さて、本日は尹錫悦政権発足で始まった「日韓の関係改善への動き」が極めて困難な理由について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
現在、韓国では政権が変わったことから「日本との関係改善」へ向けての期待が高まっており、様々な対話のチャンネル構築に向けて韓国側から動き出しているが、動きの主な理由が「アメリカと中国から圧力を受けたから」である可能性が高い。
また、韓国は徹底した序列社会であるため、「約束もルールも序列の上位者が決める」という価値観が社会に根付いている事もあり、一見すると日本と問題意識の共有ができているように見えるが、実際には全くできていないことがわかる。
このため、日本としては下手に折れたり妥協したりせず、一貫した態度を取り続ける必要があるが、少なくとも現在の岸田政権の対応のなかで、いくつかの日本のメディア等で危惧されているような安易な妥協の兆候はみられない。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:関係改善を急ぐ韓国
まずはこちらの記事から
尹大統領が林外相と面会 韓日関係改善に期待
聯合ニュース 2022.05.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220510004900882
【東京、ソウル
聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)新大統領は10日、日本の
岸田文雄首相の特使として来韓した
林芳正外相と面会し、林外相から岸田首相の親書を受け取った。
今回の親書は、尹大統領が就任前に派遣した政策協議代表団が先月26日に岸田氏と面会した際に伝達した親書に対する返信と位置づけられる。
尹大統領は「岸田首相が親書を送ってくださったことに感謝する」とし、先週には天皇から温かいお祝いのメッセージを受け取り、心から感謝していると伝えた。
また「岸田首相と両国関係改善のために共に努力していくことを期待している」としながら、「早期に首相にお目にかかれることを期待する」と述べた。
岸田首相は親書で、韓日、韓米日の戦略的連携が重要だとし、尹大統領が韓日関係の改善に強い意欲を示しているのは大変心強く思うと伝えた。また両国間の障害を取り除き、関係改善につなげていく尹大統領のリーダーシップに期待を示したとされる。
尹大統領は、前日に行われた朴振(パク・ジン)外交部長官と林外相の夕食会について触れた上で、「お二人が韓日関係の発展方向に対して深い意見を交わしたと承知している。今後もお二人が緊密な意思疎通をしていくことをお願いする」と話した。
また林氏に対し、「日本の政界では『難しい問題があれば林大臣に』と言われるほど、これまで多くの分野で重要な調整役を担ってきたと承知している」とし、「今後の両国関係発展においても大きな役割を果たすことを期待する」と強調した。
日本メディアによると、林外相は尹大統領に対し、1965年の国交正常化以来積み重ねてきた友好協力関係の基盤に基づき、両国の関係を発展させる必要があるとし、韓日、韓米日の戦略的協力がこれまでになく重要な時期に、韓日関係の改善をこれ以上、待つことはできないと伝えた。また強制徴用訴訟問題など懸案解決の必要性も指摘したという。
林氏はこの日開かれた尹大統領の就任式に出席するため、9日に来韓した。日本の外相が来韓するのは2018年6月の河野太郎氏以来、4年ぶりとなった。
先日行われた、韓国の尹錫悦大統領就任式に出席した林外相と尹大統領との会談について書かれている記事なのですが、林外相が「戦略的協力がこれまでになく重要な時期に、韓日関係の改善をこれ以上、待つことはできない」と伝え、関係改善に向けて日本側からも動くと言ったことが書かれています。
またこのコメントからは、日本側が対北朝鮮、対中国における「安保協力」を想定している事もわかります。
また次の記事によると
親書交わした尹大統領と岸田首相 韓日首脳会談はいつ?
聯合ニュース 2022.05.10
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220510004700882
【東京、ソウル
聯合ニュース】日本の
林芳正外相は10日、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)新大統領と面会し、
岸田文雄首相からの親書を手渡した。
親書には尹大統領の就任を祝い、韓日関係の発展を期待する内容が記されているとみられる。
今回の親書は、尹大統領が日本に派遣した政策協議代表団が先月26日に岸田氏と面会した際に伝達した尹大統領の親書に対する返信と位置づけられる。親書を交わしたことで、両首脳の初の対面会談が行われる時期に関心が集まっている。
韓国側からはこの日開かれた尹大統領の就任式に岸田氏が出席することを期待する動きもあったが、林外相が首相の特使として出席し、韓日首脳会談は実現しなかった。今月24日に東京で開かれる米日豪印の枠組み「クアッド」首脳会合に合わせた尹大統領の訪日も、実現は難しいとの見方が優勢だ。
韓国でも日本でもなく、第三国で韓日首脳会談が開かれる可能性もある。
日本メディアによると、岸田氏は来月10~12日にシンガポールで開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席する方向で調整している。英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)が主催するこの会議では、アジアや欧州、米国の国防相などが安全保障の懸案を議論する。
だが、会議には主に国防相が出席することから、尹大統領が出席するかは不透明だ。
来月下旬に相次いで開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)と北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせて韓日首脳会談が開催されるとの見方もある。
尹大統領は来月29、30両日にスペイン・マドリードで開かれるNATO首脳会議に招待され、出席を検討している。この会議はNATO加盟国以外にアジア・太平洋の4カ国が招待対象となっており、岸田氏と対面する可能性がある。
その直前の来月26~28日にドイツで開かれるG7サミットに韓国が招待される可能性も排除できない。韓国が招待されれば、尹大統領がドイツを訪問してG7サミットに出席する岸田首相と会談を行う可能性がある。
2019年12月に当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍晋三首相が韓中日首脳会談の開催に合わせて会談して以来、韓日首脳会談は2年半近く行われていない。
韓国側は早くも日韓首脳会談の開催を希望しており、早急にトップダウンによる関係改善を望んでいる事がわかります。
余談になりますが、韓国側は「ドイツで開かれるG7サミットに韓国が招待される可能性も排除できない。韓国が招待されれば、尹大統領がドイツを訪問してG7サミットに出席する岸田首相と会談を行う可能性がある」としていますが、以下にあるように
独、6月G7サミットにインドや南アなど4カ国を招待
朝日新聞 2022年5月2日
https://www.asahi.com/business/reuters/CRBKCN2MO0V9.html
[ベルリン 2日 ロイター] - ドイツ政府報道官は2日、6月にドイツで開催される主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)に、セネガル、南アフリカ、インド、インドネシアがゲストとして招待されると明らかにした。
少なくとも現状、今年6月に開催されるG7サミットに韓国がゲストとして招待される予定はないようです。
そして重要なのが、「なぜ韓国側はそこまで関係改善に前のめりなのか」という事です。
次の記事にもあるように
エスパー元米国防長官「韓国が中国の軌道に引きずられる状況を懸念」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.11 07:27
https://japanese.joins.com/JArticle/290892
「日本と過去史問題で対立している
文在寅(
ムン・ジェイン)政府が中国と近寄るのではないかと懸念した」とマーク・
エスパー元米国防長官が
回顧録で明らかにした。
トランプ政府で国防長官を務めたエスパー元長官は10日出版した回顧録『A Sacred Oath(原題)』で韓米関係に対して「平壌(ピョンヤン)を眺めるわれわれの見解は一致すると確信したが、私は韓国が貿易、経済、地形という重力に引かれて中国の軌道に引きずられる(drift into)状況を心配した」と書いた。
また、「核心問題は韓国が米国を安全保障のパートナーとして維持しつつ、中国を経済パートナーとして選び、このような関係を同時に維持することを希望すること」とし「当然両立できないが、韓国はこの道に向かうようだった」とした。
また、慶北尚州(キョンブク・サンジュ)のTHAAD(高高度ミサイル防衛)砲台に配備された米軍の生活条件がとても劣悪で、韓国政府に繰り返し問題を提起したが、そのたびに韓国側は忍耐を求めたとし、「われわれはソウル(韓国政府)の無反応が国内政治と中国に対する過度な懸念によるものだと考えた」と主張した。
さらに、韓国と日本が過去史問題や日本発輸出規制、GSOMIA(韓日軍事情報包括保護協定)延長の見送りなどで対立していることに対しては「大きな絵で韓日両国はもちろん、米国も負ける状況だった。北朝鮮と中国だけが内紛によって利益を得た」と不満を吐露した。
エスパー元長官は特に「文在寅(ムン・ジェイン)政府は日本より北朝鮮と異見をさておいてさらに対話しようとする意志があるように見えた。これは問題だった」と指摘した。
また、トランプ前大統領が韓日葛藤に対して「おぞましい」と表現し、「わが立派な同盟」と皮肉ったりもしたと振り返った。
エスパー元長官は韓国がGSOMIAを終了する代わりに、延長決定を「見送る」ことにしたのが自身の提案だったとも主張した。
さらに、「2019年11月15日文在寅大統領に面会した席でこのような方針を提案し、当時文大統領がこれといったコメントはなかったが、結局韓国はGSOMIA終了の条件付き延長を発表した」と主張した。
また、中国を牽制するためには韓日米間安保協力が重要だとし、韓国がクアッドに加入するのが欠かせないと主張した。
エスパー元長官は「トランプ大統領が在韓米軍の完全撤収を提案したが、これを防ぐために努力した」とし、マイク・ポンペオ前国務長官の才覚で危機を克服した瞬間を紹介したりもした。
ポンペオ前長官がトランプ前大統領に「在韓米軍の撤収は2回目の任期の優先順位にしましょう」と提案すると、トランプ大統領が「そうだ、そうね、2回目の任期」といって微笑みを浮かべたということだ。
エスパー元長官は「韓国軍は準備ができていないが、文在寅政府が戦時作戦権転換を任期内に達成することに無謀に思われるほど必死(hell-bent)だった」と主張した。
また「任期中に韓国に配備した在韓米軍の4世代戦闘機を5世代F-35ステルス機に変えたかったが、韓国の政治的雰囲気によって推進が簡単ではなかった」と主張した。
「ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官もF-35配備を支持したが、北朝鮮がどのように反応するのかを含んで政治、外交的に推進し難いと考えた」とも話した。
当時、エスパー元長官は「F-35を韓国に永久配備する代わりに、6カ月ごとに循環配備する方針を検討しよう」とし、エイブラムス司令官が2020年12月関連の記者会見を行うことにした。だが、エスパー元長官はその年11月に更迭された。
アメリカは尹政権が文政権と同じく「経済は中国、安保はアメリカ」という外交を展開しようとしていることを危惧しており、アメリカ側が文政権への「当然両立できないが、韓国はこの道に向かうようだった」という言及で、遠回しに尹政権に対して釘を刺しています。
どうやら、韓国は水面下でアメリカから相当な圧力を受けているようなのです。
また中国からも
来韓しなかった習主席が尹大統領に訪中要請
朝鮮日報 2022/05/11
https://web.archive.org/web/20220511080442/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/05/11/2022051183727.html
尹大統領、各国
使節団と相次いで会談し外交デビュー
米国の団長には「竜山に来られた最初のお客さま」
日本の外相には「首相との会談に期待」
中国の習近平・国家主席が韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を中国に招待した。尹大統領の就任を祝う使節団として来韓中の中国の王岐山・国家副主席は10日、尹大統領との会談で「習主席は私に(尹錫悦)大統領就任式に出席し、『貴国(韓国)が大統領のリーダーシップの下で発展し、国は太平で民衆は平安であることを宿願せよ』と指示した」と述べ、習主席が尹大統領を中国に招待する意向であることを伝えた。
これについて韓国の外交関係者の間からは「習主席からの招待は外交的な慣例に反する」との指摘が相次いでいる。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の任期中に習主席は韓国に1回も来たことはなく、文前大統領だけが2回訪中した。そのため「尹大統領の訪中よりも習主席の来韓が先に行われるべき」ということだ。習主席の来韓は朴槿恵(パク・クンヘ)政権時代の2014年7月以来行われていない。王副主席はこの日「デリケートな問題の妥当な処理」という言葉も使った。中国がTHAAD(高高度防衛ミサイル)について問題提起を行う際によく使う言葉だ。
尹大統領はこの日、中国をはじめ米国、日本、シンガポールなど海外からの祝賀使節団を竜山の大統領室庁舎に相次いで招き、外交舞台に公式デビューした。最初の公式外交日程は米国のハリス副大統領の夫であるダグラス・エムホフ団長率いる米国使節団との会談だった。尹大統領はエムホフ団長に「(竜山)庁舎に来られた最初のお客さま」として「大韓民国の繁栄をもたらした、強固な韓米同盟を象徴する2チームが出会ったことは韓米同盟の明るい未来を示しているようだ」と述べた。エムホフ団長は「(バイデン)大統領が直接私に親書を託した。今後の5年間緊密に協力したい意向が込められている」と伝えた。
続いて尹大統領は日本の林芳正・外務大臣を団長とする日本の使節団と会談した。林外相が岸田文雄・首相からの親書を手渡すと、尹大統領は「岸田首相と両国関係改善に向けて共に努力することを期待している」「早い時期に岸田首相に会えるよう期待する」と述べた。
尹大統領はアラブ首長国連邦(UAE)使節団との会談では「UAEは大韓民国にとって非常に重要な国だ」と述べ、これにUAE側の団長を務めるカルドゥーン・アル・ムバラク行政庁長官は「韓国は第2の祖国だ」と応じるなど談笑した。尹大統領はシンガポールのハリマ・ヤコブ大統領とも歓談した。
キム・ミョンソン記者
中国側が尹大統領との会談の席で、外交慣例を無視した「中国への招待」を行っていたようで、こちらも相当な圧力を受けているようです。
そしてそのうえで次の記事を読んでもらうと、韓国側の「最大の意図」がわかります。
【時論】激しくなる米中対決、日本というカードを活用しよう
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.11 10:03
https://japanese.joins.com/JArticle/290907
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の外交課題に関する
世論調査で、「日本との関係改善」が最下位の6位に挙げられた。「韓米日安保協力」を3位と比較的重視しながら中国に対する強い警戒心も表わした。論理的に見れば中国を牽制して韓
日米安保協力を図ろうとするなら日本との関係改善が必要だ。それでも世論は日本に対し、中国・
北朝鮮の次に強い不信感を見せ関係改善を軽視している。言ってみれば安全保障上は日本が必要だが拒否感のため関係改善は避けて、韓米日協力は米国に委託しようという計算とみられる。
米中戦略競争の状況で韓国に加えられる選択の圧力は大きくなり、決定が招く不利益は計り難い。覇権国の間で勢力シフトが起きかねない未曾有の状況で韓国は米中の二者択一を超え日本と組んでこそ有利だ。こうした観点で見れば次期政権の最優先対外課題は韓日関係改善だ。
同じ世論調査で1位になった「韓米同盟強化」は特に困難はないように見える。2位である「北朝鮮非核化」はいくらがんばっても具体的成果がない公算が大きい。これに対し韓日関係は韓国の意志によって期待以上の大きな進展を見られる分野だ。両国関係を放置したり国内政治的に利用するにはとても多くの利益がかかわっているのが韓日関係だ。
浮上する中国に対応し韓国の戦略空間を作るためには北東アジアで力の均衡が必要だが、いつまでも米国を信じているだけではいられない。米国は政権と関係なく「米国優先主義」が深まっている。自国の利益に合致しなければ同盟も損切りするし、最悪の場合、孤立した韓国は中国の影響圏に繰り込まれる懸念もある。
しかし韓日が緊密に協力する場合、両国ともに中国の求心力に耐える戦略的自律性を確保する余地ができる。中国の圧力に共同対応でき、負担を共有して分散できるはずだ。米国が北東アジアに残るよう求心役をすることにより米国とさらに対等な関係を構築する基盤になるだろう。韓米日安保協力と韓日中機能協力を調和できる軸になるわけだ。これは米中戦略競争に巻き込まれるより接点を見いだしていく歩みだ。韓日経済は相互競争的だが補完的な側面も多い。米中の技術脱同調化状況で韓日が技術協力を通じて米中双方の圧力を耐えたり両市場をいずれも活用したりする余地ができるだろう。韓日で重複する産業に対して供給網をともに確保するためのパートナーになり得る。国際舞台でも両国がともに推進するアジェンダは相当な影響力を発揮するだろう。
それならだれが韓日関係改善の役割をするのか。両国の指導者の責任かもしれないが、票が命である政治家は世論に反する政策を展開するのが難しい。旧日本軍慰安婦と徴用問題、日本の輸出規制でこじれるだけこじれた状況ではさらにそうだ。
韓日関係改善のカギは両国国民にある。その中でも先に手を差し出して大きな役割をできるのは被害者側だ。韓国の政治・経済・文化的成就は途轍もない。過去史問題でももう自尊感を持って堂々と対応すれば良いだろう。
2005年に日本の教科書歪曲に対し強硬対応方針を明らかにした当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の国民向け談話は依然として響く。「不信と憎しみの感情が芽生えれば、再び途方もない不幸を避けることができないでしょう。ある程度の感情表現は当然ですが、節度を失ってはいけません。慎重に判断し、話し、行動しなければなりません」。
両国関係改善には障害が多いが、韓国が日本に対し長い呼吸で「慎重に判断し、話し、行動」することから始めるならば米中競争の渦中で韓国ははより良い国に発展できると信じる。
申孟浩(シン・メンホ)/元駐カナダ大使
色々と書かれていますが、韓国側は日本との関係改善をすることで、日本を「米中からの圧力の盾に利用したい」というのが本音なのです。
要するに、これまでのように「経済は中国、安保はアメリカ」というスタンスを続けるために、日本を韓国と同じ位置に引き込みたいわけです。
2:価値観が違いすぎる
そして重要なのは、韓国側がこうしたご都合主義が罷り通ると思いこんでいる事です。
ここで重要となるのは、以前から指摘しているように、韓国は徹底した序列社会であり、私達の社会において「約束」の概念が担っている社会機能を韓国では伝統的に「序列」が担っているという事です。
そしてこれの何が重要なのかというと、単純に「序列の上位者が常に正しい」というだけではなく、「社会のルールは序列の上位者が決める」という発想が根底にある事です。
これは単に「韓国人は日本より自分達の方が序列が高いと考えている」というだけではなく、別の意味があります。
それは「序列の上位者がそう決めればそのルールには皆が従う」という発想です。
韓国側がひたすら「首脳会談によるトップダウン式解決」を望んでいるのはそのためで、とりあえず「日本の総理大臣さえ説得してしまえば問題は解決する」と考えているのです。
韓国ではそれが常識なのです。
例えば以下の事例のように
大統領就任式に招待された脱北者団体代表「北朝鮮向けビラ100万枚再度散布する」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.09 17:11
https://japanese.joins.com/JArticle/290834
脱北者団体の自由
北朝鮮運動連合は先月25日と26日に
北朝鮮向けにビラを散布したのに続き、近くビラ100万枚を
北朝鮮向けに再び散布する計画だと明らかにし議論が予想される。自由
北朝鮮運動連合は7日に報道資料を出し、「近く事実と真実の手紙、自由と希望の消息誌である対
北朝鮮ビラ100万枚を再び愛する
北朝鮮同胞に送るだろう」と明らかにした。
◇「近くビラ100万枚再散布する計画」
同連合は「昨年だけでも北朝鮮向けビラを犯罪視しあれほど騒いだ文在寅(ムン・ジェイン)政権も金正恩(キム・ジョンウン)も静まりかえりなにも言わなくなった。政権が変わるので社会も少し変わったようだと私の同志たちは話す」とした。
◇尹錫悦次期大統領就任式の招待状公開
自由北朝鮮運動連合はこれとともに「まだもう少し見守らなくてはならないが、ありがたくも尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領就任準備委員会で本人から国民代表資格で就任式に招待された」として尹錫悦大統領就任式の招待と入場カードを公開した。その上で「尹錫悦大統領に感謝申し上げ、候補時代に話された所信通りに大韓民国を憲法精神のままにしっかりと率いて成功するよう心から祈る」とした。
◇先月末には金浦地域からビラ散布
これに先立ち自由北朝鮮運動連合は先月25~26日に京畿道金浦(キョンギド・キンポ)で尹次期大統領の写真などが入れられた北朝鮮向けビラ100万枚を大型気球20個にぶら下げて北朝鮮に飛ばした。これと関連し同連合はこの日、「現地ヒューミントと確認した結果、平壌(ピョンヤン)、南浦(ナムポ)、沙里院(サリウォン)地域にたくさん散布されたと連絡がきた」と明らかにした。ヒューミントとは人(ヒューマン)と情報(インテリジェンス)の合成語で、人を通じて収集した情報を意味する。
◇ビラ散布めぐる賛否議論再燃も
この団体の対北朝鮮ビラ散布再開により、ビラ散布の賛否と住民の安全などをめぐり尹錫悦政権発足直後からビラ散布問題が再び議論になりかねない状況だ。
これは境界地域住民の命と安全のため制定され施行中の法律である「対北朝鮮ビラ禁止法」に反するためだ。対北朝鮮ビラ禁止法は軍事境界線一帯での対北朝鮮拡声器放送とビラなどの散布に対し最大3年以下の懲役や3000万ウォン以下の罰金で処罰できるよう規定している。
これまで京畿道の坡州(パジュ)、漣川(ヨンチョン)、金浦など境界地域の相当数の住民と自治体は北朝鮮へのビラ散布に反対してきた。彼らは「休戦から70年間境界地域住民たちはビラが散布されるたびに南北間の緊張と軍事的衝突の可能性が極端に上昇し不安に苦しめられている。ビラ散布は表現の自由ではなく安全で平和な人生を望む境界地域住民の望みを一瞬で崩す無責任な行為」として批判している
文政権は2020年12月、「対北朝鮮ビラ禁止法」を制定させたため、どんなに問題があったとしても「法」である以上は守らねばならず現状では摘発対象です。
いずれ尹政権が法改正をするにしても現在は違法行為であり、それが通常の法治国家です。
しかし記事では、脱北者団体が4月に「北朝鮮へのビラ散布」をしたことを、政権交代1日前になってわざわざ宣言しています。
一般的な国であれば、後に情状酌量の余地が出るとしても、本来は警察に摘発されるはずですから、わざわざそんなリスクを冒してまで「宣言」を行う必然性はなく、人権上どうしてもやりたいのであれば「公然の秘密」として、法改正までこっそりとやっていればいいはずです。
しかしこの団体は堂々と「宣言」を行っています。
なぜなら、韓国では法の上に「権力」が存在しているため、政権が保守系に変わればそれだけで「法が適用されなくなる」可能性が高いからです。
また次の事例では
ディスカバリーファンド詐欺、駐中大使の弟・張夏元容疑者の逮捕状請求
朝鮮日報 2022/05/10
https://web.archive.org/web/20220510151508/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/05/10/2022051083047.html
韓国警察は9日までに、投資家に2562億ウォン(約262億円)の被害を与えた
プライベートエクイティファンド「
ディスカバリーファンド」による詐欺事件で、ファンドを創設、運営してきた
ディスカバリー資産運用代表の張夏元(チャン・ハウォン)容疑者の逮捕状を請求した。同容疑者は
文在寅(
ムン・ジェイン)政権で初代政策室長を務めた張夏成(チャン・ハソン)現駐中大使の弟。
しかし、ファンド売却中断から3年たった今になって警察が動いたことを巡り、被害者の間からは「政権の実力者の名前が挙がった事件で顔色ばかりうかがっていた警察の態度が大統領選以降変わったのではないか」とする声が聞かれた。
本紙取材を総合すると、ソウル地方警察庁金融犯罪捜査隊は6日、張代表と会社役員1人について、特定経済犯罪加重処罰法が定める詐欺容疑と資本市場法違反の疑いで逮捕状を請求した。
韓国の与党関係者が関わっていた疑惑のある大規模投資詐欺事件に関して、それまで政権の顔色を伺っていた警察が、政権が交代した途端に捜査を開始したという事例です。
この事例からも、韓国では明確に法律の上位に権力が存在している事がわかります。
また次の事例が興味深く
韓国文化体育観光部長官候補「日本はアジアを支配してみたため順法精神良い」過去の発言が物議
ⓒ 中央日報日本語版2022.04.28 11:42
https://japanese.joins.com/JArticle/290478
次期文化体育観光部長官に指名された朴普均(パク・ポギュン)氏が過去に「日本はアジアを支配してみたため順法精神が良い」という趣旨の発言をした事実が明らかになり議論が起きている。
MBCが27日に伝えたところによると、朴氏は2014年に翰林(ハンリム)大学で開かれた第1次世界大戦100周年セミナーで、世界の大国は韓国と違い「法に例外を置かない」と話した。
彼は「韓国は暇さえあれば例外をしきりに設けようとするが、法が定められれば守るのが世界を経営した国々との違い。日本もアジアを支配してみたため日本の人々も見れば順法精神が良いが、民族的な教育もあるが世界を経営してみた習慣」と話したという。
また、韓国国民が東日本大震災で放射能が漏出し日本産水産物を敬遠していることに対しても理解できないという反応を見せた。朴氏は「日本産水産物にもしかして放射能があるかと思い韓国の人々は食べないのではないか。東京ではお金がなくて刺し身と寿司を食べられないのに」と話した。
[単独]「日本、アジア支配してみて順法精神‥」パク・ボギュンの親日歴史観
MBC(韓国語) 2022-04-27
https://imnews.imbc.com/replay/2022/nwdesk/article/6363432_35744.html
アンカー
今回は文化体育観光部長官に指名されたパク・ボギュン候補者に対する検証です。
パク候補者は「日本はアジアを支配してみたため、準法精神が良い」という趣旨で公開セミナーで語った。
日本に対する褒め言葉を越えて植民支配を肯定評価しており、被害を受けた韓国長官候補者の考えが合うか批判が出ています。
イルカ記者の単独報道です。
レポート
去る2014年ハンリム大学で開かれた第1次世界大戦100周年セミナー。
講演者は当時中央日報待機者だったパク・ボギュン文化体育部長官候補者でした。
朴候補者は、戦争の触発過程を説明する。
[パク・ボギュン/文化体育観光部長官候補者]
「私たちは隙間があれば例外を何度も置こうとするが、法が定められれば守るのが世界を経営した国々の違いです。」
そして、日本はアジアを支配してみたので「準法精神が良い」という趣旨で語ります。
[パク・ボギュン/文化体育観光部長官候補者]
「日本もアジアを支配してみたから日本人も見ればコンプライアンス精神が*なのに‥民族的な教育もあるが世界を経営した習慣です」
当時は東日本大震災発生3年が過ぎた時点で、韓国人が日本産水産物に過度に敏感だと非難するかと言えば、 「パク・ボギュン
/文化体育観光部長官候補者」
でお金がなくて刺身で寿司を食べられないのに‥」
「広開土大王碑」を発見したのは日本であり、私たちは発掘努力もしないと批判します。
[パク・ボギュン/文化体育観光部長官候補者]
「私たちの学者たちとか、私たちの国民の間ではそのようなことを発見しようと回り回らず、私たちは評価だけをしようと思います」
親日的な歴史観は、彼が書いたコラムのあちこちにもあります。
東日本大震災直後、日本人たちの落ち着いた対応について褒めており、韓国に向けては「猛烈な甲に馴染み、男のせいと群れの格安社会風土が増えた」と書いた。
「帝国中心の考えです。植民地を経験し、また歴史をすぐに立てなければならないそのような義務を持った国家の長官候補者の歴史認識では不適切ではないか(考えになります。」
)日王の誕生日のお祝いに出席したことについては「取材過程だった」と解明しました。 [イム・
[ギョン/文化体育観光委議員]
「大韓民国人なのか、それとも日本人なのかというこんな疑問があるほど。 長官職をきちんと役割ができるのか‥」
を予告しました。
MBCニュースイルカ。
記事では、尹政権の閣僚候補が「日本はアジアを支配してみたため順法精神が良い」という趣旨の発言をしたという事が書かれています。
これも要するに、「他者を支配した経験」=「序列の上位者になった経験」があるので、日本を含む「(この人物から見て)世界の大国」は「法に例外を置かない」として、それが説得になると考えているという事がわかります。
また興味深いのは、批判している側もこの人物が定義した「約束の概念」に反発しているのではなく、 「日本を擁護した」という親日発言のみを問題視している事も重要です。
実際には、それならばなぜ中国やロシアは「そうなっていないのか」という突っ込みは置いておくとしても、本質的に彼らが私たちとは全く異なる発想で思考しているという事がわかります。
これが韓国との対話での最大の障害で、韓国人達は私たちがなぜ「約束を守れ」と言っているのかが本質的に理解できておらず、どんな話をしても「ボタンの掛け違い」が起きてしまうのです。
最初に紹介した「韓国側の思惑」に関しても、根底にあるのはこの発想の違いです。
彼らからしてみれば、約束やルールというのは権力者が自由に作り替えて良いものであるので、どんなに日本側が1965年の日韓請求権協定や、2015年の慰安婦合意を韓国側が一方的に反故にしたことを問題視しても、彼らは「日本の権力者の不評を買ったのが原因」としか考えないのです。
彼らが提案する「解決案」がどれも見当違いなのはこのためです。
実際、次の記事でも
【中央時評】徴用問題、賢人会議で解こう=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.11 10:25
https://japanese.joins.com/JArticle/290909
韓国新政権が直面している懸案のうち、韓日関係よりも緊急な対処と新しい思考を要する事案もないだろう。なぜ至急かといえば、韓日関係を改善できる機会の入り口がすぐに閉まる可能性があるからだ。いま徴用判決に基づいて差し押さえられた日本企業の資産を現金化する過程が進行している。現金化されれば日本が報復措置を取ることになっているため、韓国も対応が避けられなくなる。すると状況が急転直下し、解決法を論じることができなくなる。現金化はいつでも行われる可能性がある。
なぜ新しい思考が必要かといえば、徴用問題を韓日両国が互いに譲歩して妥結しようという原則的な接近では解決しないという点がもう明らかになったからだ。日本は始終一貫して韓国国内の判決が韓日間の合意に反するため、韓国が問題を解消して国際法的な合意が持続するようにしてほしいという立場だ。新政権が新たな思考をしなければ、徴用問題の議論は空回りするしかない。いま日本は韓国新政権の解決意志に対して期待半分、憂慮半分という状況とみられる。
こうした事情のため急いで原論を越えた問題解決中心の接近をする必要がある。韓日関係を解こうとするなら徴用問題から解かなければいけない。2つの作業が求められる。1つ目は現金化過程を止めることだ。これを放置して妥結を推進するのは危険であるうえ誠意を欠いているように映る。もちろん法的手続きの現金化を中断させる方法を見つけるのが容易でないが、そうしなければならない。2つ目は、大法院(最高裁)の判決で生じた国内法と国際法の間の乖離を克服する解決法を用意することだ。問題が国内の判決から始まったため、韓国側が解決方法を探す努力をするしかない。
解決法に関し、政府は大法院の判決を意識して日本側に一部の負担を負わせる案を提起してきた。日本はすべて拒否した。一方、政府の外ではやや柔軟な案が議論されてきた。◆韓日協定上の紛争解決手続きの仲裁委員会◆国際司法裁判所◆文喜相(ムン・ヒサン)案のような立法による韓国側の補償◆韓国側が補償して(日本が呼応するかどうかは別にして)日本に求償権を行使する代位弁済--などがある。すべて我々が政治的な負担を抱えても解決策を見いだそうという趣旨だ。
この程度の案であってこそ実質的な議論が可能だというのが現実だが、問題は果たして政府がこうした選択をできるかだ。これまでの韓国側の立場や国民感情を勘案すると、新政権がこういう決定をするのは難しい。したがって新政権も前政権のように日本と負担を分け合おうとする可能性が高い。すると日本は変わっていないとして反発するはずだ。まさにジレンマだ。
【中央時評】徴用問題、賢人会議で解こう=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.11 10:28
https://japanese.joins.com/JArticle/290910
なら、ジレンマの前に立った政府が解決案を見いだせるよう助け、同時に現金化の過程にブレーキをかけ、協議の状況を改善させる案はないのだろうか。なくはない。超党派的な民間賢人会議を運営して解決策を依頼する方法がある。政府が賢人会議を結成し、その解決方法に基づくと宣言しながら、さらに賢人会議の運営期間を例えば100日に設定し、当事者に追加行動を自制するよう協力を要請することだ。
この場合、超党派的な国論を通じて解決法を用意することになるため、政府の負担は希釈されるだろう。政府が賢人会議という特段の過程を設定しながら自制を要請すれば、たとえ法的な効力はなくても社会的な現金化中断圧力効果が生じるはずだ。事実上、現金化にブレーキがかかる。
賢人会議が解決法を出す間、周囲で建設的な世論を喚起する作業もあればよい。徴用賠償のために韓日関係が最悪の状態にとどまれば国益にマイナスとなり、それは利益較量の側面で賢明でないという談論を起こす必要がある。被害者救済は別の方法で行い、韓日関係は解こうという談論を広めるということだ。すでにこの数年間、韓日関係改善のために力を注いできた「韓日ビジョンフォーラム」も公論化の過程で役割を担えるだろう。
日本は韓国国内のこうした動きを評価するはずだ。すでに筆者が賢人会議案を2019年に初めて提起した後、日本の官民から前向きな反応が出てきた。米国でも良い反応があった。船橋洋一・朝日新聞元主筆とマイケル・グリーン米戦略国際問題研究所(CSIS)副会長はインタビューと寄稿で好感を表した。賢人会議が始まれば韓日間協議の雰囲気が好転すると予想される。日本の柔軟な反応も期待できる。米国も歓迎するだろう。
もちろん徴用問題で韓国側が譲歩するのではと考える人もいるはずだ。しかしこの問題は我々も1965年の合意で解決したと考えていたことだ。本当に重視すべきことは徴用問題で最悪になった韓日関係を放置すればさらに大きな国益の損傷が続くという事実だ。
韓日関係が改善すれば、相対的に日本よりも韓国により大きな利益になるという冷静な現実を直視し、新たな思考を急ぐ時だ。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)/元韓半島平和交渉本部長/リセットコリア外交安保分科長
記事の前半部分では一見すると「韓国側が日本側との問題意識の共有ができた」ように受け取れますが、記事の後半部分では「政府が賢人会議を結成し、その解決方法に基づくと宣言しながら、さらに賢人会議の運営期間を例えば100日に設定し、当事者に追加行動を自制するよう協力を要請することだ」と、何ら具体的な解決策のないまま、「賢人会議を開いて解決すればいい」と書いています。
要するに、権威付けされた機関が一方的にごり押せば、内容は何でもいいと考えているのです。
しかし、それでは朴槿恵政権の慰安婦合意と同じで、政権が変われば「権威の交代」がおきてしまうので、いずれまた「一方的な合意の反故」が起きるだけなのですが、彼らはそこに疑問を持っていません。
彼らにとって、約束というのは「そういうもの」なのです。
3:日本政府の対応
こうした背景があるので、日本側の対応は常に「常識の違い」を意識し、安易に譲歩せず、事務的に無味乾燥な態度で「原則論」を繰り返すのが最も重要であり、安易な妥協をすれば問題が悪化するだけという事を常に意識していないといけません。
そのうえで、日本でも産経系のzakzakなどが、岸田政権が安易に韓国に折れるのではないかと危惧しており、そのことで岸田政権を批判している人もいますが、少なくとも私が観察している限りでは今のところその兆候はありません。
なぜかというと、次の記事を見てもらうと
韓国次期外相・日本外相「早期関係改善」に共感…歴史問題は「平行線」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.10 07:07
https://japanese.joins.com/JArticle/290838
訪韓中の
林芳正外相が9日、ソウルで韓国の朴振(パク・ジン)外交部長官候補と会って夕食を共にしながら約2時間会談を行った。両者は友好的な雰囲気の中で早期関係改善の必要性に共感したものの、歴史問題に対しては相変らず平行線を辿った。
◆「関係改善が必須不可欠」
外交部はこの日、会談後に報道資料を通じて「両者は最近の厳重な地域情勢下で早期の韓日関係改善が必須不可欠だという認識で一致した」とし「特に最近の韓半島(朝鮮半島)状況および急変する国際情勢下で、韓日・韓日米間の緊密な共助強化が必要だという認識で一致した」と明らかにした。
外交部によると、この日両者は「新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)状況を見ながら韓日間の人的交流を再活性することが望ましい」ということに共感した。朴氏は林外相に対して、韓日間の人的交流を新型コロナ以前に戻すために、金浦(キンポ)-羽田路線の再開、ビザ免除の復元などを推進していくことを提案した。
金浦国際空港と東京羽田空港間をつなぐ路線は新型コロナの余波で2020年3月から2年以上中断された状態だ。先月、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足を控えて日本に派遣された韓日政策協議団も岸田文雄首相に会って路線再開を要請した。これに関連して外交部当局者は「新型コロナ状況を楽観的にばかり見るわけにはいかないが、基本的に人的交流の再活性化が非常に重要であることで(朴氏と林外相の)意見が一致した」と説明した。
◆「金大中(キム・デジュン)-小渕宣言を継承、発展」
朴氏はまた「両国関係の発展のために1998年金大中・小渕宣言(韓日共同宣言 21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ)精神を継承、発展させていく必要がある」と述べた。金大中・小渕宣言は植民支配に対する日本の心からのお詫びと未来志向的な韓日関係の関連内容を含んでいる。
一方、2カ月以上続いているウクライナ事態に関して、朴氏は「ウクライナの早期平和安定のために支援する方案などに対しても今後緊密に協力していく必要がある」と述べた。林外相も「ウクライナに対するロシアの侵攻を強く糾弾する」と述べたと駐韓日本大使館側が伝えた。
また、この日の会談で林外相は「できるだけ早期に朴氏の訪日を期待する」と述べた。外交部当局者は「両氏間の基本的な相性はよく、尹氏-岸田首相の電話会談、韓日政策協議団の訪日、韓日局長級協議、林外相の訪韓まで最近両国間非常に良い流れが続いている」と評価した。
◆相性は良かったが…歴史問題は「平行線」
会談の全般的な雰囲気も、過去よりは友好的だったという評価だ。従来なら日本側が前もって準備してきたメッセージを機械的に読むような態度を見せたとすると、この日の会談では韓国側の立場により配慮して単語選択も繊細にする形に変わったという。
ただし、林外相は強制徴用や慰安婦など歴史問題に対しては「韓国が約束を守らなければならない」という従来の立場を維持したという。在韓日本大使館の塚本康弘・国際報道官はこの日の会談後、取材陣とオンラインで会い「徴用工、慰安婦などの歴史問題が議論されたか」という質問に「両者はさまざまな懸案に対して議論したが、日韓間には1965年合意(日韓請求権協定)がある」とし「その約束を守ることが非常に重要だ」と述べた。
林外相は10日、尹氏の大統領就任式に出席し、個別面談を通じて岸田首相の親書を手渡す予定だ。これは先月、韓日政策協議団が岸田首相と面談の時に手渡した尹氏の親書に対する返信の性格を持つ。日本外相の訪韓は2018年6月当時河野太郎外相の韓国訪問以降、約4年ぶりとなる。
日本側は「関係改善」に向けて前向きであるとしていますが、同時に「林外相は強制徴用や慰安婦など歴史問題に対しては「韓国が約束を守らなければならない」という従来の立場を維持した」という態度で一貫していたという事が書かれています。
これが非常に重要で、今回書いたような「ボタンの掛け違い」が起き続ける以上、日韓の間でまず「トップ会談をしただけで問題は解決しない」という共通認識作りが重要であり、彼らが「その意味」自体は理解できなくとも、「日本は折れない」という認識ができれば一歩前進となります。
ですので、日本側がこの態度を変化させない限りは、「安易な譲歩はない」というのが私の考えです。
書き方を変えれば、岸田政権が韓国に対して「約束を守るべき」と言わなくなったら、そのときにこそ警戒すべきという事でもあります。
韓国世論が「条約で解決済み」という韓国政府の判断を許さないでしょうから、本質的な部分での解決は不可能でしょうが、少なくともこれ以上に状況が日本にとって悪い方向に向かう事もありません。
なので少なくとも私は、現状の岸田政権の態度に問題があるとは考えていません。
重要なのは「安易な妥協で韓国側に誤ったシグナルを送らない事」ですので、どんなに韓国に対して融和的な態度を取ろうとも、この部分さえ変わらなければ問題が悪化することは無いからです。
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