日韓問題(初心者向け)

日韓問題について、初心者でもわかりやすい解説と、日韓問題とマスコミ問題の動画のテキスト版を投稿しています。

韓国提案の「南北終戦宣言」はなぜ問題か

さて、本日は韓国政府の訴える南北終戦宣言に関連し、日本のいくつかのメディアがとんでもない印象操作をしていたので、その問題点について書いていきます。

初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。

ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由

注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています

・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです

・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません

・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう

・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください

数日前、共同通信が「日本が韓国提案の終戦宣言に反対し、アメリカが静観するなか核問題と拉致問題にこだわっている」と書いており、まるで日本だけが自国の都合に固執終戦宣言に反対しているかのように書かれていた。


しかし実際には、アメリカ側は終戦宣言が「ただの宣言」にとどまらず、在韓米軍の存在意義の否定につながる可能性がある事、また「まずは非核化が先に来なければいけない」という前提が必要な事を訴えており、考えとしては実際には日本とそう変わりがない。


また北朝鮮側は、元々終戦宣言にあまりこだわりがなかったうえに、文政権の提案に乗じて韓国軍と在韓米軍との合同訓練の廃止や制裁解除、国連司令部の解散などを要求しており、日米の懸念した通りになっている。


※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。


1:日本だけが終戦宣言に反対?



まずはこちらの記事から

朝鮮戦争終戦宣言に難色
共同通信 2021/11/7
https://nordot.app/829823059058655232


こちらの記事なのですが、「終戦宣言を望む韓国に対し、日本が「時期尚早」として難色を示したことが5日分かった。複数の外交筋が明らかにした。米国は態度を留保し、3カ国の温度差が浮き彫りとなった。」と書かれており、あたかも日本だけが終戦宣言に反対しているかのように書かれています。


また続いて、その動機として「北朝鮮がミサイル実験を繰り返し、核兵器開発と日本人拉致問題で解決への道筋が見えない中、岸田政権は融和ムードだけが拡大することを警戒した」と書かれています。


そしてこの記事に影響を受け、

平野啓一郎氏、日本政府の朝鮮戦争終結は「時期尚早」との判断に私見…「戦争を止めるなと言ってる」
スポーツ報知 2021年11月7日
https://hochi.news/articles/20211107-OHT1T51153.html?page=1

見てのように記事を読み「内政で失敗した時に、国民の目を逸らす外敵がいなくなるのが困るんだろう」といったことを書く人物も現れています。


そして次の記事では

文在寅政権残り半年、朝鮮戦争の「終戦宣言」はあるか
GLOBE+/朝日新聞 2021.11.05
https://globe.asahi.com/article/14474812


共同の記事ほど断定的ではないですが、韓国との議論の余地があるアメリカと違い、日本は強硬に反対し取り付く島もなく、また記事ではそれに現在の日韓関係の悪化が関係しているという印象を与える書き方となっています。


そしてこれらの記事なのですが、実のところどこがどのような理由から終戦宣言に反対の意見があるのか、その「本来の理由」が一切書かれておらず、ここに書かれているのは「断片情報の抽出」と「憶測」にすぎません。



2:問題となっている原因



では実際問題、アメリカは韓国側と終戦宣言について議論の余地があるかといえば、「事実上ない」という結論になります。


もう少し詳しく書くと、アメリカの反応を見る限り、同盟国である韓国との意見対立を「目立たせたくない」という意図があることがわかります。
例えばこの記事

韓国が提案する終戦宣言に…米国「文政権の希望的な思考」(1)
中央日報/中央日報日本語版2021.11.08 14:12
https://japanese.joins.com/JArticle/284595

アメリカのサリバン米大統領補佐官が終戦宣言について韓国と議論するかについて聞かれた際、「韓国と協力しているとしながらも『われわれはそれぞれの措置のための正確な順番、時期、条件に関して多少違う観点を持っているかもしれない』」と、非常に言葉を選んでいる事がわかります。


またエバンズ・リビア元米筆頭国務次官補代理は、「米国の立場は常に(終戦宣言は)北朝鮮および他国との対話の中で考慮して議論すべきであり、非核化の脈絡で進めるべきというものだ」と主張しており、「まず終戦宣言」という韓国側の考えとアメリカ側の考えに大きな隔たりがある事を指摘しています。


そのうえでリビア氏は「韓国政府は自ら情熱の捕虜になっている」「希望的思考(wishful thinking)が支配していると考える」と韓国側の 態度に 釘を刺しています。


また米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長は、「誰も平和に反対しないが、北朝鮮が武器の開発を続ける現実は平和と距離があるのが問題」「終戦を宣言してしまえば、なぜ米軍がまだ韓国に駐留するのかという問題が直ちに浮上することが考えられる」「これをきっかけに北朝鮮だけでなく米国人の間でも在韓米軍撤収主張が出てくる可能性もある」と危惧しています。


これらアメリカ側の指摘なのですが、現状北朝鮮が核放棄どころか増強を行っている事、また「終戦宣言があったのだから」という口実で在韓米軍駐留が否定され、なし崩しに北朝鮮核武装が既成事実化されることを危惧しているのです。


だから元政府関係者などが「まずは非核化ありきでなければいけない」と釘を刺し、現役の政府関係者が「(韓国の考えと)隔たりがある」と遠回しに韓国側の提案と距離をとっているというわけです。


またこちらの記事では

グレッグ元駐韓米国大使「終戦宣言、北核・在韓米軍の議論なければ無意味」
中央日報/中央日報日本語版2021.11.03 11:32
https://japanese.joins.com/JArticle/284461


ドナルド・グレッグ元駐韓米国大使が終戦宣言についてどう考えるかという質問に「支持する。しかし、ひとまずやってみてから考えてみようという態度ではいけない。わが軍(在韓米軍)はどうすべきかなど宣言後に直面するさまざまな問題を先に考えなければいけない。何よりもこの件を担当する(バイデン)政府官僚らが印象的でない。彼らが(終戦宣言などを含む北朝鮮問題に)心から関与しているとは感じられない」と答えています。


要するに、まずは宣言をする前に北朝鮮と「在韓米軍のその後の扱い」についてちゃんと議論しなければ同意できないと答えています。
またこれに関連し

ソン・キム米特別代表「北朝鮮が出てきてこそ終戦宣言を議論」、韓国と見解の相違
東亜日報 October. 28, 2021
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20211028/3012514/1


国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表が、韓国側の「先に終戦宣言、後に非核化」という主張に対して、「バイデン政権は、北朝鮮が対話に出てきてこそ終戦宣言について議論できる」と答えており、先ほどのドナルド・グレッグ氏と同様の意見を述べています。


こうしたことから解るのは、アメリカ側は「北朝鮮が曖昧な態度のまま、韓国独自で進める終戦宣言には同意しない」という態度であるという事です。
共同や朝日の記事からは、肝心のこの部分が抜け落ちているのです。


つまり「日本とアメリカは同じ考え」であり、韓国だけが「先に終戦宣言、後に非核化」という方針に拘っているというのが実態であり、アメリカが「議論できる」としているのも上記のような条件がそろってからで、これは日本側も同じという事です。


3:北朝鮮の態度



そして次に肝心の北朝鮮の態度なのですが

南北関係改善「誰かの承認得て行うものではない」 北朝鮮メディア
聯合ニュース 2021.10.05
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20211005000400882


こちらの記事にあるように、「民族の内部問題に対する外勢の干渉を認めればむしろ複雑となり、いつになっても民族問題をわれわれの意思と利益に沿って解決することができない」と韓国を煽っています。


この事から、北朝鮮アメリカの介在しない、韓国単独の終戦宣言をさせたがっている事がわかるのです。


また次に

北朝鮮朝鮮戦争終戦条件に「米韓合同軍事演習の停止」「経済制裁解除」要求
読売新聞 2021/10/29
https://www.yomiuri.co.jp/world/20211029-OYT1T50480/


こちらの読売の記事によると、北朝鮮は「米韓合同軍事演習の停止」と「主要な経済制裁解除」を要求しており、「まず非核化の議論」というアメリカ側の主張と大きく対立しています。


アメリカ側は「北朝鮮が非核化のテーブルにつかなければアメリカは制裁解除のテーブルにもつかない」という態度だからです。


更に北朝鮮側は

北朝鮮 国連軍司令部の解体要求
聯合ニュース 2021.11.09
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20211109001200882


「国連軍司令部は国連と関係のない米軍司令部にすぎない」「南(韓国)に駐屯する米軍が定例訓練で朝鮮半島の緊張を高め、北南(南北)の和解と協力を妨害する主な原因という事実は広く知られている」と国連司令部の解体要求をしており、このことからも日米の危惧の理由がわかります。


北朝鮮は明らかに、核兵器を維持したままの在韓米軍の無力化を狙っているのです。


そしてもう一つ重要なことがあります。
それは日本もアメリカも明らかに韓国政府に対して不信感を持っている事です。

北朝鮮のSLBM発射にも「挑発」と言えない韓国
東亜日報 October. 20, 2021
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20211020/2995018/1


こちらの記事にもあるように、韓国は北朝鮮核兵器搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行っても、「挑発と言えない」という態度であり、そもそも本当に北朝鮮の核に危機意識があるのかどうかすら怪しいのです。


また次の記事を見ると

【独自】韓国政府傘下機関主催の講演で「在韓米軍の存在、話にならない」
朝鮮日報 2021/10/18
https://web.archive.org/web/20211018064916/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/10/18/2021101880045.html


韓国政府傘下の組織のセミナーで「米国が平和協定を結ばないのは中国のせいだ。在韓米軍が残るには、北朝鮮の脅威をあおらなければならない。これが戦争を終わらせない背景だ。北朝鮮核兵器のせいで戦争が終わらないというのは話にならない」と、露骨に米軍不要論が語られているのです。


このような状況で「終戦宣言後も在韓米軍は同じ規模で維持される」と韓国政府が主張したところで、まるで説得力がないのです。


更には

トランプも安倍が阻止した…日本の「反対」で遠ざかる終戦宣言(1)
中央日報/中央日報日本語版2021.11.09 07:31
https://japanese.joins.com/JArticle/284609


こちらの記事にもあるように、あれだけ「アメリカが終戦宣言を危惧する理由」について書いていた中央日報が、共同通信の記事に同調し「日本が拉致問題に拘るから」という事を書いています。


最終的に記事では北の核問題についても言及していますが、こうした態度は典型的な「ウリ・ナム」論であり、韓国内では中央日報にとって文政権は「ナム」ですが、日本との関係においては「同じ韓国人としてのウリ」であるため、「日本の劣等性」を指摘しているのです。

※ウリとナム
ウリ(自分達)ナム(それ以外)

自他の境界が非常に曖昧な概念であり、彼らはウリである場合自身と全く同じ正しさと感情を共有しており、「ナム」はそれ以外、或いは正しさを理解しない劣等な相手と認識される。
また、このウリの範囲はその時の都合で自身を中心に拡大縮小する。


韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念 - 日韓問題(初心者向け)

【日韓問題】韓国独特の「ウリ」と「ナム」の概念 前編 - ニコニコ動画

【日韓問題】韓国独特の「ウリ」と「ナム」の概念 前編 - YouTube


これはつまり、韓国内ではいくら文政権の終戦宣言に否定的であろうと、いつ「ウリの範囲が変わり手の平を返すかわからない」という事です。


最後の件は単なる民間企業の事例と考慮に入れなかったとしても、こうした、あまりにも不安定な要素が多すぎる以上、日本もアメリカも韓国提案の終戦宣言に賛同するわけがないのです。


そして問題は、このような背景があっての日米の態度であるにも関わらず、共同通信朝日新聞はその件に一切触れていない事です。


こうなるのは、「全く取材をせずにその場の思い付きだけで記事を書いている」か、或いは「中国、韓国、北朝鮮」のどれかに「忖度している」可能性が極めて高いという事です。
どちらであるにせよ、今回最初に取り上げた2つの記事は非常に問題のある印象操作記事という事になります。




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