さて、本日は韓国政府の訴える南北終戦宣言に関連し、日本のいくつかのメディアがとんでもない印象操作をしていたので、その問題点について書いていきます。
初めて来られた方はまずこちらを先に読む事をお勧めします。
ブロマガ『日韓問題(初心者向け)』を始めた理由
注意
・このブログは「日韓の価値観の違い」を初心者向けに扱っています
・当ブログのスタンスは「価値観に善悪や優劣は存在しない」というものです
・相手が不法を働いているからと、こちらが不法をして良い理由にはなりません
・自身の常識が相手にとっても常識とは限りません、「他者がそれを見たらど
う思うか」という客観性を常に持ちましょう
・日常生活で注意する程度には言動に注意を心がけてください
数日前、共同通信が「日本が韓国提案の終戦宣言に反対し、アメリカが静観するなか核問題と拉致問題にこだわっている」と書いており、まるで日本だけが自国の都合に固執し終戦宣言に反対しているかのように書かれていた。
しかし実際には、アメリカ側は終戦宣言が「ただの宣言」にとどまらず、在韓米軍の存在意義の否定につながる可能性がある事、また「まずは非核化が先に来なければいけない」という前提が必要な事を訴えており、考えとしては実際には日本とそう変わりがない。
また北朝鮮側は、元々終戦宣言にあまりこだわりがなかったうえに、文政権の提案に乗じて韓国軍と在韓米軍との合同訓練の廃止や制裁解除、国連司令部の解散などを要求しており、日米の懸念した通りになっている。
※本文中のリンクは引用の元記事、或いはインターネットアーカイブやウェブ魚拓(別サイト)へのリンクです。
1:日本だけが終戦宣言に反対?
まずはこちらの記事から
朝鮮戦争の終戦宣言に難色
共同通信 2021/11/7
https://nordot.app/829823059058655232
岸田政権、韓国の提案に
【ワシントン共同】日米韓3カ国が先月ワシントンで開いた岸田政権発足後初の高官協議で、北朝鮮との信頼醸成措置として休戦状態の朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言を望む韓国に対し、日本が「時期尚早」として難色を示したことが5日分かった。複数の外交筋が明らかにした。米国は態度を留保し、3カ国の温度差が浮き彫りとなった。
韓国の文在寅大統領が9月に国連総会の一般討論演説で終戦宣言を提案後、日本の立場が明らかになったのは初めて。北朝鮮がミサイル実験を繰り返し、核兵器開発と日本人拉致問題で解決への道筋が見えない中、岸田政権は融和ムードだけが拡大することを警戒した。
こちらの記事なのですが、「終戦宣言を望む韓国に対し、日本が「時期尚早」として難色を示したことが5日分かった。複数の外交筋が明らかにした。米国は態度を留保し、3カ国の温度差が浮き彫りとなった。」と書かれており、あたかも日本だけが終戦宣言に反対しているかのように書かれています。
また続いて、その動機として「北朝鮮がミサイル実験を繰り返し、核兵器開発と日本人拉致問題で解決への道筋が見えない中、岸田政権は融和ムードだけが拡大することを警戒した」と書かれています。
そしてこの記事に影響を受け、
平野啓一郎氏、日本政府の朝鮮戦争終結は「時期尚早」との判断に私見…「戦争を止めるなと言ってる」
スポーツ報知 2021年11月7日
https://hochi.news/articles/20211107-OHT1T51153.html?page=1
芥川賞作家の
平野啓一郎氏が7日、自身の
ツイッターを更新。日米韓3か国が10月に米ワシントンで開いた岸田政権発足後初の高官協議で、
北朝鮮との信頼醸成措置として休戦状態の
朝鮮戦争(1950~53年)の
終戦宣言を望む韓国に対し、日本が「時期尚早」として難色を示したことについて、
私見を述べた。
この日、「『時期尚早』とは何事か? 戦争を止めるなと言ってる」と書き始めた平野氏。
「『融和ムードだけが拡大』とはどういう意味か? これまで、拉致問題も核問題も対決姿勢で何の成果もあげられなかったクセに。内政で失敗した時に、国民の目を逸らす外敵がいなくなるのが困るんだろう」と続けていた。
平野啓一郎
@hiranok
https://twitter.com/hiranok/status/1457146722015080448
「時期尚早」とは何事か? 戦争を止めるなと言ってる。「融和ムードだけが拡大」とはどういう意味か? これまで、拉致問題も核問題も対決姿勢で何の成果もあげられなかったクセに。内政で失敗した時に、国民の目を逸らす外敵がいなくなるのが困るんだろう。
見てのように記事を読み「内政で失敗した時に、国民の目を逸らす外敵がいなくなるのが困るんだろう」といったことを書く人物も現れています。
そして次の記事では
文在寅政権残り半年、朝鮮戦争の「終戦宣言」はあるか
GLOBE+/朝日新聞 2021.11.05
https://globe.asahi.com/article/14474812
■国連総会演説でも強調
北朝鮮を巡る高官協議は9月30日にジャカルタで米韓、10月19日にワシントンで日米韓、同24日には再び米韓の枠組みで開かれた。関係筋によれば、日米韓の枠組みを強調したいバイデン米政権の思惑や北朝鮮による相次ぐ武力挑発の影響もあるが、韓国が終戦宣言にこだわっている事情が大きいという。
韓国の文在寅政権は2018年の米朝協議当時から、終戦宣言の締結を主張してきた。文大統領は9月の国連総会での演説でも「終戦宣言こそ、朝鮮半島で和解と協力の新しい秩序をつくる重要な出発点になる」と述べ、改めて関係国に締結を提案した。
関係政府筋の一人は「動機は極めて政治的。文政権が自分たちの主張の正しさを立証したいからだ」と語る。
文政権は2018年当時、北朝鮮が挑発を中断して平昌冬季五輪に参加したことなどから「朝鮮半島に平和が来た」と宣伝した。韓国は、南北朝鮮と米国の3者か、中国も加えた4者が、休戦状態にある朝鮮戦争の終結を宣言することを目指している。
これに対し、日米は従来、終戦宣言に慎重な姿勢を示してきた。北朝鮮が終戦宣言を契機に「朝鮮半島が平和になったのだから、在韓米軍も米韓合同軍事演習も要らないだろう」と言い出すことを恐れたからだ。米国務省のデトラニ元6者協議担当大使は10月25日のシンポジウムで、終戦宣言を行う場合は、在韓米軍と米韓同盟の話は切り離す必要があるとの考えを示した。
ただ、関係筋の一人によれば、米国は終戦宣言を提案する韓国を門前払いしているわけではない。
米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は10月26日の記者会見で終戦宣言を念頭に「(米韓は)正確な順序や時期、条件で、多少見解の違いがあるかもしれない」と語った。米韓の見解の相違を指摘する報道が相次いだが、この関係筋は「米国が終戦宣言について内部で検討している事実を示している」と語る。
バイデン政権は来年秋に中間選挙を迎える。78歳のバイデン氏は1期限りになるとの見方が強く、中間選挙で敗北すれば一気にレイムダックに陥る可能性が高い。外交では対中関係に集中せざるを得ない状況で、「北朝鮮にはできる限り、静かにしていて欲しいのが本音」(関係筋の一人)だ。
警戒する日米に対し、韓国政府は「終戦宣言は政治的なメッセージで、法的拘束力は発生しない」と説明している。終戦宣言が米韓同盟や在日米軍の法的地位に影響を与えず、米朝対話の契機になると判断すれば、米国も宣言に応じる可能性がある。関係筋の一人は「終戦宣言を求める動機は不純だが、利用価値があると思えば、米国が応じる可能性もゼロではない」と語る。
■北朝鮮は「思わせぶりな態度」
では、北朝鮮は何を考えているのだろうか。
北朝鮮は2018年から19年に繰り返し行われた米朝協議では、終戦宣言に興味を示してこなかった。米国が米韓同盟や在韓米軍の法的地位の変更を受け入れない、と判断していたからだ。
金与正朝鮮労働党副部長も9月24日に発表した談話で「終戦宣言は興味のある提案であり、良い発想だ」と評価。そのうえで「宣言には、互いに対する尊重が保障され、相手に対する偏見的な見方と悪質な敵視政策、不公平な二重基準がまず撤回されるべきだ」と主張した。これは、北朝鮮による弾道ミサイル発射などを国連決議違反とせず、米韓合同軍事演習の中止や国連制裁の緩和などを求めた発言だろう。
与正氏は翌日も談話を発表。北朝鮮の主張が認められた場合、終戦宣言はもちろん、2020年6月に爆破した南北連絡事務所の再設置、南北首脳会談なども実現するとの見方を示し、韓国を揺さぶった。
ただ、北朝鮮も強硬姿勢を長く続ける余裕があるようには見えない。制裁措置や新型コロナウイルスの感染防止のための国境封鎖などで経済は逼迫している。韓国の情報機関、国家情報院は10月28日の国会情報委員会で、今年の中朝貿易は9月時点で1億8500万ドルにとどまり、昨年同期の5億3000万ドルを大きく下回っていると報告した。物価も依然高い水準で、経済管理に支障が出ているという。
国情院によれば、北朝鮮の中央銀行は最近、紙幣を印刷する用紙と特殊インクの輸入が中断したため、臨時の金券発行に追い込まれた。限られた設備と資源にも関わらず、無理に工場を稼働させたため、平安南道安州市にある南興青年化学連合企業所の工場で爆発事故が発生した。消毒薬の不足から腸チフスなどの伝染病がまん延している。
北朝鮮は食糧難打開のため、全軍全市民を総動員し、例年よりも早い10月20日ごろに収穫を終了。金正恩氏は「コメ一粒まで確保しろ」「ご飯を食べる人間はすべて農村支援に向かえ」と指示したという。
北朝鮮は米韓同盟の弱体化を望んでいるが、強硬姿勢を続ければ、自分たちも苦しくなる。12月には金正恩党総書記の権力継承10周年も控えており、正恩氏の権威を高める政治的な成果も必要だ。国情院によれば、北朝鮮では最近、「金日成・金正日主義」とは別に「金正恩主義」という言葉を使い始めたという。
このため、北朝鮮がこれまで掲げてきた条件を取り下げて終戦宣言や南北首脳会談に応じ、韓国で次に生まれる政権が北朝鮮に融和的な「第2文在寅政権」になるよう誘導する可能性も残されている。韓国の朴智元国情院長も10月28日の国会報告で「個人的な見解」としつつ、北朝鮮が対話の前提条件を取り下げる可能性があると言及した。
中国はどうか。外交トップの楊潔篪・共産党政治局員が10月28日、北朝鮮の李竜男駐中国大使と会談した。中朝の高官交流などについて協議したとされるが、おそらく、金正恩氏を来年2月の北京冬季五輪開会式に招待したのだろう。中国の王毅外相も開会式を契機に朝鮮半島の緊張緩和に役割を果たす考えを示しており、中朝や南北などの首脳外交が開会式を契機に行われる可能性がある。
■日本にも必要な備え
一方、日本はひたすら終戦宣言に反対する姿勢を貫いている。関係筋によれば、10月19日の日米韓高官協議では、北朝鮮による今後の武力挑発パターンに応じて、3カ国の具体的な対処方針について意見交換した。韓国が現在の対北朝鮮対話姿勢を維持できなくなるレッドラインも議題にのぼった。日本政府も具体的な方針を実務的に説明したが、終戦宣言には強硬に反対するばかりで、宣言を受け入れる条件などには触れなかったという。
関係筋の一人は日本の姿勢について「日本が理由も語らず、終戦宣言に反対したので多少戸惑った」と語る一方、「日韓関係の悪化や総選挙の影響があるのかもしれない」と推測する。2015年の日韓慰安婦合意を文政権が破棄したときに外相を務めていた岸田文雄首相は、文政権に対し慎重な姿勢を示しているという。今年1月に着任した姜昌一駐日韓国大使は依然、首相や外相と面会できていない。
米国が今後、終戦宣言に踏み込むかどうかは予断を許さない。万が一、北京五輪開会式などを契機に終戦宣言を巡る各国の外交が動き始めた場合、日本は全く関与できない状態に置かれるかもしれない。日本政府には、どんな状況の変化にも対応できる備えが求められている。
共同の記事ほど断定的ではないですが、韓国との議論の余地があるアメリカと違い、日本は強硬に反対し取り付く島もなく、また記事ではそれに現在の日韓関係の悪化が関係しているという印象を与える書き方となっています。
そしてこれらの記事なのですが、実のところどこがどのような理由から終戦宣言に反対の意見があるのか、その「本来の理由」が一切書かれておらず、ここに書かれているのは「断片情報の抽出」と「憶測」にすぎません。
2:問題となっている原因
では実際問題、アメリカは韓国側と終戦宣言について議論の余地があるかといえば、「事実上ない」という結論になります。
もう少し詳しく書くと、アメリカの反応を見る限り、同盟国である韓国との意見対立を「目立たせたくない」という意図があることがわかります。
例えばこの記事
韓国が提案する終戦宣言に…米国「文政権の希望的な思考」(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.11.08 14:12
https://japanese.joins.com/JArticle/284595
先月12日(現地時間)、韓国政府の当局者は米ワシントンで米国側と協議を終えた後、「我々が考える
終戦宣言の構想を詳細に説明し、我々の立場に対する米国の理解が深まったと考える」と述べた。
1週間後、ワシントンで別の韓国政府当局者は「(終戦宣言は)北と対話を始めるためのきっかけとして非常に役に立つという韓米間の共感がある」とし「米国は声明採択時にどのような影響があるかの検討が必要だとみて、内部で深く検討中」と明らかにした。
米国務省の弁護士が終戦宣言文案について法律検討をしているという言葉までが出てきた。韓国政府当局者が伝える文在寅(ムン・ジェイン)大統領の韓国戦争(朝鮮戦争)終戦宣言提案に対し、米国は非常に前向きな反応だと紹介された。
しかしワシントンの東アジア太平洋専門家らが伝える米政府の気流は全く違う。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は先月26日(現地時間)、終戦宣言について「我々は各段階の正確な順序や時期、条件についてやや異なる観点を持つ」とし、両国間の隔たりを示唆した。
ワシントンの韓半島(朝鮮半島)専門家らの言葉はこれより直接的だ。エバンズ・リビア元米筆頭国務次官補代理は先月28日のインタビューで「米国の立場は常に(終戦宣言は)北朝鮮および他国との対話の中で考慮して議論すべきであり、非核化の脈絡で進めるべきというものだ」と述べた。
リビア氏は「終戦宣言とは、ひょっとして北朝鮮が非核化について考えるかもしれないという理由で北朝鮮に一方的に与える贈り物ではない」とし「北朝鮮が真摯に非核化手続きを始めれば検討できるというのが米国の立場」と説明した。
◆「バイデン大統領とトランプ前大統領は反対に行動」
リビア氏は特に「韓国政府は自ら情熱の捕虜になっている」とし「希望的思考(wishful thinking)が支配していると考える」と述べた。
--米国は韓国とは異なる立場だが、韓国官僚の発言に反論していない。
「バイデン大統領は同盟強化および協力を外交政策の前面に掲げた。韓米同盟が好きでないという点を非常に明確に示したトランプ政権とは、すべての面で100%反対に行動しようとする。近い同盟である韓国の大統領の提案に公開的に反論して体面を汚すことはないようにするだろう」
--米朝の膠着状態に打開策はあるのか。
「韓国政府の切迫感を理解できないわけではない。しかし米国と北朝鮮は互いに動けない膠着状態になった。私は現在を『安定した膠着(stable stalemate)』と呼ぶ。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)または核実験を再開したり、中国を刺激しない限り、このまま持続することが可能ということだ」
--北朝鮮が「レッドライン」を越える可能性は。
「ICBM試験発射や核挑発をすれば、バイデン政権は北朝鮮が驚くほどの対応をすると予想する。国内政治的な理由でそのようにするしかない。北朝鮮は米国をよく知っていると考えているが、実際はあまりにも知らない。このような時にはどんなことが生じるか分からない。(米朝が危機に向かった)2017年の状況が繰り返されることもある」
リビア氏は、米中首脳会談を控えた中で米国が北朝鮮の核問題において中国の協力を得るのは難しいと予想した。「北朝鮮という刺激剤(irritant)があるのが中国には有利であり、米中葛藤の中で米国が望むものは何もしたくないという情緒が中国にある」ということだ。
リビア氏は「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の目標は核保有でなく体制維持にあるため、長期的に核を放棄すれば体制を維持できるという信頼を与えて説得しなければいけない」と提案した。
韓国が提案する終戦宣言に…米国「文政権の希望的な思考」(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.11.08 14:12
https://japanese.joins.com/JArticle/284596
◆「金正恩委員長に外交的勝利を与えることはできない」
ワシントンの別の専門家からも終戦宣言については似た言葉が出ている。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長は最近、オンライン座談会「キャピタルケーブル」で、「誰も平和に反対しないが、北朝鮮が武器の開発を続ける現実は平和と距離があるのが問題」と指摘した。また「終戦を宣言してしまえば、なぜ米軍がまだ韓国に駐留するのかという問題が直ちに浮上することが考えられる」とし「これをきっかけに北朝鮮だけでなく米国人の間でも在韓米軍撤収主張が出てくる可能性もある」と話した。
ウッドロー・ウィルソン国際センターのスミ・テリー朝鮮半島担当局長は「終戦宣言の議論が進展すれば、敵対視政策の撤回と在韓米軍の駐留および韓米同盟に変化が避けられない状況になるだろう」と予想した。続いて「北朝鮮の戦略は国際社会から合法的な核保有国として認められることだが、終戦を宣言してしまえば核を保有する北朝鮮と関係を正常化し、合法化する結果を招くことになる」と懸念を表した。
ドイツ公営放送ドイチェベレは専門家の言葉を引用し、「北朝鮮が繰り返しミサイル試験発射をしながら緊張を高める中、バイデン大統領は代価を確保しないまま金正恩委員長に外交的勝利を与えたくはないはず」と伝えた。
アメリカのサリバン米大統領補佐官が終戦宣言について韓国と議論するかについて聞かれた際、「韓国と協力しているとしながらも『われわれはそれぞれの措置のための正確な順番、時期、条件に関して多少違う観点を持っているかもしれない』」と、非常に言葉を選んでいる事がわかります。
またエバンズ・リビア元米筆頭国務次官補代理は、「米国の立場は常に(終戦宣言は)北朝鮮および他国との対話の中で考慮して議論すべきであり、非核化の脈絡で進めるべきというものだ」と主張しており、「まず終戦宣言」という韓国側の考えとアメリカ側の考えに大きな隔たりがある事を指摘しています。
そのうえでリビア氏は「韓国政府は自ら情熱の捕虜になっている」「希望的思考(wishful thinking)が支配していると考える」と韓国側の 態度に 釘を刺しています。
また米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長は、「誰も平和に反対しないが、北朝鮮が武器の開発を続ける現実は平和と距離があるのが問題」「終戦を宣言してしまえば、なぜ米軍がまだ韓国に駐留するのかという問題が直ちに浮上することが考えられる」「これをきっかけに北朝鮮だけでなく米国人の間でも在韓米軍撤収主張が出てくる可能性もある」と危惧しています。
これらアメリカ側の指摘なのですが、現状北朝鮮が核放棄どころか増強を行っている事、また「終戦宣言があったのだから」という口実で在韓米軍駐留が否定され、なし崩しに北朝鮮の核武装が既成事実化されることを危惧しているのです。
だから元政府関係者などが「まずは非核化ありきでなければいけない」と釘を刺し、現役の政府関係者が「(韓国の考えと)隔たりがある」と遠回しに韓国側の提案と距離をとっているというわけです。
またこちらの記事では
グレッグ元駐韓米国大使「終戦宣言、北核・在韓米軍の議論なければ無意味」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.11.03 11:32
https://japanese.joins.com/JArticle/284461
ドナルド・グレッグ元駐韓米国大使が先月28日(現地時間)、
中央日報のインタビューに応じ、在韓米軍と国連軍司令部の去就、
北朝鮮の非核化を扱わない
終戦宣言は意味がないと述べた。バイデン政権は
北朝鮮核問題に専念していないとみられ、何よりもワシントンで
北朝鮮問題をめぐる甲論乙駁自体が活発でないというのが最も大きな問題だと指摘した。
米ニューヨーク州アーモンクの自宅で会ったグレッグ氏は、文在寅(ムン・ジェイン)政権が推し進める終戦宣言に対する立場を聞くと、「それ自体はよい(fine)と考える。しかしそのように規定する前に多くの調整がなければいけない」と強調した。グレッグ氏は「終戦宣言を終えればどうなるという確信があるべき」とし「ひとまずやってみて次を考えてみようという態度はいけない」と指摘した。終戦宣言は非核化交渉の入り口であり法的拘束力がない宣伝的な意味、という韓国政府の立場とは異なる視点だ。
グレッグ氏はジョージ・H・W・ブッシュ元大統領が副大統領だった当時、国家安全保障補佐官を6年半にわたり務めた。退任後には2009年までコリアソサエティー会長を務めた。終戦宣言に対するグレッグ氏の考えは終戦宣言を眺めるワシントンの雰囲気を表している。以下は一問一答。
--朝鮮戦争の終戦宣言を支持するか。
「支持する。しかし、ひとまずやってみてから考えてみようという態度ではいけない。わが軍(在韓米軍)はどうすべきかなど宣言後に直面するさまざまな問題を先に考えなければいけない。何よりもこの件を担当する(バイデン)政府官僚らが印象的でない。彼らが(終戦宣言などを含む北朝鮮問題に)心から関与しているとは感じられない」
--在韓米軍や国連軍司令部の去就、北朝鮮非核化を言及しない終戦宣言は意味がないということか。
「そうだ。この国とこの地域の歴史を本当によく知っていれば、そのような問題は必然的に出てくる。戦争を終えるのならその後はどうするのか、米軍は継続駐屯するのか、何人をどこに置くのか、終戦後の南北関係をどう導いていくのかなどのイシューに答えなければいけない」
--文大統領は任期を控えている。
「そのような時間の制約があれば危険だ。無条件に結果が良く見えるようにしなければいけないからだ。大統領が遺産(legacy)を残そうとすることは責めない。しかし結実をもたらすかは別の問題だ。文政権とバイデン政権の速度が合わないのが問題(troubling)だ」
--ワシントンでバイデン政権の北朝鮮政策は大きな関心事でないということか。
「北東アジアと朝鮮半島の経験が多い元官僚や専門家の間で、この政権がすることは正しいとか、よいとか、もっと努力すべきだとかという言葉が交わされるべきだが、全く聞こえない。終戦宣言も周囲では話がない。誰も話していない。バイデン政権の北朝鮮政策に対する論駁自体がない。そのような態度に疑念を抱く」
--バイデン政権はもっと積極的に取り組むべきか。
「対話に出てくることを提案し、うまくいくことを望むだけでは十分でない。我々が望むように何とかしようという意志が見られない」
--米国は先決条件なしに交渉に出てくるよう呼びかける一方、北朝鮮は制裁の緩和などを要求している。膠着状態をどう解くべきなのか。
「北朝鮮とオフレコで向き合って座ることが重要だ。非公開で会えば自由に話せる。外交の一定量は非公開でなければいけない。公開される場合、(北朝鮮に)約束をしたと(トランプ前大統領支持者から)非難されることがある」
--北朝鮮は核を放棄すると思うか。
「そう思わない。それを放棄すれば力をほとんど失うことになる。北朝鮮は手元のカードが非常に弱いが、ゲームを非常にうまくやっている。その半面、米国は北朝鮮に比べてカードが非常に良いが、それをうまく使えていない」
ドナルド・グレッグ元駐韓米国大使が終戦宣言についてどう考えるかという質問に「支持する。しかし、ひとまずやってみてから考えてみようという態度ではいけない。わが軍(在韓米軍)はどうすべきかなど宣言後に直面するさまざまな問題を先に考えなければいけない。何よりもこの件を担当する(バイデン)政府官僚らが印象的でない。彼らが(終戦宣言などを含む北朝鮮問題に)心から関与しているとは感じられない」と答えています。
要するに、まずは宣言をする前に北朝鮮と「在韓米軍のその後の扱い」についてちゃんと議論しなければ同意できないと答えています。
またこれに関連し
ソン・キム米特別代表「北朝鮮が出てきてこそ終戦宣言を議論」、韓国と見解の相違
東亜日報 October. 28, 2021
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20211028/3012514/1
米国が韓国政府に、
北朝鮮が先に対話のテーブルに出てこない以上、韓国の
終戦宣言の提案を受け入れることは難しいという立場を明らかにしたことが分かった。また、韓米が
終戦宣言に関する立場を整理する前に、中国など関係国を宣言の主体に参加させなければならないという考えも伝えたという。
終戦宣言を
米朝非核化交渉、南北対話再開の「突破口」と考える政府の「先に
終戦宣言、後に非核化」構想と見解の相違を見せたので、任期末の
文在寅(
ムン・ジェイン)政府の対
北朝鮮構想にも支障が生じるのではないかという観測が流れている。
27日、複数の政府筋によると、米国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表は24日、韓米代表協議でこのように明らかにした。韓国政府は、「終戦宣言は法律的に拘束されない政治的で象徴的な宣言」という意味に注目し、韓米協議を踏み台に終戦宣言を先に投じて対話の糸口とする構想を明らかにしたが、バイデン政権は、北朝鮮が対話に出てきてこそ終戦宣言について議論できるという考えを明確にしたのだ。
バイデン政権は最近、韓国政府が伝えた終戦宣言シナリオを検討し、終戦宣言の得失を深く分析してきた。キム氏のメッセージは、米国が内部検討によって、終戦宣言が国連司令部の解体や在韓米軍撤退の争点化の可能性など北朝鮮に誤ったメッセージを送る状況を懸念し、直ちに応じる意向がないことを伝えたものとみられる。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)も26日(現地時間)、記者会見で、終戦宣言に対する米国の立場を問われ、「私たちは、段階別に正確な順序、時期、条件に関して多少異なる観点をもっているかもしれない」と話した。終戦宣言をめぐって韓米間に意見の相違があることを初めて認めたのだ。
申晋宇
米国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表が、韓国側の「先に終戦宣言、後に非核化」という主張に対して、「バイデン政権は、北朝鮮が対話に出てきてこそ終戦宣言について議論できる」と答えており、先ほどのドナルド・グレッグ氏と同様の意見を述べています。
こうしたことから解るのは、アメリカ側は「北朝鮮が曖昧な態度のまま、韓国独自で進める終戦宣言には同意しない」という態度であるという事です。
共同や朝日の記事からは、肝心のこの部分が抜け落ちているのです。
つまり「日本とアメリカは同じ考え」であり、韓国だけが「先に終戦宣言、後に非核化」という方針に拘っているというのが実態であり、アメリカが「議論できる」としているのも上記のような条件がそろってからで、これは日本側も同じという事です。
そして次に肝心の北朝鮮の態度なのですが
南北関係改善「誰かの承認得て行うものではない」 北朝鮮メディア
聯合ニュース 2021.10.05
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20211005000400882
【ソウル
聯合ニュース】
北朝鮮の対外宣伝メディア「統一のメアリ」は5日、「北南(南北)関係を発展させるためには
南朝鮮(韓国)当局が民族自主の立場を堅持することが重要だ」として、「関係改善は誰かの承認を得て行うものではなく、誰かの支援で行われるものでもない」と強調する寄稿を掲載した。
また、「民族の内部問題に対する外勢の干渉を認めればむしろ複雑となり、いつになっても民族問題をわれわれの意思と利益に沿って解決することができない」と主張。「あらゆる問題を民族同士で解決してこそ北南関係が一日も早く回復し、朝鮮半島に強固な平和が実現する」と指摘した。
これまで、韓国が南北問題を米国と作業部会(ワーキンググループ)で協議するため、南北協力事業などが遅延・中止になったことを繰り返さないよう求めたものとみられる。
北朝鮮はこのところ、韓国と米国に異なるメッセージを発している。韓国に対しては挑発・危害を与える意向がないとして、約2カ月ぶりに南北通信連絡線を復旧させた。だが、米国に対しては「二重基準」を問題視し、対北朝鮮敵視政策の撤回を求めている。
一方、別の宣伝メディア「メアリ」は韓国の軍事演習や先端兵器の導入に触れ、「現実は、対話と平和を言ってわれわれを安心させ、彼らの不純な目的を達成させるため時間を稼ごうとするごまかしにすぎない」とし、韓国の軍備増強を警戒した。
こちらの記事にあるように、「民族の内部問題に対する外勢の干渉を認めればむしろ複雑となり、いつになっても民族問題をわれわれの意思と利益に沿って解決することができない」と韓国を煽っています。
この事から、北朝鮮はアメリカの介在しない、韓国単独の終戦宣言をさせたがっている事がわかるのです。
また次に
北朝鮮、朝鮮戦争の終戦条件に「米韓合同軍事演習の停止」「経済制裁解除」要求
読売新聞 2021/10/29
https://www.yomiuri.co.jp/world/20211029-OYT1T50480/
【ソウル=豊浦潤一】韓国が提案している
朝鮮戦争(1950~53年)の
終戦宣言について、
北朝鮮は議論に応じる先決条件として、米韓合同軍事演習の停止や、主要な
経済制裁の解除を要求した。韓国の情報機関・国家情報院が28日、国会に報告した。米国が条件を認める可能性はほとんどないとみられる。
報告を受けた議員が韓国の報道陣に説明した内容によると、北朝鮮は演習中止のほか、鉱物の輸出と石油の輸入を求めているという。
北朝鮮は2017年、国連安全保障理事会から、ガソリンや灯油など石油精製品の輸入量を9割減まで制限し、石炭、鉄、鉄鉱石などの輸出を全面禁止する制裁を受けた。北朝鮮は今回、制裁の主要部分を解除するよう要求した。
韓国の 文在寅 政権は、終戦宣言を政権のレガシー(政治的遺産)とするため、北朝鮮の要求を受け入れるよう米国を説得しているとみられるが、対北制裁を堅持する米バイデン政権との温度差も表面化している。
米国のジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は26日の記者会見で、「我々(米韓)は、(終戦宣言に関して)どういう段階を踏むか、順序、タイミング、条件について若干異なる見方をしているかもしれない」と述べた。
こちらの読売の記事によると、北朝鮮は「米韓合同軍事演習の停止」と「主要な経済制裁解除」を要求しており、「まず非核化の議論」というアメリカ側の主張と大きく対立しています。
アメリカ側は「北朝鮮が非核化のテーブルにつかなければアメリカは制裁解除のテーブルにもつかない」という態度だからです。
更に北朝鮮側は
北朝鮮 国連軍司令部の解体要求
聯合ニュース 2021.11.09
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20211109001200882
【ソウル
聯合ニュース】
北朝鮮は4日に行われた国連総会第6委員会で、韓国にある国連軍司令部を解体するよう改めて求めた。
国連のホームページによると、北朝鮮の国連代表部のキム・インチョル1等書記官は「個別国家が政治・軍事目的で国連の名前を乱用する正常ではない状況は正さなければならない」として、「国連軍司令部は国連と関係のない米軍司令部にすぎない」と主張。「南(韓国)に駐屯する米軍が定例訓練で朝鮮半島の緊張を高め、北南(南北)の和解と協力を妨害する主な原因という事実は広く知られている」と批判した。
また、「最近、南北で同時多発的なミサイル発射があり、北と米国を含む複数の国の極超音速発射体の発射実験があったが、国連安全保障理事会では北の発射だけを国際平和への脅威とし糾弾を受けた」と反発した。
第6委員会は法律問題を取り扱う組織だ。キム氏の後に発言した韓国代表部のト・グァンホン参事官は北朝鮮側の主張について、「委員会を政治宣伝のための場として利用しないことを全ての加盟国に促したい」と述べた。
北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は先月27日に開かれた第4委員会でも国連軍司令部の解体を求めた。
「国連軍司令部は国連と関係のない米軍司令部にすぎない」「南(韓国)に駐屯する米軍が定例訓練で朝鮮半島の緊張を高め、北南(南北)の和解と協力を妨害する主な原因という事実は広く知られている」と国連司令部の解体要求をしており、このことからも日米の危惧の理由がわかります。
北朝鮮は明らかに、核兵器を維持したままの在韓米軍の無力化を狙っているのです。
そしてもう一つ重要なことがあります。
それは日本もアメリカも明らかに韓国政府に対して不信感を持っている事です。
北朝鮮のSLBM発射にも「挑発」と言えない韓国
東亜日報 October. 20, 2021
https://www.donga.com/jp/List/article/all/20211020/2995018/1
北朝鮮が19日午前、
咸鏡南道新浦(ハムギョンナムド・シンポ)東側
海上から東海(トンヘ・
日本海)に向けて潜水艦発射
弾道ミサイル(SLBM)と推定される短距離
弾道ミサイル1発を発射したと、軍が明らかにした。
北朝鮮のSLBM発射は、2019年10月の「
北極星3」の発射以来2年ぶり。政府は
国家安全保障会議(NSC)
常任委員会を開いた後、大統領府を通じて「深刻な遺憾」を表明した。
潜水艦に搭載されるSLBMは、敵のレーダ網を避けてひそかに接近し、核攻撃が可能で、戦争の状況を変える「ゲームチェンジャー」と呼ばれる。戦略爆撃機、長距離弾道ミサイル(ICBM)と共に「核3軸」でもある。よってSLBMの発射は、北朝鮮の以前の挑発とは次元が異なる脅威的な信号だ。北朝鮮は19年の板門店(パンムンジョム)米朝首脳会談で、核実験と長距離弾道ミサイルの発射中止を約束し、これが韓半島情勢の悪化を防ぐ安全弁の役割を果たしたことも事実だ。しかしSLBM発射で、「レッドライン」の真下まで接近した。
何より今回の挑発が、北朝鮮を対話に導くための日米韓の努力が活発だった中で起こったので懸念される。ワシントンでは19日、韓米の北朝鮮担当高官が会い、ソウルでは日米韓の情報トップが会合した。米国は、北朝鮮に対話と関連して具体的な提案をし、終戦宣言にも以前より柔軟な立場を示している。しかし、北朝鮮はこのようなムードに冷水を浴びせた。
今回の武力示威がもっと大きな挑発への飛び石なのか、対話を控えて立場を優位にするための常套的な戦略なのか、今のところ推し量ることはできない。このような予想のできない北朝鮮の行動に対応するには、原則が明確でなければならない。しかし、北朝鮮の粘りの作戦に、終戦宣言に続きワクチン支援の話まで取り出したうえ、韓国に対する攻撃用SLBMの発射には「挑発」ではなく「深刻な遺憾」という気の抜けた対応だけを政府は出した。先月、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「北朝鮮の挑発」と言及したことを問題にした後、この表現が消えたのだ。このように北朝鮮の思いどおりに言いなりになっては、対話の敷居はますます高まり、平壌(ピョンヤン)の態度は一層傲慢になるだけだ。
こちらの記事にもあるように、韓国は北朝鮮が核兵器搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行っても、「挑発と言えない」という態度であり、そもそも本当に北朝鮮の核に危機意識があるのかどうかすら怪しいのです。
また次の記事を見ると
【独自】韓国政府傘下機関主催の講演で「在韓米軍の存在、話にならない」
朝鮮日報 2021/10/18
https://web.archive.org/web/20211018064916/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/10/18/2021101880045.html
韓国統一部の傘下機関が主催する講演で、「在韓米軍は米国が中国をけん制するために駐留しているもので、米国は
北朝鮮の脅威をあおっている」という趣旨の講演発言が飛び出したことが分かった。
野党・国民の力の趙太庸(チョ・テヨン)議員室が17日に明らかにしたところによると、統一部の全羅南道統一敎育センターが主管した「平和統一リーダーシップ・アカデミー」で、円光大学名誉教授のA氏が今年6月10日に講演者として登壇した際、質疑応答で「北朝鮮の国内総生産(GDP)は韓国の国防費にもならない。そのような北朝鮮を相手に、米軍がいなければならないなんて、話になるものか」と述べた。さらに、「米国が平和協定を結ばないのは中国のせいだ。在韓米軍が残るには、北朝鮮の脅威をあおらなければならない。これが戦争を終わらせない背景だ。北朝鮮の核兵器のせいで戦争が終わらないというのは話にならない」とも語ったという。
A氏は、2014年の統合進歩党・李石基(イ・ソッキ)元議員による「内乱陰謀事件」控訴審の第8回公判に証人として出廷し、「(韓国海軍哨戒艦)天安(爆破・沈没)事件は韓国と米国が大規模な軍事合同演習を北朝鮮の目と鼻の先で行おうとして、北朝鮮を刺激して起こった。延坪島(砲撃)事件も同じだ」と主張した人物だ。
https://web.archive.org/web/20211018100959/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/10/18/2021101880045_2.html
全羅南道統一教育センターが昨年9月に制作したオンライン教育動画資料「9・19軍事合意(2018年9月19日の南北首脳会談で合意した平壌共同宣言)2周年と韓半島(朝鮮半島)平和の現在と未来」にも、A氏の主張と同様の内容が含まれていた。市民団体の代表B氏はこの動画で、「韓米合同軍事演習を来年すれば、南北関係と韓半島平和プロセスにマイナスの影響を与える可能性が高くなる」と言った。また、「9・19軍事合意で設定された飛行禁止区域対象に『機関』も含まれている。北ではビラが飛んできたという話を聞いたことがないが、こちらでは一部の脱北者団体がビラをまいている。これは今年、南北関係を悪化させた直接の要因だ」と述べた。動画投稿・共有サイト「ユーチューブ」に投稿された23分間のこの動画には、北朝鮮による銃撃挑発行為などに関する言及はなかった。
全羅南道統一教育センターは昨年5月から社団法人「我が民族」が委託運営している。我が民族は統一教育センターを運営していた今年2月、韓米合同軍事演習中止共同記者会見に参加したり、公式フェイスブックに「国家保安法廃止の請願」を促す文を掲載したりした。
国立統一教育院の地域教育センター運営マニュアルには、統一教育の基本的な原則を盛り込んだ法令を順守するよう書かれている。統一教育支援法第3条第2項によると、統一教育は個人・党派的な目的のために利用してはならないことになっている。統一部は全羅南道統一教育センターに対し、2020年に1億4900万ウォン(約1500万円)、2021年に1億9000万ウォン(約1800万円)と、2年間で約3億4000万ウォン(約3300万円)を支援したと言われる。
趙太庸議員は「地域統一教育センターが本来の目的とは違う、誤った思想教育や理念広報のアジトとして利用されないよう、統一部の責任ある改善策整備が急がれる」と語った。
チェ・ヘスン記者
韓国政府傘下の組織のセミナーで「米国が平和協定を結ばないのは中国のせいだ。在韓米軍が残るには、北朝鮮の脅威をあおらなければならない。これが戦争を終わらせない背景だ。北朝鮮の核兵器のせいで戦争が終わらないというのは話にならない」と、露骨に米軍不要論が語られているのです。
このような状況で「終戦宣言後も在韓米軍は同じ規模で維持される」と韓国政府が主張したところで、まるで説得力がないのです。
更には
トランプも安倍が阻止した…日本の「反対」で遠ざかる終戦宣言(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.11.09 07:31
https://japanese.joins.com/JArticle/284609
バイデン政府が対北政策で韓日米の調整された立場を強調する中で、
文在寅(
ムン・ジェイン)政府が任期末にドライブをかけている
終戦宣言を巡り、韓日間の異見が浮き彫りとなっている。日本は
終戦宣言の当事国ではないが、
安倍内閣当時の2018年にも反対立場を明らかにし、関連議論にブレーキをかけた。
(1)終戦宣言に絶えず懐疑的な日本
共同通信は6日、日本が先月米国ワシントンで開かれた韓日米3国北核首席代表会合で、終戦宣言について「時期尚早」と明らかにしたと報じた。岸田文雄政権発足後に初めて開かれた3国会合だったが、この席で日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長が「北朝鮮がミサイル試験を繰り返している」ことを理由などに挙げて、終戦宣言の有用性を強調する韓国外交部の魯圭悳(ノ・ギュドク)韓半島(朝鮮半島)平和交渉本部長の意見に同意しなかったという趣旨だ。当時、米国外務省のソン・キム北朝鮮特別代表ははっきりした立場を明らかにしなかったという。
該当の報道に関連し、磯崎仁彦官房副長官は8日の記者会見で「詳細な内容は外交上の問題なので明らかにできない」とし「北朝鮮関連の対応を巡っては日米韓間で緊密に意見を交換している」と述べた。3国共助を強調しながらも否定はしていない。
終戦宣言に対する日本の反発は安倍政権時もほぼ同じだ。昨年出版された米国のジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障担当)の回顧録によると、2018年6月の米朝首脳会談を控えてドナルド・トランプ前大統領が終戦宣言を検討していたが、当時安倍晋三前首相が反対し、結局立ち消えとなった。
ボルトン氏は回顧録でトランプ前大統領が終戦宣言に期待を持っていたが、日本は歓迎しない雰囲気があったと伝えた。続いて「米朝首脳会談の直前、安倍前首相がホワイトハウスを訪れてトランプ前大統領に『北朝鮮に譲歩するな』と直接説得した」とも明らかにした。
終戦宣言をはじめとする北朝鮮関与政策に懐疑的であると同時に、制裁強化の必要性を強調する日本政府の立場は安倍-菅義偉-岸田政権を通じて一貫して維持されている。朝日新聞の牧野愛博記者は今月3日、ラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューで「日本政府は(米韓が)終戦宣言を検討すること自体を拒否し、終戦宣言に対する反対の立場を繰り返している」と話した。
(2)なぜ日本はブレーキをかけるのか
まず日本政府は自国の北朝鮮政策の優先課題である拉致問題が解決される前に戦争終了を宣言すべきではないと判断している側面が大きい。岸田首相は先月行われた就任後初の国会演説で「拉致問題は最重要課題」とし「全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う決意です」と述べた。
実際にバイデン政府の発足後、日米は同じ声をあげながら拉致問題の解決を促した。今年4月、日米首脳会談の共同声明には「バイデン大統領から拉致問題の即時解決を求める米国のコミットメントが改めて示された」という内容が明示された。機会があるごとに拉致問題関連の米国の支持を求めてきた日本が、「ここで進展がある」という確信もないまま韓国・北朝鮮・米国・中国だけが集まって終戦宣言をすることに対して、警戒するよりほかないという指摘だ。
世宗(セジョン)研究所日本研究センター長の陳昌洙(チン・チャンス)氏は「日本の立場では韓国戦争(朝鮮戦争)以降、唯一関係を正常化できない相手が北朝鮮で、過去から北核関連の協議で主導権を失わないように地道に努力してきた」とし「したがって拉致問題に対する解決に対する見通しが暗くなった状況で、日本を議論から排除したまま宣言した終戦宣言によって戦後体制に影響を与えることを阻止しようとするだろう」と説明した。
トランプも安倍が阻止した…日本の「反対」で遠ざかる終戦宣言(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.11.09 07:32
https://japanese.joins.com/JArticle/284610
日本が韓国の対北政策に同調するほどの要因や善意によって支援する信頼も消えたという指摘もある。南北対話が円滑に進行されていた2018年には、日本が拉致問題の解決や日朝首脳会談の推進に関連して韓国の仲裁役割を期待していたこともある。
だが、南北間で膠着局面が続き、日本が自然に自国の対北政策運用過程で韓国の効用価値が相対的に低下したと判断できるという懸念だ。また、バイデン政府に入り日米同盟がさらに強固になった以上、日本が北朝鮮問題の「キープレーヤー」として動くために、あえて韓国の支持は必要ではないと判断した可能性もある。
そのうえ歴史問題によって触発された裁判所の判決や日本の輸出規制措置などによって韓日関係は歴代最悪という評価を受けるほど冷え込んだ。
国民大学日本学科の李元徳(イ・ウォンドク)教授は「現状況で韓国の対北政策に日本が協力することを期待するのは難しい」とし「もし韓米両国の間ででも立場を調整して終戦宣言を推進するなら日本がついてくる可能性もあるが、今は韓米間にそのような共感や推進動力がないのが現実」と指摘した。続いて「韓国政府も対北政策に関連して、日本を何とかして説得しようとする努力よりも『パッシング』(passing)しようとする傾向が強い」と指摘した。
(3)日米の懸念にもあきらめを知らない韓国
このように韓国政府が米国と日本の支持を確実に得られないことを巡り、当初の終戦宣言構想自体が無理筋だったという批判も提起されている。特に、終戦宣言に関連した北朝鮮の真意を充分に確認することもできないまま、北朝鮮が対外的に表明した立場を我田引水式に解釈しているという指摘もある。
韓国政府は、今年9月金正恩国務委員長が最高人民会議に施政演説で終戦宣言に言及した点を北朝鮮の前向きな信号だと解釈して説得戦に活用している。青瓦台(チョンワデ、大統領府)高位関係者は今月3日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の欧州歴訪中にハンガリーで記者団と会い「金委員長が対外的に終戦宣言について言及したのは今回が初めて」としながら「意味が小さくない」と評価した。
だが、当時の演説で金委員長は「終戦宣言に先立ち、北朝鮮敵対視政策の撤回と二重基準の撤廃がなければならない」と述べて先決条件を掲げ、事実上終戦宣言を実現不可能な水準の課題に引き上げた。
一部では韓国政府が任期内の終戦宣言達成が難しいことを認識しながらも、その必要性を国内外に宣伝することによって北朝鮮が大統領選挙を控えて極端な挑発に出る可能性を遮断しようとしているのではないかという分析もある。韓国政府は、最近北朝鮮が約4年間の核・ミサイルモラトリアム(長距離弾道ミサイルと核実験の中止)を維持しているため終戦宣言などの見返りが必要だという論理を展開し、北朝鮮が国連安保理決議違反にあたるミサイル発射を敢行しても「挑発」と規定しないでいる。
こちらの記事にもあるように、あれだけ「アメリカが終戦宣言を危惧する理由」について書いていた中央日報が、共同通信の記事に同調し「日本が拉致問題に拘るから」という事を書いています。
最終的に記事では北の核問題についても言及していますが、こうした態度は典型的な「ウリ・ナム」論であり、韓国内では中央日報にとって文政権は「ナム」ですが、日本との関係においては「同じ韓国人としてのウリ」であるため、「日本の劣等性」を指摘しているのです。
※ウリとナム
ウリ(自分達)ナム(それ以外)
自他の境界が非常に曖昧な概念であり、彼らはウリである場合自身と全く同じ正しさと感情を共有しており、「ナム」はそれ以外、或いは正しさを理解しない劣等な相手と認識される。
また、このウリの範囲はその時の都合で自身を中心に拡大縮小する。
韓国人独特の「ウリ」と「ナム」という概念 - 日韓問題(初心者向け)
【日韓問題】韓国独特の「ウリ」と「ナム」の概念 前編 - ニコニコ動画
【日韓問題】韓国独特の「ウリ」と「ナム」の概念 前編 - YouTube
これはつまり、韓国内ではいくら文政権の終戦宣言に否定的であろうと、いつ「ウリの範囲が変わり手の平を返すかわからない」という事です。
最後の件は単なる民間企業の事例と考慮に入れなかったとしても、こうした、あまりにも不安定な要素が多すぎる以上、日本もアメリカも韓国提案の終戦宣言に賛同するわけがないのです。
そして問題は、このような背景があっての日米の態度であるにも関わらず、共同通信と朝日新聞はその件に一切触れていない事です。
こうなるのは、「全く取材をせずにその場の思い付きだけで記事を書いている」か、或いは「中国、韓国、北朝鮮」のどれかに「忖度している」可能性が極めて高いという事です。
どちらであるにせよ、今回最初に取り上げた2つの記事は非常に問題のある印象操作記事という事になります。
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