さて、本日は日本といわゆる「歴史問題」を便利に言い訳に利用する韓国について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由 - 日韓問題(初心者向け)
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
一連の日米韓の軍事訓練や協力に関して、韓国側は日本との歴史問題などに関する「信頼構築が先」等の理由を述べて事実上拒否する態度をとっており、このことが対中や対露政策などで足並みのそろわない原因となっている。
しかし調べてみると、韓国は近年対中投資や対ロ投資をかなり増やしており、企業の投資が無駄になってしまうような対露や対中政策はとりにくいという背景があり、実際に中国の限韓令やロシアの「友好国除外」にかなり敏感に反応している。
このことから、韓国は中国やロシアを刺激する日米韓の軍事協力や訓練をしたくないという背景があり、その「口実」に日本との歴史問題を持ち出している背景があり、そのため尹政権になっても軍事的な協力関係はさほど進展しない場合もあり得ることがわかる。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはウェブアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:足並みのそろわない日米韓
まずはこちらの記事から
韓米日制服組トップが1年ぶり会談 協力の重要性を確認
聯合ニュース 2022.03.31
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220331004100882
【ソウル
聯合ニュース】
北朝鮮が
大陸間弾道ミサイル(
ICBM)による挑発を再開したなか、韓米日3カ国の制服組トップが31日、約1年ぶりに対面で会談し、安保の懸案を話し合った。
韓国軍合同参謀本部によると、元仁哲(ウォン・インチョル)合同参謀本部議長は日本時間のこの日午前、米ハワイで米国のミリー統合参謀本部議長、日本の山崎幸二統合幕僚長と会談した。
3カ国は会談後に共同で発表した報道資料で、「朝鮮半島と域内の安保状況、域内の安保への挑戦、韓国と日本を守るという米国の確固たる公約について議論し、韓米日3カ国の緊密な連携と協力により域内の安保を強固にしていく努力が非常に重要だということで認識が一致した」と発表した。
北朝鮮がICBMを発射し、核実験場を復旧する動きを見せるなか、3カ国の協力策なども議論されたもようだ。
報道資料は「自由で開かれたインド太平洋地域の平和と安定を促進し、安保協力を拡大するための一環として多国間協力や(軍事)訓練についても幅広く意見交換し、このための3カ国の協力も強化することを決めた」と伝えた。
3カ国の制服組トップによる会談は、2010年からテレビ会議や対面で毎年1~2回ずつ開催されている。この日の会談は、昨年4月に対面で実施されて以来約1年ぶりとなる。
一部メディアはこのほど、米国と日本政府が韓米日の高官級協議で3カ国による朝鮮半島海域での軍事訓練を提案したが、文在寅(ムン・ジェイン)政権が同意しなかったと報じた。この日の会談で日本側が3カ国間の軍事協力の必要性に言及したかも注目される。
韓国軍合同参謀本部の関係者は記者団に対し、3カ国の軍事協力が議題に挙がったかについて、詳しい内容は3カ国間の合意により公開されないとした上で「多国間の安保協力は(会談のたびに)いつも行う原則的なレベルの話で、多国間協力は『訓練』を直接的に指すものではない」と一線を画した。
韓国国防部の関係者も、3カ国の軍事協力の可能性について「韓米日間の安保協力は行われており、中断していない」としながら、軍事訓練に関する議論は行われていないと強調した。
韓米日軍事訓練に否定的 「韓日間の信頼回復が必要」=韓国外交部
聯合ニュース 2022.03.31
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220331003200882
【ソウル
聯合ニュース】韓国外交部は31日、
北朝鮮の脅威に対応するための韓米日3カ国の軍事訓練について、現在の韓日関係では不可能だとする従来の立場を改めて示した。
同部の崔泳杉(チェ・ヨンサム)報道官は定例会見で、韓国の軍事同盟国は米国が唯一だとしたうえで、「韓日間の軍事協力は両国間の信頼回復とこれに対する国民の共感があってこそ可能だという政府の立場に変わりはない」と述べた。一方で、「北の核・ミサイル脅威に対応するための韓米日間の安全保障協力が重要だとの認識は共有している」とした。共通の脅威である北朝鮮の核に対応するため日米との安保協力は行うものの、く、韓国国民が軍事協力に拒否感を持っていることから、軍事訓練には否定的な姿勢を示した格好だ。
韓国の一部メディアは30日、米国と日本の政府が韓米日の高官級協議で3カ国による朝鮮半島海域での軍事訓練を提案したが、文在寅(ムン・ジェイン)政権が同意しなかったと報じていた。
こちらの2つの記事では、日米韓の軍事関係者が「韓米日3カ国の緊密な連携と協力により域内の安保を強固にしていく努力が非常に重要だということで認識が一致した」という公式発表をしたにも関わらず、日本との協力には「日本とは対立する懸案が多い」という世論の声が多いとして拒否していると書かれています。
また次の記事では
「韓日軍事協力は信頼回復から」…韓国政府、韓米日訓練拒絶を間接確認
ハンギョレ新聞 2022-03-31
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/43008.html
韓国外交部チェ・ヨンサム報道官が内外信会見での質問に答える
韓国外交部が31日「韓日間の軍事協力は両国間の信頼回復とこれに対する国民的共感の形成が先行してこそ可能になるという韓国政府の基本的立場には変わりがない」と明らかにした。
チェ・ヨンサム報道官はこの日午後、内外信との定例記者会見で「米日政府が韓米日3国軍事訓練を繰り返し提案したが、韓国政府が受け入れなかったという報道があるがそれは事実か」との質問に対しこのように答えた。「事実でない」ではなく「韓日軍事協力は時期尚早」という趣旨の間接返答で事実上報道内容を確認したわけだ。
チェ報道官は「ただし、北朝鮮の核・ミサイル威嚇への対応のための韓米日3国間安保協力は重要との認識を共有している」と付け加えた。
チェ報道官の会見直後、外交部は「韓米日軍事訓練に関連する韓国政府の立場」というタイトルで同じ内容を出入り記者団に携帯メールで公示した。
これに先立ってハンギョレは「最近米国と日本の政府が、韓米日3国軍事訓練を韓国周辺海域で実施しようと繰り返し提案してきたが、韓国政府はこれを受け入れなかった事実が確認された」と報道した。
イ・ジェフン先任記
韓国の外交部(日本の外務省に相当)が、「韓日間の軍事協力は両国間の信頼回復とこれに対する国民的共感の形成が先行してこそ可能になるという韓国政府の基本的立場には変わりがない」というスタンスで、日米韓の軍事訓練を拒否したという事が書かれています。
そして次の記事によると
日本の歴史教科書歪曲に韓国与党「尹次期大統領はなぜ沈黙するのか」…尹氏側「外交問題を悪用するな」
朝鮮日報 2022/04/01
https://web.archive.org/web/20220331232542/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/04/01/2022040180004.html
駐日韓国大使が1カ月も韓国国内に滞在…両国の緊張の中で長期間の空席を批判する声も
韓国の与党「共に民主党」は31日、日本が高校の教科書で朝鮮人強制連行を「動員」「徴用」と表現したことを巡り、尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が沈黙していると批判した。しかし尹次期大統領側は、共に民主党が外交を国内政治に悪用していると反論した。
共に民主党の朴洪根(パク・ホングン)院内代表は31日に党の会議で、日本の教科書問題に関連して「韓日関係を引っ張る次期大統領の沈黙が韓国国民を不安にさせている」とし「この問題を個別事案と見なし、見解の表明は不適切だとする大統領職引き継ぎ委の見解の方が適切でない」と主張した。前日、尹次期大統領サイドの金恩慧(キム・ウンへ)スポークスマンがブリーフィングで、尹次期大統領が就任前の当選人の身分であることを理由に関連の見解表明を行わなかった-と批判したのだ。朴院内代表は「政権交代がなされたから歴史すら交代するのかという声まで上がっている」とし「(尹次期大統領が)沈黙すればするほど、これまで見せていた貧困な歴史認識とビジョン不在ばかりが一層大きく浮き彫りにされる」と発言した。
共に民主党のこうした攻勢に対し、金恩慧スポークスマンは「度量の広さを守ってほしい」とした。金スポークスマンは、書面ブリーフィングで「(引き継ぎ委は)現在の日本の外交パートナーである現政権の立場をまず尊重するのが道義だと判断した」とし「外交問題を国内政治に悪用しようとするかのような(朴院内代表の)言及は遺憾」とコメントした。さらに「尹当選人は候補時代から韓日両国の発展的関係を希望しているが、このためには正しい歴史認識と過去に対する徹底した反省が前提になるべきだということを数度にわたって表明してきた」「この先、そのいかなる歴史歪曲(わいきょく)にも断固として対処するだろう」と伝えた。
こうした中、姜昌一(カン・チャンイル)駐日韓国大使が今月初めから1カ月近くも韓国国内に滞在し続けている事実が判明し、論争が起きている。韓国の新政権発足や日本政府の教科書検定の日程などを控えて、駐日大使が長期間にわたり席を空けるのは不適切ではないかという声が上がっている。姜大使は韓国大統領選挙直前の今月4日に健康上の理由で韓国へ戻った後、先週に新型コロナに感染したとの判定を受けたという。
キム・ミンソ記者、東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員
韓国次期大統領の尹錫悦氏が、一連の日本の教科書検定に抗議の声を挙げない事を、韓国の与党が批判しており、尹氏はそのことを「外交問題を国内政治に悪用しようとするかのような(朴院内代表の)言及は遺憾」としながらも「この先、そのいかなる歴史歪曲(わいきょく)にも断固として対処するだろう」と回答しているという記事です。
ここまでならば、尹氏側は日米韓の軍事協力に抵抗はないが、文政権が足を引っ張っているだけに見えます。
しかし次の記事を読むと
尹次期大統領側、日本の教科書における歴史歪曲に「断固たる対応取る」
ハンギョレ新聞 2022-04-01
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/43015.html
「次期大統領の沈黙が国民の不安高める」との
民主党の攻勢に
「次期大統領だから対応控えた…批判も節度を守るべき」
尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は3月31日、日本の教科書における歴史歪曲について、「今後、いかなる歴史歪曲にも断固たる対応を取る」と述べた。
キム・ウンヘ次期大統領報道担当は同日、書面ブリーフィングを通じて、「尹次期大統領は大統領選候補時代から韓日両国の発展的関係を望んでいるが、このためには正しい歴史認識と過去に対する徹底した反省が前提にならなければならない点を重ねて明らかにしてきた」とし、このように伝えた。 前日、キム報道担当は日本の歴史歪曲教科書に対する立場を問う質問に「次期大統領が外交に対して立場を示すのは不適切だ」としたうえで、「(尹氏の立場は)正しい歴史認識を基に未来志向の関係発展のために協議していこうというもの」だと、原則的な立場を示すのにとどまった。
キム報道担当がこの日「断固たる対応を取る」というより具体的な立場を示したのは、共に民主党が「『政権が交代し、歴史まで交代したのではないか』という声まであがっている」と述べるなど、攻勢に出たことによるものだ。民主党のパク・ホングン院内代表はこの日、国会で開かれた政策調整会議で「韓日関係を率いる次期大統領の沈黙が国民を不安にさせている」とし、「(尹次期大統領は)福島原発事故をめぐり『爆発も、放射能流出もなかった』という誤った認識を示し、『有事の際、自衛隊が朝鮮半島に駐屯することもありうる』という発言で国民に懸念を抱かせた」と非難した。さらに「(尹次期大統領が)沈黙すればするほど、これまで見せた乏しい歴史認識とビジョンの不在がより浮き彫りになるだけだ」とし、「国民は日本の歴史歪曲に断固として言うべきことを言う大統領を望んでいる。外交と協力も国民の共感の中で行われるものだ」と述べた。
尹氏側は民主党のこうした批判に「節度を守ってほしい」と反発した。キム報道担当は「この問題についてこれまで言及を控えたのは、現在の日本の外交パートナーは現政権であり、次期大統領として政府が立場を示す個別の外交事案をまず尊重するのが道義だと判断したためだ」とし、「民主党はまだ政権与党ではないか。外交問題を国内政治に利用しようとするような言及は遺憾だ」と反論した。さらに「国益を優先する姿勢で協力することを丁重に求める」と付け加えた。
ソ・ヨンジ記者
記事によると、尹氏側は「(日本との協力は)正しい歴史認識と過去に対する徹底した反省が前提にならなければならない」と発言しており、結局のところ韓国側の歴史観をそのまま受け入れない限り、日本との関係改善はないという意思表明をしています。
また次の記事を読むと
韓国国民の約9割「最優先で米と協力を」 対日関係の改善必要は7割超
聯合ニュース 2022.04.04
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220404000500882
【ソウル
聯合ニュース】韓国経済団体の
全国経済人連合会(全経連)が4日に公表した次期政権の経済、外交・安全保障政策に関する
世論調査結果によると、最優先で協力すべき国として、回答者の86.8%が米国を挙げた。
北朝鮮(5.0%)、中国(3.2%)、欧州連合(EU、2.1%)、日本(1.4%)は5%以下となった。
一方、経済分野で「北朝鮮・中国・ロシアと協力すべき」との回答は4.3%だった半面、「米国・日本と協力すべき」は68.0%に上った。「中立を維持すべき」は27.7%だった。
外交・安保分野でも「米国・日本と緊密に協力すべき」は69.5%で最多だった。「中立を維持すべき」は24.4%、「北朝鮮・中国・ロシアと協力すべき」は6.1%。
また、「韓国と日本の政府が互いに関係改善に向け努力する必要がある」との回答は74.9%に上った。
韓国大法院(最高裁)が日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者への賠償を日本企業に命じた訴訟に関しては、「日本の謝罪を受け、韓国と日本が共同で設立した基金で賠償すべき」との回答が50.4%で最多となった。
対中国けん制の米日豪印4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」に韓国が参加することに関しては、「段階的な参加を推進すべき」が69.0%で最も多く、「全面参加を推進すべき」が17.5%、「推進反対」は7.5%だった。
対中関係では、84.9%が「短期的に関係が悪化しても、韓国政府が主要懸案に対する立場を堂々と表明すべき」とした。
全経連の担当者は「新政権は米国、中国と適切な外交関係を築き、韓日関係改善、Quad参加推進などを通じて国益を最優先する経済、外交・安保戦略を取るべきだ」と提言した。
調査は世論調査会社のモノリサーチに依頼し、1000人を対象に実施した。
韓国世論は経済・安保双方で日本との協力をすべきという意見が多数派なのですが、その条件として、「日本の謝罪を受け、韓国と日本が共同で設立した基金で賠償すべき」と、事実上「日本側が自主的に請求権協定の内容を変更しろ」と要求しており、韓国人達の望む関係改善とは、日本が韓国側の要求を受け入れることが前提条件となっています。
※ちなみにこの韓国側の「条件」の最大の問題点は、構造が慰安婦合意と全く同じであり、「裁判を主導している団体なども反対している方式」であることから、仮に日本が協定を捻じ曲げて受け入れても、慰安婦合意と全く同じ道をたどる事がほぼ確定している事です。
2:問題は経済的事情
ここまでですと、少なくとも問題は歴史観であり、対北朝鮮などで軍事的な足並みをそろえることは可能なように見えますし、尹氏の使節団が最近アメリカに赴き安保関連の話し合いをしていた事からも、それが伺えるように見えます。
しかし実際には、そこまで単純な話ではないという背景があります。
次の記事を見てもらうと
韓国政権移行期、激浪の韓半島情勢…中国・日本と解決すべき課題
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2022.04.02 10:51
https://japanese.joins.com/JArticle/289493
韓国の次期政権が中国・日本など
韓半島(
朝鮮半島)周辺国と共に解決すべき課題が少なくない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領はその間、中国とは相互尊重外交を、日本とは関係改善を進めると明らかにしてきた。そして「米国と中国の間でこれ以上は戦略的あいまい性を維持するのが難しい。韓米同盟に重心を傾ける」とし、韓米関係を優先視するという立場を明確にした。
先月25日の尹次期大統領と中国の習近平国家主席の最初の電話会談も当選を祝う目的で行われたが、この日の発言には双方の基本立場がそのまま反映されていたという評価だ。尹次期大統領は北朝鮮が前日に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)に関連し「韓半島と域内の緊張が急激に高まり、国民の心配が大きい」と述べた一方、習主席は「両国は動くことができない永遠の隣国であり、切り離せない協力パートナー」と韓中関係の安定化と世界サプライチェーン問題などに言及した。
互いに協力を強調する姿だったが、双方ともに最も懸念する事案を最初の電話会談で取り上げたというのが、専門家らの共通した分析だ。尹次期大統領は北朝鮮の挑発を、習主席は米国の牽制を念頭に置いた発言だったという点でだ。今後、高高度防衛ミサイル(THAAD)追加導入、「クアッド(日米豪印)」参加、「3不」政策などをめぐり両国関係が厳しくなる可能性があることを暗示している。
◆再確立を予告した韓中関係=専門家らは韓米関係の強化が韓中関係の悪化につながってはならないと口をそろえた。北朝鮮大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は「尹錫悦政権も韓中協力の現実的な重要性を認識し、THAAD追加配備やミサイル防衛(MD)システム編入など軍事的に敏感な事案を容易には決定しないはず」とし「これは実用主義を前に出した新政権の政策基調とも合わない」と述べた。
韓中関係において傾いたグラウンドを正すべきという意見も提示された。高麗大の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「両国が敵対的になってはいけないが、少なくとも大統領が北京を訪問して一人で食事をするような外交的無視にあってはならない」とし「外交的なバランスをとる必要がある」と話した。
中国に対する経済的な依存度を減らしながら中国の影響力を徐々に縮小していくべきだという助言もあった。国立外交院のキム・ヒョンウク教授は「対中外交が萎縮する理由は中国の経済的影響力のためであり、中国が圧力を加えれば国民感情、そして両国関係も悪化するという悪循環が繰り返されている」とし「これを克服するためには南方政策など経済的協力を多角化する政策が必要だ」と強調した。
尹氏側は「米国と中国の間でこれ以上は戦略的あいまい性を維持するのが難しい。韓米同盟に重心を傾ける」としており、文政権と違って親中路線は取らないという意思表示をしていますが、韓国内では「韓米関係の強化が韓中関係の悪化につながってはならない」という声が大きいという件が紹介されています。
そして賛否ある原因として「対中外交が萎縮する理由は中国の経済的影響力のためであり、中国が圧力を加えれば国民感情、そして両国関係も悪化するという悪循環が繰り返されている」「これを克服するためには南方政策など経済的協力を多角化する政策が必要だ」と書かれており、経済的なつながりが強い事が韓国が完全に「アメリカ側」に付けない理由と書かれています。
問題はこの件です。
実際問題、尹氏側は「日本との関係を改善する」とは明言していますが、その具体的な方法には一切触れていませんし、何よりその考えが韓国世論と大きく変わっているようにも見えません。
つまり、韓国の歴代政権と同じく、全てを日本に丸投げにする確率が極めて高いという事なのですが、問題はそれだけではなく、経済的な理由から中国や更にはロシアに対しても不評を買うようなことができず、日米韓の連携はかなり難しいという事です。
実際、韓国は文政権以前の歴代政権が対中投資を推奨しており、経済的なつながりが強くなりすぎたことで中国に逆らえなくなり、朴槿恵政権では民主主義国家で唯一中国の軍事パレードに大統領が参加するという状況にまでなっていました。
その結果、次の記事にあるように
【コラム】韓国企業を原野に放置するな
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.06.11 09:18
https://japanese.joins.com/JArticle/254297
韓国企業に選択の瞬間が予想より早く訪れた。企業は米国か中国か、ファーウェイ(
華為技術)か反ファーウェイかの選択を強要されている。
企業は2年前の「THAAD(高高度防衛ミサイル)事態」当時のロッテを思い出しているはずだ。慶尚北道星州(ソンジュ)のゴルフ場をTHAAD配備場所として提供したのは政府の決定に基づくものだった。すぐに中国の報復が始まった。ロッテマートは中国現地の不買運動に苦しみ、中国内の99店舗のうち87店舗が当局の営業停止処分を受けた。振り返れば2000年代後半のロッテマートの勢いは相当なものだった。中国に500店舗を展開し、中国の流通を制覇するという夢が膨らんでいた。しかし中国のTHAAD報復以降、その夢はついえた。ロッテマートは店舗を中国企業に売却して撤収した。大陸に流通帝国を築こうと進出してから11年目だった。THAAD報復によりロッテに生じた金銭的な被害は約2兆ウォン程度という。ロッテのイメージ損傷は測定不可能だ。
今回も中国は報復の意思を隠していない。中国商務省は外国企業のブラックリスト作成に入った。そこには「中国企業に対して供給を中断したり封じ込めたりして排他的な措置を取る行為」と「中国企業と関連産業に損害を及ぼす行為」が含まれた。ファーウェイなどに対する部品供給中断、ファーウェイ装備の使用禁止などが報復対象になるということだ。中国当局は最近、グローバルIT企業12社を呼んで「トランプ政権の対中国取引禁止措置に協力すれば深刻な結果に直面する」という警告もした。こうした事実はニューヨークタイムズ(NYT)の報道で広く知られた。ここにはマイクロソフトのような米国企業だけでなく、サムスン電子やSKハイニックスも含まれた。報復も報復だが、ファーウェイとの取引停止は韓国IT企業に相当な負担をもたらす。サムスン・SKハイニックスとファーウェイはすでに供給網(サプライチェーン)で絡み合っている。サムスンのNAND型フラッシュメモリー工場とSKハイニックスのDRAM半導体工場が中国で稼働している。ファーウェイが輸入する韓国産の半導体やディスプレーは年間12兆ウォン(約1兆1000億円)を超える。
とはいえ、中国側に寄るのは難しい。すでにハリス駐韓米国大使が韓国IT企業家の前で5Gネットワークについて「信頼がある供給者を選択すべき」とし、反ファーウェイ戦線に加わるよう促した。経営干渉に近い米国大使の異例の注文に企業家が感じた圧迫感は大きかったはずだ。トランプ政権の米国は控えめなスタイルではない。企業は昨年春、中国IT企業ZTEが米国の制裁で焦土化するのを目撃した。トランプ政権はZTEが米国の対イランおよび対北朝鮮制裁を違反したという理由で半導体など部品供給を禁止し、ZTEの営業は根本から揺らいだ。この制裁はZTEが罰金10億ドルを支払い、経営陣を交代して解決した。
韓国企業としてはまさに進退両難だ。前にはライオンが、後ろにはトラがいる。選択を強要されるとすれば、世界のグローバル企業も変わらない。一つ特徴があるとすれば、企業と政府が共に動くという点だ。グーグル、インテル、クアルコムなど米国企業がファーウェイとの取引停止を宣言できた根拠は、米商務省がファーウェイと系列68社を取引制限企業に指定したからだ。トランプ政権と戦うファーウェイの後ろには中国政府が存在する。各国政府は米国と中国の決闘の中で窮地に追い込まれている自国の企業を保護するのに注力している。
しかし韓国企業は原野に放置されているようだ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は「企業が自律的に決めるべき部分がある」と一線を画し、首相が指示した米中戦略競争担当組織はまだ稼働していない。企業は誰を信じてどこに頼ればよいのか。
THAAD事態当時、企業家は政府が企業を守ることができないという事実に絶望した。財界人は「ロッテは政府の言葉に従っただけなのに…」と遺憾を表した。その記憶は今も残っている。企業は今回、中国当局に呼ばれて脅迫を受けながらも在中韓国大使館に知らせなかった。「ロッテ学習効果」が残した政府に対する不信感のためかもしれない。
いま政府が至急すべきことは単純なことだ。国際情勢がいくら難しくても最善を尽くして韓国企業を守るという信頼を与えることだ。
イ・サンリョル/経済エディター
韓国はTHAAD配備に関連し、中国側から実質的な経済制裁を受け、記事ではロッテが多大な被害を受けたと書かれていますが、実際には現代やサムスン、LGなど、韓国の大手企業は軒並みの損害を受け、特に韓国のスマホは中国市場から完全に排除されるという事態になりました。
結果、記事にもあるように韓国はアメリカによる実質的なファーウェイ規制に「THAAD報復の再来」を恐れて同調することができず、中途半端な態度を取らざるを得なくなります。
また次の記事によると
韓経:韓国のゲームは防ぎながら…中国は2兆ウォン稼いでいった
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.12.24 11:02
https://japanese.joins.com/JArticle/273724
韓国が中国のモバイルゲームの「3大消費国」であることがわかった。中国政府が高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を口実に「限韓令」を発動し、自国で韓国製新規ゲームの流通を制限している間に起きたことだ。韓国政府が積極的に乗り出して不合理なゲーム貿易環境を正さなければならないという声が大きくなっている。
◇中国製が掌握した韓国のゲーム市場
23日のゲーム業界によると、中国視聴覚デジタル出版協会ゲーム委員会(GPC)は最近まとめた「2020年中国ゲーム産業報告書」を通じ、今年の中国のモバイルゲーム輸出額の8.8%が韓国で発生したと推定した。GPCが公開した国別のモバイルゲーム輸出の割合を見ると韓国は3番目に多かった。1位は米国の27.5%、2位は日本の23.9%だった。市場の割合と関連した報告書が公開されたのは今回が初めてだ。
中国のゲームは実際に韓国のモバイルゲーム市場で主導勢力に定着した様相だ。グーグルプレーの売り上げ上位30位のうち7作が中国製ゲームだ。これを通じて中国のゲーム会社が稼いだ金額は2兆ウォンほどと推定される。モバイルゲーム輸出好調のおかげで今年の中国のゲーム輸出額は1年前より33.4%増加した154億5000万ドルを記録したと推定される。
韓国製モバイルゲームの対中輸出成績はみすぼらしい。モバイルアプリ分析サイトのゲボリューションによると、16日基準で中国のモバイルゲーム売り上げ上位30位(アイチューンズストア基準)のうち韓国製ゲームはネクソンの「カートライダー」が23位に入っただけだった。この3年にわたり韓国の新規モバイルゲームの対中輸出が閉ざされた影響が大きいと分析される。中国は韓国のTHAAD配備を問題視し2017年3月から自国内で韓国の新作ゲーム流通を禁止している。
中国新規モバイルゲームはこの期間200作以上が韓国市場でリリースされた。これに対し同じ期間に中国でのサービスが認められた韓国製ゲームは1件がすべてだ。中国政府は2日に韓国のゲーム会社カムツスのモバイルゲーム『サマナーズウォー』に版号(流通許可)を発行した。版号は中国でゲームサービスをするために発給を受けなければならない許可権だ。韓国ゲームが版号を受けたのは3年10カ月ぶりだ。
ゲーム業界関係者は「一時韓国ゲームが中国市場を席巻し、中国のゲームは韓国で見つけるのが難しかったが状況が完全に逆転した」と話す。
世界最大のゲーム市場である中国への輸出が閉ざされ韓国ゲームのグローバル競争力も落ちた。韓国コンテンツ振興院が最近まとめた「2020大韓民国ゲーム白書」によると、韓国ゲーム産業の世界市場でのシェア順位は2018年の4位から昨年は5位に下落した。
◇不公正貿易放置した韓国政府
韓国のゲーム業界では中国の今回の許可がゲーム限韓令解除につながるのかに神経を尖らせている。ネットマーブル、NCソフト、パールアビスなど韓国のゲーム会社の主力ゲームも中国での新規サービスを期待している。だが限韓令を完全に解除したというシグナルとみるには時期尚早という解釈にウエイトが置かれている。ゲーム業界関係者は「中国ゲーム市場に『サマナーズウォー』より大きな影響を及ぼす韓国大手ゲーム企業の人気ゲームにはまだ版号を与えていない」と話した。今回の版号は中国が自国のゲーム市場を保護し続け、韓国ゲームの輸出は閉ざしているという批判から抜け出すために出したもので、単発にとどまりかねないという話だ。
韓国政府が状況解決に消極的という批判の声も大きくなっている。10月の国会国政監査でゲーム産業の担当官庁である文化体育観光部の朴良雨(パク・ヤンウ)長官は「韓日中文化相会議で別途要請しており、世界貿易機関(WTO)への提訴も総合的に検討する」と話した。しかしその後関連措置は出ていない。中国が許可制を運用するのと違い韓国は外国ゲーム会社が自由にサービスを行える。
韓国はゲーム市場などでも中国から締め出しを受けており、THAAD問題から続く限韓令により、中国のゲーム市場で販売許可が下りず販売できないという状況が続いていると書かれています。
これは芸能関係も同じなのですが、それでも中国依存をやめられない韓国は、中国の顔色を伺わざるを得ない状況になっており、これまでの対中投資が無駄になるという事をかなり恐れているのと、未だに「魅力的な中国市場をあきらめきれない」という背景があります。
関連記事
japanese.joins.com
またこれは対ロシアでも同じで
22年に日本抜き世界4位の輸出国に 韓国政府が新通商戦略
聨合ニュース 2018/04/05
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20180405003300882
【世宗
聯合ニュース】韓国産業通商資源部の通商交渉本部は5日、輸出先の
多角化などを通じて2022年に日本を抑え世界4位の輸出国に浮上するという目標を盛り込んだ「新通商戦略」をまとめていると明らかにした。
韓国の2017年の輸出額は5737億ドル(約61兆3000億円)で日本の6981億ドルを下回り、世界6位だった。22年に7900億ドル水準まで引き上げることを目標に、米国と中国に対する輸出依存度(17年基準で36.7%)を下げるとともに、新興市場に輸出先を広げる新北方・新南方政策を推進する。
米国に関しては、改定した韓米自由貿易協定(FTA)を基盤に両国の相互投資と雇用拡大を支援し、エネルギーや第4次産業革命の分野で未来志向の協力促進を模索する。中国とは韓中FTAのサービス・投資分野の追加交渉で韓国のサービス業界や専門人材の中国進出基盤を整え、都市間FTAなど高いレベルの地域経済統合で信頼を築く。
また、新北方政策の一環としてロシア主導のユーラシア経済連合とFTAを結び、貿易拡大と人材進出の足場を築くとともに、北極海航路開拓の機会として活用する方針だ。
東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドなど南方の国々に対しては、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉妥結とすでに締結したFTAの改善を通じ、競合国よりも有利な輸出環境をつくる。
米国を除く日本など環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国が先ごろ署名した新協定、いわゆるTPP11への参加も前向きに検討する。参加を決めれば下半期に国内の手続きを進める方針だ。
こちらの記事にもあるように、文政権はその発足当初から「新北方政策」というロシアを中心とした新興市場への投資を経済政策の目玉としており、貿易販路の拡大を目指し多くの企業が関わってきたという背景があります。
また次の事例のように
【コラム】状況に汲々とした韓国外交、全体を鳥瞰する視野を持つべき(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.06.28 09:31
https://japanese.joins.com/JArticle/254942
韓国外交に赤信号が灯った。政府が注力してきた北核問題は2月の
ハノイ米朝首脳会談決裂から4カ月が過ぎたが、交渉再開の動きがほとんどない停止状態だ。
北朝鮮は5月に短距離ミサイル試験発射を通じて圧力を加えながら「先に制裁解除」を要求している。米国は実質的な非核化なくしては制裁解除もありえないという立場を堅持し、両側は平行線をたどっている。
北朝鮮は仲裁役を自任していた韓国にも余計な口出しはするなとし、南北関係にも冷たい風が吹いている。
米朝が互いに自国に有利な時間ゲームだと認識する中で、北核も南北関係も視界ゼロの状況だ。
主要国との関係も冷え込んでいる。米国とは表向き問題がないようでも、4月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪米時、単独首脳会談が5分にすぎなかった事例からも分かるように、北核・インド太平洋戦略・南シナ海・在韓米軍・ファーウェイ(華為)などのさまざまな懸案で円滑ではない。日本とは修交以来、最悪かつ最長の危機に面している。強制徴用や日本軍慰安婦など歴史懸案に対する消極的対処が両国の国民感情を悪化させ、相互信頼が崩壊して経済・文化・観光など非経済分野への被害も大きくなっている。
これまで以上に緊密な協力が要求される転換期の状況で、かえって「互いに遠ざける」ことによって協力ができない機会費用まで考慮すれば被害ははかり知れない。強制徴用判決の強制執行の実現により、両国が相互対応措置に出れば、韓国経済に相当な被害が予想される。
政府が努力を傾けてきた中国・ロシアとの関係も停滞を免れなくなっている。中国には戦略的観点から問題が大きい「三不の約束」(THAAD追加不配備、ミサイル防衛不参加、韓日米同盟不加担)を交わしたが、THAAD報復措置も完全に撤回されず戦略対話も円滑に進んでいない。2018年北核交渉以来、4回の首脳会談を行った中朝関係とは対照的だ。新北方政策の核心であるロシアとの関係も進展がない中で、ロシアの北朝鮮への接近だけが目立つ。外交不振は現政権のせいだけではないが、執権2年が過ぎたという点で相当部分の責任を負わざるをえない。
転換期の超不確実性が招いた不安定かつ予測が難しい外部環境で、韓国外交の環境が厳しさを増したことは事実だ。韓国外交は冷戦時代には安保・経済の主軸が海洋勢力である日米両国であり、脱冷戦時代には過去の共産圏地域へと外交地平が拡大したが、米国が唯一の超強大国として依然として中心軸だったことから比較的方向設定が容易だった。
しかし、2000年代末の中国の急速な台頭から始まった転換期に入り、安保は米国、経済は中国に依存する「安米経中」の状況に置かれている。トランプ政府は同盟国に対しては利益を前面に出し、覇権に挑戦する中国に対しては修正主義勢力と見なして戦略対決を繰り広げているので、それだけ韓国の身動きの幅が狭まった。そうなるほどに外交がその役割を果たすべきなだが、現実はそうでない。
外交の重要性はいくら強調してもしすぎることはない。「地政学の帰還」と呼ばれる時代に地政学的に最も難しい国に韓国とポーランドを挙げることができる。最近、ポーランドがロシアの軍事脅威に備えて駐留米軍を4000人まで増やしたことは北大西洋条約機構(NATO)という大きな枠組みの他に、米国を直接連携させようという戦略として注視する必要がある。
韓国は経済の死活が海外市場と海外資源・エネルギーにかかっているため、対外依存度が非常に高い。THAAD事態のように、外交が対処を間違えば経済が大きな打撃を受ける構造だ。最近、米国・イラン間の軍事的緊張が高まりながらホルムズ海峡でタンカー攻撃があった。この地域で軍事的衝突によるタンカー通行に支障が出るようになれば、80%の石油をペルシャ湾地域に依存している韓国にとっては致命的な状況になる。
また、韓国は唯一の分断国として、統一を通じて真の独立を達成しなければならない。世界各地には743万人の海外同胞(2017年)、2870万人の海外旅行客(2018年)と多くの海外進出企業がある。最近、ハンガリー遊覧船転覆事故のように、海外の国民と企業の外交・領事的保護需要は韓国外交資源より非常に高い。
【コラム】状況に汲々とした韓国外交、全体を鳥瞰する視野を持つべき(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.06.28 09:31
https://japanese.joins.com/JArticle/254943
韓国外交はどうなのか。第一に、国際秩序の枠組みが大きく変化している状況で、実効的外交戦略がない中で状況対応に汲々としている。中堅国家である韓国が周辺強大国が形成する国際環境の構造変化に直接影響を与えることは難しいが、変化に能動的に対処する外交戦略が必要だ。
第二に、韓国外交は全体を鳥瞰する視野とバランス感覚が欠如していて、部分的事案に執着する傾向がある。韓国の外交事案はさまざまな利害当事者と関連しているので、全体的脈絡から均衡感を持ってアプローチしなければならない。たとえば対日関係は対米・対中・対北関係と連動している点で、部分ではなく全体の観点で扱わなければならない。
第三に、韓国社会の過度な民族主義は普遍的・世界的観点が不足した外交に続く。特に、北朝鮮と日本に対して民族主義性向が目立つ。北朝鮮に関連して「我々民族同士」の観点に傾けば韓半島(朝鮮半島)問題の国際的側面を見逃し、外交政策をわい曲することになる。日本とも国内政治的必要から民族主義に訴える傾向により、対日関係の客観的アプローチを難しくさせている。
第四に、20世紀の不幸な歴史のために被害者意識と過去指向的性向が強い。過去を忘れてはいけないが、過去の奴隷になって現在と未来を疎かにしてもいけない。長い目で過去を整理し、歴史的教訓として残しながら、歴史の和解と未来の開拓を試みなければならない。
第五に、外交の過剰政治化によって連続性が失われ、国内葛藤によって超党派的な対処が難しい。5年周期の政権交替のたびに外交政策が変わるため蓄積が難しい。代表的事例が東アジア政策だ。東アジア重視〔金大中(キム・デジュン)政府〕→北東アジア重視〔盧武鉉(ノ・ムヒョン)・朴槿恵(パク・クネ)政府〕→新アジア政策〔李明博(イ・ミョンバク)政府〕→新南方政策(文在寅)と、5年ごとに変わった。進歩・保守の対立も激しく、北朝鮮問題と東アジア勢力の転換に関する政策の振り幅が大きく、外交の効率性と一貫性が落ちる。
第六に、外交で希望的観測や確証偏向は危険だ。状況に関する客観的な評価が欠如すれば、政策が現実と遊離して外交失策につながる。最近の北朝鮮制裁に関する誤ったアプローチを例に挙げることができる。
第七に、青瓦台(チョンワデ、大統領府)主導外交で、外交政策の中心とならなければならない外交部の役割が萎縮している。また、外交の触手であり現場対応を担当する在外公館長に政治的な任命が増えたことも専門性の面で問題だ。
このような問題を克服するためには次のような措置が必要だ。1つ目に、外交戦略を明確に立案しなければならない。韓国外交の機軸は、価値を共有して安保・経済面で我々にとって重要で、今後数十年間、世界で優越的地位を持つ米国との同盟に置かなければならない。米国の新孤立主義傾向に照らして同盟を維持・強化することに努めて、ワシントン内の韓国の対中傾斜論を払拭させなければならない。安倍政府の広幅外交の背後には、盤石な日米関係があるという点で、韓国も韓米同盟をベースに周辺国とのたし算外交を繰り広げなければならない。危機の韓日関係を早期正常化して韓中関係も戦略的疎通が可能な水準まで回復させなければならない。
2つ目に、米中競争の間で韓国の位置づけ確保は同盟と原則がうまく調和するように事案別に微細調整するものの、全体的脈絡から対応しなければならない。どちらか一つだけを選ぶゼロサムゲームとして見てはいけない。インド太平洋戦略には参加し、開かれた東アジア体制を目指して南シナ海問題は通行の自由確保の努力を明確に支持するものの、我々の能力を超える作戦への参加は遠慮すべきだ。ファーウェイ問題は核心である通信セキュリティの確保に重点を置いた解決策を探し出なければならない。
3つ目に、中堅国家として掛け橋外交を活発に展開しつつ、国家生存に重要な自由主義の国際秩序、多国間主義、協力的国際主義を推し進めていかなくてはならない。活発な多国間外交とともに、志を同じくする国家と連携していく必要がある。
4つ目に、結果志向的プラグマティズム外交を追求しなければならない。機敏な先制対応外交のために、情報能力を高めて外交インフラの強化を急がなければならない。
5つ目に、外交の行き過ぎた政治化を防ぐための超党派的コンセンサス導出に力を入れなければならない。国民外交次元で、国民・メディアなどとも疎通しながら共感を広げなければならない。政権交替とは関係なく、外交専門家を登用する開かれたシステムも必要だ。
現在の状況が19世紀末の韓半島状況と似ていると懸念する声が聞かれるが、我々の能力も向上し、環境も良くなった。我々が肯定的な姿勢で官民総力外交をするなら、十分に活路を開くことができる。
申ガク秀(シン・ガクス)/法務法人世宗(セジョン)顧問・元駐日大使・リセットコリア外交安保分科委員
こうしたリスク無視の経済政策の結果、2019年時点で韓国は中国・ロシアとアメリカとの間で経済と安保の板挟みになり、どうにもならない状況に陥り、肝心の中露との関係も停滞するという状況になっていました。
要するに、3年前の時点で韓国は「経済的に深入りしすぎた」結果、中露に不都合な日米韓の安保体制を構築するのが事実上不可能になっていたという事です。
しかも韓国はその状態で
朝鮮半島情勢の「安定管理に努力」 韓国外交白書
聯合ニュース 2021.02.05
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20210205002100882
【ソウル
聯合ニュース】韓国外交部は5日、2019年の外交活動をまとめた2020年版外交白書を発表した。
外交部によると、白書には朝鮮半島平和プロセスの継続的な推進、周辺4カ国(米中日ロ)とのバランスの取れた協力外交の強化、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドとの協力を強化する新南方政策とロシアや中央アジア諸国との連携を深める新北方政策の充実化といった外交成果が収録されている。
康京和(カン・ギョンファ)長官は巻頭言で「19年の朝鮮半島情勢は、18年から続いた平和の流れの中で進展と小康(停滞)局面を繰り返しながら急速に変化した。韓国は緊密な韓米協力を土台に南北米間の対話の勢いを保つため積極的な役割を果たし、朝鮮半島の情勢が安定的に管理されるよう努力した」と振り返った。
19年は2月にベトナム・ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が物別れに終わったことで米朝対話の勢いが衰え、南北関係も行き詰まった。
康氏は続けて「周辺4カ国との戦略的な意思疎通により協力外交を拡大し、新南方・新北方政策などに取り組み外交の多角化努力も一段と深めた」とし、韓国・ASEAN特別首脳会議の成功により新南方政策の推進力を強化したと説明した。
白書は▼国際情勢および外交政策の基調▼朝鮮半島の平和と域内協力の促進▼外交の地平拡大▼経済外交の強化およびニューフロンティア外交の推進▼国際社会での役割拡大および地位向上▼国民と共にする外交▼革新を通じた外交力の強化――の7章で構成されている。
白書は外交部のホームページに掲載されるほか、政府機関や大学、研究機関、報道機関などに配布される。
こちらの記事にもあるように、「バランス外交」と称してロシアとの経済的なつながりをさらに深化させており、それを「外交成果」として誇っていました。
つまり、対中だけではなく対露でも経済的な依存度を高めた結果、もはや韓国は安保問題で中国とロシアを無視することができなくなってしまい、今更依存度を下げようにも「どこまで損切りの決断ができるのか」という状況になっているのです。
3:日本を口実にするしかない
こうした背景があるのですが、問題は韓国は損切りができないという事です。
以前から書いているように、韓国は「勝者総取り社会」であるため、「間違い」を認めればその全責任を間違いを認めた人間が「取らされる」という構造にあるので、彼らは決して過ちを認めませんが、今回の事例では、もしこの状況で日米韓の安保協力を行った場合、韓国は確実に中露から手痛い経済報復を受けることになります。
また韓国は元々対露外交で不透明な態度を取っていたのですが、現状ウクライナ含む様々な国の圧力、そして「ゼレンスキー大統領が日本で演説をした」事により、韓国で「韓国でも演説をしてもらうべき」という世論が高まり、次の記事にもあるように
ウクライナ大統領 韓国国会で11日にオンライン演説
聯合ニュース 2022.04.04
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220404003500882
【ソウル
聯合ニュース】ロシアの侵攻を受けている
ウクライナのゼレンスキー大統領が11日午後5時から、韓国国会でオンライン演説を行う。
韓国の国会外交統一委員会の李光宰(イ・グァンジェ)委員長がウクライナ側に提案し、実現した。
ゼレンスキー氏は先月16日(現地時間)、米議会で初めてオンライン演説を行い、国際社会の支持を訴えた。同月23日には日本の国会でオンライン演説した。
一方、李氏はラジオ番組で「ウクライナの難民400万人のうち、ポーランドの難民キャンプに(朝鮮系の)高麗人1000人がいる」として、難民の受け入れを検討すべきとの考えを示した。
また、「(ロシアのウクライナ侵攻に関する)われわれの声を明確に出す必要がある」と主張。「ロシアに現代自動車などの大企業がある。一方では企業を保護しなければならない」として、「外交努力を通じて韓国企業を守ることは別の領域」と強調した。
韓国はウクライナの大統領の国会演説を行う事にしましたが、記事では韓国の国会外交統一委員会委員長が「ロシアに現代自動車などの大企業がある。一方では企業を保護しなければならない」「外交努力を通じて韓国企業を守ることは別の領域」と、経済問題とロシアによるウクライナ侵攻を天秤にかけている事がわかります。
また次の事例では
韓国系米国下院議員「韓国新政府、クアッド加入する可能性」…韓米協力に期待
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.05 06:34
https://japanese.joins.com/JArticle/289563
韓国系の米国連邦下院議員であるヤング・キム氏(
共和党・カリフォルニア)は4日(現地時間)、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期政府が米国主導の安保協議体である日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)に加入する可能性について言及した。
キム議員はこの日、ワシントンDCにある前職議員連盟(FMC)が主催したオンラインセミナー「韓国政治の地殻変動」で「新たに発足する韓国政府は北朝鮮に対してもう少し断固たる態度を取り、米国のインド太平洋政策に足並みをそろえるとみられる」と展望した。
特にキム議員は、最近の北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射に言及して「北朝鮮に敵対的行為や人権弾圧などに対する責任を負わせ、韓米両国が緊密に協力しなければならない」と強調し、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が北朝鮮で恐怖政治によって自身の地位を固めようとしていると分析した。また、挑発を通じて国際社会の分裂を狙っているとしながら金正恩政権に確実なメッセージを与える必要があると指摘した。
具体的な方法としては、現行の対北制裁を確実に履行し、閉ざされた北朝鮮社会に外部の情報を流入させる必要があると説明した。
また、北朝鮮が国際社会の制裁を回避するために中国とロシアを抜け穴として利用している事実を指摘し、韓国と米国、日本の三角協力が北朝鮮を対話テーブルに復帰させるために重要な役割を果たすという分析も出した。
あわせてキム議員は米国の対中戦略に対しても新政府の協力を期待した。キム議員は「中国共産党がインド太平洋地域に軍事的脅威と経済的強圧を拡大させている」としながら「米国の対中戦略に韓国が共にするところを見たい」と述べた。
ただしキム議員は、新政府の対中政策の変化により韓国の産業界など一部では中国の経済的報復を懸念する反対世論が起きる可能性もあると見通した。
また「尹氏が韓国社会の各種懸案をどれくらいよく扱い、国民の支持をどれくらい引き出すかによって、外交政策の変化が成功するかどうかが決まる」と分析した。
一方、キム議員は来月で任期が終わる文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対しては「南北関係改善に集中し、米国と中国の間のバランスを通じて韓国の自律的な選択を強調した」と評価した。
韓国がクアッドに参加するかどうかについて書かれた記事なのですが、その中でアメリカの韓国系議員が「新政府の対中政策の変化により韓国の産業界など一部では中国の経済的報復を懸念する反対世論が起きる可能性もある」と危惧しています。
韓国は安保問題で「日本との歴史問題」を理由にしていますが、実際には中露と経済的に深くつながりすぎた韓国の経済問題が対中、対露路線で優柔不断な態度を取り続ける原因であるという事です。
そして重要なのは、これは既に政策上の問題ではなく、中露に多大な投資をしてしまった韓国の経済問題である以上、安保問題でアメリカ側に大きくかじ取りをすれば、中露から報復を受け韓国に多大な損害が出る事は確実であり、その決断をした尹政権が全責任を負わされるという事です。
つまり、尹政権には本人の意思がどうであれ現在の国際情勢で露骨に中露の側につくわけにもいかず、尹政権には文政権の対中依存や新北方政策路線の継承しか選択肢が無いという事です。
それは日本との歴史問題などを口実として、日米韓の安保連携を拒否し続けるという選択肢です。
実際、尹政権は現状の政権発足前から様々な件でビジョンを語っているが、そのどれにも具体性が無いと指摘されており、このこじれにこじれた安保問題でも確固たる考えや方針があるようには見えません。
当然、日本が韓国のしりぬぐいをする必然性はないわけですから、安易に韓国側の話に乗らず毅然とした態度を取り、韓国自身が自身の選択の責任を負うまで放置しておけばいいわけですが。
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