでも政治的利益だけのための動きはやめなければならない。
シン・ヨンホ/Chiefエディター
記事では、韓国最大野党「共に民主党」代表の李在明氏が、一連の日米韓軍事演習にクレームを入れた問題が書かれており、演習と関係がない竹島問題や旭日旗問題を持ち出し、軍事演習を行った尹錫悦政権を「親日」と糾弾していると書かれています。
そして興味深いのは、記事中で「竹島問題に触れれば世論の支持を得られる」という判断が李在明氏に働いていたと書かれている事です。
つまりこれは、韓国において竹島問題は北朝鮮の核問題よりも重要度が高いという考えの世論が一定数存在しているという事です。
記事では「親日論争は国益に役に立つわけがない」と書かれおり、そう考えない世論が無視できないほど存在しているという事と、それに批判的な意見があるという事がわかります。
また次の記事を読むと
【コラム】限界…親日清算より「独立」に目を向ける時=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.14 14:06
https://japanese.joins.com/JArticle/296589
ヘビを保護して守るヘビの皮はヘビの限界だ。より大きくなるためには皮を脱がなければならない。皮を脱ぐことができなければ成長が止まるだけでなく死んでしまう。ヘビにとって皮はしばらくは保護膜だったが、ある瞬間には限界に達して破滅の膜となる。すべての存在の生存は結局、限界との戦いだ。限界を破って進めば生存が持続し、限界に閉じ込められれば破滅する。国や人も変わらない。成長するためにはまず限界を認識し、その限界を乗り越えることを自身の使命として奮闘しなければいけない。
限界は実際、考えの限界だ。考える人は質問し、考えがない人は返事ばかりする。「返事」が極端に退化した形態が「衛正斥邪(=正学を衛り邪学を斥ける)」だ。心は老いず、考えは老いる。返事ばかりして考えが老いれば「衛正斥邪」以外には何もできない。日常でも「コンデ」は古く老いた考えに陥って「衛正斥邪」の限界の中にいる人をいう。大韓民国はいま限界に閉じ込められ、朝鮮末の「衛正斥邪」をまた生きている。
いったいどれほどの状況にまできているのか。相手が隙さえ見せれば、その隙が大きくても小さくても、それを機に相手の存在自体を消滅させるとして「衛正斥邪」の剣を振りかざす。エリザベス女王の名前のスペリングを「z」でなく「s」と誤って書いたことも、立場によって国家の興亡を左右するほどの大きな問題に化ける。しかしそれを非難する側は「一糸不乱」を「一糸紛乱」と書いたり、首脳会談のために訪れた相手国の芳名録に「大韓米国」という意味になる発音に書き間違えたりする。些細な例を挙げたが、このようなケースが大韓民国のほとんどすべての領域に表れている。
ここで誰の間違いかを問いただすほど自分の水準を低くめたくはない。全体的に「これが国か」と批判をしながら政権を握った人たちが「これが国か」という声を聞く状況で、役割を入れ替えながら堂々巡りしていることを知ろうと訴えたいだけだ。限界に閉じ込められて「黄允吉(ファン・ユンギル)」と「金誠一(キム・ソンイル)」をまた生きていることを分かろうということだ。我々は考えの限界に閉じ込められている。限界を限界と認識するのも容易なことではない。それもすべて能力だ。
限界を限界と認識するほど考えの器が大きくなければいけない。視線のレベルが人生のレベルだ。アヘン戦争で東アジアは西洋の科学文明の前で対応手段がなかった。中国と日本はなぜやられたのかを自問し、敗北を抱かせた西洋から学ぶことにまず全力を傾けた。中国の「向西方学習」や日本の「脱亜入欧」というスローガンはすべて自身の限界を自身に質問した後に得た自強の方策だった。考える能力があったからだ。我々はそうではなかった。その結果として自身の限界を突破しようという知的な態度を育てられず、復讐を夢見ることもできず、ただ非難ばかりして人のせいにする盲目的な「衛正斥邪」に陥った。
【コラム】限界…親日清算より「独立」に目を向ける時=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.14 14:07
https://japanese.joins.com/JArticle/296590
ある人は今の大韓民国の経済力を自慢したりする。もちろん誇らしいことだ。しかしこの繁栄が持続するかどうかは我々が持つ「考えの器」の大きさが決める。今は半導体が最先端戦略物資だが、1800年代から1900年代初期までは地下鉄がそうだった。日本東京に地下鉄が1927年に開通した。アルゼンチンのブエノスアイレスにはこれより14年早い1913年に開通した。今のアルゼンチンはどうか。その時の繁栄を享受しているのか。そうではない。「考えの器」の大きさがその繁栄を持続させるほど大きくなかったのだ。繁栄を享受しながらもその繁栄に合わせて「考えの器」が大きくならなかった国は3つ現象に病んで墜落する。深刻な社会分裂、深刻な政治葛藤、深刻なポピュリズム。この3つに陥って抜け出せない理由がある。考える能力がなく各自の「衛正斥邪」以外には何もできないからだ。
清国の力を借りて壬午軍乱を鎮圧した後、1882年夏、朝鮮と清国は朝清商民水陸貿易章程を締結した。その前文では「今回制定した水陸貿易章程は中国が属邦を優待する意」とし、朝鮮を属邦、すなわち属国と表示している。朱子学だけを守ろうとして考える能力を育てられなかった朝鮮は、清国から属国として扱われ、日本の植民地に変わっただけだ。
親日清算ばかりを話す時ではない。今はもう考えを始めて大韓民国の「独立」に目を向ける時だ。「独立」に目を向けず口癖のように親日清算ばかりを叫んでいれば、ある国が大韓民国の領土と文化と歴史を尊重せずすべてを掌握しようとしても注意が向かない。長い時間の考えを断って単細胞的な「衛正斥邪」に陥り、腹を満たした馬鹿になっていくところだ。
考えがなければ限界を限界と認識することもできず、それを打ち破ることもできない。これは意識と関係があるため簡単にできることではない。それで国ごとに「考えの器」の大きさによって決まる運命があるようだ。これを読んでも自分たちの側の内容だ、相手側の内容だと問いただす姿が描かれてしまうから、行く道は遠く、本当に憂鬱だ。
崔珍晳(チェ・ジンソク)/西江大哲学科名誉教授
記事では「衛正斥邪」について書かれていますが、過去記事でも紹介したように意味は以下です。
李朝末期に儒教朱子学や性理学を原理主義的に絶対視し、現実よりも理気二元論における「かくあるべき姿」を、また対外的には排外主義や民族主義を重視し、異なる意見を「邪教」「邪説」として排除、それによって朝鮮の伝統的な社会制度と華夷秩序を守ろうという考え方。
つまり記事では、いわゆる親日論争も儒教朱子学的な正邪論争の延長であり、そうした旧態依然とした風習は脱しないといけないと書かれているわけです。
しかし次の記事を読むと
【時視各角】親日フレーム、その陳腐さについて
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.19 11:35
https://japanese.joins.com/JArticle/296754
政界が古い
親日論争で激戦している。力を合わせても足りない時に本当に残念なことだ。もう政界の「
親日派」言及はあまりにも陳腐、常套的であり、時代錯誤的だ。国語辞典で「
親日派」を調べてみた。「日本と親しくする人たち」「
日帝強占期に
日帝と野合して彼らの侵略・略奪政策を支持・擁護して追従した人たち」とある。
日帝強占期(1910-45)は77年前に終わった。当時の親日派のうち生存者はほとんどいない。なら問題は「日本と親しくする人たち」となるが、その人たちが問題ということなのか。韓国人が最も気楽に訪問できる旅行地が日本であり、日本人が最も楽しむグローバル文化がK-POPやK-ドラマになって久しい。11日から日本がノービザ入国を認めると、仁川(インチョン)国際空港は混雑した。この人たちは当然、いかなる問題もない。
問題は、親日フレームで韓日関係を歪めて両国国民の感情を刺激しようという試みだ。野党第一党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は韓日米東海(トンヘ、日本名・日本海)連合軍事訓練について「極端な親日行為、極端な親日国防」と主張した。李代表は「(日本は)独島(ドクト、日本名・竹島)が自国の領土だといって絶えず紛争地域化しようとするが、日本を引き込んで軍事訓練をすれば、日本の自衛隊を正式軍隊として認めるものと解釈されかねない」と述べた。
日本に対する警戒心はいくら抱いても過度になることはない。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)から300年ぶりにまた侵略した日本の好戦性を知らない韓国人が果たしてどれほどいるだろうか。他のことはともかく日帝の過去の悪行を忘れた韓国人はいない。日本人と対話中に思わず「日本XX」と失言する人も見た。骨の髄まで日本を警戒しているのだ。
しかし国際社会では永遠の敵も永遠の友もない。ドイツとフランスは19世紀末から3回も戦争をした不倶戴天の敵だった。第1次世界大戦後にドイツを無力化するために莫大な戦争賠償金を支払わせると、これに反発したドイツが戦争を起こし、両国は第2次世界大戦でまた血を流した。しかしドイツとフランスは今、欧州連合(EU)を率いる両軸となっている。ロシアのウクライナ侵攻にも同じ声を出している。
両国には「親仏派」や「親独派」のような過去志向的なフレームがない。未来のための協力と善意の競争があるだけだ。ドイツとフランスは1963年のエリゼ条約を通じて首脳会談と外交・国防会談を定例化している。共通の敵に浮上したロシアに対抗できる土台だ。学生交換プログラムを通じて約1000万人が交流したことも信頼を築いた。
残念ながら韓日両国は依然として過去が足かせになっている。文在寅(ムン・ジェイン)政権では青瓦台(チョンワデ、大統領府)首席秘書官が竹槍歌で反日感情を扇動した。右傾化傾向を見せた当時の安倍晋三首相の主導で日本が核心素材輸出を規制すると糾弾した。しかし感情を前に出すことではなかった。米国が韓国産自動車を補助金対象から除いたからと竹槍を握ろうという言わない。力の論理が支配する国際社会で感情的な対応で解決することはないからだ。
国際社会は冷酷にも国益の前では友邦もない。バッテリー補助金差別や輸出規制がそうだ。このようなハードルを越えるには外交力を高めて超一流技術を確保するしかない。北朝鮮が核兵器製造にとどまらず韓国を相手にいつでも核ボタンを押すと脅迫すれば、我々の敵は誰か。幼児でも分かる問題ではないのか。
日本がいくら言い張っても独島は韓国の領土だ。韓国が守る力を持つ限り日本が狙うことはできない。韓国は100年前の無気力な国ではない。韓国人が日本人より多くの月給を受け、第4次産業革命のゲームチェンジャーとなった半導体強国であり、新興防衛産業輸出国であり、文化ソフト強国だ。何を恐れていつまでも竹槍歌を歌おうとするのか。もう陳腐な親日フレームを捨てて、今は北朝鮮の核の脅威を直視しなければいけない。
キム・ドンホ/論説委員
こちらの記事でも野党の親日論争に釘を刺す内容となっているのですが、後半を読むと未だ一連の輸出優遇解除の件を「右傾化傾向を見せた当時の安倍晋三首相の主導で日本が核心素材輸出を規制」と書いていたり、「韓国人が日本人より多くの月給を受け、第4次産業革命のゲームチェンジャーとなった半導体強国であり、新興防衛産業輸出国であり、文化ソフト強国だ」と書いています。
輸出優遇解除の件は、以前から説明しているように「規制」ではなく、韓国の輸出入管理が杜撰で、ワッセナー・アレンジメントに基くキャッチオール規制が守られず、定期対話にも参加しないため「優遇措置が更新されずに切れた」というだけです。
通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント
外務省 令和2年11月26日
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/wa/index.html
補完的輸出規制(キャッチオール規制)
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/anpo03.html
韓国閣僚「日本が挙げた理由を全て解消」 輸出規制強化の撤回促す
聯合ニュース 2020.03.06
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200306001400882
しかし彼らはその事実を一切認めず、未だに「日本が徴用工裁判の報復で輸出規制をしてきた」と主張しており、全く聞く耳を持ちません。
自らの正義を絶対として、反する相手を無条件に「邪」とする「衛正斥邪」そのものの態度です。
また、後半の「〇〇強国」という考え方は、典型的な儒教思想に基づく序列思考であり、旧態依然とした野党の態度を批判する側も旧態依然とした儒教朱子学的思考から抜け出せていないという状態なのです。
結局のところ、韓国内でのこの論争自体が「派閥争い」でしかなく、やっている事が過去に何度か紹介したことがある李氏朝鮮の大規模政争「礼訟論争」と同質のものであることがわかります。
【噴水台】礼訟論争 | Joongang Ilbo | 中央日報
2:対中も同様
そして興味深いのが、これが対日だけで起きているのではなく、対中でも同様の事が起きている事です。
次の記事を読むと
【萬物相】世界に類を見ない「駐韓中国大使館」
朝鮮日報 2022/02/14
https://web.archive.org/web/20220214060700/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/02/14/2022021480057.html
1882年に清の軍隊がソウルに侵入し、「壬午(じんご)軍乱の背後」という理由で大院君を拉致していった。反抗した大院君を力ずくでかごに押し込んだ人物は当時23歳の
袁世凱だったという。
袁世凱は朝鮮の軍隊を鎮圧した功績で「総督」となり、政治はもちろん通信や船舶の運航に至るまで
袁世凱の思いのままとなった。植民地レベルの
内政干渉だ。1892年に鋳造された銅銭に「大朝鮮」という国号が入ると、
袁世凱は「大」を外すよう命じた。朝鮮は1894年の清日戦争で
袁世凱が去った後に再び「大」の字を入れた。中国の束縛から抜け出した瞬間を記念するために建てられたのがソウルの「独立門」だ。
袁世凱以来、韓国と中国との関係を再びつなげたのは1992年の国交回復だ。最初に韓国にやって来た外交官たちはトウ小平の言葉通り「韜光養晦(とうこうようかい)」を実戦した。「韜光養晦」とは「自らの力を隠して高める」という意味で、韓国の発展を学ぼうとしたのだ。2006年の駐韓中国大使のように、故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中に関する情報を韓国の関係者に伝え逮捕されたケースもあった。2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加入できたのも相手国の心をつかもうとした外交が大きなプラスになった。
ところが習近平の時代になると状況が完全に変わった。中華が復興したので「頭を下げよ」といった式だ。まさに「戦狼(ろう)外交」だ。オーストラリア駐在の中国外交官はオーストラリアの原子力潜水艦開発に対して「悪いやつ」と言った。パキスタン駐在の中国外交官は中指を立てる画像もアップした。韓国にいる中国外交官はもっとひどい。北朝鮮の核開発を阻止するため韓国がやむなく在韓米軍の「THAAD(高高度防衛ミサイル)」を導入したことに対し、北核を支援した中国の外交官たちが「韓中関係の破壊」として逆に脅迫した。韓国の企業関係者を呼び「報復」を警告したこともあった。韓国の大統領候補の発言にまで文句を言ってくるほどだ。
駐韓中国大使館は9日「韓国の一部メディアと政治家が反中感情をあおった」と主張し始めた。世界の主要国やメディアは今、北京冬季オリンピックの不可解判定への批判を続けているが、これに対して中国は韓国だけを攻撃してきたのだ。「厳重な懸念と厳正な立場を明らかにせざるを得ない」との考えも示した。今の時代にどこの海外公館が駐在国のメディアや政治家に対して脅迫し訓戒するだろうか。不満があれば駐在国の外交部(省に相当)を通じて伝えることが外交の常識であり基本だが、これを完全に無視したのだ。
習近平・国家主席は「韓国は中国の一部だった」と発言した。これに対して文在寅(ムン・ジェイン)政権は沈黙した。文大統領は中国を「高い山の峰」と言い、韓国を「小さな国」と言った。中国の閣僚級の人物が文大統領の腕をたたいても、また文大統領の特使を中国の地方官が座る下座に座らせても何も言わなかった。「世界に例のない駐韓中国大使館」は韓国自ら作り上げたものだ。
アン・ヨンヒョン論説委員
李朝末期の清の態度について書いたうえで、前政権や現野党「共に民主党」の態度を「袁世凱に服従した李朝のようだ」と批判しています。
しかし興味深いのは、こうした態度は何も文在寅政権になって始まったものではなく、例えば以下の事例のように
抗日戦勝70年パレード 朴大統領は習主席の間近で参観
聯合ニュース 2015.09.03
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20150903001700882
【北京
聯合ニュース】中国・北京の
天安門広場で3日午前、「抗日戦争と世界反
ファシズム戦争勝利70周年」記念式典が開催され、韓国の
朴槿恵(パク・クネ)大統領が中国の
習近平国家主席らと共に
天安門城楼に上った。
習主席の右隣に昔から中国と血盟関係にあるロシアのプーチン大統領が座り、朴大統領はその隣に着席して中国人民解放軍の軍事パレードを参観した。
一方、北朝鮮の代表として出席した崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党書記は城楼前列の端の方に着席し、中朝関係の変化を象徴的に示した。
また、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長夫妻は習主席の右から5番目、6番目にそれぞれ座った。
朴大統領はこの日午前9時半(日本時間同10時半)ごろ、習主席の左側に立ち城楼に向かった。団体での記念撮影の際には、習主席夫人の彭麗媛氏を挟んで習主席の左側に立った。
撮影を終えて城楼に上る際には、習主席の左に朴大統領が、右にプーチン大統領がいた。朴大統領が移動中、習主席をはじめとする要人らと言葉を交わす姿も見られた。
韓国青瓦台(大統領府)の関係者は「外国の首脳30人余りが集まった席で、習主席が朴大統領のすぐ横で写真を撮影し、前列に朴大統領の座席を設けたのは、大きな配慮であり、韓国の変化した地位を示すものだ」と話している。
2015年、朴槿恵元大統領は中国に招待され「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典」に参加、独裁者たちと並んでパレードを観覧する映像が国際的に報じられかなりの批判を受けました。
また今年の8月には
米国内「尹大統領・ペロシ面談不発は米国を侮辱したもの」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.08.08 06:59
https://japanese.joins.com/JArticle/294058
韓国を訪問中の
ペロシ米下院議長が4日、国会本庁の前で金振杓(キム・ジンピョ)国会議長と儀仗隊の
栄誉礼を受けながら歩いている。 キム・ソンリョン記者
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が今月4日に
訪韓した米国の
ナンシー・ペロシ下院議長と電話会談だけして直接会わなかったことに対して米国内から批判が出ている。
国務省元高位要人はこれを米国に対する「侮辱(insult)」と主張した。尹大統領が米国権力序列3位の下院議長を「冷遇(snub)」したと表現した外信もあった。
ジョージ・W・ブッシュ政府時期に国務省政策企画部長を務めたミッチェル・リース氏は6日(現地時間)に伝えられた「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」放送のインタビューで「(ペロシ議長が)韓国指導者に会わなかったことは非常に懸念される。失敗だったと考える」と明らかにした。リース氏は「中国の機嫌を取るつもりだったのなら成功ではない」としながら「韓国大統領室の二重のミスで、韓米関係にも侮辱」と主張した。
この日、VOA放送に共演した元国務次官補代理(核不拡散担当)のマーク・フィッツパトリック氏も「(リース氏の立場に)全面的に同意する」とし「侮辱的だった」と述べた。フィッツパトリック氏は「中国の機嫌を取る考えだったとしても無駄だった」としながら「(尹大統領がペロシ氏と会わなかったことは)中国は韓国を圧迫することができ、韓国は中国の意志に屈するという認識を与えただろう」と説明した。
ブルームバーグ通信は4日、「韓国指導者が休暇中にペロシ議長を冷遇した」という題名の記事を通じて「尹大統領はアジア歴訪中のペロシ議長に会わなかった唯一の指導者」と報じた。同メディアは「尹大統領は最近数週間、数多くの失策で急速に支持率が下落した」と言及した。ワシントン・ポスト(WP)は5日、ソウル発記事で「(ペロシ訪韓当時)世界の舞台で尹大統領の不在に批評家は激怒し、彼らは保守的な韓国大統領が中国の報復を懸念して意図的にペロシとの直接会談を避けたと批判した」と伝えた。
一方、ペロシ議長は5日、最後の訪問国である東京の米国大使館で開いた記者会見で、韓国を訪問した理由として在韓米軍の激励と板門店(パンムンジョム)訪問を挙げた。今回のアジア歴訪で訪問したシンガポール・マレーシア・台湾・日本に対しては首脳との交流や会談に言及しながら歓迎を受けたと明らかにしたこととは違いがある。
ペロシ議長は「シンガポールを訪問して首相と会い、大統領にも会った」と述べた。続いて「次にマレーシアに行ったが、非常に肯定的な方法で歓迎された」としながら「私が歓迎されたと話すのは我々が代表する(ジョー・バイデン)大統領のイニシアチブが歓迎されたという意味」と説明した。
ペロシ議長は「次に韓国に行った」としながら「ここに駐屯する米国軍人2万8000人と彼らの家族に敬意を表し、彼らの勇気に感謝し、歓待に対して(韓国)政府に謝意を表するために訪問した」と述べた。また「板門店を訪問した」としながら「北朝鮮の攻撃性、攻撃の可能性の側面で北朝鮮の脅威に焦点を合わせた」と紹介した。韓国訪問を要約したが尹大統領との電話会談や金振杓(キム・ジンピョ)国会議長との会談に対する言及はなく、在韓米軍の激励と北朝鮮の脅威対応を訪問の主な目的として説明した。
ペロシ議長は「日本では非常に印象的な会議をした」としながら「安全保障と経済、ガバナンスについて議論した」と明らかにした。
尹錫悦大統領が中国の顔色を伺って訪韓したナンシー・ペロシ下院議長に面会しなかったため、様々な方面からその件を批判されるという事態になっています。
結局のところ、韓国では与党も野党もやっている事がほぼ同じであり、違いは一応現与党は日米の対中包囲網に加わろうとはしているという部分ですが、どちらにせよ中国の顔色を伺っている事に変わりはないという事です。
また次の記事を読むと
【コラム】「米国か中国か? 両方とも韓国が必要な状況」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.19 10:07
https://japanese.joins.com/JArticle/296743
「経済優先」の時代があった。だいたい1980年からの約40年間だ。経済学者が「世界化時代」と呼ぶ期間だ。その時期には経済が安全保障より優先だった。
いまは違う。経済優先の時代が過ぎ地政学的対立の時代がきている。米中覇権競争が激しい。ロシアがウクライナを侵攻した。ビジネスリーダーと投資家の前に忘れていた地政学的リスクが暗雲のように広がり始めている。最近ウォール街の必読書である『地政学的アルファ』を書いたクロックタワーグループのマルコ・パピック首席ストラテジストとズームでインタビューした理由だ。
パピック氏は「ユーゴで生まれ幼い時に両親と米国に来た」と話した。彼はカナダの名門ブリティッシュコロンビア大学で政治学と歴史を学んだ後、米テキサス大学オースティン校で政治学修士の学位を取得した。現在は同大学の博士課程に入学したが休学状態だ。代わりに研究センターを設立し経済と投資の観点から地政学的な対立を研究した。2019年からクロックタワーグループに招かれ地政学的な対立とマクロ経済などを分析するチームを率いている。
Q:米中覇権競争が盛んだ。最近は米国が中国との対立をあおっているようだ。
A:「間違った話ではない。ペロシ下院議長が台湾を訪問して北京を刺激した。また、米国と台湾の間で公式対話が活発だ。トランプ前大統領が中国と貿易戦争を行いながらもしていなかったことを現在のバイデン政権と民主党がこれ見よがしにしている。われわれはいまマキャベリ的な現実主義国際政治を目撃している」。
Q:マキャベリ的現実主義国際政治とは。どういう意味なのか説明が必要だ。
A:「価値や理念を重視せず自分の利益のためにあらゆる手段を動員するという話だ。最近ワシントンのエリートは本当にはばかることなく飛びついている」。
Q:ワシントンのエリートとはだれで、なぜ猪突的に動いているのか気になる。
A:「米ホワイトハウスと国務省などの政策担当者らと中央情報局(CIA)などの情報責任者らだ。彼らが最近気付いた事実がひとつある。世界秩序がこれ以上『メイド・イン・アメリカ』ではないという点だ」。
Q:どういう意味なのか。
A:「米国と親しい国々も米国の思い通りに動かないという話だ。この前米国がアラブ首長国連邦」(UAE)にステルス戦闘機のF35を販売しながら中国製の5G装備を買わないよう要求した。UAEは『そうすることはできない』として米国の要求を拒否した。こうした事例を最前線で経験したワシントンのエリートが価値や理念よりはマキャベリ的な現実主義国際政治を広げ始めた」。
Q:韓国から見ると米国が主導する対中同盟に参加しようとする国が多いように見えるが。
A:「私が見るには米国はこの6~7年間に他の国々を説得して味方に引き込むのに失敗した。多くの国が中国に対し牽制心理を持っているが、中国との経済的関係は維持したい。米国のエリートが意図的に中国との緊張関係を作って他の国々を味方に引き込もうとしている」。
Q:米国の思い通りになるだろろうか。
A:「中国の応戦にかかっている。北京が米国の刺激に反応して積極的に出てくれば世界はいまとは違う反中連合勢力が登場する。米国のリーダーシップがむしろ強化される。米国の思い通りなる格好だ。習近平国家主席はプーチンのように対応してはならない。戦略的であるべきという話だ。実際に中国は2011~2017年にとても積極的に領土紛争を起こして刺激したが、最近は比較的静かだ。これに対し米国は紛争地域と遠く離れた地理的利点を生かして中国を刺激している」。
Q:プーチンは戦略的でなかったという話なのか。
A:「モスクワはあまりにも戦術的だった(短期的な利益に重点を置いたという意)。あたかも自身を閉じ込めている鳥かごに怒るアングリーバードのようだった。鳥かごの向こう側に本当の敵がいるという事実を知らなかったという話だ。私が見るに中国はロシアよりスマートだ。争いに巻き込まれずにいる」。
Q:米中の間に挟まれている韓国はどうすれば地政学的アルファ、すなわち市場平均を上回る利益を得られるだろうか。
A:「韓国人とソウルの政策担当者らがどう思っているのかわからないが、これまで韓国は米国と中国の間でとてもうまくやってきた。米中対立そのものが韓国には悪くないためだ。もう少し直接的に話せばこれまで韓国は米中対立を利用して利益を大いに得てきた」。
Q:韓国の中では米中のうちどちら側に立つべきかをめぐって論争が激しい。
A:「外から韓国を見る視線は違うかもしれない。私は中国が依然として韓国を必要としていると考える。半導体などで中国の技術はまだ韓国の水準に達していない。そのため軍事的には韓国は米国の同盟なのにとても自由に中国とビジネスをしている。また、最近の米国も韓国をより必要としている。私が韓国のリーダーならば中国と貿易するのに何の負担も感じないだろう。米国が私に中国に半導体を売るなと要求したら、『わかった!』と答えればそれまでだ」。
カン・ナムギュ/国際経済選任記者
外国人に「これまで韓国は米国と中国の間でとてもうまくやってきた。米中対立そのものが韓国には悪くないためだ。もう少し直接的に話せばこれまで韓国は米中対立を利用して利益を大いに得てきた」と言わせ、「安保はアメリカ、経済は中国」というどっちつかずの態度を正当化させています。
アメリカ側から「経済は中国、安保はアメリカという態度はあり得ない」と散々警告を受けているにも関わらずです。
このことからわかるのは、ここでも結局は与党による野党への「親中」批判は、単に自分達が「親日」認定されたことへの反撃でしかなく、やっている事はただの政争であり対外状況を意識したものではないという事です。
3:単なる政争
なぜこんなことになっているかというと、以前から書いているように彼らにとって「客観的事実」というものが重要ではなく、全てが主観による利害関係で判断されているからです。
たとえば以下の事例
米国務長官「韓日接近、金正恩は喜ばない」
朝鮮日報 2022/10/19
https://web.archive.org/web/20221019043413/https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/10/19/2022101980011.html
「韓米日、
北朝鮮の連続挑発行動には以前と違う方法で対応」
米国のトニー・ブリンケン米国務長官が17日(現地時間)、最近の北朝鮮の連続挑発行動に対して「韓米日は合同軍事演習を再開した。これは韓国と日本をより近づけることを含め、多くの利点がある」「金正恩(キム・ジョンウン=朝鮮労働党総書記)はそうしたことを喜ばない。(挑発行動は)これに対する反応だと思う」と述べた。また、フィリップ・ゴールドバーグ駐韓米国大使は「(韓米・米日)同盟関係は全世界の安保・平和増進の核心だ」と言った。米国が北朝鮮の核・ミサイル挑発行動と中国など権威主義国家けん制策で韓米日の共助を強調したものだ。
ブリンケン長官は同日、スタンフォード大学で行われたコンドリーザ・ライス元国務長官との対談で、「最近数カ月間、この地域(北東アジア)の同盟国でありパートナーである韓国・日本と一緒に行うことをかなり増やした」と語った。事実、韓米日は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領就任後、首脳や外相らが20回以上にわたり対面・オンライン協議を行い、前政権で弱体化した外交・安保協力のほとんどを元通り回復させた。今月初めには北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル挑発行動に対応し、韓米日の海軍が東海(日本名:日本海)上で初めて2週間連続の合同演習を実施した。
ブリンケン長官は「従来の訓練を新たにし、ある種の北朝鮮侵略の防衛も確実にするため韓日を軍事演習に参加させた」「今、我々がしていることは、ここ数年間なかった方法で行われている」と言った。また、北朝鮮の挑発行動の原因としては「北朝鮮指導者の観点からすると、無視されるのが嫌だと言うことだ」とも言った。
こうした中、ゴールドバーグ大使も18日、報道関係者でつくる団体「寛勲クラブ」の招待討論会で「韓日間の歴史問題が解決するよう望んでいるが、安保事案のような緊急懸案については韓米日の三者が努力しなければならない」「韓米・米日同盟はこの数十年間、世界中の安全保障・平和・繁栄増進の核心だった」「いつにも増してこのような同盟関係が重要な時であり、同盟の能力と範囲は我々の集団的利害関係に合致する」と言った。ただし、「バイデン政権は韓日協力のため仲裁に乗り出す考えがあるか」という質問には「二者が対話することもできると思う」「米国は三者協力の方に焦点を合わせている」と述べた。
ゴールドバーグ大使は同日、中国に対しては「北朝鮮のミサイル発射や制裁回避努力を防げず、北朝鮮の核の脅威に対してほとんど何もしていない」と批判した。その上で、「中国が自ら主張しているように責任ある行為者になるよう圧力を加えようとしているが、それにだけ頼ることはできない」「我々は互いを頼りにしなければならない。ロシアや中国のような権威主義国家に分裂の種を植える機会を与えてはならない」と語った。さらに、ゴールドバーグ大使は中国の「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)報復」と関連して、「韓国は(THAADにより)北朝鮮の核脅威に対応したことで(中国による)経済報復に遭った」と言った。また、「地政学と経済を分離できればいいが、世の中はそのようになっていない」とも述べた。これは、韓国が米中のはざまであいまいな姿勢を取っている状況から抜け出さなければならない、という意味だと解釈されている。
キム・ウンジュン記者
トニー・ブリンケン米国務長官が、「韓米日は合同軍事演習を再開した。これは韓国と日本をより近づけることを含め、多くの利点がある」「金正恩(キム・ジョンウン=朝鮮労働党総書記)はそうしたことを喜ばない。(挑発行動は)これに対する反応だと思う」とコメントしています。
ようするに韓国内で合同軍事演習が親日論争になっている件に対して、「日韓の対立をあおる行為は金正恩を喜ばせるだけだ」と釘を刺しており、「日本との歴史問題よりも目の前の北朝鮮の核の方が問題だ」と言っているわけです。
であれば、現政権や政権寄りメディアなどは安易に日本との対立を煽るべきではないのですが、次の記事を読むと
【時視各角】日本を叱りながらも外交では「一つになった愛国精神」を成し遂げた安重根
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.17 16:20
https://japanese.joins.com/JArticle/296669
金月培(キムウォルベ)
ハルビン理工大外国人教授は最近、釜山龍湖洞(ヨンホドン)白雲浦の
山麓にある天主教公園墓地を訪れた。
安重根義士の妹・安姓女(アン・ソンニョ)氏が眠っているところだ。姓女氏も兄と同じくあらゆる辛酸を嘗めた。
ハルビン・
満州を転々とし、光復(解放)後に五六島(オリュクト)が見える山の麓に小屋を建てて暮らして亡くなった。2016年の
光復節(8月15日)に釜山市南区が姓女氏の墓地に小さな碑石を設置した。碑石の後ろにはこう刻まれている。「独立軍の軍服を作って日本
憲兵隊に捕まり拷問にあったルシア(安姓女)。韓国戦争の避難中に影島で永眠。安らかに眠れ」。
26日は安義士のハルビン義挙113周年となる日だ。墓の中の姓女氏は今、何を祈っているのだろうか。兄の帰還を願っているのではないだろうか。自身はこの地で息を引き取ったが、112年前に中国旅順監獄の共同墓地に埋められた兄は今も異郷万里でさまよっているからだ。「国権が回復すれば故国に返葬してほしい」という遺言を守ることができなかった悔恨に血の涙を流しているかもしれない。
安義士の家は韓国独立運動史のもう一つの鏡だ。計16人の独立活動家を輩出した。特に残念なのは安義士を含め、親・妻・弟など家族の多くの遺体が見つかっていない点だ。姓女氏だけが故国の地に埋められた。いま見つけて何の栄光があるのか思うかもしれないが、祖国の独立に生涯を捧げた人たちの骨一つさえない今日が残念であるのは確かだ。
金月培教授は「安重根の、安重根による、安重根のための」時間を生きてきた。2005年から18年間、安重根の遺骨を見つけ出すことに専念してきた。安重根を探してハルビン・旅順から日本まで捜索した。今は博物館となった旅順監獄で対外業務も引き受け、安義士の痕跡に直接触れようとした。「安義士の遺骨の発掘は子孫の道理、大韓民国の国民の無限責任だ」という考えのためだ。
金教授がこれまでの作業を集めた白書をまとめている。年内に出版される『遺骸史料、安重根を探して』だ。安義士の活動現場を現地調査し、旅順監獄博物館の職員と郷土史学者を調査し、中国・日本・ロシアで収集した資料およそ100件を整理した。安義士が埋められたところをまだ特定できないが、今後、いつか必ず見つかるという期待と使命感からだ。
「国が厳しい時ごとに安義士を思い出す。かけがえのない命を捧げた方々を見つけることができなければ、誰が国のために犠牲になるだろうか。安義士は過去よりも未来を考えた。後日、安義士の遺骨の発掘がより体系的に行われる呼び水になることを願う」。
金教授の言葉のように2022年、危機の韓国は安義士に繰り返し言及している。政界は何度も安重根を持ち出し、文化界でも照明が絶えない。キム・フン氏のベストセラー『ハルビン』に続き、ミュージカル『英雄』と同名のミュージカル映画も年末に登場する。現在進行形の安重根の姿だ。
「大丈夫」安重根は平和思想家だった。韓日中の共存を夢見た。日本を「独夫(天と民を捨てた暴君)」と叱りながらも外交では「一つになった愛国精神」を成し遂げたと認めた。北朝鮮という変数が追加された今日、我々は100年前よりもはるかに危険だ。すべての禍の火種は内部の争いと分裂だ。「親日と従北」というフレームにとらわれた最近の国政監査の形態は過ぎ行く犬も笑う。
安義士は『東洋平和論』で故事「鷸蚌の争い」を引用する。シギがハマグリが争っている間にともに漁夫に捕えられたという内容だ。西力東漸当時に日本を批判したものだが、今日、我々の社会にあてはまる言葉だ。墓の中の安義士の言葉が聞こえてくる。「親切な外側の人は争う兄弟に及ばない」といった。戦うならまともに戦わなければいけない。昨日でなく明日に向かって…。
パク・ジョンホ/首席論説委員
中央日報の首席論説委員がわざわざ安重根の事例を出し、「日本を「独夫(天と民を捨てた暴君)」と叱りながらも外交では「一つになった愛国精神」を成し遂げた」と書いています。
要するに民族主義を前面に出し、華夷秩序そのものの序列意識で「日本を𠮟りつけてやったのだ」とすることで、「日本より我々のほうが道徳的で序列が上なのだ」とアピールしているのです。
また次の朝鮮日報の記事でも
小説・映画・ミュージカル…韓国は今「安重根ブーム」
朝鮮日報 2022/10/15
https://web.archive.org/web/20221018145734/https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/10/14/2022101480117.html
小説家・金薫の『
ハルビン』、9週連続1位
ユン・ジェギュン監督の映画『英雄』、12月に封切り
ミュージカルと共にダブルヒットを期待
金薫(キム・フン)著の小説『ハルビン』が9週連続で総合1位(教保文庫)を守り続けている。発行部数は8刷22万部。金薫は「安重根(アン・ジュングン)の尋問調書や公判記録には、悲劇的で美しい世界があった」とし「時代全体と対決する、その高圧電流を移してきたかった」と語った。書店大手「教保文庫」によると、同作は他のベストセラーに比べ40-60代男性層にかなりの人気がある。読者の間で『ハルビン』は「安重根義士のことをあらためて考える時間になり、その一方で恥ずかしかった」という評を集めている。
映画『国際市場で逢いましょう』で1426万人の観客を集めたユン・ジェギュン監督は、今年12月にミュージカル映画『英雄』で戻ってくる。ハルビンでの伊藤博文暗殺の直前から殉国まで、安重根(1879-1910)の最後の1年を描いた。この映画が原作にしているミュージカル『英雄』も、12月にLGアート・センター・ソウルで開幕する。今年下半期の韓国文化界のキーワードとして「安重根」が予約されているわけだ。「韓国社会は経済的不況と社会的危機に見舞われており、大衆は安重根に共感と慰めを得ている」との解釈が登場している。
■映画『英雄』は母を描いた物語
ユン・ジェギュン監督にとって、『英雄』は8年ぶりとなる復帰作。彼は10月7日、釜山国際映画祭で報道陣の取材に応じ「映画『英雄』を12月21日に封切りする」と発表した。劇中のウラジオストクの姿はラトビアで撮影し、ハルビンは陜川と平昌のセットで再現した後、視覚特殊効果(VFX)を活用した。
「投資家らはチョン・ソンファが安重根を演じることに反対したが、『この作品を一番よく理解している俳優で、歌の実力は代替不可能』と説得した。『国際市場で逢いましょう』が父親の物語だとしたら、『英雄』は母親を描いた物語。安重根と趙瑪利亜(チョ・マリア)女史=女優ナ・ムニ=、母子の関係が核心だ。息子に対する愛が切ない。厳しい時代を生きている全ての人が英雄だと私は思う」
この日、取材の場には俳優チョン・ソンファ、キム・ゴウン、イ・ヒョヌ、パク・チンジュなどと共に投資配給会社CJENMが同席した。歌はほとんどライブで録音し、「あの日を記憶して」「誰が罪人か」など原作ミュージカルの挿入歌のほかにも、朝鮮王朝最後の宮女にして独立軍情報員のソルヒ(女優キム・ゴウン)の歌う1曲が追加された。ユン・ジェギュン監督は「キム・ゴウンの歌の実力は歌手ソ・チャンヒに匹敵する」と語った。チョン・ソンファは「未来を変えてくれる英雄を待ちながら、肝心の、今の私たちをあらしめている英雄のことは忘れて生きている」とし「見れば胸が熱くなる映画」と語った。
https://web.archive.org/web/20221018145853/https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/10/14/2022101480117_2.html
■ミュージカルもバレエも「安重根ブーム」
ミュージカル『英雄』は、麻谷に移転したLGアート・センター・ソウルで12月21日に開幕する。映画『英雄』とミュージカル『英雄』が同じ日に観客と対面し、同伴ヒットするという事件が起きるかもしれない。LGアート・センター・ソウルの関係者は、ミュージカル第1弾に『英雄』を選んだ理由について「安重根義挙100周年に当たる2009年にLGアート・センターで初演し、良い評価を得た創作ミュージカル」だとしつつ「老若男女さまざまな観客が見ることのできる作品でもある」と説明した。
今年6月の大韓民国バレエ・フェスティバルの開幕作品は、Mバレエ団の『安重根、天国での踊り』(振り付け:ムン・ビョンナム)だった。「大韓独立の声が天国まで聞こえてきたら、私は喜んで踊りながら万歳を叫ぶだろう」という安重根の遺言から出発した物語バレエだ。イ・ドンフンが安重根、キム・ジヨンが金亜麗(キム・アリョ、安重根の妻)、キム・スンジョンが趙瑪利亜として踊った。
■今、なぜ安重根なのか?
安重根は李舜臣(イ・スンシン)と共に、韓国国民全てが敬慕する英雄だ。金薫は「安重根義士がハルビンで叫んだ二つのこと、弱肉強食に承服できないということと東洋平和は、(最近の台湾と中国の対立を見れば)依然として有効な叫び」だと語った。映画評論家のユン・ソンウンは「日帝強占期や6・25を経験していない世代にとっては、新型コロナ問題や経済的不況、物価上昇が最大の危機」だとし「安重根義士は歴史の中で剥製になった英雄ではなく、こうした困難の際に呼び出されて韓国人にプライドと慰め、刺激を与える存在」との解釈を示した。
10月26日は、安重根がハルビンで伊藤博文を暗殺した日。安重根義士崇慕会(金滉植〈キム・ファンシク〉理事長)は、安重根義士記念館で「ハルビン義挙113周年記念式」を開催する。遺体はまだまだ戻ってきていないが、国中が安重根の名を呼んでいる。映画やミュージカルで安重根が歌う「丈夫歌」には、こんな一節がある。「丈夫が世に生まれ/大きな志を抱いたのだから/死んでもその志を忘れるまい/天に向けて誓ってみる」
朴敦圭(パク・トンギュ)記者
安重根や愛国映画が「ブームだ」と、韓国人の民族主義を煽っているわけですが、これも要するに儒教的マウントの一種です。
「どちらが上か下か」で物事を判断する韓国では、協力関係になるうえでも「どちらが上でどちらが下か」が何よりも重要であり、自身のポジションを決定するため、こうして韓国人の民族主義や愛国心を煽ることで、「日本と協力するが道徳的に自分達の方が上だ」とアピールしているわけです。
野党の「共に民主党」が、日本と合同軍事演習を行った件を「親日」と批判した件に対する与党側の答えがこれなのです。
「日本と協力はするが、自分達の方が道徳的に優位なことに変わりはない」というわけです。
典型的な「衛正斥邪」であり、根本的に対等な関係など構築する意思がないのです。
アメリカのトニー・ブリンケン国務長官の苦言など全く耳に入っていない事がわかりますし、彼らが国際情勢を見ずに「国内の事情」ばかり見ている事もわかります。
もちろん日本の事情も言い分も彼らには一切興味がありません。
前回も書いたように、彼らにとっての「事実」とは内向きの「こうあってほしい」「こうあるべき」という願望の事であり、儒教朱子学に基き形而上学的な「正邪」の判断をしているだけというわけです。
だから彼らの外交はチグハグなのです。
元々外側で起きていることなど全く気にしておらず、ただ内向きに「正しさ」を求めているだけだからです。
それが韓国の現在の外交に反映されているため、日韓関係も「何一つ前に進めない」状態になっているというわけです。
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