日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

【ゆっくり解説】問題だらけの記者クラブ

さて、本日はマスコミ業界の大問題の一つである記者クラブに関係した問題を扱っていきます。


本日の投稿動画
www.nicovideo.jp
youtu.be




番外編動画
【ゆっくり解説】見た目インパクトな魚特集
https://www.nicovideo.jp/watch/sm40919523
YouTube
https://youtu.be/onziUtYT8R4

元記事
マスコミの特異な「業界ルール」
http://ooguchib.blog.fc2.com/blog-entry-403.html
マスコミと実名報道の問題
http://ooguchib.blog.fc2.com/blog-entry-394.html
「前提がおかしい」記者クラブ問題
http://ooguchib.blog.fc2.com/blog-entry-412.html
記者クラブの問題がなかなか注目されない理由
http://ooguchib.blog.fc2.com/blog-entry-408.html

【ゆっくり解説】朝日新聞の辻褄合わせ記事
https://www.nicovideo.jp/watch/sm40713219
YouTube
https://youtu.be/K60p93Z5_T4
【ゆっくり解説】誤魔化し・隠蔽・捏造とマスコミ
https://www.nicovideo.jp/watch/sm40536866
YouTube
https://youtu.be/oVLHp2RSSpE
【ゆっくり解説】横暴過ぎるマスコミ
https://www.nicovideo.jp/watch/sm37618013
YouTube
https://youtu.be/lmoSeT4e1d0


以下は動画のテキスト版です。

お品書き

記者クラブの問題

見当違いの批判

敬遠される理由

注意
・この動画は「マスコミ問題」を扱っています

・「マスコミ問題」であり右派・左派等の陣営論争は本題ではありません

・「特定の国との特別な関係」は問題の枝葉です、主問題は業界の体質です

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう。

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください

・リクエストは原則受け付けていません

・引用ソースへのリンクが同時掲載のブログにあります

・毎週土曜日更新


レイム マリサ
ゆっくりしていってね


マリサ
さて、今回はマスコミ問題なので私が扱っていくぜ。


レイム
そういえば、今回は動画の前にお知らせがあるのよね。


マリサ
そうなんだぜ。
先日投稿した番外編動画の方で、「音声が小さすぎるのではないか」というアドバイスをいただき、今回50パーセントほど音量を上げて編集しているぜ。


レイム
一応、こちらでテストはしているのですが、もし「大きすぎる」または「まだ小さい」等、ご意見がありましたら、コメント等でアドバイスをいただけると助かります。


マリサ
こちらの環境では問題なさそうなんだが、元々「小さすぎる」と指摘された時点でも「多少小さい」程度の認識しかなくて、これまで問題なく編集ができていたので、こちらではまだ問題があるかどうか判断できず、今後さらなる微調整をするかもしれないぜ。


レイム
そういうわけなので、今回から以前と音量が違うのでご注意ください。


マリサ
じゃあ早速本編へ行くぜ。


記者クラブの問題


レイム
そういえば、記者クラブの問題って、世間では以前から色々と言われていたのに、この動画で本格的に扱うのは初めてよね。


マリサ
そうだぜ。
そしてその理由についても後で説明するから、まずは2022年5月に発生した、記者クラブの問題点を象徴するような事例について紹介するぜ。

NHK兵庫県記者クラブから“追放”された! 知床遊覧船遺族と加盟他社を激怒させた理由とは
デイリー新潮 2022年05月30日
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/05301643/?all=1

前代未聞である。公官庁に設置された記者クラブで、ある社の報道姿勢やその後の対応をめぐり、他の加盟社が激怒。「出ていけ」と追放したのだ。ブースの使用を禁じられ、鍵の返却まで求められた社は、なんと公共放送のNHK。特ダネを報じたいがためにクラブの取り決めを破ったばかりか、“遺族心情”まで踏みにじったというのだ。

「荷物をまとめて出ていけ」

 NHKに“追放処分”を下したのは、兵庫県記者クラブ。5月27日に総会を開き、除名処分とした。処分理由は、「幹事社業務を怠り、遺族と報道機関との信頼を損ねた」。加えて、「説明責任を尽くさず、クラブの品位を傷つけた」ともある。今後、クラブが主催・共催のレクや記者会見への出席を認めず、クラブ内のブース使用も禁止。30日午前中までに荷物をまとめて鍵を返却するよう求められ、すでにブースはもぬけの殻となっているという。

「発表日時に縛りがかかった情報を先んじて報じてしまった社に、『出入り禁止処分』が下されることはたまにあるが、『除名処分』は聞いたことがない」(某社社会部デスク)

 確かに、各報道機関によって自由に行われるべき報道について、他社がここまで物言いをつけるのは滅多にないことだ。いったい何があったのか――。
メディアスクラムを避けるため

 問題となったのは、知床遊覧船の事故をめぐるNHKの報道である。なぜ北海道の事故について兵庫県なのかというと、遺族であるAさんが兵庫県在住だったためである。

 同事故をめぐっては、過熱する報道に対して遺族側から苦情が入っていた。4月28日、札幌の報道各社で構成される「十日会」は、メディアスクラムを避けるため話し合いを持った。そこで「被害者家族や関係者の心情にかんがみ、例えば、代表者が取材を申し入れたり、各社の質問をとりまとめて代表取材したりするなど、各社で協力して、節度ある取材を進める」と申し合わせていた。

 兵庫県記者クラブでも同様の話し合いが持たれ、5月2日にAさんに対する代表取材を行った。取材したのは、幹事社だったNHKなど3社。

 問題はその直後に、札幌支局に所属するNHKのB記者が、別途Aさんに取材した際に起きた。B記者はAさんと面識はなかったという。そもそもメディアスクラムを避けるために代表取材を行ったというのに、すぐさま個別取材をかけてくるNHKの取材姿勢に問題を感じるが、そこは一旦置いて話を進める。

https://www.dailyshincho.jp/article/2022/05301643/?all=1&page=2

遺族がクレーム

 個別取材の際、Aさんは遺族向け説明会などで得た情報を資料とともにB記者に託した。その際に「これは全社で共有してください」と伝えたとされる。だが、NHKは5月5日、その資料をもとに「KAZU I」は以前から不適切な運航をしていたという独自ネタを出すのである。

 その後、Aさんが県警クラブ所属の別の社に「なぜ全社向けに渡した資料をNHKが独自で報道しているのか」とクレームを入れたことで、他社はNHKの“抜け駆け”を知ることになる。Aさんの動きを察知したのか、NHKは5日午後8時、報道の元となった資料を記者クラブに「出元不明の資料」として配布したという。

「他社が怒ったのは、抜かれたからではありません。ご遺族の心情を考え、みんなで話し合って代表取材としたのに、NHKが立場を利用してご遺族を裏切ったからです。しかも、NHKは幹事社だった。その後の対応もふてぶてしいもので、いくら説明を求めても、『取材に関するプロセスは言えない』などと説明責任を果たそうとしない。キャップ同士の話し合いではらちがあかず、支局長クラスでも話し合いが持たれましたが、最後まで納得する説明がなかった」(前出・デスク)
NHKは回答せず

 そして、“追放”が決まったというのだ。兵庫県記者クラブは「デイリー新潮」の取材に対して、

「県警記者クラブの取り決めに反する行為があり、適切に対応しました」

 とだけ回答。NHKにも取材を申し込んだが、期限までに回答はなかった。B記者が兵庫県記者クラブに所属していなかったことに、話がこじれた原因がありそうだが、NHKの取材に遺族に寄り添う姿勢が欠けていたとは言えるのではなかろうか。

 追記:記事の配信後、NHK広報局から下記の回答があった。
「取材・制作の詳しい過程や記者クラブでのやりとりについてのお答えは控えます。事故の報道にあたっては、引き続き、ご遺族の気持ちに十分配慮しながら、取材・制作を進めてまいります」

マリサ
記事では2022年5月、兵庫県記者クラブで「特ダネを報じたいがためにクラブの取り決めを破ったばかりか、“遺族心情”まで踏みにじった」という理由で、NHK兵庫県記者クラブから追い出されたという事が書かれているぜ。


マリサ
その理由として、知床遊覧船事故を巡り兵庫県在住の遺族であるAさんがNHKの取材を受けたんだが、その際にメディアスクラム、つまり大勢の記者が1人の取材対象に群がって生活などに支障を起こす問題回避のため、記者クラブ代表としてNHKなど3社が取材をしたそうなんだぜ。


マリサ
そしたら、メディアスクラム回避のために代表者を立てたにも関わらず、NHKの記者がその直後にまた取材を行い、Aさんは「これは全社で共有してください」と申し出たのに、そのNHKの記者が「独自のスクープ」として報じたらしいんだぜ。


レイム
で、兵庫県記者クラブを追い出されたというわけね。
つまり、NHKの問題って事?
でも今回問題としているのは「記者クラブ」そのものよね?


マリサ
一見するとそう見えるよな。
メディアスクラムの問題は以前この動画でも扱っているし、NHKがルールを破ったのは事実なのだし。


マリサ
でもな、問題は他にもあって、この件でとあるメディアの「デスク」が新潮の取材を受けて「他社が怒ったのは、抜かれたからではありません。ご遺族の心情を考え、みんなで話し合って代表取材としたのに、NHKが立場を利用してご遺族を裏切ったからです」と言っているんだぜ。


レイム
あー…。
そういえばこの動画シリーズでも、マスコミが取材相手の都合をまるで無視して報じていた事例を何度も紹介しているわね。


マリサ
そうなんだぜ。
「出し抜かれたからではなく遺族の意向を無視ししたため」とか言っているが、たとえば2019年の京都アニメーションの事例では

京アニ犠牲者の「実名報道」に批判 マスコミ各社はどう報じているか
J-CASTニュース 2019/7/27
https://www.j-cast.com/2019/07/27363692.html?p=all

京都アニメーション放火事件をめぐって、その報道のありかたが問われている。

犠牲者34人の身元が確認され、京アニはその氏名を公表しないよう求めているが、実名入りの訃報が相次ぎ、ネット上では批判の声が出ている。

公式サイト「実名報道をお控えいただくよう、書面で申入れをしております」

京アニ公式サイトには、「7月18日に発生した事件について」と題したコメントが掲載されている。2019年7月21日に公開され、24日に更新されたこの文章では、メディア対応を弁護士に任せるとし、当面の間、会社や社員、その親族や遺族らへの直接取材を控えるよう求めている。また「警察及び報道に対し、本件に関する実名報道をお控えいただくよう、書面で申入れをしております」と説明し、

「遭難した弊社社員の氏名等につきましては、ご家族・ご親族、ご遺族のご意向を最優先とさせていただきつつ、少なくともお弔いが終えられるまでの間は、弊社より公表する予定はございません」

と続けている。

一方で、亡くなった34人全員の身元が25日までに判明し、遺族への遺体引き渡しが始まると、犠牲者の氏名を見出しに取った記事を、各メディアが続々と掲載し始めた。なかには有名監督の訃報もあり、27日朝には「〇〇監督の悲報」(以下、伏せ字はJ-CASTニュース編集部)がツイッターのトレンド入りし、
「なんで実名報道されてるの...」
実名報道禁止してるのにトレンドかい」

といったツイートが出ている一方で、それらの記事を拡散するファンに対しても、

京アニさんから言われるまではデマかもって無視すんのが1番でしょ」
「マスコミが実名出したとかでその記事をネットで拡散させてたらやってる事が一緒な気がするなぁ」

などと、いさめる声が見られている。また、これらの取材が直接でなく、弁護士を通した正規のルートで行われている可能性や、遺族の意向をくんだ結果、あえて実名報道にしているのでは、と指摘するユーザーもいるが、多くはメディアに対して批判的な声だ。

では、主要メディアでは、どのように報道されているのか。
各社報道を比較してみると

NHK NEWS WEBは7月25日午後、「『苦しかったろ やっと連れて帰れる』京アニ 色彩担当者の両親」のタイトルで、女性アニメーターの死亡確認を両親が明かしたと報じた。この時点でも記事中では氏名を出していたが、26日早朝に出た続報では「『京アニ』放火で死亡確認 □□□□□さんの通夜」と見出しにも取り、前夜に行われた通夜の様子を伝えている。

産経新聞(ウェブ版)は26日午後、「京アニ放火 『着色のプロ』△△△△△さんも犠牲に 父親『現実を突きつけられると、やはり胸が苦しい』」と題した記事を掲載。家族への取材をもとに、NHKが報じた犠牲者とは異なる、女性アニメーターの死亡を確認したと伝えた。

日本経済新聞(電子版)も26日夜、「『◆◆◆◆』〇〇監督の悲報、親族に 京アニ放火」と題する記事を掲載。前半の伏せ字には作品名、後半にはその作品を手掛けた男性監督の名字が入れられている。この記事では、親族への取材で死亡が確認されたとし、父親が日経に対して語ったコメントが載せられているが、後半部分は日経電子版の会員のみが読める形となっている。27日にトレンド入りしたのはこの記事だ。

27日の朝刊紙面(以下、各社とも東京14版)を見てみると、日経は「『◆◆◆◆』監督の死亡確認」の見出しで、電子版とほぼ同じ文章を掲載。産経も「京アニ社員 △△さん犠牲に」と、遺族提供の顔写真とともに伝えた。なお朝日、読売、毎日の3紙では、被害者の氏名や、遺族への取材記事は載っていなかった。

マリサ
京都アニメーションが公式サイトで「(犠牲者の)実名報道をお控えいただくよう、書面で申入れをしております」とアナウンスしていて、遺族の中にも公表を望んでいない人が多数いたのに、報道各社がその意思を無視して実名報道をしまくり批判されたという事例だぜ。


レイム
ああ、これね。
たしか実名公表に同意した遺族もいたけど、反対していたり遺族間で意見が分かれているところもあったのに、マスコミ各社はそういう事情を一切無視しして実名報道をしまくったのよね。


マリサ
そうだぜ。
しかもこの件で批判が大きくなると、日本新聞協会が公式見解を発表したんだが

実名報道に関する考え方
日本新聞協会 2022年3月10日
https://www.pressnet.or.jp/statement/report/220310_14533.html

Q2:遺族などの匿名希望は考慮していますか?
https://www.pressnet.or.jp/statement/20220309_2.pdf

私たち報道機関は、実名で報じることを絶対視しているわけではありません。遺族の思いは尊重されるべきものだと考えており、その必要性を事件ごとに判断しています。京都アニメーション事件でもそうでしたが、命が失われる事件・事故が起きるたびに、遺族の希望、事件の重大性、社会性、被害の内容などを考慮し、被害者を実名で報じるか匿名で報じるか、悩みながら社内で議論しています。

選択した判断も状況に応じて見直しています。「繰り返し名前を見るのが苦痛だ」といった遺族の声を尊重し、当初は実名でも、その後は匿名にする場合もあります。また、現場の様子などの表現も、遺族の心情をかき乱しかねない言葉を避けるなど、日々、検討を続けています。

近年、遺族が匿名を希望するケースが増えてきていることは認識しています。その背景の一つはインターネットだと思います。SNS などネットの世界は、誰もが自由に発言できる一方で、デマや間違った情報が氾濫し、瞬く間に拡散します。事件や事故の被害者が、いわれのない誹謗中傷にさらされる悲しい事態も起きています。このような状況に、遺族は不安を抱かれているのだと思います。犠牲者や遺族を誹謗中傷したり、尊厳や名誉を傷つけたりする言説は、ネット上だけでなく、いかなる場所であっても許さない姿勢を明確にし、是正に役立つ報道に努めています。

実名で報じるかどうかの判断は、報道する側が責任をもって行うことです。記事などに関して、ご遺族から寄せられた意見や疑問には、真正面から向き合い、きちんと応対する責務を負っています。また、今回のような説明も重要だと考えています。


マリサ
「遺族などの匿名希望は考慮していますか?」という項目の中で、「実名報道を絶対視しているわけではない」「被害者を実名で報じるか匿名で報じるか、悩みながら社内で議論しています」とせつめいしているぜ。


マリサ
そのうえで、匿名を希望してる遺族がいる理由を「ネットでいわれのない誹謗中傷を受けることを警戒している」「こうした問題の解決と是正に役立つ報道に務める」と、論点をすり替えてネットに責任転嫁しているんだぜ。


マリサ
更には「実名の報道は報道側の利益のためではないのですか?」という項目では


Q3:実名の報道は報道側の利益のためではないのですか?
https://www.pressnet.or.jp/statement/20220309_3.pdf

名前は、個人が群衆の中にいる「ワン・オブ・ゼム」ではなく、唯一の存在であることの証です。報道には、そのことを社会で共有するという役割があります。この役割は人々の「知る権利」に奉仕することとも言われます。実名での報道は、その責務の一環であり、報道側の利益が目的ではありません。お話を伺ったご遺族からは、名前の持つ重みとともに、報道機関に求められる対応についても意見を頂きました。

2012 年 12 月に起きた中央道笹子トンネル事故で長女玲さん(当時 28 歳)を亡くされた松本邦夫さんは「報道側には、事故は人の一生にかかわる重大なことと認識してほしい。倫理意識が必要だ」と語ったうえで、「報道で娘の死が伝えられ、たくさんの人が葬儀に参列してくれた」「事故の悲惨さは実名があることでより具体的に伝わり、共感を得ることができる」と話されました。妻の和代さんは「実名には名前で弔うという大切な意味がある」と語られました。

1997 年に起きた神戸連続児童殺傷事件で次男の淳君を殺害された土師(はせ)守さんは、当時、大勢のマスコミに囲まれ、執拗な取材を受けた「メディアスクラム(集団的過熱取材)」の被害に遭ったことを振り返り、その後改善は進んだが、記者教育を継続するべきだ、と指摘しました。報道については、「名前は個人を識別する重要なものであり、次男は大勢の中の一人ではない。次男は 11 歳で命を奪われたが、彼なりの人生があり、その人生が抹殺されてよいわけがない。『少年』などと書かれれば、豊かな人生がなかったことにされる」と述べられました。

報道の自由」という言葉がありますが、これは「メディアの権益」ではありません。自由な報道によって市民社会が情報を得るという公の利益のためです。「金もうけのために実名で報道をしている」などという意見も見受けられますが、事実ではありません。京都アニメーション事件では、実名で報道した報道機関が一部で激しく批判されました。もし部数や視聴率を上げたい、という目的であるなら、こうした批判の中での実名報道は得策ではないでしょう。一線の記者も儲けるために実名を報じるなどと考えることはありません。

マリサ
京都アニメーション事件では、実名で報道した報道機関が一部で激しく批判されました。もし部数や視聴率を上げたい、という目的であるなら、こうした批判の中での実名報道は得策ではないでしょう。一線の記者も儲けるために実名を報じるなどと考えることはありません」と、ここでも論点をすり替えて反対している遺族の考えをまるで無視しているんだぜ。


レイム
というか、この新聞協会の公式見解って、最初の知床遊覧船事故の「NHKが立場を利用してご遺族を裏切ったからです」をメディア全体でやっているって事よね。


マリサ
そうだぜ。
つまりだ、最初のNHK追放の事例でも、結局は「他社を出し抜いた」ことが記者クラブで問題化したのが原因なのに、それをさも「遺族のためだ」と言っているわけだ。


レイム
自分の利益のためにやっているのに、さも相手のためにやっているかのようにふるまう、いわゆる「おためごかし」なわけね。


マリサ
そうだぜ。
でな、こうした事例から解るのは、記者クラブが業界の「利権調整のための談合の場」になっているって事だぜ。


マリサ
何をどう報じるか、各社の利益をどう調整するか、業界の都合に合わせて情報をコントロールする場だから問題なんだぜ。


レイム
なるほどね。
今回の兵庫県記者クラブの事例は、その典型が引き起こした問題というわけね。


見当違いの批判


マリサ
ここまでで、記者クラブというのがどんな場所でどんな問題があるかがざっくりとわかっただろうけど、実は記者クラブ批判ってフリーの記者などを中心に以前からあってな、次を見てもらうと

記者クラブ」10の問題〈10〉取材力の限りない劣化~決定権のない記者たち
web論座/朝日新聞 2020年10月04日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2020092700003.html

総括「記者クラブ」~権力とメディアの歪んだ関係(完)

高田昌幸 東京都市大学メディア情報学部教授、ジャーナリスト

権力とメディアの歪んだ関係の根っこには、戦前から続く「記者クラブ制度」が横たわっている。その認識に基づき、制度のどこに問題があるのかを10に絞って整理し、これまでの記事で問題点の9までを紹介してきた。

 今回は最後の「問題点10」である。そして、締めくくりとして、記者クラブ問題をどう解決したらいいのかの方法も考えたい。

問題点10 限りない取材力の劣化

 問題点10は、「限りない取材力の劣化」である。それを論じる前に、1から9を再録しておこう。

1. 情報への特権的アクセス権。大手・有力マスコミを中心とする記者クラブは、フリー記者らを排除し、情報源へのアクセス権を独占している。
2. メディア同士の談合体質。独自のルールを作って自らを縛るなどして、古い談合体質から抜け出せずにいる。
3. 権力との「二人三脚」。記者クラブ加盟者・社は、とくに警察担当・政治担当において、相手におもねり、情報を「もらう」ことが常態化。ひどい場合は当局者と同じ発想になって二人三脚を組み、その視点からの報道を続けている。
4. 記者個人ではなく「クラブ丸ごと」で権力と一体化。記者クラブ員であってもジャーナリズムの本務である「権力監視」を続ける記者もいるが、記者クラブは全体として権力組織にのみ込まれている。それは今に始まったことではなく、戦前から続いている。
5.「縦割り」の取材体制。役所や警察などの組織配置に沿って、各記者クラブは各地・各所に配置されている。記者クラブ員は担当役所などに常駐。同じ社内でも横の連携は薄いうえ、外部との接触も限られており、タコツボに入ったような状態だ。
6. 記者クラブに「張り付く」ことのマイナス。記者クラブをベースに取材する記者は記者会見や各種発表などへの対応に追われ、なかなか外に出られない。国民の生の声を直接聞く機会も少なく、視野が狭くなる。当局者の示す施策と国民が解決を欲している社会課題との差異に気付きにくい。
7. 男性優位のマスコミを生む環境。記者クラブをベースに取材を続ける記者、とくにマスコミ企業の本流とされる政治担当や警察・司法担当は、早朝から深夜まで働き詰め。介護や子育てなどが必要な記者は、とても付いていけない。家庭を任される傾向の強い女性には、実に不利な職場環境である。
8. 記者会見で勝負しない体質。メディア同士での談合や当局との二人三脚などが進む中、会見の空洞化が進んできた。「本当に聞きたいことは会見ではなく、個別取材で聞け」という長年の”伝統”も影響しており、会見の空洞化は深刻度を増している。
9. 取材プロセスの「非透明化」がさらに進む。取材プロセスの「見える化」はほとんど進んでおらず、なぜこんな記事になったのかを国民は知る術がない。その根底には、会見で聞きたいことを聞かないといった記者クラブ加盟者・社の体質が潜んでいる。

 問題点10「取材力の劣化」は、上の1から9が凝縮され、必然的に導かれた結果である。

 フリー記者らを排除して情報への特権的アクセスを享受しているため、新規参入もほとんどなく、本当の意味での競争がない。競争がないことで談合体質が途切れず、深刻になる。ひどい場合は、本来は監視対象であるべき権力・当局と二人三脚の関係になり、クラブ員は丸ごと権力側に取り込まれる。記者会見で勝負しない傾向も強まり、取材力やその中核である質問力は、ますます劣化していく。

 こうした実態の背景には、メディア界の横並び体質や各メディア組織の保守化・官僚化があり、それらは記者クラブ制度によって増殖されている。

https://webronza.asahi.com/national/articles/2020092700003.html?page=2

「発表報道」に覆い尽くされている現状

 取材力が大きく劣化していくと、紙面や番組はどうなるだろうか。

 ジャーナリストの岩瀬達哉氏による『新聞が面白くない理由』(1998年、講談社)や、NHK記者・大学教員を務めた小俣一平氏の『新聞・テレビは信頼を取り戻せるか』(2011年、平凡社新書)などによると、新聞ニュース面の記事面積や本数を調べた結果、その7割程度は当局の「発表」をそのまま報じたり、若干の補足取材を加えたりした「発表報道」だったという。

 「発表報道」の定義はいくつかあるが、筆者は『現代ジャーナリズム事典』(2013年、三省堂)の「発表ジャーナリズム」の項目において、以下のように記した。

 記者発表に基づく内容をそのまま伝える報道、あるいは情報源を発表に過度に依存する報道を、批判的に捉えた言葉。「発表報道」とも呼ぶ。大臣や中央省庁、経済団体、企業などは頻繁に「記者発表」を実施しているが、発表ジャーナリズムが極端な形で出現した例には、第二次世界大戦中の日本の「大本営発表」報道がある。2011年3月の福島原発事故の際も、政府や東電の言い分を伝え続けた報道に対し「発表ジャーナリズムに堕している」という厳しい批判があった。

 こうした発表報道の横行は、どこに問題があるのか。

 1つには、取材プロセスの問題がある。報道には通常、取材のきっかけとなる「端緒」から始まり、「追加取材」→「種々の情報の確認(=裏取り)・取捨選択」→「価値判断」→「記事執筆・番組制作」といった流れがある。

 発表報道では、こうしたプロセスの大半を発表に依存しているため、取材の流れは「端緒」(=発表)から一足飛びに「記事執筆・番組制作」に向かう。独自の着眼点などが欠かせない「追加取材」、発表者の意のままには報道しない点では必須の「種々の情報の確認=裏取りや取捨選択」などが抜け落ちているか、非常に薄い場合が多い。

 2つ目は、アジェンダ設定の問題だ。発表報道では、報道側の独自視点や問題意識は放棄され、「権力監視」機能は失われている。取材の端緒である「発表」のみで取材がほぼ完結するということは、社会の課題設定を当局側に委ねてしまうことでもある。

 権力・当局はメディアをコントロールしたいとの欲望を常に抱えており、発表に関しても「発表したい者が、発表したい時に、発表したい方式で、発表したい内容を発表する」ものだ。その舞台が記者クラブなのだ。

 したがって発表報道への過度な依存は、メディアをコントロールしたいという権力者の願望が実っている証左とも言えよう。要は、政治家や行政などのPRに記者クラブ加盟者・社がひと役買っているわけである。

 メディアが権力のPR機関になり兼ねないことに関しては、過去にも多くの警鐘が鳴らされてきた。全体主義の恐怖を描いた小説『1984』の作者であり、ジャーナリストでもあった 英国人のジョージ・オーウェル氏(1903~1950年)は以下のような有名な言葉を残したとされている。

Journalism is printing what someone else does not want printed;everything else is public relations.(ジャーナリズムとは、誰かが報じられたくないことを報じることである。それ以外は広報に過ぎない)

 また、元米国大統領のオバマ氏は2017年1月、退任を間近に控えた最後の記者会見で記者たちに向かってこう述べた。ジャーナリズムの役割を的確に認識していたからこその発言だ。

You’re not supposed to be(inaudible) fans,you’re supposed to be skeptics,you’re supposed to ask me tough questions. You’re not supposed to be complimentary,but you’re supposed to cast a critical eye on folks who hold enormous power and make sure that we are accountable to the people who sent us here,and you have done that. (あなた方は私のファンではなく、私を疑い、厳しく質問をすべきなのだ。私をほめるのではなく、巨大な権力をも持つ者に対して批判的な視点を持ち、私たちを選んだ国民に対する説明責任を果たさなければならない。あなた方はその責任を果たした)
拡大ホワイトハウスで最後の会見をするオバマ大統領=2017年1月18日、ワシントン

 権力はいつの時代も自らに不都合な情報を隠そうとする。誰からも指摘されていないのに、不正や不作為、不公正な出来事などを自ら進んで公表する権力者はそうそういない。そして、不都合な事実の隠蔽から権力の腐敗は始まる。

https://webronza.asahi.com/national/articles/2020092700003.html?page=3

「すべてを疑うことがジャーナリストの仕事だ」

 最後に紹介する警鐘例は、実話に基づく映画『The Truth』(邦題『ニュースの深層』)の1コマだ。

 米国の3大ネットワーク・CBSの定時番組『60 Minutes』は毎回、丹念な独自取材で独自ニュースを放送する調査報道主体の番組として知られ、米国民の大きな支持を得ていた。その番組でブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を扱ったところ、ネットで「捏造だ」といった批判が高まる。捏造か否かの決着がつかぬうち、真実よりも会社運営が大事だとする上層部によって、番組制作者やキャスターのダン・ラザーらが失脚していく物語だ。

 映画の中でダンは番組スタッフに対し、運歴疑惑の徹底した取材を求めていく。例えば、18回電話を掛けても軍関係者からコメントを取れないスタッフに対しては、19回目の電話を促す。映画にはこんな場面もある。スタッフを乗せた飛行機の客席で、ダンに憧れる若いジャーナリストに向かって放つセリフだ。
(後略)


マリサ
朝日新聞系の「論座」に書かれた記事なんだが、最初の方で記者クラブの10の問題点というのがあってな、「情報への特権的アクセス権。大手・有力マスコミを中心とする記者クラブは、フリー記者らを排除し、情報源へのアクセス権を独占している」「メディア同士の談合体質。独自のルールを作って自らを縛るなどして、古い談合体質から抜け出せずにいる」と書かれているぜ。


レイム
ああ、これはさっき指摘した問題と同じね。
被害者実名報道にしても、業界の談合体質がそうさせているのだし。


マリサ
そして次にな。
「権力との「二人三脚」。記者クラブ加盟者・社は、とくに警察担当・政治担当において、相手におもねり、情報を「もらう」ことが常態化。ひどい場合は当局者と同じ発想になって二人三脚を組み、その視点からの報道を続けている」「記者個人ではなく「クラブ丸ごと」で権力と一体化。記者クラブ員であってもジャーナリズムの本務である「権力監視」を続ける記者もいるが、記者クラブは全体として権力組織にのみ込まれている。それは今に始まったことではなく、戦前から続いている」と書かれているぜ。


レイム
あれ?何かこれ違和感があるのだけど…。


※動画説明欄に関連リンクがあります。


マリサ
そうなんだぜ。
この動画シリーズでも何度も扱ってきた韓国に対する輸出優遇解除の件がわかりやすいが、あの件で複数のマスコミが政府の記者会見の内容も経産省のプレスリリースの内容もまるで無視して、陰謀論じみた韓国政府の言い訳をそのまま流すデマ報道を続けていたよな。


マリサ
更には、次々と続報が出てきて報道内容が矛盾し始めると、つじつま合わせで日本の法令と矛盾する内容を報じたり、記者クラブ主催の党首討論会でのコメント内容を改竄したりしていたよな。


レイム
そうね「情報を「もらう」ことが常態化。ひどい場合は当局者と同じ発想になって二人三脚を組み、その視点からの報道を続けている」とか「記者クラブは全体として権力組織にのみ込まれている」という話とは真逆の方向で問題を起こしているものね。


マリサ
他にもこちらのニューズウィークの記事でも

悪化する日本の「報道の自由度」...大手マスコミは自ら「自由を放棄」している
Newsweek 2022年05月19日
https://www.newsweekjapan.jp/tokyoeye/2022/05/post-111.php

記者クラブの弊害として生まれる日本の報道の不自由さは、コロナ危機でさらに深刻に。だが大手マスコミは「自分たちに都合が良い」と錯覚している>

5月3日、国際ジャーナリスト団体の国境なき記者団が第20回世界報道自由度ランキングを発表した。日本は一昨年の66位、昨年の67位から今年は71位に後退。報道の自由度は引き続き悪化している。

記者としては、それほどびっくりしていない。もちろん日本は記者が殺されるような国ではないが、報道の自由が完全に保障されていないことは事実だ。日本の大手マスコミの記者ならそれを否定するかもしれないが、私のような外国人記者は特に制限を感じている。

主な原因は、大手マスコミと権力者の関係だ。マスコミは「第4の権力」と呼ばれる。司法、行政、立法の三権と並び、それらを監視する役割ゆえだが、日本ではそうは言えない。記者クラブのせいで、日本の大手マスコミは首相官邸や各省庁とウィンウィンの関係にある。連携していると言っても過言ではない。

例えば、首相のマスコミ対応を分析してみる。現職の岸田文雄首相は明らかに大手マスコミの希望に応じる態度でいる。そうすれば批判を抑えられるからだろう。具体的には、岸田首相はほぼ毎日、ぶら下がり取材に応じている。多くの質問を受け付けるところが、菅義偉前首相の姿勢とは大きく異なる。

ぶら下がりを40分行うこともあり、そこに参加できる日本の記者たちは満足だろう。複数の社が、「首相はぶら下がりを積極的に活用」などと肯定的に報じている。
1時間だった会見は40分程度に短縮

ただ外国人記者は参加できず、いくら頑張っても首相に話を聞けない。しかもぶら下がり取材が多いからか、一部の外国人記者も出席できる記者会見は回数も時間も少なくなってしまった。

岸田首相は、例えば月2回の記者会見をしても、従来なら1時間だったところを、最近は「日程の関係で」40分程度しか行わないことが増えた。首相の冒頭発言は大体20分なので、質疑応答の時間は20分だけ。そのうち、半分以上は記者クラブの記者による質問だ。

その質問内容はほぼ全て事前に官邸に伝わっているから、首相の回答も事前に用意されたものだ。そして抽選で参加したほかの記者(雑誌記者やフリージャーナリスト、外国メディア記者)は、多くても2~3問しか質問できない。

岸田首相は菅前首相と違って、質問をよく聞いた上で自分の言葉で答えるし、質問とあまり関係のないメモを読み上げることはない。とはいえ、実は中身の乏しい回答が多い。それでも記者は「質問にきちんと答えてください」と言えないし、追加質問も禁止されている。

https://www.newsweekjapan.jp/tokyoeye/2022/05/post-111_2.php

こうした記者会見の体制は、完全に報道の自由を阻むものだ。しかも新型コロナウイルスを理由に、2年前から参加できる記者の人数が制限されている。日本社会のあらゆる場面で行動制限が解除されたにもかかわらず、首相会見の参加人数はコロナ前に戻らない。毎日行われる官房長官の記者会見も同じだ。

つまり、日本政府はコロナ危機を利用して報道の自由をさらに制限している。そして、コロナ禍が終わっても制限を緩和しない可能性がある。この状況に対して、なぜほとんどの大手マスコミの記者は抗議しないのか。自分たちはこうした制限の被害者ではないと思っているからだろう。むしろ、大手以外の記者が会見に参加できなければ、自分たちの立場が強くなると判断しているのかもしれない。

もしそうだとしたら完全な錯覚だ。マスコミがマスコミの権力を放棄するのは、報道の自由を放棄することを意味する。報道の自由は政権や企業(広告主)がくれるものではなく、自分たちでつかみ取って守るべきもの。日本の大手マスコミはその重要な前提を忘れてしまったのではないか。


マリサ
この動画でも何度か扱った報道の自由度ランキングの件に触れたうえで「報道の自由が完全に保障されていないことは事実だ」とか「記者クラブのせいで、日本の大手マスコミは首相官邸や各省庁とウィンウィンの関係にある。連携していると言っても過言ではない」とか書いているぜ。


レイム
これもかなりおかしくない?
輸出優遇解除の事例では、報道の自由どころか捏造や改竄まで自由自在にやっているし、当然のように政府の意向どころか説明そのものすら無視しているじゃない。


マリサ
そうなんだぜ。
記者クラブを批判しているマスコミ関係者は、こんな感じで「政府と記者の癒着」を問題視していて、報道の自由度ランキングでもその意見が反映されているけど、実際には記者クラブの問題というのは業界の利権調整の仕組みと談合体質で、「政府の意向に従う」という動きがあったとしても、実際にはそれは「業界の利権を邪魔しない限り従う」という但し書きがつく代物なんだぜ。


レイム
要するにそれって、批判する人達は枝葉でしかない「政府の~」云々があたかも主問題のように、業界の利権や談合体質という主問題を枝葉のように批判しているって事よね。


マリサ
しかも、輸出優遇解除を巡る問題報道のような、あからさまなデマ報道は見なかったことにしながらな。
「政府という権力の監視者」とか自称しながら、実際にはマスコミという権力の顔色を伺っているわけだ。


敬遠される理由


レイム
というか、さっきのが記者クラブ問題が敬遠される理由では?
あれだけでも相当にとんでもないけど。


マリサ
まあそれもそうなんだが、実はあれに加えて記者クラブ批判が「煙たがられる」理由もあるんだぜ。
次にこれを見てくれ

鉢呂経産相辞任 記者クラブ言葉狩りされて
BLOGOS 2011年09月11日
https://web.archive.org/web/20110911104945/http://news.livedoor.com/article/detail/5852621/

 「藪の中」とはこのことである。鉢呂吉雄経産相を辞任に追い込んだ「放射能すりつけてやる発言」。10日夕の緊急記者会見で鉢呂氏は「そんなことを発言したという確信を持っていない」と否定した。

 件の発言はオフレコ懇談会の中で出たものだ。鉢呂氏は「記者さんがたくさんいたものだから誰に言ったのかも覚えていない」とした上で「聞くのが専門の記者さんだから…」と皮肉を込めている。

 オフレコ懇は日本の記者クラブ特有のものだ。出席できるのは、クラブ詰の記者だけである。極端な話、記者全員が一致団結して大臣のコメントを捏造することさえ可能だ。本来オフレコのはずの、それも真偽の定かでない発言が表に出てきたのが不思議である。今回、経産省記者クラブが全社一致したのか。それを知ることはできないが、発言をめぐって鉢呂氏は「定かに記憶していない」としている。

 鉢呂氏は「言葉狩り」の犠牲者でもあった。「死の街発言は記者クラブによる言葉狩りではないか?」と筆者は質問した。

 鉢呂氏は次のように答え無念さをにじませた。「(発言の)前日、地元14の市町村長さんたちと話した・・・(中略)人っ子一人通らない。街並みがあるのに。こんな街は日本にはないという意味が、ああいう言葉(死の街)になった」。鉢呂氏の表情は『俺の真意ではないんだ』と語っていた。

 20キロ圏内や飯舘村は明らかに「死の街」である。福島に住む多くの人々は疎開したがっているのが現実だ。事態を率直に認めた鉢呂氏は評価されて然るべきではないか。脇が甘かったと言われればそれまでかもしれないが。

 大臣を辞任に追い込んだ記者クラブの面々は鼻高々だ。記者会見室には哄笑が響く。得意絶頂のあまりヤクザ言葉で鉢呂氏に答を迫る記者もいた。社名も名乗らずに無礼千万な態度で質問するのである。同業者として恥ずかしい。

 筆者はその記者をドヤシ付けてやった。後で名刺交換し社名を聞こうと思っていたが、輩は記者会見が終わるとソソクサと記者室に逃げ帰った。大手メディアの記者であることだけは確かなようだ。

 社会人としてもお粗末な連中だが、「藪の中のオフレコ懇」と「言葉狩り」で国務大臣の進退をも左右することが可能なのである。記者クラブが国を滅ぼすことを確信した会見だった。

 小沢一郎氏の例が物語るように記者クラブと官僚の目障りになる政治家は陥れられる。鉢呂氏の場合「脱原発と反TPP」が、記者クラブメディアと官僚の機嫌を損ねていたことは確かだ。


マリサ
2011年9月のことなんだが、当時民主党政権経産相を務めていた鉢呂吉雄氏が記者クラブとのオフレコ懇談会で、福島県を「死の街」と表現、また「放射性物質がうつった」と発言したとして、辞任したという事例を、フリーの記者が「問題は記者クラブの側」と批判しているんだぜ。


マリサ
そしてこれなんだが、死の街発言の元ネタは地元の市町村長と話した際に「街並みがあるのに。こんな街は日本にはないという意味」で死の街と答えただけで、侮辱する意味はないとしていて、また放射能云々は言った覚えすらないとして、「記者クラブによる言葉狩りではないか」と、鉢呂氏の釈明を踏まえて問題提起しているぜ。


マリサ
そして記者クラブの記者達は「大臣を辞任させてやった」と自慢げで、「得意絶頂のあまりヤクザ言葉で鉢呂氏に答を迫る記者もいた。社名も名乗らずに無礼千万な態度で質問するのである。同業者として恥ずかしい」と批判しているぜ。


レイム
ここまでなら「いつものマスコミの横暴な態度」を、同業の記者が批判しているだけよね?


マリサ
ここまでならな。
でも最後のほうで、唐突に「小沢一郎氏の例が物語るように記者クラブと官僚の目障りになる政治家は陥れられる。鉢呂氏の場合「脱原発と反TPP」が、記者クラブメディアと官僚の機嫌を損ねていたことは確かだ。」と書いているんだぜ。


レイム
あれ?そもそも小沢氏の場合、陸山会事件以外にも、担ぎ上げた鳩山氏が問題だらけの人物であった事や、党内の旧社会党系議員との軋轢とか、そういうのがあって当時失脚したのであって、陸山会事件単体が原因ではないわよね?


マリサ
そうだぜ。
実際、あの当時ネット上でも民主党支持の小沢派と反小沢派が、お互いを「ネトウヨ」と罵り合うというカオスな状況になっていたしな。
あと脱原発にしたって、国以外にも効率性や実効性の問題で当時から賛否があって、別に官僚の意向のみが脱原発反対であったわけではないしな。


レイム
そうよね。
なんか陰謀論っぽくない?


マリサ
そして次に、東京新聞の望月衣塑子記者に対し「政府が都合の悪い質問をされたくないために、政府と癒着している記者クラブを通じて望月氏排除をした」と、フリーの記者達を中心に記者クラブ批判が起きた事例の実態を伝える記事だぜ。

【緊急寄稿】 東京新聞・望月衣塑子記者のツイートに毎日新聞が削除を申し入れた真相
NewsCrunch 2020.2.12
https://wanibooks-newscrunch.com/articles/-/325

今、「新聞記者」の信頼感が揺らいでいる。ひとつのきっかけは菅義偉官房長官会見で名を馳せた東京新聞の望月衣塑子記者の存在だ。今回、毎日新聞社が望月記者のツイートを「事実に反する」として削除を申し入れた件について、ジャーナリストの安積明子氏が独自の視点で切り込む。
望月記者が「優遇措置」を求める根拠はどこにあるのか?

あまりにひどい嘘っぱちに、いよいよ内閣記者会が立ち上がったのだろう。毎日新聞の秋山信一記者が2月6日、「『望月記者は指させない』…事実に反するツイート拡散 菅長官会見巡る異常事態」という記事を同紙のウェブで掲載した。東京新聞の望月衣塑子記者の1月29日にTwitterに書き込んだ以下の内容について、「事実に反する」として削除を申し入れたものだ。

先週 #菅官房長官 に抗議して以降、3回連続で指されず。なんと番記者たちが「望月が手を挙げても指させない」と内々で決めたとの情報が届いた。 長官が他の記者を指名し続け時間切れとなり、 #上村報道室長 の発言を受けた幹事社が会見を打ち切れば、特定の記者を排除できる。今後のやりとり注視したい https://t.co/RPhson2uku— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) January 29, 2020

騒動の始まりは同月22日午前の会見で、指名されなかった望月記者が異議を唱えたことだった。第201回通常国会が始まったばかりのこの日は、午後1時から衆議院本会議で代表質問が行われることになっていた。よってこの日の午後会見以降は副長官会見にとって替わり、24日午後の会見は筆者は参加できなかった。官邸にとってもっとも多忙な週の真っ最中ともいえるのだ。

その中で、米国上院でのトランプ大統領の弾劾審議入りやコロナウイルスの「ヒトからヒトへの伝染」の可能性、外国人による土地取得制限についての法整備など、記者の質問が相次いだ。とりわけ「桜を見る会」については、朝日新聞の他、北海道新聞毎日新聞が質問。総裁選での党員票や支持拡大に利用したか否か、資料の存在を知っていた内閣府に対する対応についてなど、厳しい質問が飛び交った。

そして“最後の質問”が終わったところに、東京新聞の望月衣塑子記者が手を挙げた。

望月記者「はい、長官。お願いします。昨日からずっと手を挙げているんですけれど、私はつつかれないんですねえ」

幹事社(朝日新聞)「あの1問、宜しいでしょうか」

菅長官「どうぞ」

報道室長「次の質問、最後でお願いします」

望月記者「すみません。2問聞きたいんですけれども。2問だけ」

幹事社(朝日新聞)「あっ、昨日も手を挙げておられたんで、2問……」

菅長官「私の指名したのは最後の1問ということですので。これはあの、記者会のみなさんと政府のお互いの話し合いの中で行われておりますので、そこはできるだけルールに従ってお願いしたいと思います。私にも今日もいろんな公務等の中でですね、こうして丁寧に説明させていただいているところでございます」

望月記者「ひたすら指されないことが続いております。しかも必ず私が最後でございます。見てる限りは私がいた時は他の記者さんは、最低でも1回は指されているんですね。非常に不当な扱いを長官の指名によって受けていると感じます。ぜひ見直していただきたい。なのでここで2問、昨日も含めて聞けない質問が続いております……」

菅長官「ここはあの、あなたのご要望についてお答えする場所ではありません。ここは記者会と内閣の間の合意の中で行われている記者会見でありますので、ご要望を申し上げる場所ではないことを明快に申し上げておきたいと思います」

望月記者「恣意的な、恣意的な最後にまわすことには、抗議をさせていただきたいと思います。桜の招待名簿の管理に関して。昨日もですね、廃棄をしたと主張されていた文書が新たに出てきました。おそらくこれからも、またいろんなことが出てくると思います。この招待者名簿の管理にわたっては、歴代課長が処分されたことに関して、長官は昨日、責任を問われた際、『しっかり対応することが大事であり、現場の責任者の方にそのように対応させていただいた』とお話をされ、ご自身の責任に関しては明言を避けております。責任をもし痛感されているということであれば、やはりですね。ご自身の処分もあわせた対応が必要なのではないですか。自身の身を処してでも、この公文書管理を本気で徹底していくという、こういうおつもりはないんでしょうか」

菅長官「昨日も申し上げましたけれども、法律に抵触するものでありますから、そこについては処分をさせていただきました。いずれにしろ、公文書管理ということはしっかり行われることは当然のことであります」

思い切り強気で押し切った割には、望月記者の質問は拍子抜けの印象が残る。そもそもこれは質問なのか、それとも菅長官に対する糾弾なのか。もし後者なら会見場ではなく、官邸と道路を挟んだ記者会館側の歩道上で行うべきだ。

なお、望月記者は官房長官会見での「質問権」を振りかざすが、記者会見が内閣記者会主催のものであるのなら、内閣記者会の記者が優先権を得ても仕方がない。実際にニコニコ動画の七尾功氏やフリーランスの筆者は先に指名されることはない。我々と同じく内閣記者会のメンバーではない望月記者が「優遇措置」を求める根拠はどこにあるのか。あるいは我々より優遇されるべきと思い込む根拠は何か。そしてその勘違いはその後、「指名されなかった原因は番記者たちの談合だ」という妄想にたどり着く。


マリサ
こちらの記事によると、どうも実態は望月氏が質問になっていない質問を繰り返し、自分の望む答えが得られないと同じ質問を繰り返すという事をしていたのが原因のようなんだぜ。


マリサ
挙句の果てに、望月氏は内閣記者会主催の記者会見で内閣記者会のメンバーでもないのに「他の記者にはない特別扱い」を要求したため、内閣記者会以外の記者達からすら「いいかげんにしろ」と反発され、「排除された」というのが実態のようなんだぜ。


レイム
要するに、望月氏の問題行動で「相手にされなくなった」事を、あたかも「政府が都合の悪い質問をされたくないために、政府と癒着している記者クラブを通じて言論弾圧をした」と論点をすり替えて「政府の圧力」という陰謀論に仕立て上げていたというわけね。


マリサ
まあ、この2つの事例で大体わかるだろうが、「党派性が先鋭化した人たち」が、自分達の思い通りにならないのは「政府と癒着した記者クラブが原因だ」という、無茶苦茶な陰謀論を繰り返すせいで、記者クラブ批判そのものが敬遠されるようになってしまったんだぜ。


レイム
ああ、だからうp主もこれまで問題を知りながらあまり記者クラブの件には触れなかったのね。
まあ、こういう人たちと「同列」に扱われるのは、普通は嫌よね。


マリサ
そういうことだぜ。
結局な、記者クラブは当然問題だが、その問題ある記者クラブを批判する記者達が別方向に突き抜けて問題ある人たちだから、結果的に記者クラブの問題が注目されなくなるという悪循環に陥っているんだぜ。


レイム
なるほどね。
色々と問題が複雑なのね。

今回のまとめ

記者クラブは業界の利権調整組織
記者クラブ批判の内容が本質を無視した見当違い
記者クラブ批判をする記者達が色々と突き抜けすぎ


マリサ
でな、なんでこんなことになっているかというと、業界の共通認識として「記者自体は間違わない、政府などの権力者が間違わせるのだ」という、ある種の信仰のようなものが教条主義的に信じられているからなんだぜ。


レイム
つまり、「記者は間違ったことをしない」という前提が業界の共通認識として存在しているので、問題が起きると原因を常に外に求めてしまうから、色々と歪んだ陰謀論になるって事ね。


マリサ
そういう事だぜ。
実際には、これまでこの動画シリーズでも紹介してきたように、「記者」が問題を起こした事例も、捏造や隠蔽を「自分達の意思で」行った事例も多数あるぜ。


レイム
でも「記者は間違わない、権力者が記者を間違わせるのだ」という妄信があるから、同業の問題を批判できなかったり、記者クラブ批判も今回紹介したように歪みまくって実態とかけ離れた陰謀論化したりするわけね。


マリサ
そういう事だぜ。
で、業界とは関係ない人たちから見れば、こんな「ずれた」記者クラブ批判に関わりたくないから、問題そのものがむしろ表面化しにくくなるわけだ。


レイム
なるほどね。


マリサ
そんなわけで今回の本編はここで終わるぜ。


レイム マリサ
ご視聴ありがとうございました。


大口
おつかれ~


大口
今回は長くなりすぎたのでおまけはないよ。
おまけを見たい人は動画説明欄にある番外編動画「見た目インパクトな魚特集」を見てね。


マリサ
それじゃあ今回はここで終わるぜ。


レイム マリサ 大口
またらいしゅ~



お知らせ。
転載について
・個人の利用であれば、一般的に「引用」とされる範囲での転載は自由にしてもらってかまいません、報告も必要ありません。
・企業・団体等が「転載」する場合は私の方へ事前連絡いただき、許可を取ってから行ってください。
イデオロギー色の強い団体等に関しては、理由の如何に関わらず「転載は原則禁止」とさせていただきます。

もしよかったらクリックをお願いします。
blog.with2.net


以下は当ブログのお勧め記事です、もしよかったらこちらもどうぞ。

韓国人が日本人から嫌われる根本的原因 - 日韓問題(初心者向け)

【韓国起源説】日本人の反論は韓国人に通じない - 日韓問題(初心者向け)

日本人と韓国人とでは「約束・契約」の概念が全く違う - 日韓問題(初心者向け)

日韓問題(初心者向け)の方針について色々 - 日韓問題(初心者向け)

【河野談話】韓国政府が自爆しました - 日韓問題(初心者向け)

フランスのJapan Expoから韓国がいなくならない原因 - 日韓問題(初心者向け)

「Japan Expoに寄生しないで独自のコリアエキスポやればいいのに」→過去にやった事があります - 日韓問題(初心者向け)

韓国人の差別意識の特徴とタイの嫌韓 - 日韓問題(初心者向け)

嫌韓の出発点、2002年日韓共催ワールドカップで何が起きたのか - 日韓問題(初心者向け)

嫌韓を「排外主義者=ネトウヨ」と考える人達に対する考察をしてみた - 日韓問題(初心者向け)

「韓国に対して謝罪すれば解決する」は大きな間違い - 日韓問題(初心者向け)

韓国視点から見たヘイトスピーチ - 日韓問題(初心者向け)

メアリー・スーとネトウヨ論 - 日韓問題(初心者向け)

日韓問題とイデオロギー論争 - 日韓問題(初心者向け)

韓国では異論が徹底的に排除される - 日韓問題(初心者向け)

日韓問題基礎知識簡易版まとめ 前編 - 日韓問題(初心者向け)

日韓問題基礎知識簡易版まとめ 後編 - 日韓問題(初心者向け)

初心者でも解る韓国対策 - 日韓問題(初心者向け)

韓国社会では「記憶の改変」が起きているわけではない? - 日韓問題(初心者向け)

【再現】2002年日韓ワールドカップ Public Viewing in 国立競技場 - 日韓問題(初心者向け)

徴用工裁判問題まとめ - 日韓問題(初心者向け)

慰安婦問題で重要な事 - 日韓問題(初心者向け)


動画版マイリスト



番外編マイリスト